心房細動のリズムコントロールとレートコントロールに関する大規模登録研究 (RECORDAF):JACCより
JACC 7月26日号より
Real-Life Observations of Clinical Outcomes With Rhythm- and Rate-Control Therapies for Atrial Fibrillation
RECORDAF (Registry on Cardiac Rhythm Disorders Assessing the Control of Atrial Fibrillation)
前向き登録研究によるリズムコントロールとレートコントロールの比較研究
・21カ国、532施設が参加。2007年〜2009年に患者登録、追跡機間1年
・18歳以上で1年未満に心房細動と診断された5,604例対象。永続性、一過性の原因、術後は除く
・治療成功例は54%;リズムコントロール60%(12ヶ月後洞調律)、レートコントロール47%(12ヶ月後80bpm以下)
・治療方法が変わらなかったのは、リズムコントロール81%、レートコントロール74%
・propensity scoreを用いた補正後は治療成功例はリズムコントロールで有意に多かった(OR1.34, 95%CI 1.15-1.55, P=0.0002)
・イベント(心血管死、脳卒中、TIA、入院、心筋梗塞)は18%に認められた
・リズムコントロールはイベントの予測因子ではなかった。
・持続性、初診時心房細動、3ヶ月以上持続、75歳以上、は永続化の予測因子
・リズムコントロールの選択は永続化進展を減少する方向に働いた(OR0.2, 95%CI 0.17-0.25, p<0.0001)
結果:心房細動患者の臨床的アウトカムは不整脈や催不整脈による入院やその他の心血管系因子に規定されているが、リズムかレートかには規定されない。リズムコントロール患者は永続化への進展は遅かった。
###2009年にAHAで発表されたもの論文化。AFFIRMやRACEは理想系としてのvirtual worldのデータであり、リズムかレートかに関してreal worldの実態を知りたいとの欲求から生まれた登録研究です。心血管死などのアウトカムは有意差なしという予想通りの結果でした。I群抗不整脈薬は12%、III群は29%に使われていたようです。登録研究なので、心不全など重症例ではレートコントロールになり、リズムコントロール群では発作性が多くなります。そうしたバイアスや医師の意思もまたリアルワールドの反映ということであり、単にリズムとレートの比較研究というよりは、AFFIERM、RACE後の循環器専門医の治療選択は結果的にどちらか一方だけ予後を良くすることなしなかったということの確認作業と捉えようと思います。
Real-Life Observations of Clinical Outcomes With Rhythm- and Rate-Control Therapies for Atrial Fibrillation
RECORDAF (Registry on Cardiac Rhythm Disorders Assessing the Control of Atrial Fibrillation)
前向き登録研究によるリズムコントロールとレートコントロールの比較研究
・21カ国、532施設が参加。2007年〜2009年に患者登録、追跡機間1年
・18歳以上で1年未満に心房細動と診断された5,604例対象。永続性、一過性の原因、術後は除く
・治療成功例は54%;リズムコントロール60%(12ヶ月後洞調律)、レートコントロール47%(12ヶ月後80bpm以下)
・治療方法が変わらなかったのは、リズムコントロール81%、レートコントロール74%
・propensity scoreを用いた補正後は治療成功例はリズムコントロールで有意に多かった(OR1.34, 95%CI 1.15-1.55, P=0.0002)
・イベント(心血管死、脳卒中、TIA、入院、心筋梗塞)は18%に認められた
・リズムコントロールはイベントの予測因子ではなかった。
・持続性、初診時心房細動、3ヶ月以上持続、75歳以上、は永続化の予測因子
・リズムコントロールの選択は永続化進展を減少する方向に働いた(OR0.2, 95%CI 0.17-0.25, p<0.0001)
結果:心房細動患者の臨床的アウトカムは不整脈や催不整脈による入院やその他の心血管系因子に規定されているが、リズムかレートかには規定されない。リズムコントロール患者は永続化への進展は遅かった。
###2009年にAHAで発表されたもの論文化。AFFIRMやRACEは理想系としてのvirtual worldのデータであり、リズムかレートかに関してreal worldの実態を知りたいとの欲求から生まれた登録研究です。心血管死などのアウトカムは有意差なしという予想通りの結果でした。I群抗不整脈薬は12%、III群は29%に使われていたようです。登録研究なので、心不全など重症例ではレートコントロールになり、リズムコントロール群では発作性が多くなります。そうしたバイアスや医師の意思もまたリアルワールドの反映ということであり、単にリズムとレートの比較研究というよりは、AFFIERM、RACE後の循環器専門医の治療選択は結果的にどちらか一方だけ予後を良くすることなしなかったということの確認作業と捉えようと思います。
by dobashinaika
| 2011-07-22 23:05
| 心房細動:ダウンストリーム治療
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
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