フレイル高齢心房細動患者では,ビタミンK拮抗薬をDOACに切り替えると出血事象が69%増加。FRAIL-AF試験
Safety of Switching from a Vitamin K Antagonist to a Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulant in Frail Older Patients with Atrial Fibrillation: Results of the FRAIL-AF Randomized Controlled Trial https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.123.066485Circulation. 2023;0
8月25日,アムステルダムで行われた欧州心臓病学会(ESC)学術集会で,ユトレヒト大学(オランダ)から大変注目すべき報告がありました。なおDOACについては,原文を尊重しNOACと表記します。
背景 :
フレイル合併心房細動患者においてビタミンK拮抗薬(VKA)内服をNOACに切り替えるべきかどうかは明確な答えがない。
方法:
・フレイル(年齢75歳以上+GFI(Groningen Frailty Indicator)スコア3以上)を有する外来管理の高齢AF患者
・INRガイド下VKA治療からNOAC治療に切り替える群 (NOAC切り替え群)と,VKA治療を継続する群 (VKA継続群:アセノクマロール、フェンプロクモン)に無作為に割り付け
・VKA中止後「INR<2.0」ならDOAC開始。出血多発のためのちに「INR<1.3」に変更
・GFRが30mL/min/1.73m2未満の患者や弁膜症患者は除外。追跡期間は12ヵ月。
・主要アウトカム:大出血または臨床的に対応を要する非大出血合併症
・副次的アウトカムには血栓塞栓イベント,総死亡などが含まれた。
・死亡を競合リスクとして考慮、。intention-to-treat解析
結果:
1) 1,330例(平均年齢83歳、GFI中央値4)。NOAC切り替え群662例、VKA継続群661例。
2)163例の主要転帰イベント(切り替え群101例、継続群62例)の後、試験は事前設定された無益性のため中止
3)主要アウトカム:NOAC切り替え群(15.3%)でVKA継続群(9.4%)に比べ有意に高い(P=0.00112), HR=1.69(95%CI 1.23-2.32)。
4)血栓塞栓イベント:有意差なし。HR=1.26(95%CI 0.60~2.61)
結論 :フレイルのある高齢心房細動患者において、INRガイド下VKA治療をNOACに切り替えることは、VKA治療を継続することと比較して出血性合併症の増加と関連したが、血栓塞栓性合併症の減少は関連しなかった。
COI:オランダ政府ならびにDOAC製造企業4社から資金提供
### 本研究の要旨は,「フレイル高齢心房細動患者を対象としたRCTにおいて、INRガイド下VKA管理をNOACベースの治療戦略に切り替えると、大出血および/またはCRNM出血合併症が69%増加した」という驚くべきものです。
まずいくつかの知りたいポイントの確認です。
1)フレイルの程度:今回採用の指標であるGroningen Frailty Indicatorは,日常活動(買い物、外出、更衣、トイレ移動)、健康問題(身体的健康、視力、聴力、体重減少、4剤以上の服薬、記憶)、心理機能(空虚感、孤独、見捨てられ感、落胆、不安)といった3ドメイン、15項目を検討し、4項目以上問題を抱える場合、フレイルと判定するものです。
実際には,「常時4種以上の薬剤を服用が80%以上」「視覚や聴覚異常が半数」「記憶力低下の訴えが40%弱」「家の周りの歩行不可が17%」といったかなり虚弱な患者層が浮かび上がります。
2)NOACの種類:ダビガトラン57例(8.6%)、リバーロキサバン332例(50.2%)、アピキサバン115例(17.4%)、エドキサバン109例(16.5%)。情報欠落3例(0.5%)。切り替え群にも関わらず切り替えられなかった例22例(3.3%)
3)出血部位:消化管出血: 切り替え群17例(2.6%)vs. 継続群4例(0.6%)、泌尿生殖器出血20例(3.0%) vs. 11例(1.7%)。出血性脳卒中:切り替え群7例(1.1%)vs. 継続群6例(0.9%)。皮下出血:切り替え群23例(2.6%)vs. 継続群4例(0.6%)
4)継続群のINR管理状況: 個々の患者のTTR(目標INR到達時間)は記録されていないが,INR測定のために自宅を訪問する高齢者(したがって最も虚弱な患者)のオランダ臨床におけるTTR値の範囲は65.3%~74.0%であり(年次品質報告書の一部として測定),またオランダはTTR管理のインフラ整備が進んだことで知られている。本文中にあるように,ARISTOTLE試験集団で検討した結果、オランダから登録された患者のTTRは試験平均値中央値付近の66.4%とかなり良好。それを考えると4RCTとほぼ同等と見て良い。
5)NOAC間のアウトカムの差異:リバーロキサバンとアピキサバンでは同様(HR 1.95、95%CI 1.36〜2.79、HR 2.17、95%CI 1.28〜3.68)、エドキサバンでは顕著に低い(HR 1.10、95%CI 0.57〜2.13)。ただしこれらの解析はポストホックで無作為化されていないため、慎重に解釈されるべきである(本文中の記載から)。
さて,NOACのRCTのサブ解析を見ても,フレイル症例でも一貫してNOACの安全性,有効性が示されており,本年のESCのコンセンサスステートメントではなんと「NOACの恩恵はフレイル例でより大きい」 とまで記されています。
それなのにこの結果,どう解釈したらいいのでしょう。
1)対象の違い:まず患者対象がかなり違います。本研究は平均年齢83歳に対し,4RCTはいずれも70代前半。しかもフレイルの程度が上記のように,半端ではない(4RCTで弾かれた例がかなり含まれていると思われる)。
2)VKA継続例はずっと(期間は不明だが心房細動罹患期間は平均12−13年)VKAを服用していた例なのに対し,4RCTはVKAナイーブ例も多く含む。ということはVKAで長期間うまく行っている症例が多く含まれていた可能性は大きい。
3)NOACの種類に偏りあり。比較的皮下出血の多いとされるリバーロキサバン服薬例が50%を占める
とはいえ次の点にも注意です。
1)TTRは良好だった(らしい)。(特に日本に見られるように)VKAの管理がどうしても甘くなりがちなケースは少ない。つまり若干低めのなんちゃってワーファリン例は少ない模様
2)KM曲線が乖離し始めるのは開始後100日よりやや前。ということは切り替えることそのものにより出血リスクが増加した可能性は低い。
3)RCTのサブ解析はあくまでサブ解析。これだけのフレイル例を無作為割付した試験は他に類を見ない。
以上を踏まえての私見と,行動変容につき述べてみましょう。
まず,以前からワルファリン服薬例をNOACに変更した場合,皮下出血や消化管出血は多くなる印象は確実にありました。そういった印象を持っている臨床家はかなり多いものと思われます。またNOACの前向きあるいは登録研究のいくつかで,やはり皮下出血,消化管出血がワルファリン服薬例に比べて多いという報告はありました。今回はそのことを,とくにフレイル(しかもRCTに組み入れられないようなかなりの)に対象を絞り,きっかりRCTを行ったことがこうしたある意味驚くべき結果を引き出し,「やられた」感を醸し出したものと思われます。
一方,とはいえ,TTRがきっちり管理されている比較的優良な継続群あっての結果ということもできます。論文では認知症の程度や,独居かどうか,服薬アドヒアランスについては触れられていませんでした。実臨床で,これまで遭遇したワルファリン服用中の高齢者出血症例。それはとりも直さずINRが安定しない患者さんです。そしてそのもとをたどるとアドヒアランス不良かまたは食生活の不安定な方といった像浮かび上がります。INRを上げる因子は飲み過ぎ,あるいはビタミンK不足,さらに遺伝的な理由でビタミンKサイクルが不安定なケースと思われます。
そうしたケースが,比較的少ない集団だった可能性が考えられます。
一方,今回脳出血や死亡は有意差がなく,消化管出血と皮下出血が両群の差を牽引した形になっており,脳出血ほど重大ではないといった印象を与えるかもしれません。しかしながら今回対象の高齢者フレイル症例では,消化管出血あるいは皮下出血はそれだけで全身状態の悪化につながることをよく経験します。決して侮るべき事象ではありません。
「従来からINR管理良好なVKAを飲んでいるフレイル高齢者は,あえてNOACに変更しなくても良い(無理してしないが良い)」というのが今回のmy take home messageです。それにしても久々にインパクトのある研究でしたね。
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by dobashinaika
| 2023-08-30 22:39
| 抗凝固療法:ワーファリン
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左心耳閉鎖術に関するコンセンサス・ステートメントのまとめ
Society for Cardiovascular Angiography & Interventions/Heart Rhythm Society (SCAI/HRS) から,左心耳閉鎖デバイスについてのコンセンサスステートメントが出ています。ACCのまとめサイトより。
1. 心房細動(AF)は虚血性脳卒中のリスクを4~5倍上昇させ、米国で年間70万件発生する脳血管障害の25%を占めると言われている。
2. 歴史的に、心房細動における脳卒中予防の標準治療は経口抗凝固療法(OAC)であったが、患者、処方者、医療資源の問題が多く、このセッティングでのOAC使用は制限されている。この治療ギャップのために、非弁膜症性心房細動患者における脳卒中予防のための有効かつ安全な非薬物療法に対するunmet clinical needが生まれ、LAACの分野に拍車がかかっている。
3. 経カテーテル的LAACは、血栓塞栓リスクの高い非弁膜症性心房細動患者であって、長期のOACが適さず、LAACの恩恵を受けられるだけの余命(最低1年以上)とQOLがある患者に適切である。意思決定の共有のために、患者と医療者の話し合いが必要である。過去20年間で、経カテーテル血管内治療(LAAC)の分野は急速に拡大し、無数の機器が承認または臨床開発中である。
4. LAACを実施する医師は、50回以上の左側切除術または構造的処置、25回以上の心房中隔穿刺(TSP)を含む経験を有するべきである。インターベンショナルイメージングの医師は、LAACを単独でサポートする前に、25回以上のTSPをガイドする経験を持つべきである。
5. 技能の維持のために、施行医は2年ごとに25回以上のTSPと12回以上のLAACを実施する必要がある。新しいプログラムおよびLAACの経験が浅い医師は、オンサイトの心臓血管外科のバックアップを受けるべきである。
6. LAACの前に、経食道心エコー(TEE)または心臓CTによるベースライン撮影を行うことが推奨される。また、TEEまたは心臓内エコーによる術中画像ガイダンスも推奨される。
7. 静脈アクセス、抗凝固療法、TSP、デリバリーシースの選択と配置、左房圧測定、デバイスの展開など、手技の技術的側面は、特定のLAACデバイスの分類に従って実行する必要がある。術者は、LAACに関連する手技的合併症の回避、認知、管理について熟知している必要がある。
8. 退院前の画像診断では、心嚢液貯留やデバイスの塞栓を除外するために、2次元経胸壁心エコー検査を実施すべきである。数時間の観察でLAAC後の合併症や心嚢液貯留がないことが確認されれば、当日退院が適切であろう。
9. デバイスに関連した血栓は抗凝固療法で治療する必要がある。45~90日間隔で繰り返し撮像を行い、抗凝固療法を中止して消失するかどうかを評価することができる。LAACに関連した異所性心房中隔欠損のルーチンの閉鎖は、実施すべきではない。
10. LAAC後の抗血栓療法として、ワルファリン、直接経口抗凝固薬、抗血小板薬2剤を、検討されたレジメンと各装置の使用説明書に従って、各患者の出血リスクに合わせて処方すべきである。
11. LAAC後45~90日目に、デバイス周囲のリークやデバイス関連の血栓を評価するため、TEEまたはCCTが推奨される。
12.L AACと組み合わせた処置(例:構造的介入、肺静脈隔離)は、進行中のランダム化比較試験からデータが得られていないため、日常的に推奨されていない。
### プライマリ・ケア医としては,どんな症例が適応なのかが気になります。
日本の適応基準は,以下のとおりです。
前提として「CHADS2スコアまたはCHA2DS2-VAScスコアに基づく脳卒中および全身性塞栓症のリスクが高く,長期的に抗凝固療法が推奨される患者にのみ考慮されるべきであり,これらの患者のうち以下の要因の1つまたは複数に適合する患者に対して,長期的抗凝固療法の代替として検討される治療である.」があり,その上で
・ HAS-BLED スコアが 3 以上の患者
• 転倒にともなう外傷に対して治療を必要とした既往が複数回ある患者
• びまん性脳アミロイド血管症の既往のある患者
• 抗血小板薬の 2 剤以上の併用が長期(1年以上)にわたって必要な患者
• 出血学術研究協議会(BARC)のタイプ 3 に該当する大出血の既往を有する患者
となっています。
BARCスコアのタイプ3とは以下です。
Type3a:明らかな出血+出血に関連したヘモグロビンの低下3~5 g/dL.明らかな出血に伴う輸血.
Type3b:明らかな出血+ヘモグロビンの低下≧5 g/dL,心タンポナーデ,外科的介入を要する出血(歯科/鼻/皮膚/痔を除く),血管作用薬の静注を要する出血.T
ype3c:頭蓋内出血,剖検,画像検査,または腰椎穿刺により確認されたもの,視力の損傷を伴う眼内出血.
日本の基準は,このBARCスコアが入ってることがポイントです。
ESC2020および米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)2019年AFガイドラインでは,CHA2DS2-VAScが2以上(男性)または3以上(女性)で,出血の既往、転倒リスク、コントロールされていない高血圧、腎不全または肝不全、アルコール使用、抗血小板薬または非ステロイド薬の併用、高リスクの職業、コンプライアンス違反、不安定なPT-INR、OAC不耐性/アレルギー、薬物相互作用を含む出血リスクの増加(例:HAS-BLEDスコア3以上)またはOAC不耐性であることが必要とされています。
デバイスの進歩と,ラーニングカーブで安全性の向上が著しい分野ですが,適応については悩ましいケースがまだあります。術後の抗血栓療法も気になります。胸腔鏡下左心耳切除術との比較も知りたいところです。
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by dobashinaika
| 2023-06-10 07:29
| 心房細動:左心耳デバイス
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患者ー医療者間の「心房細動体験」に関するギャップ:家庭医療分野での質的研究(重要な論文です)
家庭医療の分野から。心房細動の患者体験と医療者体験のギャップに関する論文です。水本潤希先生の「プライマリ・ケア/総合新郎の最新論文70」にインスパイアされ書いてみました。個人的には最近の心房細動関連論文の中でも最重要と思われます。
目的;心房細動に特化しての患者の不安と、医療者の理解や治療アプローチとを(そのギャップを)比較した検討はこれまでなし。
方法:
・患者(3グループ)および医療従事者(3グループ)を対象としたフォーカスグループを用いた定性的デザイン・ファシリテーターによる質問形式
・心房細動患者29名,循環器内科医、プライマリケア医、心臓病看護師24名
・患者での質問:「心房細動の症状と生活への影響」、「治療経験、ライフスタイルの変化、治療目標」、「治療による症状への対処の程度」
・医療従事者への質問:「症状とその患者への影響に関する認識」,「治療アプローチに関する見解」、「治療による症状改善度」
結果:
症状:
・医療者;非特異的で曖昧→治療の際困る
・患者:胸痛、筋肉疲労、体力低下,ブレインフォグ,むくみなど幅広い症状あり
・両者とも疲労、動悸、息切れを一般的症状として認識している点では共通
・患者は(治療による)後遺症や副作用と捉えることがある
・医療者は胸痛をより深刻に捉える
生活への影響:
・医療者:心房細動自体または治療そのものが,患者の QOL、幸福感、身体活動レベルに影響することを認識しているが,医療者が安心感を提供する役割は大きと考えている。
・患者:医療者より全般的で幅広い影響を考えている。
・人生全体への影響,各レベルでの生活上の制限。その制限に対する恥ずかしさ,家族の無理解への不満,予測不能なことに対する不安
・一方で影響を最小限にし,うまくやっているという人もいる
治療の経験と目標
・医療者:洞調律化が最大の目標。一方で治療効果については判定の困難さを感じる
。患者:各種治療でも改善効果がないことへの不満あり。モルモットにされている感覚。
ゴールに対するギャップ
・医療者;洞調律の回復を第一の治療目標
・患者:全体的なQOLを重視し、薬の副作用を症状と同じくらい煩わしいと感じる。薬の量削減や自然療法を追求することもある
心房細動の治療と管理におけるギャップ
・医療者:心房細動そのものの症状(動悸など)と,不安症状との鑑別困難を感じる
・患者;同様に疾病によるのか不安によるのかわからない
。心房細動についての知識,生活への影響,症状への対処法について知りたかった
・自分で調べることを重視する人もいる
・患者グループ,経済的支援に対する希望あり
### 心房細動患者さんに出会ったら,私たち医療者は,ガイドラインのABCパスウェイにあるように,抗凝固療法,リズム/レート管理,リスク/併存疾患管理と次々に頭に思い浮かびますが,いっぽう,患者さんの視点に目を向けると症状から来る不安,生活への影響,生活機能低下に伴う様々な感情,治療への不満や自らのアクションなどがまず第一に問題となります。医療者と患者の視点の違い,ギャップについて質的研究(フォーカスグループ)で明らかにしたものです。
心房細動に特化した本論文のポイントとしては,以下です。
1)症状として:医療者,患者とも動悸(心房細動そのもの由来)か不安(心理的なもの)か判別困難
2)症状として:医療者は胸痛を訴えれば重大と考える。患者は実に幅広い症状を感じ,治療時の症状を副作用や後遺症と考えやすい。
3)生活への影響として:医療者は,自らの言葉で安心を与えられると感じているのに対し,患者は人生全体あるいは予測不能なことへの不安など多様な不安を抱える
4)治療上のゴールに関するギャップとして:医療者は洞調律化が主な目標だが,患者はQOLの向上と薬剤低減,自然治療をめざす
5)治療と管理におけるギャップとしては:医療者は症状と不安の区別をしたい(上記)。患者はもっと知識と人的経済的サポートがほしい
たとえば,先日当院の患者さんで,医学的に適応と思われる方にカテーテルアブレーションをおすすめしたとき,動悸はあるけれども「怖い」「今のままで良い」などの理由で頑なに拒む方がおられました,私たち医療者はそういった場合,「そういう神経質な人」「将来の事を考えられない人」というように,医師の世界とは「異文化な人」としてその人を片付けてしまいがちです。
通常,私たちは,多くの場合まず「心房細動」という確固たる疾患が実在していると考えます「心房細動」という単一の病気があって,そこから症状や不安,機能障害が患者さんの中で二次的に派生してくる。医療者側は,患者さんの心房細動に対する捉え方を「その患者さんの文化」として「解釈」する。医療者の文化にマッチしない場合,「そういう人」としてそこで思考停止してしまう。
心房細動という一つの病態概念→それに対する患者の受け止め方(症状,不安,生活機能障害など)→それを医療者の解釈,というフローが一デフォルトになっていると思われます。そしてこの「解釈」のもっとも客観的にしたものが医学であり科学であると思われます。
この論文は,こうしたデフォルトの構図を根本から変革することを迫ります。つまり「心房細動」という確固たるものがあり,それへの受けとめ方が多様である(しかしそれも患者さんごとに確固としてある)ととらえるのでなく,その人その人の病態と感じ方,とらえ方を含めた「心房細動体験」というものがあり,それがどんなもので,どんな背景から成り立っているのかを,患者さんとともに考えていく,という視点です。
私たちが,患者さんの病態を「どう知るのか」ではなくて,患者さんの「心房細動体験」が「どのようなものであるのか」を考える。しかも患者さんとともに。
上記の人に対し,たとえばなぜアブレーションを受けたくないのかについて,まず対話してみると,意外なことが明らかになることがあります。ある方は,対話を重ねていくうちに,実は一人暮らしで,猫と飼っているのだが,入院するとお世話をしてくれる人がいなくなる,ペットホテルはお金がかかる,隣に住む兄は猫に無関心で受け入れてくれそうにない,などの思いが浮かび上がってきたのです。
おそらくこうした「思い」は,最初から明確に患者さんの心のなかに存在しているのではなく,対話する中で,言語としてあらわになってくるもののように思われます。アブレーションを受けたくないという精神状態は,たぶんなんとなく「受けたくない」というもやもやしたものであって,対話により言語化することで輪郭が現れていくる。という感じです。もちろんその現れ方は対話とともにまた生成変化していくことになります。
私たちは,患者さんの医学的な病態も,あるいは患者さんの思いをも「もともと明確に存在したもの」としてとらえ,「それもよくあること」としてパターン化しがちです。そこから脱却して,患者さんの「心房細動体験」を,患者さんとともに探っていき,ともに体験する・・・
ちょうど,人類学者アネマリー・モルの「ケアのロジック」を読んていたところでしたので,それに啓発されてここまで発想を逸脱させてみました。
パターン化思考が染み付いている私達医療者にとっては,超難問であり,私自身手探り状態なのですが,できる限りこうした視点をベースにしていきたいとと考えます。そしてそれには現行の診察室ベースや,患者ー医者の1 to 1対話というフレームは限界があり,別の例えば多数での対話のようなフレームが必要だと考えます。
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by dobashinaika
| 2023-04-26 07:27
| 心房細動診療:根本原理
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心房細動における認知症の評価と治療のまとめ:AFNET/EHRAコンセンサス会議から
引き続き,第8回AFNET/EHRAコンセンサス会議の報告から,認知症と心房細動についてです。番号は元論文内の文献番号です。
<心房細動における認知機能障害の評価と治療について>
・心房細動における認知症の原因は:
1)脳卒中(無症候性脳虚血を含む)2)それ以外53,54:全身性炎症、 慢性脳低灌流55 、 薬剤の副作用56。
・心房細動は認知障害や認知症の負担に直接関与し、 介護者や社会にとって間接的に大きく影響6,57。
・認知機能の評価を考慮した統合的な心房細動管理は、認知症のリスクを低減できる1 。
・しかし、観察研究が多く、心房細動治療を認知症予防の関連は、確立されていない。ただしいくつかの無作為化試験が進行中(表1)。
・ESC の 2020 年ガイドラインに具体的な推奨事項がなく1 、医師が心房細動の認知機能への影響について認識していないことが、臨床現場における大きなハードル
・患者、その家族・介護者、そしてプライマリケア医の関与が必要。
・逆に、認知症患者(図4)では、高血圧や糖尿病などの危険因子を共有し、心房細動が発見されないと認知機能がさらに低下する可能性があるため、心房細動のスクリーニングは妥当。
心房細動と認知機能障害(または認知症)の3つの一般的な症例に関するフローチャート:
(i) 心房細動が判明しているが、精神状態に問題のない患者、 (ii) 認知障害が判明している患者、 (iii) 心房細動と認知障害の両方が判明している患者。心房細動が判明している患者については、認知機能の簡単なテストにより、認知障害の原因を評価し、可逆的な原因に対して治療を開始するための詳細な評価の必要性を確認することができる。同様に、認知機能障害を呈する患者は、心房細動の機会ごとにスクリーニング(脈拍触診、最終的には心電図)を受け、心房細動が発見された場合は、欧州心臓病学会が推奨するA-B-C (Atrial fibrillation Better Care schemeに従って専門家によって評価・管理すべき。
<認知機能障害患者におけるマネジメントの特質>
・認知機能障害とは、成人の生涯にわたって記憶力、認識力、判断力、精神的な鋭敏さなど、1つ以上の認知能力が低下すること。
・MMSEやMoCA,神経科医による評価,MRIによる画像診断が有用
・残念ながら、認知機能障害は抗凝固療法を中止する要因の一つであり、それによって脳卒中や死亡のリスクが高まる59,60。
・認知機能障害は、ビタミンK拮抗薬の至適治療域になる期間の短さと関連58。
・EAST-AFNET 4試験は、早期のリズム管理と脳卒中リスクの低下の関連を示唆するが4、早期のリズム管理が無作為化後2年の認知機能に影響するという明確なエビデンスはなし36。
・大規模コホート研究では、カテーテルアブレーション患者は、非実施患者と比較して脳卒中と認知症のリスクが減少していた61。潜在的な交絡やバイアスがあるにもかかわらず、抗不整脈薬治療と比較してアブレーションにより心房細動の負担が軽減されたことに起因している可能性あり30。
・しかし、心房細動アブレーションは、MRI を用いた研究においては、無症候性の白質病変も引き起こすとされる。
・したがって、アブレーションによって誘発される脳病変を最小限に抑え,かつ適切な抗凝固療法下でのリズム管理を考慮すべき(図 4)68。
・心血管系危険因子の特定と治療により、 認知症を減らすことができる69 。
・心房細動患者におけるライフスタイルの修正の重要性を指摘する証拠が増えつつある70。定期的な運動による認知症のリスクの低下が指摘されている71。
<心房細動患者における認知機能障害の実際と研究上の意義>
・疑いが強くなくても、心房細動患者において正しい認知機能評価を行うべきである2 。
・心房細動は認知機能障害の独立した危険因子であるため、その存在について評価すべきである。
・認知機能障害の進行を防ぐための最適な(非)医学的治療を目指すべきである73-76。
<ナレッジギャップと研究の機会>
・抗凝固療法が心房細動患者の認知症リスクの低下と関連するという新たな証拠が得られてはいるが、認知(障害)機能と心房細動およびその治療の相互作用を扱うさらなる前向き研究が緊急に必要77,78。
・逆に、リズム管理または併用疾患の治療が認知低下を抑制できるかどうかは不明
・したがって、心房細動の管理戦略を評価するランダム化比較試験では、認知機能の経過も評価する必要がある。MRIなどの評価項目も必要である。
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1)心房細動と認知機能低下の関連が示唆されている
2)心房細動患者での早期の認知症評価,および認知症患者での心房細動の検出が考慮されるべきである。
3)早期のリズム治療,抗凝固薬,統合的マネジメントが認知症低下リスクを減らすことを示唆するデータは多く取り組むべきだが,前向き研究が少ない
おおよそ以上のようなメッセージかと思われます。カテーテルアブレーションあるいはDOACが認知機能低下を抑制できるか。認知症の経過がそれ自体長期なため,前向き研究は大変ですね。本当に早期になくしてしまえばよいならアブレーションのモチベーションが上がります。もちろん心房細動だけが認知症の要因ではないので,「統合的マネジメント」が基本とされていますね。まあ,認知症予防は本当に可能なのか,すべきなのかという議論がその前にあるわけですが。。
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by dobashinaika
| 2023-04-20 07:29
| 心房細動:疫学・リスク因子
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AIによる心房細動の診断と発症予測:現状と課題:AFNET/EHRAコンセンサス会議から
・人工知能は、教師あり学習と教師なし学習の2つに大別される。
・教師あり学習では、出力や目標が定義されている(例:心電図上の洞調律や心房細動の認識など)。学習プロセスでは、ラベル付けされたデータセットを使用して、分類や回帰の問題を解決する。教
・教師なし学習では、出力の予測やラベル付けされたデータの必要性はない代わりに、パターンや構造を特定し、類似した変数をクラスタリングすることを目的として、生データがモデル化される。
・現在、教師なしディープニューラルネットワークが、最も一般的な方法だが、大規模なデータセットを必要とし、独自の論理プロセスを生成するため、複雑な説明分析手法を必要とするブラックボックスを作り出す。
・AFの分野ではAI関連論文が大量に増加しており、2016年以降、PubmedでAFとAIに関する5298件の論文がインデックスされている163。
・増加の理由として第一に、心房細動評価の二本柱である電気信号と画像信号は、機械学習アプローチに適していること。
・第二に、Computing in Cardiology challenge 2017/PhysioNetのような大規模なデータセットの作成が、AIに関する研究の展開を促進したことである164。
・AI技術は、心房細動の発生・再発予測や、マルチモビディティ患者の薬剤治療への反応に関する研究において用いられてきた165。
・例えば、ECG信号とパルスプレチスモグラフィー信号に基づく心房細動検出には、ディープニューラルネットワークが用いられてきた166-168。診断能力は従来のアルゴリズムより高い。
・AIの心房細動の心電図診断発症予測についての最近の論文→169
・ 洞調律の標準12チャンネル心電図1枚にから今後31日以内の心房細動を予測能はAIC0.87→170。
・上記アルゴリズムによる、平均寿命7.4年の高齢者のコホートでの、心房細動発症予測能は,臨床情報、ECGパラメータ、および血圧測定を組み合わせた臨床心房細動リスクスコアと同等→171.
・表4は、心房細動の治療にAIを使用する現在進行中の登録試験の一覧。
・これらのアルゴリズムは優れた予測能力がある一方、アルゴリズムがどのように動作し、診断が下されるのかについて十分な知見が得られていないことが多く、検証や一般化可能性に不確実性が残り、日常臨床への導入が危ぶまれる。
<ナレッジギャップとリサーチの余地>
・データの構成とアクセスは、研究および臨床応用の両方にとって大きな課題。
・異なるデータセットには異なるデータ保護規則が適用されるため、特にヨーロッパではアクセス性が制限される。
・データセットは多様なステークホルダー(AIツールを開発・商業化する民間企業や、開発・比較・実装を行う学術機関)によって所有・管理されている。データの利用には、データ保護と利用に関する厳格な法的枠組み(一般データ保護規則や医薬品の臨床試験実施基準など)が適用される。
・再現性のためには、アルゴリズムで生成された予測の検証のために、データアクセシビリティが重要である。また、国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)に従い、科学的透明性を確保するためにも、優れたデータアクセシビリティが要求される
・この文脈では、AIを使用したすべての前向きな臨床試験や登録が、公式の試験登録に記載されることが要求されるべきである。
・残念ながら、欧州内外の学術パートナー間のデータ共有と流通のためのプロセスが現在複雑で無秩序。
・EUは、データ戦略(Strategy for Data | Shaping Europe's digital future (europa.eu))とデジタル資産の管理およびスチュワードシップに関するFAIR(Findability, Accessibility, Interoperability, and Reuse)指導原則について声高に主張しているが、しばしば個々のプロジェクトレベルでは他の欧州および国内の規制と衝突する。
・特に、医療機器規制(MDR)の更新に伴い、診断予測ツールを使用する際の医療責任という基本的な側面も評価する必要がある。
<人工知能の臨床導入を促進するためのステップ>
・AIを用いた調査や応用の結果は、今後ますます利用できるようになるだろう。
・このようなアプリケーションは、当局の正式な規制の承認にとどまらず、その性能と使用方法を心房細動治療の現状と照らし合わせて比較する必要がある。
・このような状況は、ESCやEHRAのような専門学会によって生み出される。
・AIを用いた心房細動検出法の方法論とその意味を理解するには、情報学、計算ネットワーク、生物統計学、法的・医療法的意味合い、医学の分野の専門知識を含む特定の知識(医療経済分析を含む)が必要である。
・ESCやEHRAのような心臓病学会が、ガイダンスを作成のために、このような専門知識を備えたワーキンググループを設立・推進することが推奨される。
### AIによる心房細動の診断や発症予測の目覚ましい進歩とともに,データセットの設定,データの管理,アルゴリズムの透明化など,様々な問題をはらんでいるとの指摘ですね。個人的には,以前から述べているように,無症候性の人に,AIによる予測をどこまで,どうやって伝え,意思決定していくかに関心があります。人々のAIに対する信頼ですね。
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by dobashinaika
| 2023-04-14 07:30
| 心房細動:診断
|
Comments(0)
土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。
by dobashinaika
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