英国プライマリ・ケアの現場での心房細動診療の実態
BMJ Open 11月22日付オンライン版より
Current management of atrial fibrillation: an observational study in NHS primary care
BMJ Open 2013;3:e003004 doi:10.1136/bmjopen-2013-003004
【疑問】英国プライマリ・ケアの現場での心房細動診療の実態はどうなっているのか?
【方法】
・英国の8つのプライマリ・ケア施設で診断がついた心臓細動例を登録
・診断後の最初の12週(開始時)、および最近3年間(維持期)のデータ収集
【結果】
1)825人、男56%、平均70.5歳
2)開始期受診回数:2.4±2.2回/12週。維持期受診回数:1.5±1.8回/人年
3)開始期入院;0.4±0.6/人。維持期入院:0.1±0.3/人年
4)平均在院日数:開始期5.6日。維持期6.4日
5)レート/ リズム薬剤:β遮断薬46.1%。レート薬リズム薬共になし31.3%
6)抗凝固薬:開始期75.5%。維持期87.7%
7)追跡終了時、脳梗塞の高リスク群患者(CHADS2スコア2点以上)は全体の57,2%。この内抗凝固薬投与は55%

【結論】
この結果は治療適正化への好機となり、心房細動管理関連における国民保健サービス(NHS)の財産である。その詳細は、この地域のヘルスケア計画や医療政策立案において非常に貴重なものである。
### 追加データとして、発作性が36%と他の登録研究と同様。高血圧その他の合併疾患がやや少ない集団です。
診断後12週でのGP受診回数が2.4回だと月0.8回ですので、日本よりやや少ない程度ですが、維持期が年間1.5回というのはINRの自己測定などが普及しているためなのか。英国の事情に詳しくないのでよくわかりません。
また英国のGPは非常にガイドラインガイドな治療をすると聞いたことがありますが、CHADS2スコア2点以上の患者さんの55%にしか投与されていないのが実情のようです。
この結果は以前の同様の研究と類似の結果です。
http://dobashin.exblog.jp/17284580/
また日本の伏見レジストリーのデータもこの程度だったと思いました。
やはりどの地域でも、抗凝固療法の理想と現実のギャップが浮かび上がります。
Current management of atrial fibrillation: an observational study in NHS primary care
BMJ Open 2013;3:e003004 doi:10.1136/bmjopen-2013-003004
【疑問】英国プライマリ・ケアの現場での心房細動診療の実態はどうなっているのか?
【方法】
・英国の8つのプライマリ・ケア施設で診断がついた心臓細動例を登録
・診断後の最初の12週(開始時)、および最近3年間(維持期)のデータ収集
【結果】
1)825人、男56%、平均70.5歳
2)開始期受診回数:2.4±2.2回/12週。維持期受診回数:1.5±1.8回/人年
3)開始期入院;0.4±0.6/人。維持期入院:0.1±0.3/人年
4)平均在院日数:開始期5.6日。維持期6.4日
5)レート/ リズム薬剤:β遮断薬46.1%。レート薬リズム薬共になし31.3%
6)抗凝固薬:開始期75.5%。維持期87.7%
7)追跡終了時、脳梗塞の高リスク群患者(CHADS2スコア2点以上)は全体の57,2%。この内抗凝固薬投与は55%

【結論】
この結果は治療適正化への好機となり、心房細動管理関連における国民保健サービス(NHS)の財産である。その詳細は、この地域のヘルスケア計画や医療政策立案において非常に貴重なものである。
### 追加データとして、発作性が36%と他の登録研究と同様。高血圧その他の合併疾患がやや少ない集団です。
診断後12週でのGP受診回数が2.4回だと月0.8回ですので、日本よりやや少ない程度ですが、維持期が年間1.5回というのはINRの自己測定などが普及しているためなのか。英国の事情に詳しくないのでよくわかりません。
また英国のGPは非常にガイドラインガイドな治療をすると聞いたことがありますが、CHADS2スコア2点以上の患者さんの55%にしか投与されていないのが実情のようです。
この結果は以前の同様の研究と類似の結果です。
http://dobashin.exblog.jp/17284580/
また日本の伏見レジストリーのデータもこの程度だったと思いました。
やはりどの地域でも、抗凝固療法の理想と現実のギャップが浮かび上がります。
by dobashinaika
| 2013-11-26 22:43
| 心房細動:リアルワールドデータ
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
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●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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