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無症候性の心房細動発作を持つ患者の臨床的特徴:American Heart Journalより

American Heart Journal 7月8日オンライン版より

Clinical characteristics of patients with asymptomatic recurrences of atrial fibrillation in the Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell'Infarto Miocardico–Atrial Fibrillation (GISSI-AF) trial

GISSI-AF試験における心房細動の無症候性再発患者の臨床的特徴に関する検討

・GISSI-AF試験に参加した1442人の患者のうち、623人に認められた心房細動エピソードにつきpost hocに解析した
  GISSI-AFの概要はこちら:対象は半年以内に2回の発作または2週間以内に除細動した例で心血管疾患、糖尿病、左房拡大のいずれかがあるもの
  全例に電話伝送心電計を提供し、発作時および非発作時でも週1回の伝送を義務づけた

・無症候性心房細動は49.5%に認められた。
・無症候性心房細動は長時間の持続と明らかな相関があった:OR1.57, 95%Ci 1.26-1.97, P<0.0001
・心房細動中の低心拍数(P<0.001)と再発時の長時間の持続(P<0.001)が、無症候性発作の特徴だった
・無症候性発作のある患者は、12ヶ月間のフォローアップの再議に心電図コントロールを取る際に心房細動であることが多かった
・CHADS2スコア高得点、アミオダロンの使用、カルシウム拮抗薬の使用、ジギタリスの使用は無症候性発作を持つ患者に多かった
・Ic抗不整脈薬服用患者では症候性発作が多かった

結論:GISSI-AF試験では持続性心房細動の患者に無症候性心房細動の再発が多く、そうした患者は塞栓症のハイリスク者でもあった。

###これは重要な論文です。CHADS2スコアは広く浸透しこれからも普及するでしょうが、それでも脳塞栓を防ぎきれないのが無症候性心房細動です。脳塞栓で脳疾患施設に搬送され、抗凝固療法が施されていない例の多くにこのような無症候性が混在していると思われます。無症候性の人ほどレートコントロールがなされている、しかるにより長時間続く、しかもCHADS2高得点となると、無症候性のため抗凝固薬がおろそかとなる例ほど脳塞栓高リスクだと言うことができます。

1−2回心房細動は記録されているけれど、その後全く症状がないためワーファリンを出さないでいる患者さんは各医療機関でかなり多いのではないでしょうか?今後はこの層にも食い込んで行く必要があります。そのためにはホルターを頻繁に行うのも手間ですので、GISSI-AFで行われたような電話伝送心電図などのモニターが有用かも知れません。動悸があるけれど心電図記録がまだである、1、2回のみ心房細動が記録されている、脳塞栓を発症したが心房細動発作が捕まっていない人などには積極的に応用しても良いと思います

無症候性の人は脳塞栓は多かったのか?これ一番知りたいところです。日本のJ-RYTHM IIでも同様解析をお願いしたいです
by dobashinaika | 2011-07-26 22:47 | 心房細動:診断 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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