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やはり心房細動では血圧が高い(収縮期150mmHg以上)と血栓塞栓症と出血リスクが高かった;伏見AFレジストリーから


P:FUSHIMI AF Registryに登録した心房細動患者3713例。追跡期間中央値1,035日

E:高血圧あり:2304例,62.1%

C:高血圧なし:1409例

O:脳卒中/全身性塞栓症,大出血

結果:
1)高血圧の既往は,脳卒中/全身性塞栓症,虚血性脳卒中,頭蓋内出血,大出血ともに影響なし

2)ベースライン血圧150mmHg以上群(305例,13.3%):150mmHg未満群(1983例)にくらべ
脳卒中/全身性塞栓症多い:HR: 1.74, 95% confidence interval [CI]: 1.08–2.72
大出血多い:HR: 2.01, 95% CI: 1.21–3.23

3)150mmhg未満群は,非高血圧群と比べて脳卒中/全身性塞栓症,大出血に差はなし
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結論:脳卒中/全身性塞栓症,大出血とも,特に収縮期血圧の高い心房細動患者において発症リスクが高かった。

### 臨床に直結するデータですね。最近ではJ-RHYTYHレジストリーで同様研究があり,それでは収縮期血圧136mmHgで切られていました。
伏見では150がカットオフポイントですが,140−149mmHgは差がなかったようです。

Discussionにもあるように,血圧はベースラインのワンポイントの値なのでこれだけで目標値を定めるのは無理がありますが,自験例でも出血,梗塞を起こす症例は,だいたい145~150mmHgを超えるような症例であり,実感に合っているように思います。

抗凝固薬ありでもなしでもこのことは認められているので(抗凝固薬無し群はそれだけ低リスクであることに注意),抗凝固薬を出しっぱなしにして血圧を軽く見てはいけない,というメッセージを受け取りたいと思います。

いまさらながらですが,抗凝固療法の主眼は脳血管イベント予防にあるのだから,であるなら当然血圧管理が最大の課題であることを反芻します。


### ご近所ネコシリーズ
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by dobashinaika | 2017-06-04 19:15 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

ワルファリン服用中では,血圧136以上が血栓塞栓症,出血イベントの危険因子:J-RHTHMレジストリー

Impact of Blood Pressure Control on Thromboembolism and Major Hemorrhage in Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation: A Subanalysis of the J‐RHYTHM Registry
J Am Heart Assoc.2016; 5: e004075originally published September 12, 2016


疑問:血圧管理が心房細動患者の脳塞栓,大出血に与える影響は?

方法:
・J-RHYTHMレジストリー登録患者158施設,7937例中NVAF7406例
・平均69.8歳,2年またはイベント発生時まで追跡
・高血圧の定義:140/90以上,高血圧の既往,降圧薬服用中

結果:
1)高血圧は大出血の独立危険因子:HR1.52, 95% CI 1.05–2.21, P=0.027

2)血栓塞栓症との関連なし;HR1.05, 95% CI 0.73–1.52, P=0.787

3)イベント時に最も近いタイミングの血圧4分位の最高層(136以上)は最低層(114未満)に比べ血栓塞栓症オッズ比2.88, 95% CI 1.75–4.74, P<0.001,大出血1.61, 95% CI 1.02–2.53, P=0.041:CHA2DS-VAScスコア,ワルファリン使用で補正

4)血圧136以上は血栓塞栓症,大出血の独立危険因子

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結論:NVAF患者では,血栓塞栓症,大出血予防において,血圧管理が高血圧の既往やベースライン血圧よりも重要

### これは大切な論文です。有名なBAT試験では血圧130/81を超えると頭蓋内出血が有意に増加するという結果でしたが,あの試験の対象は二次予防でワルファリン服用率は32,7%と多様な患者が含まれていました。今回はJリズムですので,一次予防のワルファリン使用者がほとんどで,よりわかり易い内容です。

患者キャラは,発作性が38%,CHADS2スコア平均1.7点,CHA2DS-VAScスコア2.8点,平均年齢69.8歳で比較的軽症の集団と言えます。

グラフを見るといろんなことがわかります。なんと血圧135以下だとワルファリンを飲もうが飲むまいが血栓塞栓症,大出血とも発症率に差がない!ようです。136以上で初めて有意差がついています。しかもCHA2DS-VAScスコアで補正しても同じとなれば,とにかく血圧だけ管理していれば,イベントは大変少ないことが示唆されています。

それから血圧良好なら,ワルファリン服用例の日本人の血栓塞栓症率は1%弱,大出血も1.5%前後で非常に低値ですね。NOACのRCTにおける脳卒中率はワルファリン例で概ね1.6−2.4%,NOAC例で1.1−2.1%すからNOACの最良データ(ダビガトラン150)より血栓塞栓症は低く,大出血は同等といえます。いかに血圧管理が大事かがわかる論文です。

いささか乱暴ない言い方ですが,血圧136以上とそれ以下の差は,ワルファリンとNOACの差よりも大きいですね,数字上は。

また114以下と低すぎてもややイベントは増加する傾向にも見えますので,心房細動で抗凝固薬を出したときはとにかく「上135以下を目指す戦略が肝のようにに思います。
$$$ 先週末はジャズフェス。初回から知ってるものとしては,当初の手作り感がなつかしくもあり。でも秋風と木漏れ日とサックスの三位一体はベストマッチ。
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by dobashinaika | 2016-09-13 19:13 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

血圧管理は心房細動の脳卒中リスク軽減における重要な戦略:アリストテレス試験サブ解析

Blood Pressure Control and Risk of Stroke or Systemic Embolism in Patients With Atrial Fibrillation: Results From the Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation (ARISTOTLE) Trial
Meena P. Rao et al
J Am Heart Assoc.2015; 4: e002015


疑問:心房細動患者の血圧管理と脳卒中の関係は?

方法:
・アリストテレス試験登録患者18201人のうち,治療を必要とする高血圧の既往および登録時といずれの時点 とで血圧が140かつ/または90以上)

結果
1)治療必要な高血圧の既往を持つひとは87.5%

2)いずれかの時点で高血圧のある患者のハザード比
・脳卒中/全身性塞栓症:1.53(1.25–1.86)
・出血性脳卒中:1.85(1.26–2.72)
・虚血性脳卒中:1.50(1.18–1.90)

3)大出血
・高血圧の既往例で低い:ハザード比0.80(0.66–0.98)
・登録時高血圧例では同等:ハザード比0.89(0.77-1.03)

4)アピキサバンとワルファリンの脳卒中/全身性塞栓症予防で比較すると,高血圧の既往,血圧の管理にかぎらず両者で同等
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結論:試験のいずれかの時点で血圧が高いことは脳卒中/全身性塞栓症リスクに関連。この結果は心房細動の脳卒中リスク軽減の重要な戦略としての血圧管理を強力に支持する。

### 高血圧既往例で大出血が少ないのは解せませんが,管理不良例はやり大出血は増えているようです。

サブグループ解析で,ある意味観察的な研究ですので一概に因果関係を言うことはできませんが,普段の高血圧患者さんでまず念頭に置く140/90くらいは心房細動で最低限クリアしておきたいと改めて確認。

$$$ 夜の緊急往診。ナビがなくてもすぐ到着。毎朝の散歩の賜物です。
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by dobashinaika | 2015-12-09 23:15 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

収縮期血圧130以下は心房細動新規発症リスクが減少:Hypertension誌

Effect of Lower On-Treatment Systolic Blood Pressure on the Risk of Atrial Fibrillation in Hypertensive Patients
Peter M. Okin et al
Hypertension Published online before print June 8, 2015


背景:血圧が低いほど、心房細動の発症が少ないかどうかは不明

方法:
・心電図で左室肥大を認め、心房細動の既往がない8831例対象
・心房細動新規発症率と心房細動診断前あるいは発症前最後の収縮期血圧(SBP)を検討
・ロサルタンとアテノロールにランダム割付
・SBP130以下、131−141と142以上とを比較

結果:
1)新規発症:701例7.9%。追跡期間4.6年

2)新規発症率(142以上基準):130以下=40%(95%CI;18-55%)相対危険減少。131〜141=24%(7〜31%)減少

結論:収縮期血圧130以下を達成することは、左室肥大のある高血圧例の心房細動新規発症リスク低減に関連あり。さらなる研究必要

### これまで抗凝固療法中の血圧を130以下にとはよく言われていましたが、そのエビデンスは日本のBAT研究で、この研究の対象は脳血管疾患、心血管疾患の幅広い疾患がふくまれ、心房細動以外の症例も多く、また薬剤もワルファリン以外の抗血小板薬のみの例も半分近く含まれていました。アウトカムは頭蓋内出血です。

今回はあのなつかしいLIFE試験のサブ解析で、こちらのアウトカムは心房細動発症です。なんで今頃出たのかわかりませんが、とにかくあまりエビデンスの多くないがしかも重要な分野ですので、貴重です。

ただアブストラクトは相対危険減少しか書いてないので、実際の発症率の差がどのくらいかも見たいところです。そのくらい抄録にも書いて欲しいところです。

観察研究ですので交絡因子は当然たくさん。
実際は、高齢者でも130未満まで下げるべきかなど、まだ悩ましい点は多いのが現状と思います。

$$$ 家庭菜園のトマトです。早く赤くなったのが見たいです。
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by dobashinaika | 2015-06-11 22:03 | 心房細動:診断 | Comments(0)

心房細動中の血圧は高すぎても低すぎてもダメ?:AFFIRM後付け解析:AJC誌

Am J Cardiol. 2014 Jun 18; . PMID:25060415
Optimal Blood Pressure in Patients With Atrial Fibrillation (from the AFFIRM Trial).
Badheka AO et al


方法:
・AFFIRM研究のpost hoc(後付)解析
・n=3947
・ベースラインから10mmHg上昇ごとにカテゴリー類別化
・一次評価項目:全死亡
・二次評価項目:全死亡、心室頻拍/心室細動、電気収縮解離、著明な徐脈、脳卒中、大出血、心筋梗塞、肺塞栓

結果
1)収縮期、拡張期血圧ともに一次評価項目、二次j評価項目において、U-shapedカーブ(高すぎても低すぎてもアウトカム上昇)が見られた(多変量解析)

2)非線形性Cox比例ハザードモデルでは、全死亡率は血圧140/78で最も低い

3)サブグループ解析でも同様に"U-shapedカーブ”を呈した

4)血圧110/60未満では全死亡が上昇:HR2.4, p<0.01

結論:心房細動患者では血圧と全死亡率の間にはU型の関係がある。このデータは、心房細動の最適血圧目標値は一般人よりも高い可能性がある。また心房細動の薬物療法は、もし血圧が110/60未満に低下した場合、全死亡率や有害事象に関連する。

### 興味深いです。抗凝固療法下の降圧では、BAT研究やSportif IIIなどではある程度、lowre, tthe better(低ければ低いほど良い)が示されていて、BAT研究からは130/80以下に下げよというメッセージが発信されていました。ただしこれらの研究のアウトカムは「頭蓋内出血」や「心原性塞栓症」でした。

一方この論文は有名はAFFIRM試験の後付解析ですが、血圧が低くても予後が悪いことが示されています。
一般に脳卒中はlower, the better。冠動脈疾患はJカーブまたはU-カーブの可能性がよく言われていますが、心房細動では冠動脈疾患も同じようなな影響の受け方をするのでしょうか。

後付解析なのに注意。
by dobashinaika | 2014-08-06 00:19 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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