過去10年間における心房細動アブレーションの適応の変化
Europace 1月2日オンライン版より
Temporal changes in patient characteristics and prior pharmacotherapy in patients undergoing radiofrequency ablation of atrial fibrillation: a Danish nationwide cohort study
Europace (2013)doi: 10.1093/europace/eus418
過去10年間での初回アブレーション患者の特性の変化について検討した研究
P:デンマークの国内登録を用いて同定された、2002~2009年までの初回心房細動アブレーション施行3302人
E:2008-2009年登録例
C:2000-2001年登録例
O:患者の年齢、合併疾患、抗不整脈薬使用
結果:
1)平均59歳。男73.8%
2)平均年齢:前期55歳→後期61歳
3)高血圧合併例:前期34.8%→後期50.6%、糖尿病合併例:前期2.2%→後期5.9%
4)心不全、血管疾患、脳卒中既往例比率は同じ
5)CHA2DS2-VAScスコア2点以上:23.9%→41.5%
6)抗不整脈薬(Ic,III)非投与例(2年以内):8.7%→22.7%
7)ソタロール使用:63%→6.3%、Ic抗不整脈薬使用:35%→24%
8)アミオダロンおよびβ遮断薬使用例:36%→82%
結論:10年間で心房細動アブレーションはより高齢、併存疾患合併、抗不整脈薬非使用の例で施行されるようになってきた。この所見は心房細動アブレーションのアウトカムを理解するフレームワークを提供する。
### 興味深いですね。まあ、アブレーションスキルのラーニングカーブとともに適応が拡大したということかと思われます。抗不整脈薬非使用例22.7%というのは、かなり多い感じがします。当院ではさすがに全く抗不整脈薬をのまずにアブレーションに回る方はいらっしゃいません。国民性の違いもあるかもしれません.
がんの治療などもそうですが、薬物療法で行くか外科的療法で行くかというのは、永遠の課題のような気もします。もちろん両者併用もあるし、段階的に行う場合もありますが、外科的治療も選択肢としてあるよ、と言われたとき、躊躇するか、積極的に受けたいかというのは、クリニカルエビデンスの枠を超えた、きわめて個人の内面に依存する、その人個人の当事者性にかかる切実性を帯びた問題だと思います。
我々医療者はそのような当事者にしかわからない内面にまで、クリニカルエビデンスあるいは自らのポリシーという靴を履いて踏み込むべきではないとは思います。
ただそうした当事者性も、技術的な超克により影響を受けることも事実で、そうした動きの反映が当論文に現れているとも言えます。この先どこまでこうした動きが普遍化するのか、興味深いです。
Temporal changes in patient characteristics and prior pharmacotherapy in patients undergoing radiofrequency ablation of atrial fibrillation: a Danish nationwide cohort study
Europace (2013)doi: 10.1093/europace/eus418
過去10年間での初回アブレーション患者の特性の変化について検討した研究
P:デンマークの国内登録を用いて同定された、2002~2009年までの初回心房細動アブレーション施行3302人
E:2008-2009年登録例
C:2000-2001年登録例
O:患者の年齢、合併疾患、抗不整脈薬使用
結果:
1)平均59歳。男73.8%
2)平均年齢:前期55歳→後期61歳
3)高血圧合併例:前期34.8%→後期50.6%、糖尿病合併例:前期2.2%→後期5.9%
4)心不全、血管疾患、脳卒中既往例比率は同じ
5)CHA2DS2-VAScスコア2点以上:23.9%→41.5%
6)抗不整脈薬(Ic,III)非投与例(2年以内):8.7%→22.7%
7)ソタロール使用:63%→6.3%、Ic抗不整脈薬使用:35%→24%
8)アミオダロンおよびβ遮断薬使用例:36%→82%
結論:10年間で心房細動アブレーションはより高齢、併存疾患合併、抗不整脈薬非使用の例で施行されるようになってきた。この所見は心房細動アブレーションのアウトカムを理解するフレームワークを提供する。
### 興味深いですね。まあ、アブレーションスキルのラーニングカーブとともに適応が拡大したということかと思われます。抗不整脈薬非使用例22.7%というのは、かなり多い感じがします。当院ではさすがに全く抗不整脈薬をのまずにアブレーションに回る方はいらっしゃいません。国民性の違いもあるかもしれません.
がんの治療などもそうですが、薬物療法で行くか外科的療法で行くかというのは、永遠の課題のような気もします。もちろん両者併用もあるし、段階的に行う場合もありますが、外科的治療も選択肢としてあるよ、と言われたとき、躊躇するか、積極的に受けたいかというのは、クリニカルエビデンスの枠を超えた、きわめて個人の内面に依存する、その人個人の当事者性にかかる切実性を帯びた問題だと思います。
我々医療者はそのような当事者にしかわからない内面にまで、クリニカルエビデンスあるいは自らのポリシーという靴を履いて踏み込むべきではないとは思います。
ただそうした当事者性も、技術的な超克により影響を受けることも事実で、そうした動きの反映が当論文に現れているとも言えます。この先どこまでこうした動きが普遍化するのか、興味深いです。
by dobashinaika
| 2013-01-09 21:54
| 心房細動:アブレーション
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
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