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プラザキサ処方に関する覚え書き;実際処方してみてわかったこと

ダビガトラン(プラザキサ)が日本で発売されて2ヶ月近くになります。
震災の影響もあり、当院では処方開始して1ヶ月程度ですが、既に10数名の患者さんに処方しております。
今のところ、大きな副作用はなく、採血や食事制限がないことから、患者さんからも、医療スタッフからも大旨好評です。
ただし、実際使用してみて、良いと思った点や多少気になる点も出てきましたため、それらを覚え書き程度に現時点での感想として書き留めておこうと思います。

1)導入がとても楽
 これまで、ワーファリン導入の際は、少量から初めて1週間ごとに漸増しその都度INRを測定するという煩雑な作業をしていました。それが一挙に解消され、すぐその日のうちから常用量を処方できるようになりました。私としてはこれが最も便利と思うことでした。

2)納豆を何年ぶりかで食べた!と感激する患者さんの声
  宮城県は納豆好きの方が多く、とにかく頸を長くして待っていたという声が聞かれ、このような方から大変感謝されました。

3)消化器症状がやはりある
  これまで10数名処方し、2名の方で胃のもたれ、心窩部の不快感を訴えました。1人はそのまま経過観察、1人は胃粘膜保護薬で経過を見ています。
  日本人のサブ解析では20%以上の方にdyspepsiaが見られますので、処方前に可能性として説明した方が良いかもしれません。

4)ワーファリンからの切り替えの場合、INR2.0未満を確認してからのしばりが気になる
  添付文書の使用上の注意に上記があるため、もし患者さんが希望された時点でINRが2.0以上だった場合、ワーファリンを減量し、再度INRを測定し直すという作業が必要となります。その際、あまりに減量しすぎるとINRが下がりすぎてしまうため、やや注意が必要です。ただ、INR2.0以上といっても多くの場合、2.6を超えていることはないと思います。2.0〜2.6程度であれば、ケースにもよりますが、当院の場合ワーファリンを0.25mg減らして、1週間後再検査を受けていただければほとんどの場合、2.0未満に下がると考えています。0.5mg減らしても良いと思われますが、ケースによっては下がりすぎる場合もあります。この辺の下がり具合は、症例ごとにそれまでのINRの増減から推察し、0.25減らしたほうが良いか0.5がよいか見極める必要があると思われます。減らしすぎて長期間放置しておくことはリスクを伴いますので、できれば数日〜1週間後に再検査をするようにしています。

5)110mgx2か150mgx2かの選択
 この点に関しては、以前のブログに書きました。今後知見の集積により迷わずに済むようになることを期待しています。

6)内視鏡検査等の際、まだ他科の医師に存在が周知されていない
  今後、内視鏡検査の際ワーファリンから積極的に切り替えようと思いますが、まだ消化器内科の先生への周知が少なく、意思疎通が必要と思われる場面がありました。これも、今後知れ渡っていけばスムーズにいくと思われます。

7)これまでの当院でのワーファリンからの切り替え状況
  これまで当院でのワーファリン服用患者さん約80名に、プラザキサへの切り替えにつきどう考えるかをお聞きしたところ、10数名が切り替えを希望し、残り60数名は保留ないし、ワーファリンのままをご希望されました。希望者の理由の多くは、「納豆が食べられる」「効果と副作用でワーファリンを上回る」というものでした。「採血しなくてよい」は意外と少ないように思いました。一方拒否の理由として「2週間処方」であることが最も多く、次いで「高価である」「今までワーファリンに慣れている」が挙げられました。詳細データを近々まとめてブログにupしたいと思います。

以上は、あくまで当院における状況です。またこれらは発売初期特有の問題や、当院が循環器科標榜施設であること故の感想であることはお断りしておかねばなりません。各医療期間で様々なケースがあり、それぞれの感想や工夫があろうかと思います。今後そうした知見を積み重ね情報を共有していきたいと思います。
by dobashinaika | 2011-05-11 22:57 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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