「女性」と「心不全」は日本人のワルファリン管理不良に関連あり:T/R誌より
Thrombosis Research 11月号より
Patient Factors against Stable Control of Warfarin Therapy for Japanese Non-valvular Atrial Fibrillation PatientsThrombosis ResearchVolume 132, Issue 5 , Pages 537-542, November 2013
【疑問】日本人においてワルファリンコントロールを妨げる因子はなにか?
P:ワルファリン服用中の非弁膜症性心房細動患者163人
E/C:各種因子
O:TTR ( time in therapeutic range)
【結果】
1)TTR(日本のガイドラインに基づく):69.7±25.1%(全体); 49.6±24.8% (<70) and 77.8±20.3%,(≥70)
2)70歳未満も1.6〜2.6を至適範囲として再計算した場合のTTR:79.5±20.1%
3)TTR低値(再計算後)との関連因子:低身長、血清クレアチニン高値、低クレアチニンクリアラ
ンス、女性、うっ血性心不全(各P<0.05)
4)多変量解 解析後の関連因子;女性、心不全 (各p<0.05, p<0.01,).
5)CYP2C)とVKORC1はワーファリンの容量と関連あり。TTRとは関連なし
【結論】日本で実際によく使われている範囲のPT-INR値で評価した場合、TTRは良好に管理されており、女性とうっ血性心不全はTTR管理不良に明らかな影響があった
### 日本(九州)のグループからの報告です。
まずやはり70歳未満でもINR1.6~2.6 を目指している実態が浮かび上がっています。
次に興味深いのは女性とTTR不良に関連があることです。CHA2DS2-VAScスコアに「女性」が入っていることが思い起こされますが、理由ははっきりわかっていないと思います。
以前読んだスウェーデンやカナダのコホート研究では高齢者やCHADS2スコア2点以上の場合に「女性」も脳塞栓のリスク因子となりうることが示唆されています。
http://dobashin.exblog.jp/15489568/
http://dobashin.exblog.jp/15370480/
今回の検討はワーファリン管理の両不良の検討ですので、やや違いますがやはりhormonalな反応の違いなどがあるのかもしれません。
個人的には年齢、腎機能などがTTRと関連しているように感じていましたが、そうでもないようです。
Patient Factors against Stable Control of Warfarin Therapy for Japanese Non-valvular Atrial Fibrillation PatientsThrombosis ResearchVolume 132, Issue 5 , Pages 537-542, November 2013
【疑問】日本人においてワルファリンコントロールを妨げる因子はなにか?
P:ワルファリン服用中の非弁膜症性心房細動患者163人
E/C:各種因子
O:TTR ( time in therapeutic range)
【結果】
1)TTR(日本のガイドラインに基づく):69.7±25.1%(全体); 49.6±24.8% (<70) and 77.8±20.3%,(≥70)
2)70歳未満も1.6〜2.6を至適範囲として再計算した場合のTTR:79.5±20.1%
3)TTR低値(再計算後)との関連因子:低身長、血清クレアチニン高値、低クレアチニンクリアラ
ンス、女性、うっ血性心不全(各P<0.05)
4)多変量解 解析後の関連因子;女性、心不全 (各p<0.05, p<0.01,).
5)CYP2C)とVKORC1はワーファリンの容量と関連あり。TTRとは関連なし
【結論】日本で実際によく使われている範囲のPT-INR値で評価した場合、TTRは良好に管理されており、女性とうっ血性心不全はTTR管理不良に明らかな影響があった
### 日本(九州)のグループからの報告です。
まずやはり70歳未満でもINR1.6~2.6 を目指している実態が浮かび上がっています。
次に興味深いのは女性とTTR不良に関連があることです。CHA2DS2-VAScスコアに「女性」が入っていることが思い起こされますが、理由ははっきりわかっていないと思います。
以前読んだスウェーデンやカナダのコホート研究では高齢者やCHADS2スコア2点以上の場合に「女性」も脳塞栓のリスク因子となりうることが示唆されています。
http://dobashin.exblog.jp/15489568/
http://dobashin.exblog.jp/15370480/
今回の検討はワーファリン管理の両不良の検討ですので、やや違いますがやはりhormonalな反応の違いなどがあるのかもしれません。
個人的には年齢、腎機能などがTTRと関連しているように感じていましたが、そうでもないようです。
by dobashinaika
| 2013-10-30 19:32
| 抗凝固療法:ワーファリン
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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