タグ:頭蓋内出血 ( 12 ) タグの人気記事

抗凝固薬内服中の脳内出血後の再開は7〜8週後が良い:Stroke誌


Optimal Timing of Anticoagulant Treatment After Intracerebral Hemorrhage in Patients With Atrial Fibrillation
Stroke. 2016;STROKEAHA.116.014643


疑問:脳内出血後の抗凝固薬再開はいつからが良いのか

方法:
・スウェーデンの患者登録研究。2005〜2012年
・心房細動かつ初回の脳内出血患者
・血栓塞栓と出血を分けて記載
・複合エンドポイント:血管死あるいは非致死的脳卒中

結果:
1)2619人対象

2)抗凝固療法により高リスク患者の血管死,非致死的脳卒中は減るが,脳内出血リスクは増加しない

3)脳出血後7〜8週での抗凝固薬開始が最も利益が大きいとに思われる

4)高リスク女性では,血管死と脳卒中の再発リスクは,8週後再開の場合3年で17.0%。再開しない場合28.6%(95%CI;1.4〜21.8%)

5)高リスク男性では,同リスクは14.3% vs, 23.6%(95%CI;0.4-18.2%)

結論:心房細動患者の脳内出血後の抗凝固薬再開は,出血リスクと治療効果から見て7〜8週からが望ましいことが示唆される。

### 最新のESCガイドラインでは4〜8週とやや広めの範囲でしたhttp://dobashin.exblog.jp/23171333/

7〜8週とより限定的に言ってもらうほうが現場としては迷わないと思われます。
症例のプロファイルはすみません,アブストラクトだけなので検討できていません。

$$$ マツコ・デラックス氏絶賛のずんだシェイク。こんな食べ物誰が考えたのだろう。天才だ。
a0119856_22125239.jpg

by dobashinaika | 2016-12-26 22:13 | 脳卒中後 | Comments(0)

欧州心臓病学会の心房細動ガイドライン速報その3:頭蓋内出血後の抗凝固薬再開時期

新ESCガイドラインピックアップの続き。

頭蓋内出血を起こしてしまった後,抗凝固薬をいつ再開するかという興味深い問題です。
キーシェーマは次の通り
a0119856_22352911.jpg



だいたい4〜8週後に,頭蓋内出血低リスクの薬(というとNOACか)を投与とのことです。
ただ,このガイドラインの随所にでてくる”multidisciplinary team"つまり多職種チームでの関わりが重視されています。

機械的に4〜8週後に再開,と考えるのでなく,年齢,血圧,アルコール,出血の度合い,出血理由など多岐にわたる因子を考慮し,医師だけでなく,薬剤師や看護師(訪問看護師),理学療法士,ケアマネジャー,脳外科医,内科医などなど多職種を交えての意思決定が説かれています。

出血の原因が生理学的要因(高齢など)だけでなく,転倒,薬剤の飲み過ぎ,併用薬(抗血小板薬)などが絡みますので,医師だけで決定するのは危険かもしれません。

なんかこのガイドラインを眺めていると,もはや抗凝固療法(に限らず全ての医療,特に慢性期医療)では医師をトップとする権力勾配は,成り立たなくなりつつあることを痛感します。

最初から4〜8週とかなり幅広くレンジが取られているのも,いろんな因子により開始時期に差異があることによるものと思われます。
個人的には一番大切なのは血圧と思われます。血圧を十分下げられなければ再開は怖いところです。

私なら,抗凝固薬飲んでて大出血してしまったら,今なら左心耳切除術をお願いしたい感じですが。

$$$ お気に入りの場所
a0119856_22594553.jpg

by dobashinaika | 2016-08-31 23:05 | 脳卒中後 | Comments(0)

頭蓋内出血の既往のある人への抗凝固療法はどうするか?:Circ誌

The Use of Oral Anticoagulants for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation Patients with History of Intra-Cranial Hemorrhage
Circulation;2016 Mar 11

疑問:頭蓋内出血の既往のある人への抗凝固療法はしていいのか?

方法:
・台湾のNational Health Insurance Research Database
・CHA2DS2-VAScスコア2点以上,頭蓋内出血の既往のある12,917例
・無治療,抗血小板薬,ワルファリンの3群比較

結果:
1)無治療群(年間):頭蓋内出血4.2%,虚血性脳卒中5.8%

2)ワルファリン群:頭蓋内出血5.9%,虚血性脳卒中3.4%

3)抗血小板薬群;頭蓋内出血5.3%,虚血性脳卒中5.2%

4)CHA2DS2-VAScスコア6点以上の人で,NNT(37)がNNH(56)に優る

5)CHA2DS2-VAScスコア6点未満ではNNT(63)はNNH(53)より高い

結論:CHA2DS2-VAScスコア6点以上の人であれば,頭蓋内出血の既往のある例に対しワルファリン使用が有効。NOACが有効どうかはさらなる研究を要する。

### 非常に貴重な研究です。一度頭蓋内出血をきたした心房細動の人にはなかなか抗凝固療法を行いにくく,実際やめてしまったり,最初から投与しなかったりという場合もあると思われます。

CHA2DS2-VAScスコア6点というのは,例えば75歳以上で,脳出血同様脳梗塞の既往もあって,高血圧と糖尿病があって,というようなハイリスク例です。このようなケースは出血も多いとも思われますが,実は,高齢者ほど頻度的に虚血性脳梗塞>脳出血というのも事実なので,ワルファリン低用量で使用すればいいのかもしれません。

実際は本当にその人その人での吟味が必要と思われますが。

頭蓋内出血の少ないNOACに期待が持てますが,データ待ちの段階。

### 仙台,本日桜満開
a0119856_2230493.jpg

by dobashinaika | 2016-04-09 22:33 | 脳卒中後 | Comments(0)

NOAC関連頭蓋内出血でも高い死亡率と転帰不良(ドイツの登録研究):JAMA-N誌

Early Clinical and Radiological Course, Management, and Outcome of Intracerebral Hemorrhage Related to New Oral Anticoagulants FREE ONLINE FIRST
Jan C. Purrucke et al
JAMA Neurol. Published online December 14, 2015. doi:10.1001


疑問:NOAC使用患者の場合,頭蓋内出血の発症初期の転帰やアウトカムはどうか

セッティング:
・前向き,研究者主導,多施設,観察研究
・診断,治療,中和薬投与は主治医の裁量
・ドイツの38施設
・NOAC使用下の頭蓋内出血連続61例,うち74%で血腫の拡大の有無を評価

アウトカム評価
・血腫拡大,脳室内出血,中和薬使用。発症3ヶ月のアウトカム,Rankinスコア,再出血,Graegスコア,大幅な血腫拡大(33%拡大または6mL以上増大)

結果:
1)NAOC使用下頭蓋内出血:女性41%,年生76.1歳,NIH脳卒中スコア平均10点

2)血腫容積23.7ml,大幅な血腫拡大:38%

3)新たなまたは増大する脳室穿破:18%

4)全死亡(3ヶ月):28%(17〜60%)

5)死亡例の57%はRankinスコア3〜6点の転帰不良例

6)プロトロンビン複合体製剤使用:57%:血腫拡大やRankinスコアには影響せず

結論:NOAC関連頭蓋内出血は高い死亡率とて不良を認めた。特異的中和薬の効果に関する大規模前向き試験が望まれる

### NOACの内訳はリバーロキサバン80%,ダビガトラン12%,アピキサバンと8%です。CHA2DS2-VAScスコア平均5点,HAS-BLEDスコア平均2点でした。

ディスカッションにありますが,NOACでの血腫容積や部位は従来のワルファリンの報告とあまり大差なかったとのことです。また血腫増大も11/3に認め脳室穿破もワルファリンと同程度だったとのことです。

日本からの多施設登録研究とは異なる結果でした(こちら参照)
日本の方は,出血患者の平均年齢77.3歳でドイツとほぼ同じ,死亡率は11.5%,血腫拡大は17%といずれも今回のドイツより少ない値です。

単に対象の違いか,出血後の治療の問題か不明ですが,NOACでも油断はするな,という教訓として受け止めたほうが良いと思います。

$$$ 仙台もこんな季節
a0119856_21592190.jpg

by dobashinaika | 2015-12-15 21:57 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

ケアネット連載:「日本におけるNOAC服薬中の頭蓋内出血の特徴」更新いたしました

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

今回は「日本におけるNOAC服薬中の頭蓋内出血の特徴」です。

日本の脳卒中専門施設でのデータです。NOACのほうが重症例が少ないとのこ報告です。
ワルファリン群との前向き比較ではなく、またNAOCを投与するような症例は、ワルファリン投与例よりもともと軽症である可能性もありますね。
あくまで参考ですね。

大変興味深い内容ですので、ご参照ください。
http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0025.html
(要無料登録)
a0119856_2253671.png

by dobashinaika | 2015-04-10 22:53 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

抗凝固薬内服中の頭蓋内出血の予後に出血後の中和と降圧が関連:JAMA

Anticoagulant Reversal, Blood Pressure Levels, and Anticoagulant Resumption in Patients With Anticoagulation-Related Intracerebral Hemorrhage
Joji B. Kuramatsu et al
JAMA. 2015;313(8):824-836

重要性:抗凝固薬使用が増えてきているが、抗凝固薬関連の頭蓋内出血に関するデータは大幅に不足している

目的:中和、血圧が頭蓋内出血の拡大や抗凝固療法再開に与える影響について評価する

デザインその他:
・後ろ向きコホート研究
・ドイツの19の三次医療施設。1176例=長期身体機能評価。853例=血腫増大評価。719例=抗凝固薬再開評価

介入:
・急性期中和。4時間後の収縮期血圧、抗凝固薬の再開

アウトカム:血腫増大頻度とINR、血圧との関係。虚血あるいは出血イベント頻度(抗凝固薬有り無しで)。身体機能に影響する因子(mRankinスケールスコア別)

結果:
1)血腫増大:307/853:36.0%

2)血腫減少率:
発症4時間後INR<1.3 vs. ≥1.3:19.8% vs. 41.5% ; P<0.001
血圧<160vs. ≥160:33.1% vs. 52.4% ;P<0.001
発症4時間での中和 (INR<1.3)+降圧(<160):18.1% vs. 44.2%: OR0.28; P<0.001

3)入院率:
発症4時間での中和 (INR<1.3)+降圧(<160):13.5% vs. 20.7%: OR0.60; P<0.03

4)抗凝固薬再開例:(全体の)23.9%
再開後血栓症イベント:5.2% vs. 15.0%:P<0.001(非再開例比)
出血合併症:有意差なし
死亡率(Propensity scoreマッチ後ハザード比):0.258 (0.125-0.534;P<0.001)

結論:抗凝固療法下の頭蓋内出血患者では、4時間以内のINR<1.3と収縮期血圧<160が血腫増大リスクの低下に関連していた。抗凝固療法再開は塞栓症イベント減少に関連していた。検証と前向き試験が必要。

### 全例ワルファリンで、中和はPCC, FFP, アンチトロンビン、ビタミンKなどの組み合わせ、となっています。

大変興味深い内容ですね。血圧管理の大切さもさることながら、出血後の抗凝固薬再開の妥当性が伺われます。

ただ最近出た日本の脳卒中センターにおける頭蓋内出血時の血腫増大率はNOACで17%、ワルファリンでも26%で今回の研究よりも良いですね。日本の医療施設の急性期治療が適切さなのか。興味深いです。
http://dobashin.exblog.jp/20931826/

$$$ 散歩中みつけた石碑。「疱瘡神」とあります。Wikipediaによれば「疱瘡(天然痘)を擬神化した神」と書いてありました。奥の深いものがありそうです。
a0119856_17544357.jpg

by dobashinaika | 2015-03-03 17:57 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

日本の医療施設における新規経口抗凝固薬服用中の頭蓋内出血の特徴:CJ誌

Intracranial Hemorrhage Caused by Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants (NOACs)
– Multicenter Retrospective Cohort Study in Japan –
Naoki Saji et al
Curculation Journal 2月20日

背景:NOAC内服中の心房細動患者の頭蓋内出血における特徴を評価する

方法:
・日本の241の脳卒中センターへの質問票
・NOAC関連の脳出血の特徴を検討:血腫サイズ、血腫拡大、院内死亡率
・文献上のワルファリンによる脳出血例と比較

結果:
1)174施設から解答

2)67施設38.5%から130人の匿名データを入手:男67.7%、平均77.3歳

3)院内死亡率:11.5%

4)脳出血:87例

5)1/5は抗血小板薬服用

6)血腫拡大(NOAC vs. ワルファリン関連脳出血):17% vs.26%

7)死亡率:16% vs. 35%

結論:今回の質問に回答した脳卒中センターのディレクターの半数以上が、NOAC関連頭蓋内出血を経験していなかった。NOAC関連頭蓋内出血はワルファリンに比べて、血腫拡大と死亡率が低かった。

### 今回の87例におけるNOACの内訳はリバーロキサバン71.3%、ダビガトラン25.3%、アピキサバン3.4%でしたが、対象及びそこでも使用薬剤が異なるのでこの数字にはあまり意味は無いと思われます。

130人にプロファイルですが、高齢で血圧は平均158-85、eGFR39.6、CHADS2スコア平均3点とやはり高リスク例です。治療としては降圧療法が78.5%、PCC使用は10%にとどまっています。

RE-LYやARISTOTOLEでは頭蓋内出血を起こしてしまった例の死亡率はワルファリンと変わらないとの報告もありました。
それらを見ますと、アピキサバンでも頭蓋内出血例の死亡率は43.2%、ダビガトランでは20%であり、今回の報告よりかなり高い死亡率となっています。
日本の施設の治療法が良いのか、試験デザインや統計上の問題なのか、検討したいです。
http://dobashin.exblog.jp/20524093/
http://dobashin.exblog.jp/19965528/

### 寝る前はよくチェロを聞きます。スーッと体の重心が下がって落ち着く感じになるんですね。最近ではこの人のチェロがピカ一です。
ベートーヴェン : チェロとピアノのための作品全集:ジャン=ギアン・ケラス (チェロ), アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)
a0119856_18564640.jpg

by dobashinaika | 2015-02-25 18:58 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

新規経口抗凝固薬は臓器によって出血パターンに違いがある;T/H誌

Thromb Haemost 2014; 112
Organ-specific bleeding patterns of anticoagulant therapy: lessons from clinical trials
Thomas Vanassche et al


Thromb Haemostのオンライン版に、NOACの臓器別の出血についての差異に関するレビューが掲載されてます。
マクマスター大学のグループからです。

勉強になるので、簡単にまとめます。

【臓器特異的な出血パターン】
・4NOAC全体で大出血は23%減らした:相対危険0.77
・詳細に見ると2つの対照的な臓器特異的出血パターンが明らかになる
・第一に、頭蓋内出血について、NOACは一様に減少させる
相対危険減少60%、平均相対危険0.42
・第二に、消化管出血について、NOACごとに違いあり
リバーロキサバンとダビガトラン150、エドキサバン60は増加
アピキサバンとダビガトラン110は同等
エドキサバン30は減少

【その考えられる理由】
<頭蓋内出血 (ICH)>
・多くの大出血はINRが治療治範囲内の時に起こる
最近の研究ではワルファリン服用者260名中、INR2.5~3.0が78%、3.0以上は13.5%
・NOACのワルファリンに対する優位は、INR管理が良好な施設でも、管理不良な施設でも同等
・2つのメカニズムを想定
1)NOACとVKAの異なる作用 2)脳のユニークな生理

1)薬剤関連因子
・血管壁が破綻すると組織因子 (TF)が参集し、凝固系が活性化され血栓が形成される
・VKAは、ビタミンK代謝を阻害することで、4つのビタミンK依存性凝固因子の集積を弱める
・NOACは、その分子量に当量の阻害作用を有し、Xaあるいはトロンビンという個々の凝固タンパクを選択的に阻害する
・臨床的な血中濃度では、NOACは、TFが関与するような凝固活性の上昇に関連したXaやトロンビンの生成の局所集中を抑制する作用は、VKAより弱いかもしれない
・TFは、脳血管床の破綻部位の流血に暴露される
・中和を免れたXaとトロンビン分子は、局所的により多くのトロンビンを生成し出血の進展を抑制し、結果として臨床的出血を防ぐ

2)脳特異的な止血制御
・脳の毛細血管の内皮細胞はpericyteやastrocyteで囲まれていて、それらはTF豊富で特殊な内皮細胞下の基底膜を形成する
・この膜は自発的は頭蓋内血腫形成を阻止する方向に働く
・出血リスク低減のさらなるメカニズムとして、この組織因子径路の抑制が低いことがある

・剖検や画像により、非対称性の脳毛細血管出血は60歳以上の5〜10%に見られる
・この微小出血の年令による有病率は、高血圧やアミロイドアンギオパチー同様ICHのリスクである
・生理的な止血が妨げられると、抗凝固療法がこの臨床的には問題にならない微小出血を引き起こし、臨床的に明らかな大出血へと変化する
・VKA服用者ではこの微小出血の存在が明らかにICHのリスクを高めることが報告されている

・NOACがワルファリンよりICHが少ないのは、この2つのメカニズムによると考えられる
・NOACの効果は標的となる高濃度の血栓酵素の圧倒的増加と、その高濃度血栓酵素が脳血管微小出血においてTFが高濃度になることにより局所的に増加することによる
・こうした仮説は動物実験で指示されている
・ネズミの実験で、ダビガトランとリバーロキサバンが脳の血腫を縮小することが報告されている
・NOACの静脈血栓塞栓症のトライアルでも、ICHが70%減ることが知られている

### まとめ
1)NOACのワルファリンに比べた出血パターンは臓器別に2つある。①頭蓋内出血は全NOACで減少 ②消化管出血はまちまち
2)NOACがICHを減らす作用は2つある。①TFが非常に多い時には、ワルファリンより局所でのトロンビン抑制作用が弱い ②脳毛細血管の破綻部位ではTFが豊富で、微小出血の際ワルファリンが止血を抑制する

これまで言われていたことのまとめですね。消化管出血についての記事もまとまっていますが、それは後日に。
by dobashinaika | 2014-09-09 22:37 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

ダビガトラン服用中に頭蓋内出血をきたした人の予後はワルファリンと比べてどうか?:Stroke誌

Stroke 7月3日
doi: 10.1161/STROKEAHA.114.006016
Intracranial Hemorrhage Mortality in Atrial Fibrillation Patients Treated With Dabigatran or Warfarin
Alvaro Alonso et al


疑問:現実世界でのダビガトランの頭蓋内出血のアウトカムはどうか?

P:The Truven Health Marketscan Research Databasesにおいて、頭蓋内出血で入院かつ心房細動ありの患者

E/C:プロペンシティースコアをマッチさせたダビガトラン服用者とワルファリン服用者

O:入院時死亡率

結果:
1)2391人:ワルファリン2290人 vs. ダビガトラン531人

2)死亡:531人

3)死亡率:ワルファリン22% vs. ダビガトラン20%

4)スコアマッチ後のダビガトランの相対リスク0.93(0.62−01.37)

5)頭蓋内出血のタイプごと(脳内出血、クモ膜下出血、硬膜下出血)での差はなし

結論:今回のセッティングでは、ダビガトランはワルファリンに比べて、入院時死亡率がより高くはなかった。したがって、中和薬がないことを理由にダビガトランの使用を避ける事はこの結果からは支持されない。

###一旦出血を起こしてしまった症例の予後の比較ですね。

アウトカムが「大出血」においてはダビガトランのほうがやや良いという結果も出ています。
http://dobashin.exblog.jp/18716677/

ダビガトランの頭蓋内出血のほう軽傷で済むという報告もありますが、今回の報告では死亡をアウトカムにすると同じくらいということです。
http://dobashin.exblog.jp/19645660/

アリストテレス試験では大出血後の予後はアピキサバン群のほうがよかったとの報告もありますが、こちらはRCTです。
http://dobashin.exblog.jp/19815143/
もちろんだからアピキサバンのほうが有利とはいえません。

いつもながら観察研究ですので、スコアマッチング済といえども交絡因子はありますことは注意です。
by dobashinaika | 2014-07-04 20:01 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

抗凝固療法下での頭蓋内出血の予測因子:Stroke誌

Stroke 5月号より
Intracranial Hemorrhage Among Patients With Atrial Fibrillation Anticoagulated With Warfarin or RivaroxabanThe Rivaroxaban Once Daily, Oral, Direct Factor Xa Inhibition Compared With Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation Graeme J. Hankey et al
Stroke.2014; 45: 1304-1312


【疑問】ROCKET AF試験での頭蓋内出血のリスク因子はないか?

P:ROCKET AF登録患者14,264人

E/C:各種パラメーター

O:頭蓋内出血

【結果】
1)頭蓋内出血頻度:リバーロ群172人(1.2%)、175イベント
2)人種差:アジア人ハザード比2.02(1.39〜2.94)、黒人3.25(1.43-9.41)
3)年齢:10歳上がるごとにハザード比1.35(1.13〜1.63)上昇
4)血清アルブミン:0.5下がるごとにハザード比1.39(1.12〜1.73)
5)血小板減少:1万下がるごとにハザード比1.08(1.02〜1.13)
6)脳卒中/TIAの既往:ハザード比1.42(1.02〜1.96)
7)拡張期血圧:10上がるごとにハザード比1.17(1.01〜1.36)
8)頭蓋内出血減少の予測因子:リバーロキサバン0.60、心不全の既往0.65
9)このモデルの予測能は良好」c統計量0.69(0.64〜0.73)

【結論】頭蓋内出血はアジア人、黒人、高齢者、脳卒中/TIA既往例、拡張期血圧上昇、血小板、アルブミン減少例で高い。心不全例とリバーロキサバンす用例でリスク低い。外的妥当性には他の集団での検討必要

### アジア人、やっぱり頭蓋内出血リスク高いですか。
他のチュもくすべきデータとして、全体での頭蓋内出血頻度は年間067%で、死亡率はなんと49%とのことです。高血圧、低アルブミン、血小板の低い人、脳卒中既往例などではとり頭蓋内出血の少ない薬剤がオプションとしてはいいのかもしれません。
by dobashinaika | 2014-05-17 00:38 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:リアルワールドデータ
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールド
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(27)
(25)
(24)
(22)
(21)
(20)
(19)
(19)
(18)
(17)
(16)
(15)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(10)

ブログパーツ

ライフログ

著作

プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか (集英社新書)


幸福はなぜ哲学の問題になるのか (homo viator)


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

プライマリ・ケア外来でも発作..
at 2017-06-26 22:22
心房細動患者では,ワルファリ..
at 2017-06-23 22:15
米国プライマリケア外来でも過..
at 2017-06-20 19:26
低リスク症例では,NOACは..
at 2017-06-18 23:08
低用量適応のない例での低用量..
at 2017-06-17 00:01
ワルファリンの管理状況が良け..
at 2017-06-06 21:11
第10回 どばし健康カフェ「..
at 2017-06-06 08:17
やはり心房細動では血圧が高い..
at 2017-06-04 19:15
日本人の今後10年間の心房細..
at 2017-05-25 15:14
米国でも日本でもDOAC発売..
at 2017-05-19 00:01

検索

記事ランキング

最新のコメント

簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39
土橋先生論文を分かりやす..
by ekaigo at 17:41
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 21:03
先生のブログ(共病記)を..
by 大西康雄 at 13:07
コメントありがとうござい..
by 小田倉弘典 at 18:40
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 18:35
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 18:34
はじめまして 心房細動..
by 患者目線 at 08:36
脳梗塞を起こしているから..
by 心配性 at 06:36

以前の記事

2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン