頭蓋内出血リスクは3新規抗凝固薬間で差があるのか?:JAMA Neurologyのメタ解析
JAMA Neurology 10月28日付オンライン版
より
New Oral Anticoagulants and the Risk of Intracranial HemorrhageTraditional and Bayesian Meta-analysis and Mixed Treatment Comparison of Randomized Trials of New Oral Anticoagulants in Atrial Fibrillation
doi:10.1001/jamaneurol.2013.4021
【疑問】頭蓋内出血のリスクについて、3つの新期抗凝固薬(NOAC)の間に、差はあるのだろうか?
【方法】 MEDLINE, CENTRAL, CINAHL,EBSCOの各データベースで3つのNOACにおける頭蓋内出血をアウトカムとする無作為化試験を抽出。従来法とベイズ解析(マルコフ連鎖モンテカルロ法)の両手法でメタ解析を施行
【結果】
1)6研修を抽出、全57491人:ダビガトラン1(RELY)、リバーロキサバン2(ROCKET-AF, J-ROCKET AF)、アピキサバン3(ARISTOTLE,AVERROES,ARISTOTLE- J)
2)NOACはすべての対照群に対して、明らかに頭蓋内出血を減らした:オッズ比0.49;0.36〜0.65
3)ベイズ法による間接比較を用いた場合、3つのNOAC間で頭蓋内出血頻度に有意差なし
【結論】NOACは、心房細動脳塞栓の予防に用いた場合、頭蓋内出血のリスク減少に、どれも同様に関与する。現在使用できるNOACは、どれでも頭蓋内出血高リスク例の第一選択と考えることができる。
### ベイズ統計は今や迷惑メール設定から人工知能まで、幅広い分野に応用されています。最近の統計確率の書籍には必ず出てくる概念で、EBM診断の分野では(事前確率)x尤度比=(事後確率)(実際はオッズ比を使う)としてよく知られています。事が起こる前の確率を考え、そのあとで得られたデータをもとに更新された確率を算出するという考えからで、従来の頻度手技のように真の値がひとつの値に決まるという前提がない方法です。
この思想がどうして、メタ解析に応用出来るのか、マルコフ連鎖モンテカルロ法が何なのか。私に解説できる力はありません(すみません)。
ただリバーロキサバンは若干オッズ比で他に比べて数字が大きかったわけですが、試験間のサンプルサイズや成績のばらつきを統計学的手法で補正すると他2剤とそれほど差がないということは、この論文から読み取れます。
それであっても、もちろん間接比較ですので限界はあることを踏まえてです。
※当初対ワルファリンで見た場合に「抑制」されるという意味で、タイトルを「頭蓋内出血抑制効果」としましたが、紛らわしいので「頭蓋内出血リスク」と改めました。
より
New Oral Anticoagulants and the Risk of Intracranial HemorrhageTraditional and Bayesian Meta-analysis and Mixed Treatment Comparison of Randomized Trials of New Oral Anticoagulants in Atrial Fibrillation
doi:10.1001/jamaneurol.2013.4021
【疑問】頭蓋内出血のリスクについて、3つの新期抗凝固薬(NOAC)の間に、差はあるのだろうか?
【方法】 MEDLINE, CENTRAL, CINAHL,EBSCOの各データベースで3つのNOACにおける頭蓋内出血をアウトカムとする無作為化試験を抽出。従来法とベイズ解析(マルコフ連鎖モンテカルロ法)の両手法でメタ解析を施行
【結果】
1)6研修を抽出、全57491人:ダビガトラン1(RELY)、リバーロキサバン2(ROCKET-AF, J-ROCKET AF)、アピキサバン3(ARISTOTLE,AVERROES,ARISTOTLE- J)
2)NOACはすべての対照群に対して、明らかに頭蓋内出血を減らした:オッズ比0.49;0.36〜0.65
3)ベイズ法による間接比較を用いた場合、3つのNOAC間で頭蓋内出血頻度に有意差なし
【結論】NOACは、心房細動脳塞栓の予防に用いた場合、頭蓋内出血のリスク減少に、どれも同様に関与する。現在使用できるNOACは、どれでも頭蓋内出血高リスク例の第一選択と考えることができる。
### ベイズ統計は今や迷惑メール設定から人工知能まで、幅広い分野に応用されています。最近の統計確率の書籍には必ず出てくる概念で、EBM診断の分野では(事前確率)x尤度比=(事後確率)(実際はオッズ比を使う)としてよく知られています。事が起こる前の確率を考え、そのあとで得られたデータをもとに更新された確率を算出するという考えからで、従来の頻度手技のように真の値がひとつの値に決まるという前提がない方法です。
この思想がどうして、メタ解析に応用出来るのか、マルコフ連鎖モンテカルロ法が何なのか。私に解説できる力はありません(すみません)。
ただリバーロキサバンは若干オッズ比で他に比べて数字が大きかったわけですが、試験間のサンプルサイズや成績のばらつきを統計学的手法で補正すると他2剤とそれほど差がないということは、この論文から読み取れます。
それであっても、もちろん間接比較ですので限界はあることを踏まえてです。
※当初対ワルファリンで見た場合に「抑制」されるという意味で、タイトルを「頭蓋内出血抑制効果」としましたが、紛らわしいので「頭蓋内出血リスク」と改めました。
by dobashinaika
| 2013-11-04 20:19
| 抗凝固療法:比較、使い分け
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
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