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エドキサバンと他の新規抗凝固薬の間接比較:T/H誌

Thrombosis and Haemostasis 2月28日付オンライン版

Efficacy and safety of edoxaban in comparison with dabigatran, rivaroxaban and apixaban for stroke prevention in atrial fibrillation
http://dx.doi.org/10.1160/TH14-02-0118F.
Skjøth (1, 2), T. B. Larsen (1, 2), L. H. Rasmussen (1, 2), G. Y. H. Lip (1, 3)

【疑問】エドキサバンの有効性、安全性は他のNOACのに比べてどうか?:(間接比較)

【方法】Bucher法を用いて、エドキサバンと他の3NOACとのワルファリンを介した間接比較を施行

【結果】
1)高用量エドキサバンvs.アピキサバン:
有効性エンドポイント、死亡率、心筋梗塞、大出血:有意差なし
大出血、臨床上問題となる小出血:アピキサバンが少ない:ハザード比0.79(0.70−0.90)
消化管出血:アピキサバンが少ないハザード比0.72(0.53−0.99)

2)高用量vs. ダビガトラン110
有効性エンドポイント、安全性エンドポイント:有意差なし

3)高用量エドキサバンvs. ダビガトラン150
脳卒中/全身性塞栓症:ダビガトランが少ない:ハザード比0.75(0.56−0.99)
脳卒中:ダビガトランが少ない:ハザード比0.73(0.55−0.99)
出血性脳卒中:ダビガトランが少ない:ハザード比0.48(0.23−0.99)

4)高用量エドキサバンvs. リバーロキサバン
有効性エンドポイント、死亡率:有意差なし
大出血、臨床上問題となる小出血:リバーロキサバンが多い:

5)低用量エドキサバンvs. アピキサバン
脳卒中/全身性塞栓症:アピキサバンが少ない;ハザード比0.70(0.55-0.89)
脳卒中:アピキサバンが少ない:ハザード比0.70(0.55−0.92)
虚血性脳卒中:アピキサバンが少ない:ハザード比0.65(0.50−0.89)
大出血:アピキサバンが多い:ハザード比1.47(1.20−1.80)

6)低用量エドキサバンvs. ダビガトラン110
有効性エンドポイント:有意差なし
大出血、消化管出血:ダビガトランが多い

7)低用量エドキサバンvs. ダビガトラン150及びリバーロキサバン
脳卒中/全身性塞栓症;ダビガトラン、リバーロキサバンが少ない
大出血、消化管出血:ダビガトラン、リバーロキサバンが多い

【結論】
エドキサバンと他のNAOCを比較した初の報告である。間接比較は明らかに限界はあるにせよ、脳卒中予防においてNOAC間でいくるかの異なる効果があることは明らかとなった。そのことでわれわれは各患者のプロファイルにあった薬剤を選択することが許される(逆もまた言えるが)。

###紛らわしいので以下のようにまとめました。

<高用量エドキサバン>
対アピキサバン:有効性=、 安全性 エド<アピ
対ダビガトラン110;有効性=、 安全性=
対ダビガトラン150:有効性 エド<アピ、 安全性(出血性脳卒中) エド<アピ
対リバーロキサバン:有効性= 安全性 エド>リバーロ

<低用量エドキサバン>
対アピキサバン:有効性 エド<アピ、 安全性 エド>アピ
対ダビガトラン110;有効性=、 安全性 エド>ダビ
対ダビガトラン150:有効性 エド<ダビ、 安全性 エド>アピ
対リバーロキサバン:有効性 エド<ダビ 安全性 エド>リバーロ

これまでNOAC3剤の間接比較はやはりLip先生らの以下の検討があります。
http://dobashin.exblog.jp/15313418/
http://dobashin.exblog.jp/16839671/

また別のものもあります
http://dobashin.exblog.jp/15684086/

Lip先生らは間接比較の統計的処理法として"Bucher法”を採用しています。詳細は以下の論文に詳しいです。
http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleID=1182715

ハザード比や95%信頼区間を各種計算式で処理する方法のようです。

ただこの方法でももともとの対象患者の属性の違いを補正することは困難だと思われます。
最も違うのは患者重症度で、RELYとARISTOTLEはCHADS2スコア1点以上、ROCKETAFとENGAGEAFは2点以上ですので、上記比較はエドとリバーロとの間のほうがより信憑性があるとも解釈できるかもしれません。
ただし、たとえばワルファリン群のTTRはROCKETAFとENGAGEAFとではかなり違いがあります。

またそもそも、先日のブログでとりあげたマクマスター大からの指摘では、脱落率に違いがあるとのことです。これを考えるとハザード比そのももを統計処理すること自体疑問視されるかもしれません。

では、だからといって全く間接比較を否定しまうのも問題かもしれません。直接比較が出ていない以上、注意しながらも勘案していく態度は妥当ではないかと思います。本文では、虚血性脳卒中をきたしたくなければダビガトラン150、高齢者など出血を避けたければダビ110,アピ、エドと言った選択肢を例にあげています。

でも最後の最後に"vice verca"って、どっちなんだ、っていう感じですが。
by dobashinaika | 2014-03-07 20:08 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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