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アピキサバンは、心房細動のタイプによらずワルファリンより優れる:ARISTOTLEサブ解析より

European Heart Journal 4月17日オンライン版より

Outcomes of apixaban vs. warfarin by type and duration of atrial fibrillation: results from the ARISTOTLE trial
Eur Heart J (2013) doi: 10.1093/eurheartj/eht135


【疑問】アピキサバンの効果は心房細動のタイプによって違うのか?

P:Aristotle試験登録患者18,201人(発作性心房細動15.3%、持続性または永続性心房細動84.7%)

E: アピキサバン群

C: ワルファリン群

O:主要エンドポイント=脳卒中/全身性塞栓、二次エンドポイント=死亡
アピキサバン群とリバーロキサバン群で心房細動タイプ別に交互作用があるか否かを比較

【結果】
1)アピキサバン群とワルファリン群の交互作用:一時エンドポイント、二次エンドポイント、大出血イベントいずれも交互作用なし(心房細動全タイプで)

2)アピキサバン群はいずれのエンドポイントにおいてもワルファリン群より優位。試験エントリー期間は除く(P for all interactions >0.13)。

3)脳卒中/全身性塞栓:持続性または永続性>発作性1.52 vs. 0.98%; P = 0.003, 補正後 P = 0.015)

4)全死亡:持続性または永続性の方が高率の傾向(3.90 vs. 2.81%; P = 0.0002, adjusted P = 0.066). 

【結論】脳卒中、死亡、大出血の各リスクは心房細動のタイプによらず、アピキサバン群がワルファリン群に比べ低下させる。脳卒中/全身性塞栓は発作性の方が、持続性または永続性に比べて低率だったが、アピキサバンは、心房細動のタイプに関わらずワルファリンの魅力的な代替薬である.

### 心房細動のタイプ別サブ解析というのは、RE-LYやROCKET-AFにはなかったかもしれません.ACTIVE-W試験などでは発作性と永続性の予後は変わりないとの結果が出ていますが、この試験ではやはり持続性.永続性の方が死亡率や脳卒中が多かったとのことです.扱う対象の違いかと思われます.発作性の中には、それこそ年数回しか発作がないものも含まれている可能性がありますし、そういう症例が多いほど心房リモデリングは、全体として永続性よりは進んでいないことも考えられます。

いずれにしてもアピキサバンはワルファリンよりもよかったということが言いたいためのサブ解析ですね.
by dobashinaika | 2013-04-22 23:38 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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