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ワルファリンか新規抗凝固薬か?:CJCのレビューより

Canadian Journal of Cardiologyオンライン版からです。

Review:Which Oral Anticoagulant for Which Atrial Fibrillation Patient: Recent Clinical Trials and Evidence-Based Choices
http://dx.doi.org/10.1016/j.cjca.2013.05.010, How to Cite or Link Using DOI


「どの心房細動患者にどの経口抗凝固薬を:最近のクリニカルトライアルとエビデンスに基づく選択」

まさに皆が知りたいレビューが出ています。夏休み期間中に少しずつ勉強したものを要約してアップしてきたいと思います。

最初のほうは飛ばして皆が知りたいところから

【ワルファリンかNOACか】
<前提>
・NOACはワルファリンに比べ使いやすい
・ワルファリンの年間脳卒中絶対危険減少(ARR)2.7%、NNT37(脳卒中)または56(死亡)、

<NOACとワルファリンの有効性比較>
・ダビガトランのワルファリンに対する脳卒中のARRは0.58%、NNT172(死亡のNNT154)
・アピキサバンARR0.33%、NNT303(死亡のNTT104)
・リバーロキサバンは有意差なし

<NOACとワルファリンの安全性比較〜頭蓋外出血>
・ダビガトラン110㎎NNT154、アピキサバンNNT104
・ダビガトラン150とリバーロキサバンは有意差なし

<NOACとワルファリンの安全性比較〜頭蓋内出血>
・ダビガトランARR0.44%、NNT227
・リバーロキサバンARR0.2%、NNT500
・アピキサバンARR0.47%、NNT213

<ワルファリンがNOACより好ましい患者集団>
・リウマチ性弁膜症
・左室機能低下、左室瘤、左室血栓のためワルファリンを使用している患者
・機械弁患者:REALIGN試験が血栓塞栓症のため中止

<腎機能について>
・eGFR15~50まではワルファリンの有効性(NOACに比較してではなく)は認められる
・eGFR15未満のワルファリンの有効性は定かでない
・NOACの各試験では腎機能低下例ではSSE(脳卒中/全身性塞栓)が高率だったが、(ワルファリンに比べての)ハザード比は腎機能正常例のときと違いなし。これは大規模試験が腎機能クライテリアに適合した患者を対象としているため
・超高度腎機能低下(RELYとROCKET-AF:eGFR30未満、ARISTOTOLE:eGFR25未満)では組入基準で除外されておりワルファリンが適切
・eGFR15未満及び透析患者は脳卒中、大出血とも多く、ワルファリン同様個々に決断する

<ワルファリン管理良好者>
・ワルファリンは導入期に出血が高率との報告は多数。一方以前から服用していてINR管理良好なら梗塞、出血とも少ない
・そうした患者は、切望しなければNOACへのスイッチ候補ではない

<コンプライアンス>
・ワルファリンはINR変動でコンプライアンスの向上を企図できるが、NOACにはそれがない
・半減期の短いNOACは飲み忘れがワルファリンより影響大

<コスト>
・NOACはコスト大。とくにINR管理良好者と比べて。
・無保険者には処方の障害となる(北米の場合)
・カナダではダビガトラン150㎎はCHADS2スコア2点未満では費用対効果良い
・ダビガトラン110㎎とアピキサバンはCHADS2スコア2点以上でも費用対効果良い

### よくまとまっています。腎機能のところはeGFRではなく、CCrの誤りではないかと思います。

ワルファリンとの比較をNNTで出だされると、NOACもものすごく良い薬とは言えなくなる感じです。頭蓋内出血が圧倒的に少ないと言われていますが、ダビとアピで200人ちょっとに出してワルファリンより1人頭蓋内出血が少ない、リバーロにいたっては500人です。ただ1年間ですので、10年間出し続ければ20人に一人となります。元々がワルファリンでも頭蓋内出血率は0.76%(RELY), 0.74%(ROCKETAF), 0.80%(ARISTOTOLE)と少ないわけですので、NNTはどう頑張っても2桁にはならないわけですが。

まあエビデンス的にはワルファリンよりいい薬。ただし腎機能、コストがクリアできれば。これまでずっとワルファリンで管理良好ならスイッチはすぐに考えなくて良い、といったあたりでしょうか。

明日からはいよいよ3つのNOACの使い分けをアップします。
by dobashinaika | 2013-08-16 20:01 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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