皮下植え込み型の自動心房細動検出デバイスは、感度は良好だが偽陽性が課題
Europace2月16日オンライン版より
Performance of an implantable automatic atrial fibrillation detection device: impact of software adjustments and relevance of manual episode analysis
Europace (2011) doi: 10.1093/europace/euq511
目的:心房細動の解析アルゴリズム機能を持つ植え込み型ループレコーダー(ILRs)の臨床的価値につき、7日間ホルター心電図を比較する。
方法:
・発作性心房細動があり、ILRsが植え込まれた連続64例。
・各エピソードは、‘no AF', ‘definite AF', ‘possible AF' (non-diagnostic)に分類されるが、それらを定期的にマニュアルで呼び出した
・解析はソフトウエアのバージョンアップの前と後とで行った
・カテーテルアブレーションを受けた51例において、連続7日間ホルター心電図を施行し、ILRと比較した
結果:
1)計333のデータ呼び出しが行われた(バージョンアップ前203、後130)
2)心房細動の誤認識はアップグレイドにより72%から44%に減少した(P= 0.001)
3)「non-diagnostic」は38%から16%に減少した(p=0.001)
4)ホルターに比べ、ILRsは心房細動再発をこうりつ高率に認識する傾向にあった(31 vs. 24%; P = 0.125)
結果:ILRsは従来のモニターより心房細動認識率が高かった。偽陽性が診療的価値の障害となった。技術性、操作性の開発が偽陽性を減少させるために必須である。
###元々は原因不明の失神の診断デバイスとして開発されたもの(メドトロニックのReveal XT)で、大きさは62x19x8mm、重さ15gです。左鎖骨下に小切開を入れて単に押し込むだけで装着されます。発表当初の論文では感度良好とのことでしたが、今回の長期的成績では、false positiveが多いようです。偽陽性は筋電図またはT波のオーバーセンシングとのことです。
アブレーション後の再発確認などに有用と思われますが、さらなるアルゴリズムの開発が望まれます。

Performance of an implantable automatic atrial fibrillation detection device: impact of software adjustments and relevance of manual episode analysis
Europace (2011) doi: 10.1093/europace/euq511
目的:心房細動の解析アルゴリズム機能を持つ植え込み型ループレコーダー(ILRs)の臨床的価値につき、7日間ホルター心電図を比較する。
方法:
・発作性心房細動があり、ILRsが植え込まれた連続64例。
・各エピソードは、‘no AF', ‘definite AF', ‘possible AF' (non-diagnostic)に分類されるが、それらを定期的にマニュアルで呼び出した
・解析はソフトウエアのバージョンアップの前と後とで行った
・カテーテルアブレーションを受けた51例において、連続7日間ホルター心電図を施行し、ILRと比較した
結果:
1)計333のデータ呼び出しが行われた(バージョンアップ前203、後130)
2)心房細動の誤認識はアップグレイドにより72%から44%に減少した(P= 0.001)
3)「non-diagnostic」は38%から16%に減少した(p=0.001)
4)ホルターに比べ、ILRsは心房細動再発をこうりつ高率に認識する傾向にあった(31 vs. 24%; P = 0.125)
結果:ILRsは従来のモニターより心房細動認識率が高かった。偽陽性が診療的価値の障害となった。技術性、操作性の開発が偽陽性を減少させるために必須である。
###元々は原因不明の失神の診断デバイスとして開発されたもの(メドトロニックのReveal XT)で、大きさは62x19x8mm、重さ15gです。左鎖骨下に小切開を入れて単に押し込むだけで装着されます。発表当初の論文では感度良好とのことでしたが、今回の長期的成績では、false positiveが多いようです。偽陽性は筋電図またはT波のオーバーセンシングとのことです。
アブレーション後の再発確認などに有用と思われますが、さらなるアルゴリズムの開発が望まれます。

by dobashinaika
| 2011-02-18 22:33
| 心房細動:リアルワールドデータ
|
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土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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筆者は、2013年4月以降、ブログ内容に関連して開示すべき利益相反関係にある製薬企業はありません
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