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鷲田清一先生トークイベント「フォロワーシップの時代」を聴く

今日は、元大阪大学学長で、せんだいメディアテーク新館長の鷲田清一先生によるトークイベントを聞いてきました。タイトルは「フォロワーシップの時代」

2011年5月6日、震災から50日後に同じ場所で、鷲田先生の「歩き出すために」と題したトークイベントを聞いておりましたが、今回はそのときの内容をよりリニューアルしたものです(あのときも震災直後だけに、深く静かに感動したものです)。

・ 「代わり」という言葉は、「お前の代わりはいくらでもいる」とも使えるし、「代わりにやってくれよ」とも使われる。
・ 「自立」=independenceの意味に使われるが、本当は”interdependence”、つまり助け合いのネットワークをいざとなったときに動かせるように準備することである。

・ 明治政府以後、「いのちの相互ケア」つまり、医療、介護、出産、子育て、看取り、防災、防犯、もめ事処理と言ったことは、プロフェッショナルに任せるように、プロの養成と認定が行われた。
・ その結果、そうしたことの質は格段に上がったが、一方で市民の「いのちの相互ケアに関する無能力化がすすんだ。
・ われわれは、ちょっとした病気でもお互いに助け合うことができない。
・ その結果、プロのケアが劣化したときに「クレームをつけることしかできない」文化が醸成された。

・ もうひとつは行政サービスの劣化時に、問題を提起し、指摘し、場合によっては対応を肩代わりするような「市民力」が低下した。
・ 今の時代はプロが解決できない問題に取り囲まれている。たとえば低線量被曝問題、環境問題、社会予測など。プロだからこそ、全体を見渡すことができない
・ では誰がするのか→市民がそのプラットホームになるべき。

・ そのための資質が「フォロワーシップである」
・ リーダー論が流行るとお任せごころが出てしまう.
・ リーダー論の本を読んでその通りにやる人が一番リーダーに似合わない

・リーダーがいいことをするかどうか、これを見渡しチェックする力をフォロワーが持っていることが重要。そういうことのできる人が多いコミュニティーほど強い
・ 「しんがりの思想」である。登山で一番強いのはしんがり、これがフォロワーである。2番目に強い人が先頭に立つリーダー、最弱者はリーダーのすぐ後ろ2番手である
・ 締めの言葉として、梅棹忠夫さんのインタービュー集の最後の言葉「乞われれば、一差し舞えるひとになれ」

### 次から次へと繰り出される「クリニカルパール」(とあえて呼ばせていただきます)に、目のくらむ思いでした.と同時に、2年経っても、まだそんなフォロワーシップなんて全然ないですよ、と言う悄然たる思いもいたします。

「フォロワーシップ」の概念は、いわゆる「共助」とも違う、「全体を見渡す力」「チェックする力」として提示されていました.これは職業政治家にはできない,他の本業のある市民だからこそできると説かれました。

これは大変なことです.「自分の頭で考える」「建設的な議論をする」「合理的なシステムを作る」。。。。。こうしたことが必要となりそうです.日本に不足していることのオンパレード。どうすればよいかも自分で考えねばなりません.

医療者としては、今日のトークはやはり、プライマリケアに引き寄せて考えたいところです.「全体を見渡す力」「しんがり力」。これ、プライマリケアのプリンシプルそのものです.プライマリケア医はプライマリであり、「しんがり」なんですね。患者さんを全体から見渡すことは、最初から最後(最期という意味も含めて)まで必要です。なるほとわれわれプライマリケア医こそフォロワーシップが必要とされるのである、というのが、きょうのテイクホームメッセージ。
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by dobashinaika | 2013-04-30 00:17 | 3.11 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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