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ワルファリンの管理状況が良ければ脳卒中/全身性塞栓症はNOACとほぼ同じ:RCTのメタ解析より


疑問:ワルファリンの管理状況 (その施設のTTR=cTTR)がどの程度であればNOACに負けないか?

方法:第3相比較試験のメタ解析。一次エンドポイントが脳卒中/全身性塞栓症と大出血あるいは小出血かつ臨床的に意義ある出血 (NMCR)

結果:
1)TTRについてのサブ解析対象:71,222例

2)cTTR<60%:脳卒中/全身性塞栓症でNOAC優位 (HR 0.79, 95% CI 0.68–0.90)

3)cTTR60~70%:脳卒中/全身性塞栓症でNOAC優位 (HR 0.82, 0.71–0.95)

4)cTTR≧70%:70%未満と比べて交互作用あり (1.00, 0.82–1.23)(p = 0.042)

5)大出血:すべてのサブグループでNOACが優位。ただしcTTR≧70%では優位性ないが交互作用はなし

結論:TTR70%以上ではNOACのワルファリンに比べた有効性は低い。しかし相対的に安全性(の優位性)についてはcTTRの影響は少ない。

### ちょっとややこしいですが,TTR70%以上なら有効性はNOAC=ワルファリンは確実。安全性も同等の傾向だが統計的には断言できない。ということかと思います。

注意すべき点としてはTTRはその施設のデータなので,ひとりひとりの患者さんのデータからの結論ではないことです。
ただ,Lip先生のTTR70%ではワルファリン変えなくて良い説をある意味,裏付ける結果とは思われます。

$$$ 散歩でいつも通るご近所のバラの花がここぞと咲き誇っています。
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by dobashinaika | 2017-06-06 21:11 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

ワルファリン管理の新しい指標WCM:Circ QCO誌

Improving Anticoagulation MeasurementNovel Warfarin Composite Measure
Zayd Razouki et al
Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes.2015; 8: 600-607


背景:TTRとINR変動性 (variability)はそれぞれワルファリン管理の指標であり,独立してアウトカムに影響を与える。この2つの複合指標 (warfarin composite measure :
WCM)の有効性を検討

方法:
・対象:ワルファリン服用患者103897人,100の抗凝固クリニック
・TTRと長期のINR変動性を同等に重み付けしたWCMを開発
・アウトカム(心房細動患者40404人):虚血性脳卒中,大出血,致死的出血

結果:
1)WCMは,脳卒中,致死的出血において,最高4分位と最低4分位のはハザード比の差がTTR,INR変動性単独よりも大きかった

2)大出血にはその傾向なし

3)Kappa スコア(2つの診断ツールの一致率)じゃWCMとTTR (k=0,56),INR変動性 (k=0.62)とは中等度の相関があったが,TTRとINR変動制との相関は低かった (k=0,13)。

結論:WCMはワルファリンの合併症リスクを最大限に評価し,TTRやINRの限界をカバーする効果が有る。抗凝固クリニックの優先順位がこの指標を選ぶことにより変化した

### INR変動性 (variability)がはじめて提唱された論文はこちらです。
Comparison of control and stability of oral anticoagulant therapy using acenocoumarol versus phenprocoumon.

何の事はない,対象範囲内での標準偏差です。これを元にINR変動性の有用性を同じ筆者ら既に報告しています(ブログに載せずすみません(^_^;))。
Improving Quality Measurement for Anticoagulation Adding International Normalized Ratio Variability to Percent Time in Therapeutic Range

たしかにTTRが良くても例えば1.6〜2.6の範囲内で先月は1.6,今月は2.6などとばらつく患者もいます。一方,つねにTTRが低めで1.5〜1.6をウロウロしていても,variabilityは良いということもあります。これら2つの組み合わせ指標は,理論的には大変有効だと思われます。

良いのはわかりますが,算出が大変ですね。ソフトをカルテに組み込む必要があります。むしろこうした論文で知りたいのは,variabilityが大きい症例はどういう症例なのか,高齢者がやはり多いのか,食生活に変動がないのか。など逸脱例のプロフィールを知ることかと思います。

ワルファリンにかぎらず,各種NOACのPMSを始めとするリアルワールドデータも続々と出てきていますが,こういうのを見て,「RCTと同じだ」だけで納得しては前進しないと思います。リアルワールドデータは,むしろどんな症例が出血したのか,塞栓症を起こしたのか,どんな症例で低用量への変更が行われていたのかなどの情報活用に使うべきだと思います。

$$$ 散歩中発見の手袋おとしもの,そろそろこんな季節。
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by dobashinaika | 2015-11-24 22:39 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ワーファリンは管理が良いならまだまだ使える:JAHA誌

Stroke and Bleeding Risk Associated With Antithrombotic Therapy for Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation in Clinical Practice
JaeJin An et al
Am Heart Assoc. 2015; 4: e001921


目的:実臨床での、心房細動抗凝固療法のアウトカムを評価

方法:
・データベース:Kaiser Permanente Southern California
・2006年1月〜2022円12月
・新規発症非弁膜症性心房細動。CHADS2スコア1点以上
・観察研究

結果:
1)対象23,297人

2)脳卒中/全身性塞栓症:1782人、大出血3528人

3)TTR55% 以上:脳卒中/全身性塞栓症0.87%、大出血4.91%=大出血率はアスピリン(4.95%)と同じ

4)TTR55%以上は、抗凝固療法なしにくらべ脳卒中/全身性塞栓症を77%減らす(RR0.23)

5)TTR55%及びアスピリンの脳卒中/全身性塞栓症減少(対抗凝固療法なし):20%、23%

6)TTR55%未満の大出血;抗凝固療法なしの1.93倍結論;適正なTTRでの抗凝固療法継続は脳卒中予防に効果的で出血リスクは(抗凝固療法なしと同じ)

###以下のグラフがキーメッセージかと思われます。
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このデータですとTTR71.3%以上なら脳卒中/全身性塞栓症は0.98%でかなり低いです。あらゆるNOACのRCT時より低い数字です。

ただ、注意したいのは、TTR43.9-59.0% でも脳卒中/全身性塞栓症は1.17%とかなり低率なのに対し、出血が7%以上になっていて、TTRは出血に関係しいてる点です。

この辺従来の報告とはやや違うようです。日本ではTTRが悪い場合、たいてい低すぎが多いように思います。

とにかくTTR70%以上であれば脳卒中/全身性塞栓症はかなり少ないことが、この研究から伺えますね。ワーファリン、うまく使えばまだまだ使えると思います。

$$$きょうのニャンコ。凛々しい顔してます。
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by dobashinaika | 2015-07-28 00:05 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

ワルファリン管理良好のためNOACに変更しなかった場合でも大出血は多い?:TH誌

Selection, management, and outcome of vitamin K antagonist-treated patients with atrial fibrillation not switched to novel oral anticoagulant
F. Michalsk et al
Thrombosis and Haemostasis Ahead of Print: 2015-05-21


背景:良質にコントロールされたVKA(ワルファリンなど)はNOACに変更する利益は少ないとされるが、そうした患者の選択、管理、アウトカムの知見は乏しい

方法:
P:ドレスデンNOACレジストリー登録患者:2013年1月時点
E:VKA継続患者
C:NOAC処方患者
O;脳卒中/全身性塞栓症率、大出血率

結果:
1)VKA群(427例)はNOAC群(706例)より明らかに低出血リスクのプロフィール

2)VKA群のTTRは期間中(平均値追跡期間15ヶ月)71%から75%に上昇

3)VKA群の脳卒中/全身性塞栓症率:1.3%/人年(ITT解析)、0.94%/人年(as treated)

4)VKA群の大出血;4.15/人年(95%CI;2.60-6.29)

5)大出血例の死亡率(90日以内):16.3%

結論:日常臨床では、VKA継続例はNOAC選択例より健康。高い管理水準と低塞栓率を認めた。しかし患者選択とINR管理は高水準にもかかわらず大出血リスクは受け入れがたいほど良くなかった。

### ドレスデンAFレジストリーは、ドイツ、ドレスデン地区の診療所、病院医師230人が参加し、ダビガトランとリバーロキサバンを処方した症例の登録研究です。この研究に参加した施設で、NOACを投与あるいは変更せず、VKAを依然として継続していた症例を対象としてそのアウトカムを見た研究です。

VKA継続の理由が詳細に記載されてはいませんが、VKA群は塞栓症の既往、出血の既往、腎機能低下率、HAS-BLEDスコアなどがいずれもNOAC例より低いため、VKAを使っていてもイベントが起きた例はNOACに変更し、変更せずVKAのままでいるのはずっと落ち着いていて出血リスクの低い例だからのことが多いと考えてよいかと思います。

脳卒中/全身性塞栓症率は、たとえばRELY試験のワルファリン群は1.69%、ダビガトランは1.11%(150mgx2)〜1.53%(110mgx2)くらいですからダビガトラン150に近い成績と言えます。アリストテレスでのアピキサバンとほぼ同じ率(1.27%)です。

大出血率はRELYのワルファリン群が3.36%、ダビガトラン150mgで3.11%、110mgで2.71%ですので、それらよりも多いことになっています。

大出血の内訳を見ると、15ヶ月中に427例中22例5.2%にみられ、頭蓋内出血7例(1.6%)、消化管出血5例(1.1%)、その他(眼窩内、関節、後腹膜など)10例でした。Nが少ないのでなんとも言えませんが、頭蓋内出血がやはり目立ちます。ちなみにNOAC群の大出血率は約700例中6例、頭蓋内出血は4例でかなり低めです。

出血症例が詳細に記載されていますので、大変参考になります。頭蓋内出血の例は殆どが74歳以上で最高94歳。外傷性が多く、出血時のINRは2.5以上が多いようでした。

これは考えさせられる結果ですね。TTR75%と非常に良好な集団でも、大出血率はNOACに劣るかもしれない。もちろん観察研究でバイアスはありますが、リアル・ワールドの結果ですので、またより出血リスクが低いと思われる例でこの結果ですので、もしかするとTTR良好でも一概にワルファリンで安住すべきではないのかもしれません。

TTRという概念も、実は一口では語れなくて、逸脱している時間と逸脱の度合い(INRの高低)の区別はされていません。またNが少ないですし、日本のデータではありません。

もう少し読み込んでみます。

$$$ 知る人ぞ知る地元ローカル番組のご当地おみやげ1位。かなり美味しいそうです。一口だけ頂きました^^
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by dobashinaika | 2015-05-26 23:35 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

抗凝固薬の使い分けで大切なことは(抗凝固療法雑感)。

心房細動領域で活躍する医師の中でも意見や波長の合う先生はそう多くはいないのですが、大阪大学の奥山裕司先生は以前からその抗凝固療法に対する見識に敬服しており、本日また仙台でご講演をお聴きすることができて、随所に散りばめられたクリニカルパールを堪能させていただきました。
今日の講演の中で「ワルファリンでTTRが悪い場合NOAC、という考え方には注意が必要で、TTRが悪いのには原因がある。それをよく考えよ」という趣旨のお話がありましたが、全く同感です。

ワルファリンの管理に影響する因子として、以前拙著「プライマリ・ケア医のための心房細動入門」で「食品、薬剤、遺伝的因子」の3要素を挙げましたが、これは薬剤としての因子であり、その他に患者側の因子として「アドヒアランス」、医師側の因子として「INR管理能力」が追加されると思われます。実際問題、INRの変動に関与するランキングを考えると、「食品」と「アドヒアランス」「医師の能力」の3つが拮抗しているように思われます。このうちアドヒアランスはワルファリンで悪いなら、NOACでも悪いことが考えられ、NOACではより致命的になると思われます。

TTRが悪い場合、まず「きちんと飲んでいないからINRが暴れる」のかどうかをしっかり把握することが大切であることを再認識させられました。また医者の側からはきちんとINRを範囲内に収めず低めでお茶を濁していないかも自問する必要があると思われます。

で、ここからは推測ですが、多くの開業医はこうしたINR管理の煩わしさ、難しさ、自問すること、に辟易なため、NOACを考えるのだと思われます。そして多くの場合(院内処方の先生は特に)1種類、多くて2種類のみ(それも低用量)を決め打ちして使っているような現状が少なからずあるように思われます。

もちろんいろいろな要素を考慮して細かく使い分けておられるプライマリ・ケア医もたくさんいらっしゃると思われますが、プライマリ・ケア医でも循環器に詳しい先生は、ワルファリンを未だに重用するし、そうでない先生は、あまり場合分けしないで、NOACのうちで簡便で処方しやすい1種類を決めて処方している、という「雰囲気」「空気」もあるように思います。もちろん、確固たるデータはなく、あくまで私の感じる「空気」ですが、そう現実世界と乖離している感じでもないように思われます。

今日のご講演はそうした空気にある意味警鐘を鳴らし、抗凝固薬の使い分けるときにはその根拠、ロジックを明確にすることの大切さを説いてくれました。

そうですね、抗凝固薬を本当に習熟して使うには、本来は作用機序、生物学的利用率、蛋白結合率、代謝排泄、半減期薬物相互作用などの薬理学的特性にエビデンスを加えたフルの知識が要求されるのかもしれません。厳密に行おうとすると大変なのです。

PK/PD理論を知って抗菌薬を使い分けるのと似たイメージですね。

逆に各特徴を理解せずNOACを出すのは、PK/PDを知らずに抗菌薬を処方するのにパラレルのように思います。そういう理論を知らないで使っても臨床的にはオーライのことが多い、でもクリティカルな場面を想定すれば知っていたほうが絶対に良い。そう思います。

まーただ、院外処方だとしても全種類使い分けできるほど在庫を蓄えるには、あまりに高価な薬ではありますが。。。

奥山先生のクリニカルパールはもっともっとありますが、網羅できませんので、また機会があったら触れることにします。

$$$近くの道端。カモガヤ最盛期です。今年は未だに花粉症状の方多いです。
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by dobashinaika | 2015-05-26 00:35 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

ワルファリン管理が極めて良い場合の有効性安全性は非常に良い:TH誌

Safety and efficacy of well managed warfarinA report from the Swedish quality register Auricula
V. Sjögren et al
Thrombosis and Haemostasis 2月26日


疑問:ワルファリンが良好に管理された場合の脳梗塞と出血リスクはどの程度か?

方法:
・スウェーデンの全国登録Auricula
・プライマリー、専門医両方

結果:
1)77432人、100952治療機会(ワルファリン)、2006年1月〜2011年12月

2)心房細動68%

3)平均TTR:76.5%:INR2-3

4)大出血率:2.24%/年、血栓塞栓率2.65%/年

5)頭蓋内出血0.37%/年、心房細動では0.38%/年

結論:TTRの良好な集団でのワルファリンは安全かつ有効。NOAC時代においても打倒な妥当な治療として継続されるであろう。

### 以前も紹介したスウェーデンのAuricula研究
http://dobashin.exblog.jp/13632506/

TTRがものすごく優秀な集団ですね。77%です。
平均69.8歳、高血圧49.7%、脳梗塞の既往22.0%です。
TTRの算出方法の詳細が見当たらなかったのですが、個人ごとのようなニュアンスでした。スウェーデンはRE-LY試験のTTRも全世界でトップで77%でしたので同じ登録なのでしょうか。

ワーファリンの用量設定はdosing-systemを使ったとありますので、INRの変化に応じてアルゴリズムが決められているものかと思われます。

以前の紹介では頭蓋内出血のデータはなかったのですが、今回0,37%ということでROCKET AFのリバーロキサバン、ENGAGEのエドキサバン60mgより良い数字です。大出血もエドキサバン60mgと同等くらいで、ダビガトラン、リバーロキサバンより少ないです(もちろん対象は違いますが)。

非常に厳格にINRを管理すれば、本来NOACは要らないのかもしれません。ワーファリンを処方していてずーっと1年間INRが変わらないひともかなりいらっしゃいますが、そういう方はワルファリンで、やっぱり十分だろうと思います。

$$$ スウェーデン発の論文に敬意を表し、今日の1枚もスウェーデン発(レーベルはイギリス)。ピリスは震災前福島に来た時に聞いた月光が忘れられません。ハーディングは3.11の夜に東京で105人の聴衆を前にマーラーを振ったことでも有名です。2001年に仙台にも来てますね。
このアルバムの見開きには「クラウディオ・アバドに捧ぐ」と大きく記されていて泣けます。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3&4番:マリア・ジョアオ・ピリス/ダニエル・ハーディング/スウェーデン放送交響楽団
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by dobashinaika | 2015-02-27 22:42 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

心房細動患者のPCI時における抗凝固薬+抗血小板薬併用のメタ解析:AJC

Meta-analysis Of Randomized Controlled Trials and Adjusted Observational Results Of Use Of Clopidogrel, Aspirin and Oral Anti-coagulants In Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention
Fabrizio D’Ascenzo et al
Am J Cardiol 2月11日


疑問:PCI後の心房細動患者の抗血栓療法は何が最適か?

方法:
・メタ解析:Medline and Cochrane Library・トリプルテラピー(TT:抗凝固薬+アスピリン+クロピドグレル)vs. DAPT (アスピリン+クロピドグレル) vs. 抗凝固薬+クロピドグレル
・主要エンドポイント:大出血
・副次エンドポイント:全死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、脳卒中
・RCTまたは多変量解析

結果:

1)9試験

2)DAPT1317例、TT1547例

3)大出血:DAPT DAPTの対TTオッズ比0.51 (0.39-068)=1年間全試験、0.36 (0.28-0.46)=観察データ


4)副次エンドポイント:有意差なし:オッズ比0.71 (0.46-1.08)

5)抗凝固薬+クロピドグレル(対TT)6試験;出血オッズ比0.79 (0.64-0.98)、副次エンドポイント0.90 (069-1.23)

結論:トリプルテラピーに比べ、DAPTと抗凝固薬+クロピドグレルは出血を有意に減らした。抗凝固薬+クロピドグレルでは主要な心血管イベントは増やさなかった。DAPTにおていはエビデンスレベルは低かった。

### やはりOAC+クロピドグレルが良いとの結果です。WOEST試験が効いていることが予想されます。

以前のブログで取り上げた試験ではDAPTは脳梗塞を増やすというデータも有りますね。
http://dobashin.exblog.jp/17939624/

さすがにTTを漫然と続けるケースは今やないとは思われますが、開業医の先生の診療所で、数年前に専門病院からTTで逆紹介されて、そのままになっているケースは少なくないかもしれません。そうした例はだんだん高齢になりますので、出血も増える可能性がありますので検証が必要と思われます。

なお表題は「心房細動患者」と書きましたが、厳密にいうと対象は「PCIを受け、TT,DAPTまたはOAC+クロピドグレルを服用した人」です。多くは心房細動の方かと思われますが静脈血栓症の方なども含まれるはずです。

$$$ 今日のにゃんこ。以前うちに迷い込んだネコでした。今日の散歩でちょっと遠いところで再会しました。不鮮明ですみません。
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by dobashinaika | 2015-02-12 22:45 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

薬剤師主導による抗凝固薬管理の質は良好:IJPP誌

Anticoagulation management by community pharmacists in New Zealand: an evaluation of a collaborative model in primary care
Jeff Harrison, John P. Shaw and Jenny E. Harrison
International Journal of Pharmacy Practiceオンライン版


方法:
・地域薬剤師の抗凝固療法管理サービス(抗凝固療法用量調節のためのコンピュターによるINR管理)
・サービス前後でのTTR検討
・薬剤師によるものとGPによるものとの比較

結果:
1)全693例。平均65歳。平均TTR78.6%

2)TTR: GP主導ケア61.8% vs. 薬剤師主導ケア78.5% (p<0.001)

3)とくに範囲より低値が是正された

4)回数に差はなかった

結論:地域薬剤師主導のpoint-of-careとコンピュータ−による抗凝固ケアは安全かつ効果的でTTRを著明改善。この結果は広くコラボ的ケアのモデルとして適応できる。

### ニュージーランドの薬科大学、薬剤師からの報告です。
薬剤師主導のpoint-pf-careとは、薬局でコアグチェックによる採血を施行し、その場ででたPT-INR値に応じて、コンピュータ−による用量アルゴリズムにもとづいて、ワルファリンの錠数を決めるというものです。その変更は薬剤師の裁量に任されているようです。

かたやGP主導の方法は、詳細は記されていませんが従来通りの経験的なものと思われます。

それにしても薬剤師主導のTTRが78.6%というのは驚異的です。
Disccusionで述べられているようにWanらの報告によると、TTRが7%改善すると大出血は1%減る。12%改善すると血栓塞栓症が1%改善しますので、医師主導よりも薬剤師主導のほうが出血が2ポイント、血栓塞栓症が1ポイント以上減ることになり、もちろんNOACのRCTの結果より良いことになりそうです。

ただし、この研究の一番の特徴は検査回数ですね。原則週1回の採血で安定しいる場合は月1回まで延長できるとされています。結果的に薬剤師主導は月3,4回、医師主導でも2.8回とかなり手間かなあと思われます。

おそらく薬剤師の先生の、コミュニケーションスキルレベルも高いと思われますが、このくらい頻回の検査と、コンピューターアルゴリズムでの厳格管理だと驚異的なTTRがえられるのでしょうか。

検査回数をもう少し減らした上での研究がまたれます。月1回の検査でもこのようにきっちりやればNOACに負けなさそうな気がします。
by dobashinaika | 2014-10-06 20:40 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

PT-INRの迅速検査はワルファリン管理を改善させる:Circulation J誌

Circulation J 4月8日オンライン版より

Introduction of Point-of-Care Testing in Japanese Outpatient Clinics Is Associated With Improvement in Time in Therapeutic Range in Anticoagulant-Treated Patients
Okuyama Y et al
http://dx.doi.org/10.1253/circj.CJ-13-1256


【背景】ワルファリは心房細動患者の脳卒中リスクを減らすが、中等〜高度のTTR管理が要求される。PT-INRのポイントオブケア(POC)検査はワルファリン服用患者のTTRを改善させるという仮説を立てた。

【方法・結果】
・PT-INRのPOC検査を提供できる8外来クリニックが参加
・POC検査導入前後最低12ヶ月間ワルファリンを内服した連続148例対象
・POC導入前後のTTRを比較

・POC導入後のTTRは、導入前に比べ有意に高い:51.9%±33.0% vs. 69.3%±26.3%;P<0.0001
・TTR改善度は、POC導入前のTTRが低い(70%未満)患者で統計学的にあきらか。
・POC導入後、INR目標値を超えた時間は変わらなかった:3.7%±10.6% vs. 3.3%±6.3%, P=0.7322
・POC導入後、INR目標値を下回った時間は明らかに改善された:44.4%±34.4% vs. 27.4%±27.6%, P<0.0001

【結論】POC検査の導入はTTR改善と相関する。特にINR目標域を下回る時間が減少する。

### 尊敬する大阪大学の奥山先生の論文です。INR管理におけるコアグチェックの有効性を示した非常に臨床に役に立つ論文と思います。

当院でもコアグチェックを使用していますが、採血後約1分でINRが測定できます。

これを使うと、使用前に比べTTRが平均52%から69%に改善し、とくにアンダードーズの期間が短縮した。というのが主所見です。

この理由として奥山先生は、
1)医師がワルファリン用量を調節しやすい。INR測定の間隔が約10日間程度短くなるため
2)その場で結果が出ることによる、ワルファリン服薬への理解の向上と服薬アドヒアランスの改善
を挙げられています。

私もこの推察のとおりと思います。
当院でも開業当初の2〜3年、検査会社に外注する形でINR測定を行っておりました。
採血結果は早くても翌日午後に伝票として届けれられていました。
当院では、当時、もしINRが至適レベルであれば患者さんには連絡しない。
上回ったら、翌日夕方に患者さんに電話をして、ワルファリンを0.5mg程度減らすように指示し、
下回っていたら、予備に渡しておいた0.5mg製剤を追加して飲むように指示していました。

こうすると、上回った場合、例えば3.5mg出していた方が3mgに減らすときは良いのですが、3mgを2.5mgに減らすときは1mgをご自分で割っていただくが、別に前もって0.5mgも処方してそちらに切り替える、あるいは3mgと2mgを隔日で交互に飲んでもらう、というようにしました。

下回った場合は、前もって0.5mgを出しておいて、そちらを追加してもらうようにしていました。

このやり方は、十分理解力のある方でないと服用量を誤る可能性があります。また、上回った場合は電話を必ずしていましたが、下回った場合、たとえば70歳以上で1.4〜1.5くらいだったら、電話をしないでそのままのこともありました。やはり下回った場合、どこかで出血は回避できるとの妙な安心感から、電話をつい怠ってしまうことがあったように思います。

コアグチェックではこの億劫感が解消されますので、下回った時間が顕著に改善されたのだと思います。

TTR69%まで改善できればもう少しでNOACも要らないレベルになりそうですね。

コアグチェックは、指先からも採血でき、当院では患者さんに好評です。しかし最大の問題は検査キットのコストですね。
これが高いゆえに導入していないクリニックも数多いと思います。安くなればもっともっと普及するように思います。
by dobashinaika | 2014-04-25 23:47 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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