Heart Rhythm ４月号より

Inducibility of atrial fibrillation in the absence of atrial fibrillation: what does it mean to be normal?

背景：心房細動のカテーテルアブレーションのエンドポイントとして心房細動の誘発性が用いられるが、正常者の誘発率は不明である。上室頻拍のアブレーション施行後に、心房細動の既往のない患者に心房頻回刺激を行い誘発率を検討した。

方法：・上室頻拍アブレーション終了後に、心房細動の既往のない８６名に２つのプロトコールで心房刺激を施行した。
・プロトコール１：冠静脈洞開口部から３種類の頻度で５秒間頻回刺激を施行
・プロトコール2：冠静脈洞開口部から250ｍsecより初めて、刺激頻度を徐々に短縮し、１：１捕捉がなくなるまで施行
・このプロトコールを３回繰り返す

結果：１）プロトコール１では3名(3.5%)で心房細動が誘発された
２）プロトコール2では22名(25.6%)で誘発され、16名(18.6%)では心房細動が持続した
３）プロトコール2では、1：1心房捕捉が180msec未満の例でより心房細動が誘発されやすかった(21/63 vs. 1/23; P = .006)

結論：刺激頻度を短縮させていく刺激プロトコールを用いると、心房細動の既往がない例でも26％で誘発が認められた。この所見は、アブレーション後のエンドポイントとして、心房細動の誘発性の妥当性を評価するにはさらなる研究が必要であることを示唆している。

###電気生理学検査をしていると、心房細動がなくても心房刺激で誘発されてしまうことはときに経験します。心房刺激時の不応期は、それより前の連結期に依存するので、頻度をだんだん短縮すると不応期も短くなり、1：1捕捉されやすくなりますので、それだけ誘発されやすいと推測できます。既往のない人で25.6％の誘発率ですから、それまで心房細動で悩んでいた方に、アブレーション直後に高頻度刺激をする意味は確かに少ないかもしれません。