新規抗凝固薬の緊急中和に関するガイダンス
Am. J. Hematol 4月4日オンライン版より
Guidance on the emergent reversal of oral thrombin and factor Xa
inhibitors
DOI: 10.1002/ajh.23202
トロンビン阻害薬およびファクターXa阻害薬の緊急中和薬に関するガイダンスが出ています。
最後の"Suggestion"のところだけまとめました。
【新規抗凝固薬の緊急融和に関する提案】
個人的見解と乏しいエビデンスに基づくものではあるが、以下の提案をする
1.支持的ケア:保液、輸血、腎機能保持、出血スコアの同定、必要なら外科的処置
2.薬剤中止:半減期が短いのでこれだけで多くの患者は十分。腎機能正常なら1-2日で効果は消失
3.活性炭:もし服用後1-2時間なら経口活性炭は副作用の低い治療オプションとして提案する
4.血液透析、血液灌流:緊急実施時の煩雑さからこの治療は敬遠される。実際ダビガトランは2時間程度で2/3程度は体外に排泄されてしまう。腎機能がかなり低下し薬剤がそれ以上停滞する場合は考慮すべき。リバーロキサバンとアピキサバンはタンパク結合が強く透析不可
5.FFP(新鮮凍結血漿):我々の見解ではFFPは緊急中和としては有効でない。ダビガトランでマウスモデルで評価されているのみ。人では検討なし。その他のファクターXa阻害薬でも検討なし
6.ヒト活性型VIIa因子:ラットでは効果あったが、ヒトでの検査では作用しめさず。ヒトでの研究もなし
7.プロトロンビン複合体製剤(PCC):3因子または4因子のPCCは血栓リスクを増大させる可能性あり。リバーロキサバンではPTを正常化させる報告あり。ダビガトラン服用者でaPTTやトロンビン時間を正常はさせない。ヒトでのPCCの出血に対する効果を評価した研究はない。緊急手術に先立ってPCCを投与することの効果は検証されていないが、複数の専門家の意見としては合理的アプローチと思われる。しかしながらコンセンサスを得るまでにはデータ不足。今回も2人のauthorは推奨していない。
###PCCは血友病の治療薬として市販されていますが、どうしてもリバースしたい時は現時点ではこれでしょうか。ちなみによくワーファリンでINR高値のときビタミンKでリバースをかけますが、実は即効性はなく効果発現には時間がかかることも、もっと知られるべきかもしれません。
関連ブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/13523873/
Guidance on the emergent reversal of oral thrombin and factor Xa
inhibitors
DOI: 10.1002/ajh.23202
トロンビン阻害薬およびファクターXa阻害薬の緊急中和薬に関するガイダンスが出ています。
最後の"Suggestion"のところだけまとめました。
【新規抗凝固薬の緊急融和に関する提案】
個人的見解と乏しいエビデンスに基づくものではあるが、以下の提案をする
1.支持的ケア:保液、輸血、腎機能保持、出血スコアの同定、必要なら外科的処置
2.薬剤中止:半減期が短いのでこれだけで多くの患者は十分。腎機能正常なら1-2日で効果は消失
3.活性炭:もし服用後1-2時間なら経口活性炭は副作用の低い治療オプションとして提案する
4.血液透析、血液灌流:緊急実施時の煩雑さからこの治療は敬遠される。実際ダビガトランは2時間程度で2/3程度は体外に排泄されてしまう。腎機能がかなり低下し薬剤がそれ以上停滞する場合は考慮すべき。リバーロキサバンとアピキサバンはタンパク結合が強く透析不可
5.FFP(新鮮凍結血漿):我々の見解ではFFPは緊急中和としては有効でない。ダビガトランでマウスモデルで評価されているのみ。人では検討なし。その他のファクターXa阻害薬でも検討なし
6.ヒト活性型VIIa因子:ラットでは効果あったが、ヒトでの検査では作用しめさず。ヒトでの研究もなし
7.プロトロンビン複合体製剤(PCC):3因子または4因子のPCCは血栓リスクを増大させる可能性あり。リバーロキサバンではPTを正常化させる報告あり。ダビガトラン服用者でaPTTやトロンビン時間を正常はさせない。ヒトでのPCCの出血に対する効果を評価した研究はない。緊急手術に先立ってPCCを投与することの効果は検証されていないが、複数の専門家の意見としては合理的アプローチと思われる。しかしながらコンセンサスを得るまでにはデータ不足。今回も2人のauthorは推奨していない。
###PCCは血友病の治療薬として市販されていますが、どうしてもリバースしたい時は現時点ではこれでしょうか。ちなみによくワーファリンでINR高値のときビタミンKでリバースをかけますが、実は即効性はなく効果発現には時間がかかることも、もっと知られるべきかもしれません。
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by dobashinaika
| 2012-04-14 18:59
| 抗凝固療法:中和方法
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
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●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
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