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米国一般外来での心房細動抗凝固薬登録研究

Circ Cardiovasc Qual Outcomes 6月11日付けオンライン版

Risks and Benefits of Anticoagulation in Atrial Fibrillation
Insights From the Outcomes Registry for Better Informed Treatment of Atrial Fibrillation (ORBIT-AF) Registry


【疑問】米国の一般住民対象の外来での心房細動患者に対する現状は何か?

【方法】
・ メイヨ−クリニック主導による一般外来を対象とした心房細動患者の登録研究です
・ 1098人、174外来医療施設、2010〜2011年登録

【結果】
1.平均年齢73歳、58%男

2.抗凝固薬76%(ワーファリン71%、5%ダビガトラン)

3.CHADS2スコア高点数ほど抗凝固薬投与率高い
0点53%、2点以上80%

4.ATRIAスコア好天ほど抗凝固薬投与率低い(傾向は軽微)
3点81%、5点73%

5.CHADS2スコアとATRIAスコアには軽微な交互作用あり(P=0.021)

6.低出血リスク患者においては脳卒中リスクが高いほど抗凝固薬投与率も明らかに高くなる

7.高出血リスク患者においてはCHADS2スコアの抗凝固薬投与率への影響は小さい

【結論】一般住民外来の心房細動患者では、抗凝固薬投与は脳卒中リスクだけでなく出血リスクにも影響を受ける。低出血リスク患者においては脳卒中リスクが抗凝固薬投与率に明らかに影響する。高出血リスク患者においては脳卒中リスクにかかわらず抗凝固薬投与率は低い。

### ATRIAスコアは
貧血3点
重症腎不全3点
75歳以上2点
出血既往1点
高血圧1点
です。

例えば日本のプライマリケア医が多く登録したFUSHIMI AFレジストリーでは、抗凝固薬投与率50.5%(平均年齢74.2歳)でした。かなり投与率の良いpopulationだと思われます。ただしFUSHIMIの場合でもCHADS2スコアが高くなるに連れて(特に0点→3点まで)、投与率も上昇しており、この点は同じです。

この研究では、出血リスクによる検討も行なっていますが、出血リスクが高い場合はCHADS2スコアが高くても、抗凝固薬投与率は高くないというのは、直感としても納得出来ます。

ただCHADS2スコアとATRIAスコアは3点ほどオーバーラップしていますし、一般臨床でCHADS2スコアとATRIAスコアを両方共考えながら処方するとは考えにくく、結果としてそうなったという面を見ているのではと思います。
by dobashinaika | 2013-06-23 00:33 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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