抗凝固療法の選択は、医療施設のタイプにより異なる(ドイツでの研究):Thrombosis and Haemostasisより
Thrombosis and Haemostasis 5月5日オンライン版より
Impact of the type of centre on management of AF patients: Surprising evidence for differences in antithrombotic therapy decisions
医師の卒後教育や労働環境、患者の特徴が心房細動患者の治療上の意思決定に及ぼす影響につき検討
・the German Atrial Fibrillation NETwork (AFNET)による登録研究
・ドイツの191医療施設、9577名の心房細動患者(高次医療施設39.6%、地域病院24.4%、循環器内科開業医27.6%、家庭医8.4%)
・新規発症患者は、地域病院でよく診療されている
・高次医療施設では若年者の発作性心房細動が多い
・高齢者や持続性心房細動は、(それ以外に比べて)外来で診療されることが多い
・ガイドラインの通り、若年者や非持続性はリズムコントロールを受けていることが多い
・医療施設のタイプがリズムコントロール(を選択するか否か)の意思決定に影響していた
・CHADS2スコアは各施設タイプで同様(1.6〜1.9)
・高次医療施設(68.8%)と循環器内科開業医(73.6%)では、地域病院(55.1%)や家庭医(52.0%, p=0.001)より適切な抗凝固療法が行われていた
・多変量解析では高次医療施設と循環器内科開業医は、(その他に比べて)1.60倍適切な抗凝固療法を行っていた(1.20-2.12, p=0.001)
・この傾向はCHADS2スコアおよびCHA2DS2-VAScスコアごとでも一定
結論:心房細動管理の意思決定は、医師の教育や臨床背景に影響を受けている。入院患者はリズム治療を受けていることが多い。適切な抗凝固療法は専門医施設でより多く行われている。
###日本で調査しても、同様の結果が得られるように思います。ただ、日本の場合大学病院や地域の拠点病院など高次医療施設でも,長期の持続性心房細動患者さんを診ていらっしゃる先生は多いかもしれません。
家庭医での適切な抗凝固療法は、今後若手の優秀な家庭医が育つことが予想される日本では、もっとパーセンテージが上がっていくことが期待されます。
Impact of the type of centre on management of AF patients: Surprising evidence for differences in antithrombotic therapy decisions
医師の卒後教育や労働環境、患者の特徴が心房細動患者の治療上の意思決定に及ぼす影響につき検討
・the German Atrial Fibrillation NETwork (AFNET)による登録研究
・ドイツの191医療施設、9577名の心房細動患者(高次医療施設39.6%、地域病院24.4%、循環器内科開業医27.6%、家庭医8.4%)
・新規発症患者は、地域病院でよく診療されている
・高次医療施設では若年者の発作性心房細動が多い
・高齢者や持続性心房細動は、(それ以外に比べて)外来で診療されることが多い
・ガイドラインの通り、若年者や非持続性はリズムコントロールを受けていることが多い
・医療施設のタイプがリズムコントロール(を選択するか否か)の意思決定に影響していた
・CHADS2スコアは各施設タイプで同様(1.6〜1.9)
・高次医療施設(68.8%)と循環器内科開業医(73.6%)では、地域病院(55.1%)や家庭医(52.0%, p=0.001)より適切な抗凝固療法が行われていた
・多変量解析では高次医療施設と循環器内科開業医は、(その他に比べて)1.60倍適切な抗凝固療法を行っていた(1.20-2.12, p=0.001)
・この傾向はCHADS2スコアおよびCHA2DS2-VAScスコアごとでも一定
結論:心房細動管理の意思決定は、医師の教育や臨床背景に影響を受けている。入院患者はリズム治療を受けていることが多い。適切な抗凝固療法は専門医施設でより多く行われている。
###日本で調査しても、同様の結果が得られるように思います。ただ、日本の場合大学病院や地域の拠点病院など高次医療施設でも,長期の持続性心房細動患者さんを診ていらっしゃる先生は多いかもしれません。
家庭医での適切な抗凝固療法は、今後若手の優秀な家庭医が育つことが予想される日本では、もっとパーセンテージが上がっていくことが期待されます。
by dobashinaika
| 2011-05-12 20:05
| 抗凝固療法:リアルワールド
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
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