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抗凝固薬の適応と使い分けのシンプルなアルゴリズム:ESC誌より

Stroke prevention in Atrial Fibrillation
Gregory Y. H. LipEur Heart J (2017) 38 (1): 4-5. DOI:https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehw584

ESCでLip先生の抗凝固薬に関するわかりやすいアルゴリズムが提唱されました。
3ステップとしていますが,どう考えてもCHA2DS2-VAScスコアとSAMe-TT2R2スコアの2ステップと思われますので,私なりにもっとシンプル化して図にしてみました。

解説は以下の通り

・心房細動があると脳卒中リスク5倍
・リスクファクターはホモジーニアス(各項目均一)ではない
・年間1%以上の脳卒中発症率が抗凝固薬投与の閾値
・アスピリンのNCB(ネットクリニカルベネフィト)は負の値
・CHADS2,CHA2DS2-VAScスコアの予測能は中有等:Cインデックス0.6くらい)
・CHA2DS2-VAScスコアは低リスク抽出に有効
・各種バイオマーカーを追加すれば予測能は上がるが,臨床での迅速性も考慮
・ステップ1:低リスクの同定
・ステップ2:CHA2DS2-VAScスコアの評価
・ステップ3:SAMe-TT2R2スコアの評価
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※ 男性1点以上,女性2点以上の場合,HAS-BLEDスコア3点以上であれば,出血の原因となる因子に注意し頻回のフォローアップを要す。

CHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコア,HAS-BLEDスコアは以下を参照

SAMe-TT2R2スコアは:女性,60歳未満,2つ以上の合併症,ワルファリンに影響ある薬剤(各1点),喫煙(2点),エスニックマイナリティー(2点)です。

### 私からコメントすると,
1.CHA2DS2-VAScスコアは日本人の低リスク患者同定には間口が広すぎる。(私見では65−69歳くらいの血圧,血糖安定時患者は保留?)
2.NOACオンリーでなく,ワルファリンを重視している点は非常に親近感を持つ
3.SAMe-TT2R2スコアが2てん以下の人は少ない(60歳以上の男性は既に2点以上)ということを踏まえて考えたいと思います。

ただ,かなりこのアルゴリズムでイケルと思います。このあとステップ4としてNOACの使い分けとなるととたんに面倒になりますが。。。

by dobashinaika | 2017-01-24 19:10 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

アジア人心房細動大規模データべースでは50歳以上から抗凝固薬の適応:Stroke誌


Validation of a Modified CHA2DS2-VASc Score for Stroke Risk Stratification in Asian Patients With Atrial Fibrillation
A Nationwide Cohort Study
Stroke. 2016;STROKEAHA.116.013880, published online before print September 13, 2016


台湾の国内データベースに基づく興味深い検討がでています。

目的:CHA2DS2-VAScスコアの年齢部分を現行の65〜74歳から50〜74歳に広げた場合,予測能はどうなるか?

方法:
・新規の心房細動と診断された224866人対象
・抗凝固療法をしていない124,271人において,CHA2DS2-VAScスコアとmCHA2DS2-VAScスコア(50〜74歳)の予測能を比較

結果;
1)mCHA2DS2-VAScスコア1点(男性)または2点(女性)にすると,ワルファリンの使用で虚血性脳卒中が30%減少

2)頭蓋内出血は不変

3)ネットクリニカルベネフィットもmCHA2DS2-VAScスコアのほうが良好

結論:アジア人心房細動コホートでは,mCHA2DS2-VAScスコアは,もともとのCHA2DS2-VAScスコアよりパフォーマンス良好。より多くのネットクリニカルベネフィット陽性患者を抽出できる。

### 台湾のコホートではこうなるのですね。同様の研究は以下でも垣間見えます。
http://dobashin.exblog.jp/20904993/
http://dobashin.exblog.jp/20288437/

一方日本は3大コホートでの脳塞栓発症率自体かなり低く,65歳〜74歳でさえ危険因子とはなりえませんでした。
http://dobashin.exblog.jp/20541922/
伏見でも,75歳以上としています。
http://dobashin.exblog.jp/21820445/

この差は何でしょうか。血圧その他の周辺管理の違いか。選択バイアスか。
流石に50歳からNOACを出す気にはなれません。
日本もビッグデータはよ,って言いたいところです。

$$$ 月は見えなかったけどお月見
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by dobashinaika | 2016-09-15 22:12 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

脳卒中低リスクの人への抗凝固薬はこう考える:Stroke誌

Should Atrial Fibrillation Patients With Only 1 Nongender-Related CHA2DS2-VASc Risk Factor Be Anticoagulated?
Stroike;Mya 26;Epub ahead of print


疑問:性差に関係しない脳塞栓危険因子1つ(CHA2DS2-VAScスコア男性1点,女性2点)の人に抗凝固薬は必要か?

方法:
・一般住民対象
・2つの方法(Singer,Connolly)でネットクリニカルベネフィットを算出
・対象8962人:性差に関係しない危険因子0または1つ=25%。うち45%は抗凝固薬なし

結果:
1)平均追跡期間:1,028 ± 1,189日

2)脳卒中/全身性塞栓症年間発症率:危険因子なし0.68%vs.危険因子1つ2.09%(補正後2.82%)

3)危険因子1つの人のネットクリニカルベネフィット:ビタミンK阻害薬>無治療。抗血小板薬は無治療と差なし

結論:性差に関係しない危険因子を1つのみを持つひとにおいて,抗凝固薬の血栓塞栓症におけるネットクリニカルベネフィットは良好。

### 周知のように日本の代表的データベースでは,CHADS2スコア0〜1の人の年間脳卒中発症率は1%に満たないことが示されているわけです。
http://dobashin.exblog.jp/20541922/

1%以下の塞栓症に比べ大出血は1%以上といわれていますので,であれば抗凝固薬は適応にならないはずです。しかし現実にはJ-RHTYMレジストリーでも多くの低リスク患者さんに処方されています。また実際脳血管専門施設に搬送される脳塞栓症例の30%はCHADS2スコア0〜1の低リスク例であり,やはり救うべき対象として考えねばなりません。

どう考えたら良いか。
まあこれまでもさんざん言ってきてはいますが,CHADS2にしてもCHA2DS2-VAScにしても,低スコア層の患者プロフィールには相当の幅があるのです。例えばCHADS2スコア4点となると,糖尿病,高血圧,75歳以上,心不全の4つを合併する例というのは,相当絞られた患者集団です。一方,1点で高血圧だけなどとなると,相当に色々なレベルの人が含まれてしまう。「低リスク層ほど「リスク評価がアバウトになってしまう」。これこそがこうしたスコア化の宿命とも言える原理だと思われます。

ですので,低リスク層には,特に日本人のように欧米よりさらに低リスクの集団を扱う場合は,もう少し別の「サブスコア」みたいなものを考えないと,何でもかんでも適応になってしまうのではないでしょうか。

例えば年齢を70歳でさらに分けるとか,腎機能,左房径,血圧,糖尿病の重症度など,あまり煩雑でないしかし塞栓症に係る指標を新たに見出すことが必要とも思われます。指当り当院では,血圧,糖尿病は少ない薬剤で管理良好な例には1点では処方しないですね。一方,70歳以上でCCrが50前後,あるいは高血圧,糖尿病に複数の薬剤を使用してもやや管理不良などの例には積極的に処方します。左房径はエビデンス待ちです。

ただ指標を多くしてしまうと漏れも出てくるし,評価も煩雑になるというジレンマがある。これまだまだ難題です。

$$$ なぜに郵便局で冷やし中華?ゆうパックのサービスみたいです。
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by dobashinaika | 2016-06-17 21:35 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

新しいABCスコアはCHA2DS2-VAScスコアよりも心房細動脳卒中の予測能が高い:EHJ誌

The ABC (age, biomarkers, clinical history) stroke risk score: a biomarker-based risk score for predicting stroke in atrial fibrillation
Eur Heart J. First published online: 25 February 2016


疑問:バイオマーカーを指標としたリスクスコアは,従来に比べて心原性脳塞栓症の予測能を向上させるか?

方法
・ARISTOTOLE試験及びSTABILITY試験に参加した14701例
・平均追跡期間1.9年
・Cox回帰モデル
・心房細動1400例で外的妥当性を検討。平均追跡期間3.4年

結果:
1)最も重要な指標は脳卒中/TIAの既往,NT-proBNP,高感度トロポニンI,年齢

2)ABC脳卒中スコア(Age, Biomarkers, Clinical history)と命名

3)CHA2DS2-VAScスコアよりもC統計量は良好:0.68 vs. 0.62, P < 0.001

4)外的妥当性検討コホートでは0.66 vs. 0.58, P < 0.001

5)いくつかのサブグループでもC統計量は高値

結論:新しいバイオマーカーを基にした心原性脳塞栓症予測のためのリスクスコアは,心房細動の大きなコホートにおいて良好な内的妥当性を示したと同時に,さらに別のコホートでも予測能は良好だった。ABCスコアは現在使われているリスクスコアよりも良好で,心房細動における意思決定をより良くサポートする。

### 新しいリスクスコアの登場です。
具体的には以下のノモグラムを使い,脳卒中/TIAの既往,年齢,高感度トロポニンI,NT-proBNPの4項目から,今後1年間及び3年間の脳卒中/TIAリスクを割り出すという作業です。
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このリスクが1%未満をLow,1-2%をMiddle,2%超をHigh riskとしています。出血リスクまでは算出されていませんが,頭蓋内出血のリスクを1%弱としますと,だいたいこのノモグラムでMiddle riskの例では投与を考えると良いかもしれません。

採血をしなければならない(それも高感度トロポニンなど)ので,一般臨床医への普及はどうかなと思いますが,高血圧,糖尿病,心不全といったやや曖昧な指標よりも,数値化されノモグラムを使うというところに正確さがあるのかもしれません。

このノモグラムが日本人当てはまるかですが。。

$$$ 患者さんがバルーンアートでおひなさまを作ってきてくれました。すごい傑作。さっそく飾っています。
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by dobashinaika | 2016-02-29 21:17 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

弁膜症(僧帽弁狭窄、人工弁除く)は脳卒中リスク増悪に関連するが高CHA2DS2-VAScスコアが原因:EHJ誌

Prognostic value of CHA2DS2-VASc score in patients with ‘non-valvular atrial fibrillation’ and valvular heart disease: the Loire Valley Atrial Fibrillation Project
Raphael Philippart et al
European Haet Journal DOI: http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv163 First published online: 20 May 2015

目的:非弁膜症性及び弁膜症性心房細動におけるCHA2DS-VAScスコアによるリスク評価の有効性を検討

方法:
・欧州心臓病学会ガイドラインの定義での非弁膜症性心房細動8053例
・グループ1:非弁膜症性85%、グループ2:弁膜症性(リウマチ性僧帽弁狭窄+人工弁除く)15%

結果:
1)平均追跡期間868日

2)血栓塞栓症:627例

3)グループ2のほうがグループ1より高齢、CHA2DS2-VAScスコア高値、血栓塞栓症リスク高い:ハザード比1.39

4)重症弁膜症は脳卒中/TIAの予後に影響しない

5)高CHA2DS2-VAScスコアは脳卒中/TIAの予後に関連

6)脳卒中/TIAを増加させる独立した因子は高齢(HR1.25),高CHA2DS2-VAScスコア(HR1.33)

7)CHA2DS2-VAScスコアのC統計量は両群間で同じ

結論:非弁膜症性心房細動では、左側弁膜症(僧帽弁狭窄、人工弁除く)は脳卒中/TIAリスク増悪に関連した。これは高CHA2DS2-VAScスコアで説明可能。

### 大動脈弁狭窄症や大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症などは、それだけで脳卒中のリスク因子にはならず、CHA2DS2-VAScスコア高値であることが真のリスクだと理解しました。

日本のガイドラインでも「非弁膜症性」にはリウマチ性僧帽弁狭窄と人工弁以外という意味であることが明記されています。保険審査上は未だに例えば「僧帽弁閉鎖不全症」があってNOAC(DOAC)を出すと(主に保険者からだと思われますが)問題にされる自治体もあると聞いています。

$$$ 朝5時30分の土橋通り。誰も歩いていない、車も1台もない。空はあくまで青く、風はカラッと清々しい。時々にゃんこが道を横切るだけ。自分が今この街の主人公になった気分です。
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by dobashinaika | 2015-06-05 22:13 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

日本の心房細動患者おいて「女性」は血栓塞栓リスクとしては低い:CJ誌

Validation of Risk Scoring System Excluding Female Sex From CHA2DS2-VASc in Japanese Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation – Subanalysis of the J-RHYTHM Registry –
Hirofumi Tomitaet al
Circulation Journal May 13, 2015


背景:J-RHYTHM レジストリーにおいて、CHA2DS2-VAScスコアスコアとCHA2DS-VAスコアの妥当性を比較する

方法;
・ワルファリン非投与の 997例を2年間追跡;平均68歳、女性294例
・CHA2DS2-VAScスコア、CHA2DS-VA(CHA2DS2-VAScスコアから「女性」を除外)スコアのC統計量を算出

結果:
1)血栓塞栓症:女性7/294(年1.2%)、男性23/703(年1.6%)で男性の方が多い:オッズ比0.72、P=0.44

2)CHA2DS2-VAScスコア、CHA2DS2-VAスコアとも層別化されたグループにおける性差なし

3)C統計量:CHA2DS2-VAスコア>CHA2DS2-VAScスコア (0.029, Z=2.3, P=0.02)

4) net reclas- sification improvement (NRI):CHA2DS2-VAスコア>CHA2DS2-VAScスコア (0.11, 95% CI 0.01–0.20, P=0.02)

5)CHA2DS2-VAScスコア0〜1点の患者では、C統計量、NRIともCHA2DS2-VAスコアのほうがより顕著に大

結論:日本の非弁膜症性心房細動患者においては、CHA2DS2-VAScスコアから女性をのぞいたスコアリングは、血栓塞栓症のリスク層別化の点で、CHA2DS2-VAScスコアよりも有用。特に低リスク患者で有用。

### 確認ですが、J-RHYTHMレジストリーのばあい、血管疾患=冠動脈疾患と定義されています。

これまでおもにヨーロッパのコホート研究では「女性」は特に75歳以上で有意に男性より血栓塞栓症が多く、一方アジアの諸報告では年齢にかかわらず性差なし、または男性のほうがリスク高いという結果が報告されているとのことです。

JーRHYTHMでは、今回の結果のように女性のほうがイベント発生率が低いため、かえって女性を入れてしまうと予測能が落ちるのだろうと推測されます。
更に興味深いことに、このペーパーのTable3をみますとCHADS2スコアとくらべると、なんと一番c統計用が高いのはCHA2DS2-VAスコアでなく、CHADS2スコアとなっています。つまり、日本人では65歳以上や血管疾患もあまりリスク因子として効いていないということを意味すると推測されます。

個人的には、最近特に年齢75歳以上、脳梗塞の既往、高血圧(特に管理不良)は重視で、それ以外でCHA2DS2-VA(Sc)スコア1点の場合はとりあえず様子見という雰囲気になっています。脳血管専門の先生からは甘いと言われそうですが。

J-RHYTHMでのCHA2DS2-VAScスコアの妥当性について検討したブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/19951989/

$$$ 今週末は青葉まつり
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by dobashinaika | 2015-05-13 22:01 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

デンマークの大規模コホートでは低リスク患者の脳卒中発症率は低くない:JACC誌

Oral Anticoagulation, Aspirin, or No Therapy in Patients With Nonvalvular AF With 0 or 1 Stroke Risk Factor Based on the CHA2DS2-VASc Score.
Lip GY et al
J Am Coll Cardiol. 2015 Mar 5


背景:リスク因子1個の心房細動患者に関する最適な治療についてのコンセンサスはない

目的:CHA2DS2-VAScスコア0,1点患者における抗凝固薬のインパクトと梗塞、出血リスクを評価する

方法:
・デンマーク市民登録システム、デンマーク国内患者登録、デンマーク国内処方登録
・CHA2DS2-VAScスコア1,2点で新規発症非弁膜症性心房細動のある退院患者39,400人
・無治療=23,572人、アスピリン5,353人、ワルファリン=10,475人

結果:
1)無治療患者の脳卒中リスク(ITT解析):0点(男)=0.49/100人年、1点(女)=0.47/100人年

2)上記患者の出血リスク:1.08/人年(1年)、0.97/100人年(フル追跡)

3)スコア1点追加後(男1点、女2点)脳卒中リスク:1.55/100人年、約3倍増加

4)上記患者の出血リスク:2.35倍、死亡リスク:3.12倍

結論:低リスク患者(CHA2DS2-VAScスコア0点(男)1点(女)は真の低リスク患者。1点追加で無治療の場合イベント率は明らかに増加(特に死亡率)

### デンマークの大規模登録研究を統合した、壮大な低リスク患者集団のメダデータ?です。登録期間は一番古い研究で1977年から、新しいのでも1995年からとかなり以前からのものです。高血圧合併率は32〜39%くらいのようです。

低リスク患者をどうするかが最近盛んに論文をにぎわせていますね。先日取り上げましたが以下の総説がよくまとまっています。
http://dobashin.exblog.jp/21017387/

CHA2DS2-VAScスコア裏付けとなった有名なデンマークの国内登録研究では、CHA2DS2-VAScスコア1点の入院及び血栓塞栓症死亡率は2.01%(1年)、10年追跡で1.45%でした。当然ながら上記結果と一致しています。
http://dobashin.exblog.jp/12036073/

一方、何回も引用しますが日本の代表的登録研究のプール解析では、CHA2DS2-VAScスコア1点でなんと0.93%です。
http://dobashin.exblog.jp/20541922/

日本の登録は、最近の登録であり、登録施設も循環器専門施設が多いからという説明でよいのでしょうか。大規模登録研究だと例えば血圧、糖尿病の管理状況や、診断自体の精度にも日本のものほど高くないことが予想されます。しっかりとした診断と基礎疾患の的確な治療がなされた場合、高血圧だけの方、糖尿病だけの方などは低リスクなのではないかとますます思えてきますが。。。。

やはり65歳〜69歳と70歳〜74歳で分けるとか、血圧管理良好群と不要群で分けるなど、CHA2DS2-VAScスコア1点をもう少し木目細かにリスク層別化したmodifiedスコアが必要に思います。そうすると簡便さが失われうわけですが。。

$$$ 散歩道でもようやく梅の花がほころび始めました。仙台は梅と桜が一緒に来る。本当なんですね。
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by dobashinaika | 2015-03-25 22:30 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

低リスクの人に抗凝固療法をすべきか:抗凝固療法の適応に関する総説。TH誌

Stroke risk in atrial fibrillation: Do we anticoagulate CHADS2 or CHA2DS2-VASc ≥1, or higher?Jonas Bjerring Olesen et al
Thrombosis and Haemostasis http://dx.doi.org/10.1160/TH15-02-0154


Thrombosis and Haemostasis誌からOlsen先生の「抗凝固療法の適応に関する総説」が出ています。
非常に勉強になりますので、要約しておきます。

イントロ:
・これまでのVKAに関するRCTでは、非抗凝固療法群の年間脳卒中発症は4.5人
・VKAは年間脳卒中/全身性塞栓症発症率は1.5−2.4人
・NOAC(ダビガトラン、アピキサバン)はVKAよりもよく減らす
・しかしNOACのRCTではCHA2DS-VAScスコア1点の多くは除外されている

CHADS2スコアとCHA2DS-VAScスコアはなにが違うか
・「リスク因子1つ(「女性」を除く)で抗凝固療法推奨:CHA2DS2-VAScスコアで男1点、女2点)」は、とくにNOACとTTR70%以上のワルファリンで一般的に推奨される
・スコア別非抗凝固時血栓塞栓症発症率は、試験により差異有り:選択バイアスの違い

CHADS2スコア:
・日本の2つの試験(Suzuki et al, Okumura et al)とATRIA試験の1,2点の発症率は非常に低い
・他の試験のワルファリン群や、ワルファリン対照試験の偽薬群よりも低い
・血栓塞栓症発症率(1年間):Suzuki et al=1.3%, Okumura et al=1.5%, ATRIA=2.1%
・ATRIA研究:初発心房細動の組入れ、ヘルスプランのない患者の除外、診断から12ヶ月間の外来患者は除くなどの条件あり
・Framingham研究:CHADS2スコア0点も示している
・NRAF研究:上記より高リスク。入院患者対象のためだが急性心房細動、65歳未満は除外
・デンマーク、スウェーデンの研究は入院患者対象であり高リスク
・デンマークの研究=3.7%(男), 5.4%(女)、スウェーデンの研究=4.5%
・上記3研究はよりリアル・ワールドに近いように思われる
・ある研究ではCHADS2スコア0点でも高リスクであり、他の研究では1点では抗凝固療法を正当化できない

CHA2DS2-VAScスコア:
・European Heart Survey, Suzuki et al, Singer et alの研究のCHA2DS2-VAScスコア1,2点は低発症率
・上記デンマーク、スウェーデンの研究では高発症率:これらの研究では臨床データの欠落、特定患者に抗凝固療法が施行されなかった理由が明確になっていない
・近年、抗凝固療法が推奨される転換点(血栓塞栓>出血)は脳卒中/全身性塞栓症は勝率0.9%/年と言われていて、CHA2DS2-VAScスコア1点でさえ当てはまる。

血栓塞栓イベント:
・近年、Fribergらはイベントの定義(虚血性脳卒中か脳卒中/全身性塞栓症か)のインパクトを見事に指摘
・定義の絞込により発症率は0.5~0.9%減少する
・後に抗凝固療法を施行した患者が除外されるのも問題
・TIAは容易に見過ごされないようにすべき

CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアをどう使うか:
・スコア1点の人に利益があるかどうかは、対象選択による
・診断直後が最もリスクが高いことが報告されている
・ある患者群では一時的抗凝固療法のみで良いかもしれない
・比較の際、ハザード比は適切なでない
・ハザード比は、直近のリスク記載であり、リスクが競合した場合高齢者よりも若年者においてより重要となりやすい
・注意深い臨床家は、他のデータを臨床の場に取り入れている:同じ80歳でも動脈硬化疾患や入院患者の場合などは無症候の外来患者に比べて高リスクと捉える
・スコアの各項目でリスクは代わる
・全てのリスクが同等ではないので、スコアリングを使う場合は実用性やシンプルを求めるときである
・低点数のひとは、スコアを厳格に使うべきではない
・心房細動の罹患期間や患者の価値、好みを意思決定に組み入れるべき
・最近の研究では、患者は1つの脳梗塞を避けるのに4つの大出血まで許容するとされる

将来の展望:
・抗凝固療法適応は統一性なし:高リスクに使用されない、または低リスクで使用多い
・注目すべきはスコアの洗練化ではなく、医師の正しいリスク評価
・ESCは低、中、高リスクといったカテゴリー化を強調しない
・かわりにリスクに基づく連続的なアプローチを推奨
・スコアの厳格な使用ではなく、まず真の低リスクをを同定するために使う。その次に1点の人を考える
・将来より良いスコアが必要かもしれないが、そのときには非抗凝固療法群は設定できないかもしれない
・新リスクスコアは臨床的に実用性のある3〜5年単位の絶対リスクを用いるべき
・全部のリスクが同等である必要はない

### かなり親和性を感じる言説です。
・スコアリング設定のもとになる非抗凝固時のリスク評価は対象の選択バイアスに左右される
・スコアには時間的要素が入っていない
・ハザード比を用いると高齢者には当てはめにくい
・各スコアの項目は同レベルには扱えない
・他の動脈硬化のリスクや心房細動罹患期間も考えるべき
・特に低リスクでは、スコアに縛られない
・リスクの低い患者の特定にまず使うべき

といったところです。

それにしてもやはり日本の観察研究の脳梗塞発症率は世界的に見ても低いのですね。
CHA2DS2-VAScスコア1,2点の時は、他の動脈硬化リスク、心房細動罹患期間なども加えて流動的に考えるという姿勢を再確認しました。
Editorialの方も面白いですが、これは後日

$$$ 散歩コースにあるせまい路地の坂。しかも階段。路地裏、坂、そして階段と来ればなんとしても行きたい気分になります。以前ちょっと住んでいた東京はそういう坂がたくさんあってワンダーランドでした。仙台は少ないですが、それだけに見つけると秘密基地のようで誰にも教えたくありません(笑)。自分だけの秘密基地を持つのも散歩の極意です。
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by dobashinaika | 2015-03-19 00:01 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

アジア人でCHA2DS2-VAScスコア1点は抗凝固薬の適応か:JACC

Should Atrial Fibrillation Patients With 1 Additional Risk Factor of the CHA2DS2-VASc Score (Beyond Sex) Receive Oral Anticoagulation?
Chao TF et al
J Am Coll Cardiol. 2015 Feb 24;65(7):635-42


疑問:アジア人に、CHA2DS-VAScスコア1点は抗凝固療法の適応はあるのか?

方法:
・台湾のNational Health Insuranceデータベース
・心房細動186,570例、抗凝固薬、抗血栓薬非処方例
・CHA2DS-VAScスコア1点男性及びCHA2DS-VAScスコア2点女性につき検討
・エンドポイント:虚血性脳卒中

結果:
1)CHA2DS-VAScスコア1点男性の虚血性脳卒中:年2.75%(平均追跡5.2年)

2)CHA2DS-VAScスコア1点男性の各項目別リスク:血管疾患1.96%/年、65〜74歳3.50%/年

3)CHA2DS-VAScスコア2点女性の虚血性脳卒中:年2.55%

4)CHA2DS-VAScスコア2点女性の各項目別リスク:高血圧1.91%、65〜74歳3.34%

結論:CHA2DS-VAScスコアの各スコアすべてが同じ重みではなく、65-74歳が最高リスクだった。CHA2DS-VAScスコア1点の患者には抗凝固薬が考慮されるべき

### 昨年のESCに発表されていたデータの脳梗塞の方だけの報告です。平均年齢は男女とも59.1歳と若い集団です。

以前のブログでまとめた日本のJ-RHYTHMレジストリーではCHA2DS2-VAScスコア1点の血栓塞栓症発症率は0.9%でした
ので、やはり日本のデータはかなり低いことになります。
http://dobashin.exblog.jp/19951989/

改めて日本の登録研究はかなり低い発症率だったことがこの研究からも実感されます。

65歳ー74歳というのが一番ハザード比が高いことで、やはり65歳から抗凝固薬を考えなければならないのでしょうか。個人的には前から述べているのように65〜74歳を65〜69歳と10〜74歳にさらに細分化した研究を誰かしてくれないかなあと思うのですが。65サイト74歳ではだいぶリスクが違う気がします。細分化し過ぎかもしれませんが。。
by dobashinaika | 2015-02-18 22:14 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

抗凝固薬のリスクスコアは低リスクの場合果たして適切なのか:JACC誌

Benefit of Anticoagulation Unlikely in Patients With Atrial Fibrillation and a CHA2DS2-VASc Score of 1
Leif Friberg
J Am Coll Cardiol. 2015;65(3):225-232


疑問:CHA2DS-VAScスコア1点はリスクなのか?

方法:スウェーデンナショナルヘルスレジストリー登録の心房細動患者140420人。後ろ向き調査。脳卒中の定義は様々

結果:
1)未分類の脳卒中、TIA、肺塞栓を「脳卒中」と同等に扱うと、「虚血性脳卒中」よりも年間44%リスクが高くなる

2)入院時心房細動に関連した脳卒中イベントを含むと、最初の4週間を超えた長期リスクは2倍になる

3)女性では、イベントの定義で年間脳卒中率は0.1〜02%に変動

4)同様に男性では0.5〜0.7%に変動
a0119856_21514485.jpg

結論:心房細動でCHA2DS-VAScスコア1点の患者の虚血性脳卒中リスクは従来報告されているよりも低いかもしれない

### これまで当たり前のように使われてきたCHA2DS2-VAScスコアの根底を覆すような論文です。
CHA2DS2-VAScスコアは1点以上で抗凝固薬推奨とされていますが、1点の場合、もともと低リスクなので非抗凝固薬下での虚血性脳卒中の年間リスクがどの程度あるのが、実は非常に大きな問題なわけです。

ワルファリンの虚血性脳卒中年間対危険減少が0.7くらいで頭蓋内出血増大は0.6〜0.8(NOACでは0.2〜0.5くらい)なので、年間1%というのが、概ね別れめかと思われます。これまでESCのガイドラインの根拠となった論文は0.6〜2.0%超とされており、実はだいぶ幅があるのです。

本論文は、こうした差異が「虚血性脳卒中」の定義に由来することを示しています。

この論文によれば、スウェーデンの昔の登録はTIAや肺塞栓まで"stroke"に加えられており、それらを再解析したようです。またquarantine periodsといって、登録研究では、例えば心房細動を診断された直後のイベントの場合、心房細動以外の理由による可能性やう複数のクリニックでのダブルカウントも考え、イベントとしてカウントしない期間が設けられており、それによってもアウトカムが変わります。

その目で見ると、このコホートではCHA2DS2-VAScスコア1点の虚血性脳卒中リスクは0.9%ですがこれは肺塞栓、TIAなどまで入れたもので、虚血性脳卒中のみの病名コードを取り出すと0.5%になるとのことです。

Editoroal(Singer先生)も面白くて、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアはきちんとした統計学的モデルに基づいておらず、その予測能は可もなく不可もなくだ、とバッサリ切っています。
Adding Rigor to Stroke Risk Prediction in Atrial Fibrillation
Daniel E. Singer


この辺り、Lip先生はどうreplyするのでしょうか

それにしても、最近日本人の塞栓リスクが考えているより低いとか、各項目によってもリスクに違いがあることなどが指摘されるようになり、いよいよ低リスクへの抗凝固薬を考え直す時期なのかなあと感じます。

$$$ 一瞬外国に見えなくもない?
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by dobashinaika | 2015-01-20 21:56 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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