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ACCPのエビデンスに基づく抗血栓療法ガイドライン改定:CHADS2の0~1点をどうするか

American College of Chest Physicians (ACCP)の抗血栓療法と血栓症予防に関するガイドラインが改定され第9版となりました。2月にすでに出ておりましたが、量が膨大なので紹介が延び延びになっていました。

Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines
Chest. 2012 Feb;141(2 Suppl):e531S-75S.


カナダのMcMaster大学が中心となって作成されたものであり、summaryやintroduction,methodrogyなどをあのEBMの大御所、Gordon Gyatt先生が書かれておられます。

題名からして
American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelinesと銘打っているだけあって、非常にEvidenceを重視した、そして使いやすい内容です。
量が膨大ですので、今回は心房細動の抗凝固療法の適応に関する部分のサマリー(2.1)のみをご紹介します。

2.1 非弁膜症性心房細動

2.1.8 CHADS2スコア0点(低リスク):抗血栓療法を行うことを推奨しない(グレード2B)。選択する場合は抗凝固薬よりアスピリンまたはアスピリン+クロピドグレル(グレード2B)
注;65歳~74歳、女性、血管疾患のうち2つ以上合併の場合経口抗凝固薬が好ましい

2.1.9 CHADS2スコア1点(中リスク);抗凝固療法を行うことを推奨(グレードIB)。アスピリンあるいはアスピリン+クロピドグレルより抗凝固薬を推奨(グレード2B)。ワーファリン不適合または出血などで抗凝固療法困難の場合、アスピリンよりアスピリン+クロピドグレルはよい(グレード2B)。

2.1.10 CHADS2スコア2点(高リスク)

2.1.11 抗凝固療法に適した患者(CHADS2スコア1点以上を含む、僧帽弁膜症、安定狭心症、冠動脈ステント、急性冠症候群は除く);ダビガトラン150mgx2/日がワーファリン(INR2-3)よりよい(グレード2B)。
注;CCr30以下では禁忌。中和薬がないことに注意

2.2 僧帽弁膜症
ビタミンk阻害薬(ワーファリン)を治療なし、アスピリン、アスピリン+クロピドグレルより推奨(グレード1B)。ワーファリン不適合または出血などで抗凝固療法困難な場合;アスピリンよりアスピリン+クロピドグレル(グレード 1B)

3.1 安定狭心症
ビタミンK阻害薬(INR2-3)単独がビタミンK阻害薬+アスピリンよりよい(グレード2C)

3.2 冠動脈ステント
CHADS2スコア2点以上、ベアメタルステント植え込み1ヶ月後または薬剤溶出ステント3~6ヶ月後:トリプルテラピー(ビタミンK阻害薬+アスピリン+クロピドグレル)(グレード2C)。
上記以後:ダブルテラピー(ビタミンK阻害薬+アスピリンまたはクロピドグレル)(グレード2C)
12ヶ月後;3.1に準じる。

CHADS2スコア0または1点;12ヶ月間はベアメタル、薬剤溶出にかかわらず抗血小板薬2剤がトリプルテラピーより良い(グレード2C).12ヶ月以降は3.1に従う。

3.3 急性冠症候群で冠動脈ステント施行せず
CHADS2スコア2点以上;12ヶ月間はダブルテラピー(ビタミンK阻害薬+抗血小板薬1剤)が抗血小板薬2剤またはトリプルテラピーより良い(グレード2C)。12ヶ月後は3.1に準ずる。

CHADS2スコア0,1点;抗血小板薬2剤がダブルテラピーまたはトリプルテラピーより良い(グレード2C)。12ヶ月後以降は3.1に準ずる。

### 基本的に先日のカナダのガイドラインとほぼ同様です(カナダのガイドラインにもMcMcMaster大学が関与してる)。チャズ1点での抗凝固療法はグレード1B。チャズ0点でもCHA2DS2-VAScの他のスコアのうち2つ以上なら"favor"とのことです。

われわれPC医は、しかしながらチャズ0点はおろか1点でも例えばコントロール良好な高血圧や糖尿病だけであればワーファリンは躊躇します。このへん、チャズの点数に金科玉条せず、個々の症例ごとに臨機応変に決めて良いのです。あまり管理のよくない高血圧や75歳以上、心不全入院を繰り返す例などはチャズ1点でも出して良いと思われます。

チャズ0点1点例こそ、EBMの原点=エビデンス+患者の好み+医者の専門性のブレンドが最も必要な領域なのです。
by dobashinaika | 2012-05-07 23:43 | 抗凝固療法:ガイドライン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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