震災1年後の「もう」と「まだ」:2012.3.11に思うこと
あの日の夜の星空を思い出しながら、書いています。
「もう1年。」「まだ1年。」きょうほど時間経過に対する2つの思いが錯綜した日はありません。読んでいる方もそのような思いを少なからずいだいておられると思います。
「自分は何もしていないのにもう1年が過ぎでしまった。」「もう1年も過ぎたのに、まだこれだけのことしかできていない。これしか復興されていない。」
われわれの「もう」「まだ」に対する錯綜した思いは、物理的な時間の経過と自分(あるいは他人)がこの1年間なしたこと、なされた蓄積とのギャップからくるものでしょう。
あるいは、自分はこれだけのことができたのかもしれない、なのにいままでこれだけのことしかして来なかった、もう1年過ぎてしまった。という期待感と現実とのギャップや後悔に由来するのかもしれません。
当院は、幸い震災の被害が最小限にすみ、震災翌日から診療を行うことが出来ました。今日、改めて震災当日からの院長ブログや自分でつぶやいたツイートを読み返してみるいと、やはりあの当時の一瞬一瞬が生々しくよみがえって、心が騒がしくなります。
そしてこの1年間自分はできることを精一杯したのだろうか、もっとできたのではないだろうか、と自問が始まります。
ただ、この歳になってみると、そこで自責の念に駆られたり、自己嫌悪に陥ったりするにはいささか人生経験を経ているのも事実です(笑)。むしろこの1年間、今までこんなことに気づかなかったなあと思うことが多々湧き出てきます。
この1年間で最も学んだことといえば、やはりご近所の人、近隣の方との顔の見える関係性です。震災からの数日、数週間、ひと、モノ、情報、の共有、交換に関して、そして生きていく上で、どれだけ近くのひとの存在が大きかったか。今までいかに我々は近隣の共同体というものをおろそかにしていたのか。震災を通して心底感じたのは、まさにこのことです。
そして、こうした共同体を大切にすることは、むしろこれからずっとつきまとっていく課題です。ご高齢の方の多い、当院周辺地区で支援の必要な人をどう支えるか。一診療所としてどのようにコミュニティと関わっていくか、それを作っていくか。
1年といわず、今後長きにわたって取り組んでいく課題であることを、一年経ったこの日に再認識しています。
今夜の勾当台市民広場
「もう1年。」「まだ1年。」きょうほど時間経過に対する2つの思いが錯綜した日はありません。読んでいる方もそのような思いを少なからずいだいておられると思います。
「自分は何もしていないのにもう1年が過ぎでしまった。」「もう1年も過ぎたのに、まだこれだけのことしかできていない。これしか復興されていない。」
われわれの「もう」「まだ」に対する錯綜した思いは、物理的な時間の経過と自分(あるいは他人)がこの1年間なしたこと、なされた蓄積とのギャップからくるものでしょう。
あるいは、自分はこれだけのことができたのかもしれない、なのにいままでこれだけのことしかして来なかった、もう1年過ぎてしまった。という期待感と現実とのギャップや後悔に由来するのかもしれません。
当院は、幸い震災の被害が最小限にすみ、震災翌日から診療を行うことが出来ました。今日、改めて震災当日からの院長ブログや自分でつぶやいたツイートを読み返してみるいと、やはりあの当時の一瞬一瞬が生々しくよみがえって、心が騒がしくなります。
そしてこの1年間自分はできることを精一杯したのだろうか、もっとできたのではないだろうか、と自問が始まります。
ただ、この歳になってみると、そこで自責の念に駆られたり、自己嫌悪に陥ったりするにはいささか人生経験を経ているのも事実です(笑)。むしろこの1年間、今までこんなことに気づかなかったなあと思うことが多々湧き出てきます。
この1年間で最も学んだことといえば、やはりご近所の人、近隣の方との顔の見える関係性です。震災からの数日、数週間、ひと、モノ、情報、の共有、交換に関して、そして生きていく上で、どれだけ近くのひとの存在が大きかったか。今までいかに我々は近隣の共同体というものをおろそかにしていたのか。震災を通して心底感じたのは、まさにこのことです。
そして、こうした共同体を大切にすることは、むしろこれからずっとつきまとっていく課題です。ご高齢の方の多い、当院周辺地区で支援の必要な人をどう支えるか。一診療所としてどのようにコミュニティと関わっていくか、それを作っていくか。
1年といわず、今後長きにわたって取り組んでいく課題であることを、一年経ったこの日に再認識しています。
今夜の勾当台市民広場
by dobashinaika
| 2012-03-11 22:39
| 3.11
|
Comments(1)
Commented
by
大森
at 2012-04-18 16:10
x
いつも勉強のために拝見させて頂いております。
私も郷里石巻はじめ近隣の市町村があのような状況となり、もう?まだ?といった心境でした。
まだまだ何かしなければ。と感じる日々です。
今後共地域の皆様のためのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
私も郷里石巻はじめ近隣の市町村があのような状況となり、もう?まだ?といった心境でした。
まだまだ何かしなければ。と感じる日々です。
今後共地域の皆様のためのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
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