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”新規抗凝固薬は心房細動脳卒中二次予防の第一選択薬である”:TH誌コントラバーシより

Thrombosis and Haemostasis 6月27日付オンライン板より

Pro: “The novel oral anticoagulants should be used as 1st choice for secondary prevention in patients with atrial fibrillation.”
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-04-0277

新規抗凝固薬を心房細動脳卒中の二次予防の第一選択薬として使って良いかどうかに関するPro and Conが掲載されています。大変興味深いので要約します。

まず本日はPro(賛成)の立場から

【イントロ】
・ARISTOTLE, RE-LY, ROCKET-AF, AVERROESの4試験のサブ解析を検討
・4試験とも一次エンドポイントは脳卒中または全身性塞栓症。脳卒中には虚血性と出血性を含む

【患者のベースライン】
・4試験ともだいたい同じ
・平均71歳、高血圧、糖尿病が多い。CHADS2スコア高点が多い。30−40%はアスピリン併用。44−61%はワーファリン既服用者

【血管系アウトカム】
・ARISTOTLE試験:
➢脳卒中/全身性塞栓症は二次予防患者(脳卒中既往者)で顕著に高い(ハザード比2.52)
➢脳卒中/TIA既往者のサブグループ解析ではアピキサバン群2.46%vs. ワーファリン群3.24%(ハザード比0.76)
➢アピキサバン群の絶対危険減少は1.77/100人年(対ワーファリン)

・AVERROES試験
➢脳卒中/TIA既往者の一次・エンドポイント:アピキサバン群2.39%vs.アスピリン群9.6%;ハザード比0.29
➢非既往者のイベント率は低い:アピキサバン群1.68%vs.アスピリン群3.06%
➢他の全イベンドもアピキサバン群が優位

・RE-LY試験
➢脳卒中/TIA既往者の一次・エンドポイント:ダビガトラン110群2.32%(相対危険0.84)vs.ダビガトラン150群2.07%vs.ワーファリン群2.78%(相対危険0.75)
➢脳卒中率は既往者で高い
➢ダビガトランの一次エンドポイント及び他のアウトカムにおけるワーファリンに対する優位性は既往者では明らかではなかった

・ROCKET-Af
既往者での一次エンドポイント:リバーロキサバン群2.79%vs.ワーファリン群2.79% で同等
➢非既往者でも1.44%vs. 1.88%

・他の血管性イベントでは各NOACとワーファリン群で有意差なし。
・すべての試験で、脳卒中は既往者のほうが非既往者より高率

【出血合併症】
・ARISTOTLE
➢既往者:アピキサバン群2.84%vs. ワーファリン群3.91%(0.54−1.32)

・AVEROROES
➢既往者のほうが非既往者より出血多い(2.88倍)
➢アピキサバン群とアスピリン群でリスクは同等

・RE-LY
➢110mgでワーファリンより少ない(RR0.6)
➢150mgでワーファリンと同等(RR1.01)

・ROCKET-AF
➢既往者:リバーロキサバン群3.13%vs. ワーファリン群3.22%、同等
➢非既往者:リバーロキサバン群4.10%vs. ワーファリン群3. 69%、同等

・ワーファリンとの比較3試験を通じて、NOACは脳出血や他の頭蓋内出血については明らかな減少を認める。脳出血関連死が40%減少することに関連あり。

【メタ解析】
・いずれの二次予防者についての解析も、nが少ないため統計的有意差は認められていない
・Ntarisらの14,527例のメタ解析では、NOACの二次予防効果は対ワーファリンでオッズ比0.85、相対リスク減少14%、絶対リスク減少14%、NNT134
・NOACの出血リスク減少は、対ワーファリンでオッズ比0.86、相対リスク減少13%、絶対リスク減少0.8%、NNT125
・この大出血の減少は出血性脳卒中の減少によるところ大:オッズ比0.44、相対リスク減少57.9%、絶対リスク減少0.7%、NNT139
・Rasmussenらのメタ解析では二次予防についてはNOAC3剤とも同様の効果があり、出血等に関してはダビガトラン110がリバーロキサバンより減少効果ありとしている

【結論】NOACは脳梗塞/TIA既往のある心房細動患者の二次予防にとって大きなブレイクスルーである。この患者群は脳梗塞再発ハイリスクであり、NOACはこれを顕著に減らし、なおかつワーファリンによる大出血合併症も有意に減らす。またNOACは早急に効果が発現するため、早期退院に寄与する。残念なことに超急性期の脳卒中/TIAはRCTには含まれていないため、これら患者へのエビデンスは持ち合わせない。
二次予防では絶対リスクは明らかにNOACで減るが相対リスク減少はみられなかっった。脳卒中発症率が高いためと考えられる。
ゆえにNOACは心房細動患者の脳卒中二次予防において好ましい選択である。

### これはCONと合わせて読むと面白いです。CONはあしたアップします。そのうえでどちらが良いのか、判断して下さい。
by dobashinaika | 2013-07-05 18:05 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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