雑誌American Heart Journal１月号から

背景：BNP（脳性ナトリウム利尿ペプチド）は、心房細動の予測因子であるが、カテーテルアブレーション後の再発を予測するかどうかは定かでない。

方法：カテーテルアブレーションを施行した、薬剤抵抗性症候性心房細動患者８７人を対象に、術前のNT-proANP、NT-proBNP、左房容量、左室容量、左室機能を評価した。６ヶ月の追跡期間で、心房細動の心電図記録あるいはホルター心電図で３０秒以上持続する心房細動を再発と定義した。

結果：
１）期間中、６６人（７６％）が洞調律だった。３２人（２４％）で再発した。
２）再発例では、洞調律例に比べ有意にANP,BNPが高かった。：NT-proANP 3.19 nmol/L [2.55-4.28] vs 2.52 nmol/L [1.69-3.55], P = .030; NT-proBNP 156.4 pg/mL [64.1-345.3] vs 84.6 pg/mL [43.3-142.7], P = .036)
３）NT-proBNPは再発の独立した危険因子であった。NT-proANPはそうではなかった。
４）NT-proBNPは左房径、左室機能等のエコー所見以上の予測価値があった。

結論：ベースラインのNT-proBNPはアブレーション後の心房細動再発の独立した予測因子である。

###以前BNPが心房細動発症の予測因子であるという論文を紹介しましたが、今回はアブレーション後の再発も予測し得るとのことです。心房細動においてBNPは心房由来であり、心房の機能を反映していると言われています。術前から心房に負荷のかかっている例ほど再発しやすいということだと思われます。ただ、予測因子であることはわかったとして、臨床家としてはカットオフ値を知りたいところです。すなわちいくら以上だとより高い確率で再発するか、またはその逆かです。アブストラクトしか読んでおりませんが、原文が入手できたらまたお知らせします。