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心房細動の新たなリスク因子:Circulation誌の総説より

Circulation 5月22日号(今週号)の電子版、Circulation Topic Reviewより

Novel Risk Factors for Atrial Fibrillation : Useful for Risk Prediction and Clinical Decision Making?
Circulation. 2012;125:e941-e946


最近、研究されてきている心房細動の新しいリスク因子に関する総説

全文を入手できたので、要約して紹介します。

【家族性集積、人種差、遺伝】
<家族性集積>
・最近、一般住民における心房細動が遺伝性のものであるとの報告が増えている
・フラミンガム研究では家族歴がその子孫の心房細動のリスクを2倍にするとの報告あり
・デンマークの双子の登録研究では、双子の片方または両方が心房細動の場合、一致率は一卵性が二卵性の二倍

<人種差>
・黒人は白人より低リスク
・ARIC研究では、ヨーロッパ系統自体が心房細動のリスク(ハザード比1.17)

<一般的遺伝的変異>
・ゲノムワイド関連研究以前には、イオンチャネル、ギャップジャンクション、ANP、炎症メディエイター、RAS系の心房細動関連遺伝子が明らかにされた
・ゲノムワイド関連研究では、3つの遺伝子座が同定された:PITX2, ZFHX3, KCNN3
・小コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネルが心房の再分極に重要であるとの研究がある

【幼少期の前歴】
・生下時体重の増加は関連あり

【準臨床的危険因子】
<心外膜脂肪>

・数篇の報告あり

<非高血圧レベルでの血圧>
・140/90以上の高血圧は明らかなリスク因子
・それより低いでベルはデータが希薄だが、関係ありとする報告あり

<左室拡張不全>
・拡張不全は心房心室の圧負荷の原因となり、心房リモデリングを引き起こす
・心エコーの各種拡張不全指標は心房細動リスク増加のマーカー

<準臨床的冠動脈疾患>
・MDCTで冠動脈狭窄を認める例では心房細動が多いとの報告あり

【臨床的危険因子】
<身体活動>

・適度な運動は血圧、BMI、冠動脈疾患を減らし、ひいては心房細動を減らす
・しかし過度の運動はリスクを増やす。

<CKD>
・ARIC研究ではアルブミン尿と心房細動の関係が明らかにされた。
・REGARDS研究ではCKDの重症度の関わらず、リスク因子であることが示された

<バイオマーカー>
・BNP,NT-proBNPは心房細動発症の強い予測因子との報告あり
・BNPとCRPのステップワイズ評価が有効との報告
・血清脂質との関係は限定的だが、最近ARIC研究でLDLコレステロールと総コレステロール高値は心房細動の低リスクと関連ありと報告
・n-3不飽和脂肪酸がリスクを減らすとの実験データがあるが、臨床データは論議の余地あり

結論:
・おおよそ半分以上のリスク因子は予防可能
・既存のリスク因子だけで説明できない発症あり
・最近幾つかの新しいリスク因子の研究あり;遺伝子、幼少時の状況、準臨床的危険因子、バイオマーカー、民族、人種差
・これらのリスク因子の研究はさらに拡大されるべきである

### 年齢、高血圧、心不全、弁膜症、心筋梗塞、糖尿病、甲状腺疾患などがこれまで強いエビデンスを持つリスク因子とされてきましたが、それに続くリスク因子を網羅した総説ですね。勉強になりました。

最も興味深いのは、やはり遺伝子です。全く他にリスクのない、あるいは高血圧だけのリスクの方でも心房細動になる人、ならない人がいる。その差はどこから来るのか。まあ上記のような様々なリスク因子の複雑な組み合わせの結果とも言えますが、それに遺伝的要素がどの程度入り込むのか、今後の研究でどこまで遺伝的要素の程度がわかるのか。

早い時期からそれがわかリ、介入治療まで実現されるのか。これは他のあらゆる疾患にも言えることですが、今後ゲノム治療は心房細動においてもどこまで発展を見せるのか、興味深いですが、それを見届けられるまで、生きているかどうかですね。

Europaceの総説も参考までに
http://dobashin.exblog.jp/14233681/
by dobashinaika | 2012-05-22 23:41 | 心房細動:疫学・リスク因子 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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