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85歳以上の超高齢者でも,抗凝固薬の脳卒中予防ベネフィットは出血リスクを上回る:JAHA誌


疑問:85歳以上の人の抗凝固療法のアウトカムは?

方法:
PREFER in AFレジストリ(前向き試験,欧州)
・抗凝固薬の有無,ネットクリニカルベネフィット算出

結果:
1)6412人登録:85歳以上505人

2)脳卒中/全身性塞栓症(%/年):
85歳未満:抗凝固薬なし2.8 vs. あり2.3
85歳以上:抗凝固薬なし6.3 vs. あり4.3

3)大出血:85歳以上>85歳未満

4)85歳以上の大出血:抗凝固薬あり4.0 vs. なしまたは抗血小板薬4.2, P-0.77
抗凝固薬はネットクリニカルベネフィットに影響せず

5)抗凝固薬薬のネットクリニカルベネフィット:-2.19%(95%CI;-4.23%~-0.15%; P=0.036)
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結論:年齢による脳卒中のリスク増加のほうが出血リスク増加よりも大きいので,超高齢者においては抗凝固薬の絶対的ベネフィットは高く,出血リスクよりも遥かにネットクリニカルベネフィットが大きく価値がある。

$$$ これまでも超高齢者ほど抗凝固薬のネットクリニカルベネフィットは良いことが指摘されていました。その根拠は,年令によるリスク増加の程度が,塞栓症リスクのほうが出血リスクを上回るというものです。そのことがこちらの研究でも示されています。

同様の報告はいくつかあり,このことは本当に近いようです。

ただし,私自身超高齢者での注意点として以前から心がけているのは,1)血圧 2)腎機能 3)適切な用量 4)アドヒアランス 5)患者文脈(認知症,服薬管理者など)で,この5点がうまくいかない場合は出さないという選択肢もありと思っています。

なお抗凝固薬は72%がワルファリン,NOACは6.1%,抗凝固薬+抗血小板薬9.9%でした。

$$$ 今日のニャンコは多いです。何人いるでしょうか。
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by dobashinaika | 2017-07-24 23:27 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

超高齢者に対する抗凝固薬使用のコツ:90歳以上に対するワルファリン使用の効果とリスク:JAMAIM誌

Risk of Bleeding and Thrombosis in Patients 70 Years Or Older Using Vitamin K Antagonists
JAMA Intern Med. Published online July 05, 2016.

疑問:70歳以上,特に90歳以上の超高齢者における抗凝固療法の効果とリスクはどのようなものか?

デザイン,セッティング,参加者:
Certe Thrombosis Service Groningen(オランダ)において2009年〜2012年にビタミンK阻害薬(VKA)を投与した90歳以上の患者1109人。マッチングした80歳代,70歳代(対照群)とする

アウトカム:一次アウトカム=臨床的に問題となる小出血および大出血。二次アウトカム=血栓症,VKAの管理の質

結果:

1)大出血:6419観察年のうち,3313人中713人,1050イベント

2)出血リスク(70代ベース):80代は明らかな増加なし(ハザード比1.07,95%CI0.89〜1.27)。90代は微増(1.26;1.05〜1.50)

3)大出血(死亡含む)(70代ベース):80代,90代は70代と同等
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4)男性の方が女性より年齢の影響大

5)血栓症:85人(2.6%)

6)血栓リスク(70代ベース):90代(2.14; 1.22-3.75)80代(1.75; 1.002-3.05)は有意に増加

7)VKA管理の質:高齢になるに連れ落ちてくる。90台での出血の増加とは関係。血栓リスクの増加とは関係なし

結論:VKAによる出血リスクは80代以降ゆるやかに増加。塞栓リスクは急峻に増加。

### 従来からの観察研究の治験と同様ですね。高齢になるに連れ確かに出血リスクは上昇しますが,それをかなり上回るペースで血栓塞栓症が増加します。既に同様の報告が多くなされています。

マッチングされているとはいえ,明らかにされないところで,高齢者への適応としてバイアスがかかりますので,高齢者ほどより安全な症例が選ばれているという選択バイアスは当然考える必要があります。

しかしそれを考慮しても,私の経験上も一般に恐れるほど超高齢者の抗凝固薬による出血は少ないというのが実感です。特にワルファリンに関しては,大出血(頭蓋内出血がやはり多い)はここ10年で数例しか経験していません。一方NOACは頭蓋内出血はほど皆無ですが,消化管出血はワルファリンよリ多く経験します。これ実感で統計的な有意性はなしですが。

高齢者でのワルファリン使用のコツは,まずINRは1.6〜2.0くらいに保つこと。2.3を超えたら0.25mg単位でワルファリンを減らすこと,腎機能をこまめに見て,CrCLが低下傾向であれば減量すること。ご家族と密にリスクにつき話し合うこと。これらにつきます。

一方高齢者のNOAC使用のコツは,やはり腎機能が基準値内でもそれに近い場合は,低用量を用いること。ワルファリンにもまして腎機能のチェックを怠らないこと。場合によっては事前に便潜血検査などを行うこと,などを心がけてます。

豆なチェックとできるだけ低用量で行くことが出血回避のコツと思います。いかがでしょうか。

$$$ きょうのニャンコ。どこにいるでしょうか。
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こっちは拙宅のネコ
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by dobashinaika | 2016-07-12 20:51 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

86歳腎機能低下のNOACアスピリン併用例が止まらない鼻血を来した場合どうするか:JAMAIM誌

Optimizing the Safe Use of Direct Oral Anticoagulants in Older PatientsA Teachable Moment
Anne-Laure Sennesael,et al
JAMA Intern Med. 2015;175(10):1608-1609


JAMAIMのTeachable Momentで,現場からの実例を上げてのDOAC使用についての検討がありました。
非常に勉強になるのでご紹介します。

<症例>
・86歳女性,体重55kg
・止まらない鼻血のため救急外来受診

・心房細動あり,リバーロキサバン20mg1年間内服
・末梢血管疾患あり,アスピリン80mg9ヶ月内服
・4年前に生体弁手術
・入院時クレアチニンクリアランス21mL/min, Hb9.4, プロトロンビン時間30%(正常75〜100%)
・抗Xa活性が治療域以上のためリバーロキサバン中止
・2日後,リバーロキサバンの抗Xa活性は治療域内
・薬剤師による問診で,繰り返す鼻血のため,ここ2ヶ月間リバーロキサバンを半分(10mg)にしていたことが判明
・腎不全と高齢であることから,医療チームはリバーロキサバンからビタミンK阻害薬への変更を決定
・アスピリンも中止

<教訓>
・フレイル高齢者へのDOACの適正で安全な使用がこのケースの焦点
・本例のようなケースには,ビタミンK阻害薬が今だに有効
・くわえて,安定した末梢血管疾患にはアスピリンは不適切

・腎機能と年齢は出血における重要な因子
・ダビガトランでは出血症例の2/3は80歳以上で,その60%以上は中度〜高度の腎機能低下例
・腎機能低下例では用量の減量が勧められている
・本例ではCCr15-50にあるため,リバーロキサバンは15mg/日に減らすべきだった

・抗凝固薬使用例でのアスピリン使用は慎重さが要求される
・登録研究における大出血は,抗凝固薬抗血小板薬併用療法では抗凝固薬単独使用時の50%増加(1.8→3.0%,6ヶ月)
・併用療法の推奨は冠動脈ステント治療後12ヶ月まで
・安定した末梢血管疾患においては,抗凝固薬単独使用が勧められており,併用療法は利益に乏しく出血を増やす
・例外は機械弁症例だが,このときDAOCではなく,VKAが使用されるべき
・Steinbergらによれば心房細動患者の35%にアスピリンが併用されており,その40%は適応外
・本例でもアスピリンを減らすことが出血防止策となる

・DOACにモニターはいらないが,高齢者では緻密なフォローアップが必要
・受診時には腎機能,アドヒアランス,併用薬剤,副作用を確認
・本例では患者さんが自発的に用量を半分にしていたが,気付かれず→定期的な問診などによるレビューが出血を減らす

・DOACはVKAよりも数々のアドバンテージがあるけれども,現場ではいまだに試行錯誤の場合がある
・こうした文脈においては,従来通りの治療に価値がある
・この種のDOACを避けVKAを処方するような"less is more"(少ないことは多いこと)的なアプローチは,確立されたものではないが,説得力があり,エビデンス(腎機能評価,副作用のモニター,アスピリンの再検討)に基づくものである

### 非常に教訓的な症例です。

この症例,CCrが30未満なのに最大用量を出している時点でアウトです。添付文書上日本では10mg/日ですが,85歳以上でCCr30未満の方のエビデンスはROCKET-AFでもJ-ROCKETでも極めて少数かと思われます。

アピキサバン2.5mgx2を考える先生もおられるかもしれませんが,ここが問題で,いかに腎排泄が比較的少ないDOACであっても85歳以上の低用量使用のエビデンスはリバーロキサバン同様非常に少数だと思われます。

当院であればこの症例は最初からワルファリンでINR1.6〜2.0を目指すと思います。

DOAC全盛時代に入ろうとしていますが,この症例のように出血が意外に目立ち,他の薬剤への変更を余儀なくされる症例は当院のDOAC症例のうち過去4年間で約30%に認めております。多くは他のDOACに変更するか減量で出血は消えますが,すべてのDOACに転々と変更しても皮下出血を含む出血が消えず,最終的にワルファリンに戻した症例も数例診ています。

またアスピリン併用も高齢者では非常に厳しく考えるということもこの症例から学ぶべき点です。単にTIAらしきエピソードがあっただけで安易に出し続けていないか。安定狭心症に併用していないか。私が若い頃は,冠動脈疾患の一次予防でも何でもアスピリン礼賛の時代がありました。そうした方が未だに10年ー15年の長きに渡り漫然とアスピリンが出されていないか,再検討する必要があります。

Take Home messageとしてまとめてみます
1)高齢者,腎機能低下例では出血,腎機能,アドヒアランスについて緻密な問診や身体診察が大切(ワルファリンであっても)
2)高齢者,腎機能低下例では,DOACの安易な低用量処方ではなく,VKAによる慎重なINA管理が重要
3)ステント挿入12ヶ月(6ヶ月)以内の症例以外,高齢者での併用療法はすべきでなく,特にアスピリンの適応は適切に考える必要がある


$$$ 釣り好きな知り合いから閖上沖の釣りたてのイナダ(ブリの若魚)をおすそ分けしてもらいました。でもどうやってさばこう。。
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by dobashinaika | 2015-10-19 22:34 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

複数の合併症を持つ高齢者にガイドライン通り処方しても効果のある薬剤とは:BMJ誌

Association between guideline recommended drugs and death in older adults with multiple chronic conditions: population based cohort study
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h4984 (Published 02 October 2015)
Mary E Tinetti


目的:複数の慢性疾患を抱える高齢者において,ガイドラインで推奨されている薬剤と死亡率との関連を評価

デザイン;一般住民対象コホート研究

セッティング:米国の65歳以上対象のコホート

参加者:2種類以上の慢性疾患(心房細動,冠動脈疾患,慢性腎臓病,うつ,糖尿病,心不全,脂質異常症,高血圧,血栓塞栓症)を持つ8578人を2011年から追跡

介入:ベータ遮断薬,カルシウム拮抗薬,クロピドグレル,メトホルミン,RAS系阻害薬,SSRI,SNRI,スタチン,サイアザイド,ワルファリン

主要アウトカム:ガイドライン推奨薬の服用者の死亡ハザード比(対非服用者),主要4種の合併症あり

結果:
1)50%以上の参加者が合併疾患に関係なく各ガイドラインの推薬を服用していた

2)全死亡率15%(3年以内)

3)死亡率減少薬:β遮断薬;(ハザード比0.59=心房細動合併,0.68=心不全合併),カルシウム拮抗薬,RAS阻害薬,スタチン

4)上記薬のハザード比は主要4種疾患の合併例でも同等

5)死亡率変化なし:クロピドグレル,メトホルミン,SSRI,SNRI

6)ワルファリンは心房細動例(ハザード比0,65),血栓塞栓症例(0.44)の死亡率を減少

7)合併症の組み合わせによってはワルファリンの死亡リスク減少は低下

結論:心血管系薬の平均的な効果はそれらが関わったRCTの結果と合致していたが,合併疾患によってはいくつかの薬で異なる結果となった。合併疾患のある場合の薬剤効果を決定する因子は,複数合併例への実際の処方のガイドとなるかもしれない。

### 対象の平均年齢は77.4歳。80歳以上が36%。心房細動19%,冠動脈疾患39%,うつ26%,糖尿病40%,心不全20%,脂質異常症77%,高血圧92%,慢性腎臓病12%,血栓塞栓症5.5%でした。

この論文の結果で「死亡率減少」という意味は,β遮断薬を例に取ると,高血圧,脂質異常症,心房細動,冠動脈疾患,うつ,心不全などを単独で持っている例での予後改善効果はこれまでRCTでも認められていて,この研究でもそれが証明されていますが,上記疾患を4つ合併した場合(組み合わせ4種)でもやはり死亡率改善効果があるということです(組み合わせによっては統計学的に95%CIが1をまたぐものもあるが)。

クロピドグレル,SSRI/SNRI,サイアザイドは4種合併症例となると効果がなくなり,メトホルミンも惜しいですが,全て1をまたいでいます。

もちろん選択バイアスがあり一概に結論付けることはできません。しかし各種薬剤のそれぞれのRCTは上記疾患を4種以上も合併す平均77歳のひとなどあまり対象にはなっていないのです。かたや現実世界は80歳以上合併疾患7つ,8つなどザラなわけで,そういう症例への外的妥当性はかなり心もとないというか,エビデンスがないのが実情と思われます。

ですので,こうした研究は非常にありがたいです。高齢者に対するポリファーマシー時,中断か継続かを考える上でも参考になるかもしれません。

$$$ ここ,午前中はやっていないのでしょうか
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by dobashinaika | 2015-10-05 22:03 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

ワルファリンを適正に管理すれば85歳以上でも安全かつ有効:J-RHYTHMレジストリーサブ解析

Use of Warfarin in Elderly Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation – Subanalysis of the J-RHYTHM Registry –
Eitaro Kodani et al
Circulation Journal Article ID: CJ-15-0621


背景:非弁膜症性心房細動の超高齢者におけるワルファリンの効果を,Jリズム研究から明らかにする

方法:
・日本の158施設の連続登録症例,7937例
・7406例,2年間追跡,男70.8%,平均69.8歳
・70歳未満,70〜84歳,85歳以上の3群に分類
・INR別に5群に分類:<1.6, 1.6–1.99, 2.0–2.59, 2.6–2.99, and ≥3.0

結果:
1)女性,永続性,高血圧,冠動脈疾患,心不全,虚血性脳卒中/全身性塞栓症はより高齢者群で多い

2)85歳以上群は:ワルファリン服用率79.7%,TTR67.1%(目標1.6〜2.6)

3)血栓塞栓症:70歳未満,70〜84歳群では非ワルファリン群に対する服薬群のイベント率は低い(P=0.027 and P<0.001, respectively)

4)85歳以上群ではINR1.6-2.59の群で血栓塞栓症+大出血イベントは低い

結論:INRを1.6〜2.59に保てば,超高齢者でもワルファリンの効果はある

### これは参考になります。85歳以上群では血栓塞栓症および大出血イベントそれぞれではワルファリン群と非ワルファリン群の有意差はなかったものの,INR良好群ではそれらは少なく,また生命予後や心血管死は有意にワルファリン群で少なかったとのことです。

特に目を引くのはINR1.6-1.99 であれば血栓塞栓症も大出血も2年間でゼロだったというグラフです。

Nが263例と低く,また大病院での例ですので,認知症や要介護度の高い人は少ないと思われます。またINRの数字も確かワンポイントだけのものだと思いました。それでもINRが良好な人であれば85歳以上でもワルファリンを考えて良いというプッシュになると思われます。

$$$ 今日は我が家のにゃんこ@AM5:00
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by dobashinaika | 2015-09-03 21:40 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(1)

高齢者における抗血栓療法10か条:EHJ誌のまとめ

以前EHJからでました「高齢者における抗血栓療法に関するエキスパートの意見」をさらに10個のキーポイントにまとめたものがACCのサイトからでていますので,参考にします。
なお高齢者とは65〜75歳以上

Antithrombotic therapy in the elderly
Barnes GD
(http://www.acc.org)

1.高齢者では血栓性疾患(急性冠症候群,心房細動,静脈血栓塞栓症VTE)のリスクが増加する。同時に抗血小板薬,抗凝固薬による出血リスクも増加する

2.高齢者においては,高齢というだけで生命保護のための抗血栓療法を否定されるべきではない。リスクベネフィットに基づく個別の評価が必要である

3.年齢に関連した臓器の変化は薬物動態に影響する。たとえば,脂溶性薬物での分布量は増加し(半減期による),水溶性薬物では減少する(血中度濃度による)

4.高齢者における抗血小板療法はすべて許容される。用量は以下のように考慮される
・急性冠症候群およびPCI後におけるクロピドグレル75mg/日。75歳以上のST上昇型心筋梗塞で血栓溶解薬が投与された場合は300mgの初期ローディングは不要
・急性冠症候群およびPCI後におけるプラスグレル減量投与(5mg/日)
・心筋梗塞後及び末梢動脈疾患ではvatapaxar2.5mg/日を注意深く使用

5.高齢者における抗凝固療法は以下の様な用量で許容される
・VKA(ワルファリンなど)はさまざまな制約があるが,低容量で良く使われる。頻回のモニタリングが良い
・ダビガトランは80歳以上の心房細動では110mgが使用されるべきで,75−79歳でも考慮。VTEでも可
・アピキサバンは80歳以上,60kg以下,クレアチニン1.5以上であれば2.5mgx2使用すべき。心房細動,VTEで可

6.非経口抗凝固薬も以下の用量で許容される
・低分子ヘパリンは様々な適応があるが,75歳上では減量使用(0.75-1.0mg/kg,1日2回)。血栓溶解療法時は30mgのボーラス使用

7.血栓溶解約は用量を考慮して使用されうる
・TenecteplaseがST上昇型心筋梗塞や肺塞栓症で使われる。75歳以上のSTEMIでは半量

8.抗凝固療法下での出血予防は重要。3者併用療法はできるだけしないあるいは短縮すべき。この間外科手術は避けるべき。PCIは大腿よりも撓骨動脈アプローチ。DAPT患者にはPPI 。NSAIDやステロイド使用は避ける

9.小出血や小手術(皮膚,経皮,歯科,内視鏡)は抗血栓薬中止の理由とはならない

10. 頭蓋内出血の抗血栓薬再開は細心の注意のもとに行われるべき。心房細動であれば左房閉鎖術が合理的

### 元のサイトはこのブログで取り上げましたが,これをまとめたというよりは,この著者の視点がかなり入っているように思われます。しかし主張としては妥当と思います。抗凝固薬はワルファリン,ダビガトラン110mg,アピキサバンが挙げられているようです。

また出血,小手術で中止しないというのも改めて患者さんと共有すべきポイントですね。導入時と出血したと着,手術施行時にその都度十分確認したいです。

$$$ 本日久々に朝光がさしました。きのうまで長袖だった散歩着も半袖にしました。まだ夏の残り香をちょっとだけ味わいたいですね。
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by dobashinaika | 2015-09-01 19:02 | 抗凝固療法:ガイドライン | Comments(0)

80歳以上のどの程度の「フレイル」に抗凝固薬を使用するか(カナダ)」CJC誌

The Effect of Bleeding Risk and Frailty Status on Anticoagulation Patterns in Octogenarians With Atrial Fibrillation: The FRAIL-AF Study.
Lefebvre et al
Can J Cardiol. 2015 May 27; . PMID:26277091



目的:80歳以上の人の抗凝固療法の安全性,有効性とフレイルについて比較検討

方法:
・モントリオーにおける80歳以上の心房細動または粗動による入院患者682名のクロスセクション分析
・Clinical Frailty Scale (CFS:臨床フレイルスコア)をカルテから算定

結果:
1)抗凝固薬使用率:70%

2)抗凝固薬使用の促進因子:
・高CHADS2スコア:3点のオッズ比(1点に比べて)=3.58
・フレイルなし:CFS7点未満のオッズ比:3.41

3)抗凝固薬使用の抑制因子:
・HASBLEDスコア:3点以上のオッズ比:0.33

結論:私たちの研究では従来の報告に比べて80歳以上の人に適切な抗凝固薬が使用されていることが示唆された.さらなる研究必要

### こちらのサイトを見ますとCFS6点は「中等度フレイル」すなわち「外出時や家事全般の見守り必要および入浴介助,着替えの見守り」程度となっています,要介護2程度かと思われます.
http://geriatricresearch.medicine.dal.ca/clinical_frailty_scale.htm

これくらいの方であればカナダの病院では積極的に抗凝固薬を出しているようです.反対に7点ですと「6ヶ月以上,寝たきりまでは行かないが生活全般のケアが必要の場合」となります.
要介護3くらいでしょうか.実臨床の感覚として要介護2と3の間付近が抗凝固薬を出す出さないの分かれ目と言うのは理解できます.

カナダではこのような観点からすれば80歳以上の人の70%は抗凝固薬が使用されています.もちろん病院入院の方なので,比較はできませんが,日本の登録研究などでは50%弱の投与率だと思いますので,積極的に出すコホートだと言うことができるかと思います.

日本では実際は要介護2でも出さない医師も多いのではと思われます.

$$$ 蔵王の緑陰にひっそり佇む美術館。ここは日本画の宝庫です。そう遠くないところにこんな静逸な空間がある幸せ。
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by dobashinaika | 2015-08-19 20:46 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

ケアネット連載:「 75歳以上の心房細動、静脈血栓にNOACとワルファリンはどちらが良いのか」更新しました

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

今回は
第33回「75歳以上の心房細動、静脈血栓にNOACとワルファリンはどちらが良いのか(メタ解析)」
です。

ご参照ください
http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0033.html?keiro=index
(要無料登録)
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$$$ お盆休みをいただいており、連載の更新など告知のみであまりブログは更新しないようにしておりました。明日からまたたまった論文でも読んでいきましょうか。

と思っているうちに、もうこの辺りは早朝は早くも秋の気配が漂っています。夜、虫の声に秋を知ることが多いのですが、早起きしていると「秋はつとめてから忍び寄る」ことに気付かされます。空気が違うんですね。
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by dobashinaika | 2015-08-16 21:58 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

ケアネット連載:「 高齢者における抗血栓療法に関するエキスパートの意見」更新しました

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

今回は
第32回「高齢者における抗血栓療法に関するエキスパートの意見」
です。

ご参照ください
http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0032.html
(要無料登録)
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by dobashinaika | 2015-07-30 18:25 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

日本の85歳以上心房細動患者の脳卒中発症率は85歳未満より高いが大出血率は同じ:Chest誌

Clinical characteristics and outcomes in extreme elderly (age ≥85) Japanesepatients with atrial fibrillation: The Fushimi AF Registry
Yugo Yamashita et al
Chest. 2015 Jul 16. doi: 10.1378/chest.15-1095.


背景:85歳以上の超高齢者への抗凝固療法はチャレンジングである

方法:
・FUSHIMI AFレジストリー:2011年3月〜2014年7月。3304例
・同レジストリーでの85歳以上の超高齢者(479例、14.5%)の特徴とアウトカムを比較

結果:
1)超高齢者は合併症、高リスクスコア例が多いが、抗凝固療法例は少ない

2)平均追跡期間2.0年

3)全死亡17.6、脳卒中/全身性塞栓症5.1、大出血2.0/100人年

4)超高齢者のハザード比:脳卒中/全身性塞栓症+全死亡3.20、脳卒中/全身性塞栓症2.57、死亡率3.48

5)大出血は85歳以上と未満で同じ

結論:今回のコホートでは、日本の超高齢者心房細動患者の脳卒中発症は高頻度、大出血は若年者と変わらない。

### 非常に貴重なデータです。日本人の超高齢者心房細動患者のデータはおそらく初ではないでしょうか。

本文を見ますと、85歳上のコホートは平均CHADS2スコア2.8点。抗凝固率41.3%(ワルファリン38.3%、ダビが途端2.5%、イグザレルト0.2%、アピキサバン0.0%)です。

85歳以上の人はそれ未満に比べて、脳卒中/全身性塞栓症は2.6倍、大出血は同じということです。

有名なSingerらのネットクリニカルベネフィットは高齢者ほどベネフィットが大きく、その根拠はやはり高齢者ほど脳卒中が多く出血は年齢に散れてそれほど増えないためとされています。最近のアジアの大規模コホート研究でも、高齢になるに連れ脳卒中/全身性塞栓症リスクは増加しますが大出血リスクは年齢との相関はないことが明らかになっています。
http://dobashin.exblog.jp/19554092/

こうしてみると各種エビデンスからは、高齢者でもしっかりと抗凝固を行って脳梗塞を予防するという方向性が示されていると言っても良いと思われます。

町医者としては、こうした超高齢の認知症の程度、転倒リスク、服薬管理者、アドヒアランス、抗凝固療法を行っていない場合の理由など、よりナラティブな実情も知りたいところです。

$$$ 好物のロマネスコと自家製ミニトマト、それにもずく。健康的な夕食^^
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by dobashinaika | 2015-07-23 21:27 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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