リバーロキサバン内服者におけるプロトロンビン時間の分布:CJ誌より
Circulation Journal 1月21日付オンライン版より
Rivaroxaban in Clinical Practice for Atrial Fibrillation With Special Reference to Prothrombin Time
http://dx.doi.org/10.1253/circj.CJ-13-1380
【疑問】リバーロキサバン服薬時のプロトロンビン時間(PT)はどのように分布するのか?
【方法】
・心臓血管研究所で2012年5月〜2013年7月までにリバーロキサバンを服薬した115人(非弁膜症性心房細動)のうちPTを測定した94人
・(1)外来間者での任意の時間 (2)入院間者でのピーク時(服薬3時間後) (3)入院患者でのトラフ時(服薬直前)の3ポイントのPTを測定
・試薬はリコンビプラスチン2G
【結果】
1)PT値は患者ごとあるいはピークとトラフトで幅広く分布
・入院患者のピーク値、トラフ値の分布(n=16):各12.9−24.0秒(平均16.3)、10.1−12.3(平均11.1秒)
CCr<50、CCr≧50の各ピーク/トラフ値:18.2/11.6、18.6/10.5
・外来患者(n=75):9.8-28.1
CCr<50、CCr≧50の各ピーク/トラフ値の分布:14.2-24.0(平均18.1)、10.1-24.1(平均16.6)
2)外来での随時採血における時間とPT値の関係は不明
3)有害事象は、PTとの関係を解析するには、あまりに低頻度
【結論】リアルワールドの臨床プラクティスとして、リバーロキサバン内服下の日本人NVAF患者のPT分布につき報告
### 心臓血管研究所からの貴重な報告です。
トロンビン阻害薬はトロンビンが内因系(Xase)にポジティブ・フィードバックするところを抑えますのでaPTTと血中濃度が相関するのは理解できます。
しかしXa阻害薬が阻害するXa因子は共通因子であり、上記のようなフィードバックも確認されておりませんので、PT、aPTT両者とも相関するとおもわれますが、よりPTの方と相関することが知られています(なぜそうなのかは明らかではないと思います)。
ただし、そのPTも試薬によってだいぶ違うことが示されています。
Thromb Haemost 2010; 103: 815 – 825.
心臓血管研究所の試薬はリコンビプラスチンとのことですが、このT/H誌の論文の図を見ると、試薬のISIの違いから同じPTでも様々な値を示すことがわかりますので、Discussionで触れられているように、抗Xa活性を過小評価(試薬によっては過大評価)する可能性があるわけです。
しかし、今回の研究結果を見ますと、PTはだいぶバラついていますねー。そもそも半減期12時間ですから、少しの吸収のタイミングなどで同じ人であっても日によってピーク時間が違うでしょうし、個体差も当然大きいわけです。
ただ、トラフの値はあまりばらつかないように見えますので、採血するならピークで採らないと差がでないようにも思われます。
イベント数が極めて少ないので、カットオフ値は導けませんが、nの積み重ねで見えてくる方向が示されただけでも大変有用と思います。
Rivaroxaban in Clinical Practice for Atrial Fibrillation With Special Reference to Prothrombin Time
http://dx.doi.org/10.1253/circj.CJ-13-1380
【疑問】リバーロキサバン服薬時のプロトロンビン時間(PT)はどのように分布するのか?
【方法】
・心臓血管研究所で2012年5月〜2013年7月までにリバーロキサバンを服薬した115人(非弁膜症性心房細動)のうちPTを測定した94人
・(1)外来間者での任意の時間 (2)入院間者でのピーク時(服薬3時間後) (3)入院患者でのトラフ時(服薬直前)の3ポイントのPTを測定
・試薬はリコンビプラスチン2G
【結果】
1)PT値は患者ごとあるいはピークとトラフトで幅広く分布
・入院患者のピーク値、トラフ値の分布(n=16):各12.9−24.0秒(平均16.3)、10.1−12.3(平均11.1秒)
CCr<50、CCr≧50の各ピーク/トラフ値:18.2/11.6、18.6/10.5
・外来患者(n=75):9.8-28.1
CCr<50、CCr≧50の各ピーク/トラフ値の分布:14.2-24.0(平均18.1)、10.1-24.1(平均16.6)
2)外来での随時採血における時間とPT値の関係は不明
3)有害事象は、PTとの関係を解析するには、あまりに低頻度
【結論】リアルワールドの臨床プラクティスとして、リバーロキサバン内服下の日本人NVAF患者のPT分布につき報告
### 心臓血管研究所からの貴重な報告です。
トロンビン阻害薬はトロンビンが内因系(Xase)にポジティブ・フィードバックするところを抑えますのでaPTTと血中濃度が相関するのは理解できます。
しかしXa阻害薬が阻害するXa因子は共通因子であり、上記のようなフィードバックも確認されておりませんので、PT、aPTT両者とも相関するとおもわれますが、よりPTの方と相関することが知られています(なぜそうなのかは明らかではないと思います)。
ただし、そのPTも試薬によってだいぶ違うことが示されています。
Thromb Haemost 2010; 103: 815 – 825.
心臓血管研究所の試薬はリコンビプラスチンとのことですが、このT/H誌の論文の図を見ると、試薬のISIの違いから同じPTでも様々な値を示すことがわかりますので、Discussionで触れられているように、抗Xa活性を過小評価(試薬によっては過大評価)する可能性があるわけです。
しかし、今回の研究結果を見ますと、PTはだいぶバラついていますねー。そもそも半減期12時間ですから、少しの吸収のタイミングなどで同じ人であっても日によってピーク時間が違うでしょうし、個体差も当然大きいわけです。
ただ、トラフの値はあまりばらつかないように見えますので、採血するならピークで採らないと差がでないようにも思われます。
イベント数が極めて少ないので、カットオフ値は導けませんが、nの積み重ねで見えてくる方向が示されただけでも大変有用と思います。
by dobashinaika
| 2014-01-21 22:47
| 抗凝固療法:リバーロキサバン
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
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