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心房細動アブレーション前に使った抗不整脈薬が多いほどアブレーションの結果はよくない:Europaceより

Europace2月6日オンライン版より

Prior antiarrhythmic drug use and the outcome of atrial fibrillation ablation

心房細動アブレーション前の抗不整脈薬使用が、アブレーションの結果に与える影響に関する研究

P:カリフォルニアのセコイヤ病院で2003年10月から2010年12月までにカテーテルアブレーションを施行された心房細動患1125例1504アブレーション

E/C:アブレーション前に使用し(コントロールに失敗し)た抗不整脈薬の数ごとに患者をサブグループ分け

O:アブレーション前に使用抗不整脈薬の数とアブレーションの成功率、再発率

結果:
1)アブレーション前に服用していた抗不整脈の数が多い例の方が、高齢(P = 0.001)、心房細動罹患期間長い (P = 0.0001)、女性が多い(P = 0.037)、複数回アブレーションが多い (P = 0.045)、発作性心房細動は少ない (P = 0.003)

2)発作性、持続性とも、抗不整脈薬使用数が心房細動再発を予測し得た(P = 0.0001)

3)他の再発予測因子としては、年齢、左房径、女性、持続性があった

4)アブレーション前に抗不整脈を投与されない例の理由としては、医学的21.5%、患者の選択78.5%

5)長期持続性心房細動においてはアブ前抗不整脈薬の数は結果に影響しなかった(P = 0.352)
心房細動アブレーション前に使った抗不整脈薬が多いほどアブレーションの結果はよくない:Europaceより_a0119856_22505091.gif


結論:発作性および持続性心房細動患者では、アブレーション前ほとんど抗不整脈薬を使用されていない例と、たくさん使用されている例とでは臨床的特徴に違いが見られた。アブレーション前に多くの抗不整脈薬が使われた例ほど、アブレーション後心房細動フリー例が少なく、薬物試行錯誤の間に心房細動が進行していく可能性が示唆された。

###グラフを見ますと、3剤以上使っている例ではアブレーション1年後心房細動がない例は42.8%ですが、1剤の例では60.7%です。

理由は著者らが述べているように、抗不整脈薬を取っ替え引っ替え使っているうちに心房の線維化が進んで難治性になってしまうことが挙げられます。その他、そもそも何剤も抗不整脈薬を使わざるを得ない症例ほどもともと心房線維化の強い症例だったからかもしれません。

しかし3剤くらいをひっぱている例はかなり日常診療で多いと思われます。この論文を読みますと、1剤で難治性ならさっさとアブレーション、という発想もありかとも思わせます。

まあ、アブレーションはやるなら早いに越したことはないというのは真理であり、それの強いサポートとなる論文かもしれません。ただ、アブレーションも抗不整脈薬も予後改善効果はなし、QOL改善効果のみなので、患者のpreferenceが優先順位一位になわざるを得ないのが現時点の地平である、というのももうひとつの真理ですね。
by dobashinaika | 2012-02-13 22:53 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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