ダビトランの血中濃度とaPTT,TTは相関するか:T/H誌より
Thrombosis and Haemostasis8月号より
The effect of dabigatran on the activated partial thromboplastin time and thrombin time as determined by the Hemoclot thrombin inhibitor assay in patient plasma samples
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-04-0301
【疑問】ダビガトランの血中濃度とaPTT、トロンビン時間の関係は?
【方法】
・Hemoclot thrombin inhibitor assay (HTI)を用いてのダビガトランの血中濃度とaPTT、トロンビン時間の関係を見た
・45の血漿サンプル
・aPTTの試薬はTriniCLOT aPTT S と3試薬を加えたもの
・線形回帰モデルからダビガトランの治療域血中濃度(90−180ng/dl)に合致したaPTT値を確定
【結果】
1)aPTTと血中濃度とは中等度の相関(r=0.80)
2)高濃度では相関性が落ちる
3)試薬により治療域は違いがある:46–54 s (TC) vs 51–60 s (SP), 54–64 s (SS) and 61–71 s (Actin FS) (p<0.05)
4)トロンビン時間は60ng/dlの血中濃度で300秒以上の感度は良い
【結論】
APTTと血中濃度は中等度の相関だが治療域以上では相関が落ちる。試薬による違いが大きいので、自施設での治療域を知っておくべき。トロンビン時間は感度が良すぎてダビガトランの血中濃度の定量化はできないが、正常のトロンビン時間ならダビガトラン濃度は最小限または血中にないことを意味する。
### やはりaPTTもなかなか難しいということです。先日血液の専門医の先生のご講演を拝聴する機会がありましたが、aPTT80秒以上というのは根拠が無いとのことでした。そうですよね。RELYで出血例は80以上が多かったということだけですので。試薬も様々だし。日本人少ないし。統計的なカットオフ値では当然ないし。それに血中濃度それ自体、臨床的効果とリネアかどうかは不明ですし。治療域が61−71秒の試薬があるということになると80以上の症例でもあまり延長しているとはいえなくなるように思います。
NOACのようなピークトラフを形成する薬剤の場合、やはりピーク時測定は困難だと思います。試薬により、また症例によりピーク形成の時間帯や最高血中濃度を維持している時間も様々でしょう。バイオアベリテイーがかなり低いですし。
最近はトラフからaPTTが延長していればとりあえずまずい、という認識でいます。ですので、当院ではダビガトラン投薬前のベースラインの時、および投与2週間後に朝ダビを内服せずに午前中早めの外来に来てもらって、採血後に待合室で飲んでいただくということをしています。
試薬の標準化、およびSFなどの血栓マーカーなどが早く出てくるといいと思います。
The effect of dabigatran on the activated partial thromboplastin time and thrombin time as determined by the Hemoclot thrombin inhibitor assay in patient plasma samples
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-04-0301
【疑問】ダビガトランの血中濃度とaPTT、トロンビン時間の関係は?
【方法】
・Hemoclot thrombin inhibitor assay (HTI)を用いてのダビガトランの血中濃度とaPTT、トロンビン時間の関係を見た
・45の血漿サンプル
・aPTTの試薬はTriniCLOT aPTT S と3試薬を加えたもの
・線形回帰モデルからダビガトランの治療域血中濃度(90−180ng/dl)に合致したaPTT値を確定
【結果】
1)aPTTと血中濃度とは中等度の相関(r=0.80)
2)高濃度では相関性が落ちる
3)試薬により治療域は違いがある:46–54 s (TC) vs 51–60 s (SP), 54–64 s (SS) and 61–71 s (Actin FS) (p<0.05)
4)トロンビン時間は60ng/dlの血中濃度で300秒以上の感度は良い
【結論】
APTTと血中濃度は中等度の相関だが治療域以上では相関が落ちる。試薬による違いが大きいので、自施設での治療域を知っておくべき。トロンビン時間は感度が良すぎてダビガトランの血中濃度の定量化はできないが、正常のトロンビン時間ならダビガトラン濃度は最小限または血中にないことを意味する。
### やはりaPTTもなかなか難しいということです。先日血液の専門医の先生のご講演を拝聴する機会がありましたが、aPTT80秒以上というのは根拠が無いとのことでした。そうですよね。RELYで出血例は80以上が多かったということだけですので。試薬も様々だし。日本人少ないし。統計的なカットオフ値では当然ないし。それに血中濃度それ自体、臨床的効果とリネアかどうかは不明ですし。治療域が61−71秒の試薬があるということになると80以上の症例でもあまり延長しているとはいえなくなるように思います。
NOACのようなピークトラフを形成する薬剤の場合、やはりピーク時測定は困難だと思います。試薬により、また症例によりピーク形成の時間帯や最高血中濃度を維持している時間も様々でしょう。バイオアベリテイーがかなり低いですし。
最近はトラフからaPTTが延長していればとりあえずまずい、という認識でいます。ですので、当院ではダビガトラン投薬前のベースラインの時、および投与2週間後に朝ダビを内服せずに午前中早めの外来に来てもらって、採血後に待合室で飲んでいただくということをしています。
試薬の標準化、およびSFなどの血栓マーカーなどが早く出てくるといいと思います。
by dobashinaika
| 2013-08-01 19:48
| 抗凝固療法:ダビガトラン
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
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