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心房細動の心拍数を緩やかにコントロールしても心臓に不都合なリモデリングは来さない:JACCより

Journal of American College of Cardiology 8月23日号より

Effect of Lenient Versus Strict Rate Control on Cardiac Remodeling in Patients With Atrial FibrillationData of the RACE II (RAte Control Efficacy in permanent atrial fibrillation II) Study

J Am Coll Cardiol, 2011; 58:942-949

永続性心房細動の目標心拍数を緩やかに(lenient)設定した場合と厳しく(strict)設定した場合とで、リモデリングの指標に差があるかどうかを比較した研究:RACEII試験のデータより


P:患者)オランダの33医療施設で以下の基準を満たした心房細動患者614名。基準:12か月以上続いた永続性心房細動、80歳以下、安静時平均心拍数80/分以上、抗凝固療法施行。


E;介入)目標心拍数を安静時110/分未満に設定した緩やかな(lenient)コントロール群261名


C:対照)目標心拍数を安静時80未満、中等度運動時110未満に設定した厳格なコントロール群256名

O:結果)心エコー上の心房、心室のリモデリング指標;左房径、左房容積、左室拡張末期径)をベースライン期とフォローアップ期で施行


結果:
1)ベースラインの指標に差なし
2)どちらの群でもベースライン期とフォローアップ期で明らかに不都合なリモデリングは認められず
3)心拍数が持続的に80~100であった例と80未満の例とで各指標に差なし
4)緩やかな心拍数は、左房径(1.6mm増, p=0.09)、左室拡張末期径(1.1mm増, p=o.23)に影響与えず
5)女性であることは、左房径(2.4mm増, p=0.02)、左室拡張末期径(6.5mm増, p<0.0001)増加の独立危険因子


結論:緩やかな心拍数コントロールは永続性心房細動の負のリモデリングに関与せず、女性であることが関係した。


###その他、本文では弁膜症、心不全入院歴、BMI、レニンアンジオテンシン系抑制薬使用が左室拡張末期径増加の独立危険因子であるとしています。この論文結果を単純に受け取れば、心拍数93くらいでRAS抑制薬を使っておけば左房拡大,左房負荷は防げると言うことになります。
緩やかに心拍数コントロールをても負のリモデリングが起きない理由として、実際のレートの差は10/分くらいしかなく、特に100/分以上の例が少なかったこと、RAS抑制薬がよく使われていたことなどが考察としてあげられています。女性であることがリモデリングを促進することについては、閉経後の女性ホルモン低下による炎症の促進、再分極異常などが挙げられています。
RAS抑制薬がエコー上のリモデリンングを抑制したとのデータは、最近すっかり陽の目を見ない心房細動におけるRAS抑制薬に久々に振られた話題ですが、後付け解析なので注意は必要です。


RACE IIに関する本ブログはこちら、元論文はこちら
by dobashinaika | 2011-08-18 22:37 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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