仙台市内避難所での診療
本日午後、当院は休診でしたが、その時間を利用して、仙台市内の避難所を何カ所か巡回させていただきました。
巡回したのは、若林区のある先生から情報を伺っていた、若林区六郷地区です。
まず六郷小学校の保健室に出向くと、静岡からいらした保健師、看護師チーム数名が待機されていました。ここでは体育館の避難はなく、4つくらいの教室に数名ずつ避難されていました。皆さん比較的お元気でしたが、血圧を測るとやはり高い方がいらっしゃいました。また最近心臓手術をされた方がおられたため、気をつけたいことをお話しいたしました。
次に420名と、市内最大の人数が避難されている六郷中学校に行きますと、臨時の診療所が開設されており、堺市などから数日交代の予定で派遣された医師あるいは、看護師が数名、避難所から受診される方の診療をしておられました。薬剤も豊富に常置されているとのことで,大変心強く感じました。
その後、体育館と武道館、JA六郷の集会室を回りましたが、各所のリーダーの方(町内会長さんなど)にメガホンで医師が来た旨のアナウンスをしてもらいますと、何人かの方が手を挙げられ、体調の不良を訴えられました。風邪症状、下痢、不眠といった訴えが多かったのですが、開設されている診療所には行かずに様子を見ている方も多く、中には、37.5度の発熱の方、昨日から下痢が頻繁な方もいて、早めに診療所を受診するよう促しました。また血圧を気にする方が多く、一人の方の血圧を測っていると数人の列ができるという感じでした。
また,こちらから声をかけて初めて、今現在不眠で悩んでいる、余震のたびに心配といった悩みをお話しされるかたも数人おられました。
糖尿病の持病があり普段インスリンを自分で注射している方で、インスリンがなくなったにもかかわらず、かかりつけ医が遠いため受診していない方がおられ、早急に連絡を取るよう保健師の方に手配をお願いする場面もありました。
今日巡回して感じたのは、避難されている方は、一見明るく気丈に見えますが、こちらから声をかけるとやはり大きな不安、あるいは思いがけない医療上のトラブルを抱えている場合があるということ。また同じ避難所内に診療所が開設されているにもかかわらず、様々な理由で受診を控えている方もいるということ。話しを聞く、血圧を測るだけでも、安心したと言っていただけたこと、などなどです。今後この地区の避難所も、新学期の開始などのため、集約化が見込まれているとのことで、そのことに伴う不安を口にする方もおられました。
今後、長期にわたる避難所の「日常」をきめ細かく支えていくには、各避難所を回り、膝を突き合わせての診療が必要だと思います。現在、仙台市内だけでもまだ67カ所の避難所に4,051名の方が避難されています(参考資料)。仮設住宅への移住が次のステップですが、人数からみて今後避難所生活を長期に強いられる方が、まだまだおられると思われます。われわれ地元の医師は、その地の利を生かしながら、各避難所のニーズをとらえ、長期的な視野で系統的に対応していく必要があることを痛切に感じました。
巡回したのは、若林区のある先生から情報を伺っていた、若林区六郷地区です。
まず六郷小学校の保健室に出向くと、静岡からいらした保健師、看護師チーム数名が待機されていました。ここでは体育館の避難はなく、4つくらいの教室に数名ずつ避難されていました。皆さん比較的お元気でしたが、血圧を測るとやはり高い方がいらっしゃいました。また最近心臓手術をされた方がおられたため、気をつけたいことをお話しいたしました。
次に420名と、市内最大の人数が避難されている六郷中学校に行きますと、臨時の診療所が開設されており、堺市などから数日交代の予定で派遣された医師あるいは、看護師が数名、避難所から受診される方の診療をしておられました。薬剤も豊富に常置されているとのことで,大変心強く感じました。
その後、体育館と武道館、JA六郷の集会室を回りましたが、各所のリーダーの方(町内会長さんなど)にメガホンで医師が来た旨のアナウンスをしてもらいますと、何人かの方が手を挙げられ、体調の不良を訴えられました。風邪症状、下痢、不眠といった訴えが多かったのですが、開設されている診療所には行かずに様子を見ている方も多く、中には、37.5度の発熱の方、昨日から下痢が頻繁な方もいて、早めに診療所を受診するよう促しました。また血圧を気にする方が多く、一人の方の血圧を測っていると数人の列ができるという感じでした。
また,こちらから声をかけて初めて、今現在不眠で悩んでいる、余震のたびに心配といった悩みをお話しされるかたも数人おられました。
糖尿病の持病があり普段インスリンを自分で注射している方で、インスリンがなくなったにもかかわらず、かかりつけ医が遠いため受診していない方がおられ、早急に連絡を取るよう保健師の方に手配をお願いする場面もありました。
今日巡回して感じたのは、避難されている方は、一見明るく気丈に見えますが、こちらから声をかけるとやはり大きな不安、あるいは思いがけない医療上のトラブルを抱えている場合があるということ。また同じ避難所内に診療所が開設されているにもかかわらず、様々な理由で受診を控えている方もいるということ。話しを聞く、血圧を測るだけでも、安心したと言っていただけたこと、などなどです。今後この地区の避難所も、新学期の開始などのため、集約化が見込まれているとのことで、そのことに伴う不安を口にする方もおられました。
今後、長期にわたる避難所の「日常」をきめ細かく支えていくには、各避難所を回り、膝を突き合わせての診療が必要だと思います。現在、仙台市内だけでもまだ67カ所の避難所に4,051名の方が避難されています(参考資料)。仮設住宅への移住が次のステップですが、人数からみて今後避難所生活を長期に強いられる方が、まだまだおられると思われます。われわれ地元の医師は、その地の利を生かしながら、各避難所のニーズをとらえ、長期的な視野で系統的に対応していく必要があることを痛切に感じました。
by dobashinaika
| 2011-03-31 23:24
| 3.11
|
Comments(0)
土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
●医療法人土橋内科医院
●日経メディカルオンライン連載「プライマリケア医のための心房細動入門リターンズ」
●ケアネット連載「Dr,小田倉の心房細動な日々〜ダイジェスト版〜」
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