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デンマークの登録研究ではワルファリンからダビガトランへの切り替え例で血栓塞栓が増える:BMJ Openより

BMJ Open より

Dabigatran use in Danish atrial fibrillation patients in 2011: a nationwide study.
BMJ Open 2013;3:e002758 doi:10.1136/bmjopen-2013-002758


デンマークの国内登録データベースから、2011 年におけるダビガトランとビタ ミン K 阻害薬(VKA)の使用状況とアウトカムの報告です。

【対象】
・ 2011 年 8 月 22 日から同年 12 月 22 日までにデンマークの外来、入院患者に
処方されたダビガトラン 110mg,150mg,VKA の患者とアウトカム(虚血性 脳梗塞、TIA、末梢血管疾患、出血)

【結果】
・ ダビガトラン 110mg=1612 例 3.1%、150mg=1114 例 2.1%、VKA=49640
例 94.8%
・ ダビ 150mg 処方例は 110mmg 処方例とワルファリン処方例より若く、合併
症が少ない
・ ワルファリン初回処方(ナイーブ)例も、既処方例に比べて同様の傾向
・ European Medicine Agency (EMA)の推奨に合致している症例:110mg=90.3%、150mg=55.5%
・ 150mg 処方例は、80 歳以上、肝障害、腎障害の患者で上記推奨に当てはまらず
・ VKA に比べての、VKA 既処方例へのダビ処方例の血栓塞栓リスク(ハザード比)
   ダビ 110mg:3.52(1.40 to 8.84)
   ダビ 150mg:5.79 (1.81 to 18.56)
・ VKA に比べての、VKA ナイーブ例へのダビ処方例の血栓塞栓リスク
   ダビ 110mg:0.95(0.47 to 1.91)
   ダビ 150mg:1.14 (0.60 to 2.16)
・ 出血リスク;ワルファリン既処方例かつダビ 110mg で増加。ダビ 150mg お よびワルファリンナイーブ例では増加せず
・ 推奨から逸脱は 150mg 症例で多い

【結論】VKA ナイーブ例へのダビガトラン処方は安全と思われる。ワルファリ ン既処方例へのダビガトラン処方での血栓塞栓と出血リスクの増加は想定外。 患者選択とスイッチング方法が原因かもしれない。

### 大変興味深い論文です.
「ワルファリンを飲んでいない人にダビガトランを処方するのは安全。既に飲 んでいた人からの切り替えをすると血栓塞栓症や出血リスクが増大する」 という内容です.

RE-LY のサブ解析とは真っ向から対立する結果です.
http://dobashin.exblog.jp/11752724/

その理由として筆者らは、ワルファリンからダビガトランへの切り替え症例というのは、ワルファリンコントロールの不良な患者が存在する可能性を示唆し、 その交絡因子として、コンプライアンスの悪さ、種々の合併症の存在の可能性 (実際差有り)を指摘しています.

ただし通常はワルファリンナイーブの場合、導入時に出血がよく見られること から、切り替え例の方が出血も多かったことは surprising と表現しています。

まあ、これがリアルワールドというものだと思います.確かにワーファリン管理の良くない方というのは、もともとがコンプライアンスが悪かったり、食事不摂生、アルコール摂取過剰、腎機能低下、高齢などネガティブな要素を持 つことが多いことは日々実感することです.そうした方がワルファリンではだ めということでダビガトランに切り替える、しかし元々高リスクですから出 血も塞栓も起こりやすい.そう言うことかもしれません.

以上は推測にすぎません.出血症例のより詳細な解析が望まれます。それまで は take home message としては、とりあえず管理が良ければワルファリンから の安易な切り替えはしない。する場合,HAS-BLED 高値などの高リスク例では はすくなくとも 110mgx2で考えるということだと思います.

それから切り替え時やはり非常に気をつける必要があるということもポイント です.ワルファリンは半減期が長く、ダビはすぐ効きますので、その間のオー バーラップのとき抗凝固作用が過剰になることが懸念されます.添付文書状 INR2.0 未満を確認後にダビガトラン投与となっていますが、一度の確認だけです ので、腎機能低下例などは結構 2.0 未満すれすれで何日間かワルファリンの効果 が遷延している可能性も否定できません.このような例に 150x2などを出した 場合はリスキーです.

RELY などの大規模試験とリアルワールドのギャップとはこんなものかもしれ ません.だから RCT の鵜呑みは怖いのです.
by dobashinaika | 2013-05-10 22:58 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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