人気ブログランキング |

今年2013年の心房細動関連論文ベスト5+α

今年も暮れようとしています。
恒例の今年の論文ベスト5をアップすることに致します。

今年は長期的に見て臨床医への影響が大きい論文と,私自身の診療において行動変容を起こさせた論文に分けてみました。

まず「影響力」の観点から

第5位:ENGAGE AF-TIMI48
http://dobashin.exblog.jp/i36
これは入れざるをえないでしょう。エドキサバンの大規模試験。
用量設定,薬価,ガイドラインに入るのかなど,業界的には注目度大きいようです。

第4位:RE-ALIGN
http://dobashin.exblog.jp/18503148/
ダビガトランは弁膜症性心房細動には害はあれども利益なしという論文。
ワルファリンの偉大さを改めて認識します。

第3位:J-RYTHM Registry INR管理別
http://dobashin.exblog.jp/17866349/
70歳以上はINR1.6〜2.6で有効かつ安全であることの検証です。70歳以下ではINR管理が適切ならイベントが大変少ないことも読み取れます。

第2位;FUSHIMI AF Registry
http://www.journal-of-cardiology.com/article/S0914-5087(13)00005-1/abstract
日本の,しかもプライマリ・ケア医主体の医師集団が,最近どのような抗凝固療法を行っているのかをある程度正確に把握し得た素晴らしい研究です。やはり,かなりアンダーユーズであることが明らかになりました。今後アウトカム論文が続々と出ると思うと楽しみです。
なおじっくり全文読んでアップしようと思いながらブログで取り上げずじまいでした。すみませんです。

第1位:Xa阻害薬の中和薬に関するNature Medicineの論文
http://dobashin.exblog.jp/17716782/
中和薬が出てはじめて一人前の抗凝固薬ということもできます。FDAのブレークスルー治療薬にも指定されました。
http://dobashin.exblog.jp/19057938/

次点
・COAG試験およびEU-PACT試験
http://dobashin.exblog.jp/19032100/
http://dobashin.exblog.jp/19048188/
いずれもゲノム薬理がワルファリンの用量設定に役立つのかとの問題設定でしたが,正反対の結果が出ております。もっともエディトーリアルの言うとおり,有意差があるとしたEU-PACT試験のワルファリンに関する論文も,大きな差があるわけでなく。ゲノム薬理でのアルゴリズム設定の難しさを認識させられました。

・EHRAの抗凝固療法実践ガイド
http://dobashin.exblog.jp/17727424/
非常によくまとまっていて脱帽ですが,これを全部やれとなるとしんどい気もします。

次に”私の”「行動変容」に関するもの

第5位:Lip先生の高齢者抗凝固療法の総説
http://dobashin.exblog.jp/18344715/
高齢者対象のエビデンスが意外に良いことに気が付きました。もちろん選択バイアスがありますが。

第4位:心房期外収縮多発例の心房細動発症リスク
http://dobashin.exblog.jp/17497124/
こういう方は少なからずおられるのですが,これまであまり重視していませんでした。1日102発以上でCHADS2スコア2点以上では,注意深く見ていくべきというメッセージは参考になります。

第3位:Cam先生のNOAC使い分けけ
http://dobashin.exblog.jp/19064861/
今年のブロクでも1.2のアクせス数でした。エビデンスにこだわるとこう考えられるというひとつのモデルかと思われます。
参考論文としてNOACについてのメタ解析が多く出ましたが,エドキサバンまで扱った最新のものとしてこの論文も一応挙げております。
http://dobashin.exblog.jp/19121121/

第2位:外来での脈拍測定の心房細動検出率に関する研究
http://dobashin.exblog.jp/17677394/
65歳以上の人の脈を必ず取ることによって,1.4%の人に心房細動が見つかるという研究。あらためて脈をしっかり取るようになりました。

第1位:心房細動の死亡への寄与度に関する研究
http://dobashin.exblog.jp/17196337/
リアルワールドでは脳卒中より,がん,COPD,CKDなどがより影響するとの研究です。
同率首位でこのEHRAからのコンセンサスがあります。
http://dobashin.exblog.jp/18974659/

他にも
心房細動の抗凝固療法下での死因は脳卒中より心臓死が多い。
http://dobashin.exblog.jp/18603453/
イベントも脳卒中より心不全が多い
http://dobashin.exblog.jp/19085009/
なども関連論文として抑えたいです。

近年心房細動において脳梗塞を守ることの重要性が強調されますが,抗凝固療法を全うすると次はやはり心臓をよく見なければダメ,さらに全身を見なければダメという着地点に落ち着くことが改めて示されています。

次点としては
・消化管出血後7日には抗凝固薬を再開すべきとの検討
http://dobashin.exblog.jp/19226962/
・心筋梗塞が心房細動の重要なリスク因子であることを示した研究
http://dobashin.exblog.jp/18923105/
も印象に残りました。

いかがでしょうか?例年よりインパクトに欠ける気もしますが,やはりガイドラインの改定などがなかったためかもしれません。

ということで,おまけに極私的に今年”お気に入り”の論文を挙げてみます。
医師の抗凝固療法に関するリスク認識を浮き彫りにした点では,医者は患者さんのQOLについて,患者さん自身が思うよりも良いと考えてしまうというもの
http://dobashin.exblog.jp/18671627/

もう一つは有名なGarfield研究で,医者が抗凝固薬を出さない理由の1位は出血へのおそれであるというもの
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3660389/
いずれも抗凝固療法に対する医者の心象風景を知る興味深い研究です。

また,出血予測の各スコアが,なんと研修3年目の臨床医の予測に勝てないとする研究。これは非常に面白かったです。
http://dobashin.exblog.jp/17588136/
まあスコアリングなんてそんなものという感じです。

個人的に気に入っているの,患者さんが抗凝固薬内服を許容する閾値としてNNT125だったというもの。それがどうしたという気もしますが,リスクをあくまで定量化する姿勢が好きです。
http://dobashin.exblog.jp/19137805/

更に,心房細動は,脊椎動物がエラ呼吸から肺呼吸へと進化した過程で約束されたものだったとする壮大な論文も,進化生物学の面白さを教えてくれました。
http://dobashin.exblog.jp/18723912/

その他,印象的な論文はまだまだたくさんありますし,異論もたくさんあるかと思いますが,このへんで切り上げます。

来年は日本の心房細動ガイドラインがようやく改定となる予定ですし,第4の新規抗凝固薬も発売されるなど,また何かと話題の多い年になる予感がありますが,あくまで「自分の目と耳と口と足と,そして脳と心とで」情報を選択,評価,吟味して,患者さんと共有するというコンセプトで論文をまた読んでいきたいと思います。

皆様良いお年をお迎えください。
タグ:
by dobashinaika | 2013-12-31 00:39 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(2)
Commented by 大塚俊哉 at 2014-01-04 14:13 x
新年あけましておめでとうございます。
わたくしのWOLF-OHTSUKA法も通算300例が間近です。WOLF氏自身も10年で2500例を超え、先日アメリカで10周年記念パーテイーが行われ、患者をはじめとして多くの方が出席されたようです。彼の成績も私とほぼ同様で、左心耳切除後、抗凝固治療なしで、平均5年以上心原性脳梗塞がないとのことです。LANCET級の結果ですね。
日経BP社から12月24日に出版された「明日を拓く55の技術」という日本の有望な技術55選の中の医療技術7つの中に、ノーベル賞のiPSとともに、なんとわたしのWOLF-OHTSUKA法も選ばれて掲載されています。今年はWOLF-OHTSUKA法の飛躍の年にしたいと思います。 よろしくお願いします。
Commented by dobashinaika at 2014-01-05 22:35
大塚先生。素晴らしいの一言です。おめでとうございます!!東北からも応援,ご支援させてください。


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:疫学・リスク因子
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールドデータ
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(39)
(35)
(27)
(27)
(27)
(25)
(24)
(21)
(21)
(20)
(19)
(18)
(16)
(15)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)

ブログパーツ

ライフログ

著作

もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

ケアの本質―生きることの意味


ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

2020 年改訂版 不整脈薬..
at 2020-03-14 18:00
DOACの利益に関する低満足..
at 2020-03-05 07:24
日本における心房細動患者の脳..
at 2020-03-03 07:33
日本のNOAC/DOAC登録..
at 2020-03-02 07:21
アジア人のNOAC不適切低用..
at 2020-02-17 07:07
長期ケア施設入所者における抗..
at 2020-02-06 06:58
2019年心房細動関連論文ベ..
at 2020-01-20 08:18
2019年心房細動関連論文ベ..
at 2020-01-11 18:52
アルコール常用者の禁酒は心房..
at 2020-01-10 07:28
心房細動な日々 dobas..
at 2020-01-09 08:49

検索

記事ランキング

最新のコメント

いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
いつもブログ拝見しており..
by さすらい at 16:25
取り上げていただきありが..
by 大塚俊哉 at 09:53
> 11さん ありがと..
by dobashinaika at 03:12
「とつぜんし」が・・・・..
by 11 at 07:29
> 山川玲子さん 山川..
by dobashinaika at 23:14
運慶展を観た方にWEB小..
by omachi at 19:45
> terryさん ご..
by dobashinaika at 08:38
簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39

以前の記事

2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン