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抗凝固療法下の心房細動の死因は脳卒中ではなく心臓死が多い:"抗凝固療法を超える”視点の必要性

Circulation 9月9日付オンライン版より

Causes of Death and Influencing Factors in Patients with Atrial Fibrillation: A Competing Risk Analysis from the Randomized Evaluation of Long-Term Anticoagulant Therapy Studydoi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.112.000491

【疑問】抗凝固療法を受けている患者の死因は何か?やはり脳卒中か?

【方法】
・RE-LY試験登録患者18113例対象(平均71.5歳、男64%、CHADS2スコア2.1点、平均追跡期間2年)
・中央(の機関)での死因判定

【結果】
1)死亡例1371例:年間3.84%

2)心臓死(心臓突然死、心不全)の全死亡に占める割合:37.4%

3)脳卒中及び出血関連死:9.8%

4)ダビガトランは血管死(塞栓、出血関連)を明らかに減らす:RR0.63,P=0.007

5)他の死因(心臓死も含む)は治療(ワルファリンかダビガトランか)によらず同じ

6)心臓死の最も強い予測因子は
  心不全:ハザード比3.02, P<0.0001
   心室内伝導遅延:ハザード比1.99,P<0.0001
   心筋梗塞:ハザード比2.05,P<0.0001

【結論】抗凝固療法下の心房細動患者集団においては死因の多数は脳卒中とは無関係。今回は心房細動の死亡率を減らすには、抗凝固療法を超えた介入が何であるのかを特定することの必要性を強調する結果となった。

### RE-LY試験参加患者の検討です。
良好な抗凝固療法下では、脳卒中でなくて心不全などが予後に強く影響する。。。
時代は抗凝固療法をだれに行うか、3つのNOACのどれを選ぶのかで持ちきりですが、ポスト抗凝固、つまりしっかり抗凝固療法を施行したら、その先は何をすればよいかということを、そろそろ考えなければいけないようです。と言うか、ポストでなくて、同時に考えるべきことですが。。。

日本人の心房細動患者の死亡率や合併症については山下先生の総説が参考になります。
http://dobashin.exblog.jp/17627741/
またスウェーデンの大規模登録研究では、心房細動患者の死亡率に寄与する因子はがん、CKD、COPDです。
http://dobashin.exblog.jp/17196337/

われわれは抗凝固療法が当たり前となる時代を目前に控え(現状はまだまだですが)、息をするように、当たり前に抗凝固療法ができるようになったら、"Beyond anticoagulation"、つまり抗凝固療法を超えた視点、「抗凝固療法をあえて見ないようにする視点」を求められつつあるのかもしれません。
by dobashinaika | 2013-09-13 23:25 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(3)
Commented by 大塚俊哉 at 2013-09-14 20:34 x
いつも貴重なPAPERの紹介、ありがとうございます。私のAFに関する知識の源泉は小田倉先生のHPといって過言ではありません。
今日の話題に関してですが、AFで心筋梗塞を起こす症例はIHDの合併で説明つくと思いますが、たとえば余病のない60歳台で発症しRATE CONTROLされたAF症例が、はたしてAFが原因の心不全で死ぬまで生きるのか?疑問です。先生はどうお考えですか?
Commented by 大塚俊哉 at 2013-09-14 20:43 x
それから、これは術前にAF患者が脳梗塞について異口同音におっしゃることですが、脳梗塞になって死ぬならこれほど楽な死に方はなくむしろ本望、怖いのは生き残って障害者になって他人に迷惑をかけ続けることだと。
Commented by dobashinaika at 2013-09-18 22:45
コメント、いつもありがとうございます。たしかに良好にコントロールされた若年者の心房細動患者にとっては、心房細動の予後に寄与するシェアは低いと思います。また心原性脳塞栓は経験上、死亡しても数日間の脳死状態、もしくは数ヶ月〜1年程度の遷延性意識障害となるのでなかなか悩ましいといえると思います。


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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