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心房細動は配偶者にもQOL上、患者と同様の影響を及ぼす:Pacing and Clinic Electrophysiolより

Pacing Clinical Electrophysiology 4月28日オンライン版より

Quality of Life with Atrial Fibrillation: Do the Spouses Suffer as Much as the Patients?

心房細動が、患者の配偶者のQOLに与える影響についての検討

* 心房細動を持つ患者(411人)とその配偶者や恋人(129人)、計568人に質問票配布
* 日常活動度、仕事、性生活、身体活動、心理的幸福度、社会生活につき自己評価(5段階)してもらった
* 全体の傾向は患者本人と配偶者/恋人とで同様であった(患者:mild 42.0%, moderate 26.0%, severe 32.0% vs. 配偶者/恋人: 44.1%, 25.2%, 31.7%; P = 0.917)
* 年齢、性別補正でも同じ
* 各サブカテゴリーは仕事面(P=0.041)を除いて、両者とも同等であった

結果:心房細動は配偶者にも患者同様の心理的インパクトを与える。患者に対するQOL改善対策は、配偶者にも行うべきである

###自分の夫や妻が発作で苦しんでいたり、脳梗塞の危険があるとなれば、その配偶者も同様に悩み苦しむということだと思います。場合によっては本人以上に心配になる人もいるかもしれません。患者さんに病状や抗凝固薬の適応につき説明するときは、やはり家族の方も一緒にお話しすることが大切であることを再認識させられます。
# by dobashinaika | 2011-05-08 15:32 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

ダビガトラン、欧州でも承認勧告。製品名:PRADAXA

4月15日付けで欧州医薬品庁(EMA)が欧州連合(EU)加盟諸国における心房細動患者の脳卒中発症抑制の適応で承認勧告を通達しました。
http://p.tl/gxQp


ダビガトランはアメリカ、カナダ、日本で既に発売、その他11カ国で承認済みです。
欧州での適応は以下のうち1つ以上を有することとされています。
*脳卒中 / 一過性虚血脳発作 / 全身性塞栓症の既往、左室駆出分画40%未満、NYHAII度以上の症候性心不全、75歳以上もしくは65歳以上の糖尿病/ 冠動脈疾患 / 高血圧

ESCの心房細動管理ガイドラインで提唱されたCHA2DS2VAScスコアのベースにしていますが、微妙に違っているところが興味深いです。この縛りがある点は、日本の添付文書より適応が厳しいともいえます。
# by dobashinaika | 2011-05-07 23:49 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

心房細動の抗凝固療法における出血リスクの計算アプリ http://p.tl/z6Pd

HAS-BLEDスコアを算出するためのiPad用アプリです。
http://p.tl/z6Pd

HAS-BLEDスコアについてはこちらを参照
# by dobashinaika | 2011-05-07 23:24 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

BNP値が高いほど心房細動アブレーションの後の再発率が高い:Circulationより

Circulation 5月2日オンライン版より

Plasma B-Type Natriuretic Peptide Levels and Recurrent Arrhythmia After Successful Ablation of Lone Atrial Fibrillation

BNP値とカテーテルアブレーション後再発との関連につき検討

・726名の孤立性心房細動患者の初回アブレーション当日にBNPを測定
・多変量解析では、BNP上昇は高齢者、心房細動の持続時間、非発作性、大きな左房サイズと関連あり
・Cox比例ハザードモデルでは、BNP値はアブレーション後再発と強い相関あり(単変量:ハザード比2.32、95%CI2.11~2.74。多変量:2.13、95%CI2.06~2.38)
・BNP値の五分位の第1五分位に比べた再発率は、第2五分位1.6、第3五分位2.7、第4五分位4.3、第5五分位5.7

結論:BNP値は、AF burden(負担:持続性、血行動態低下、解剖学的リモデリング)と相関し、アブレーション後の再発と強く相関していた。亢進したBNP値は心腔内壁に係るストレスや内因性心房障害の反映であり、そのため高値の時は再発リスクが高まると考えられる。

###以前NT-proBNPとの相関の論文を紹介しました。今回も同様の結果ですが、症例数も多く、統計学的な相関もかなり強いようです。持続性心房細動のアブレーションが普及してきていますが、術前BNP値は適応決定の上でも参考になりそうです。
# by dobashinaika | 2011-05-06 17:42 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動と心筋梗塞後死亡との関係ー梗塞発症後30日以降出現の心房細動は要注意:Circulationより

Circulation 5月2日オンライン版より

Atrial Fibrillation and Death After Myocardial Infarction
A Community Study


心筋梗塞患者における、心房細動の影響について検討

・ 過去約25年間における心筋梗塞による入院患者3220名の地域住民コホート対象
・ 心筋梗塞前の心房細動は304例、心筋梗塞後の発症は729名(2日以内30%、3~30日16%、30日以降54%)
・ 心筋梗塞の5年間累積発症率は19%で、これは心筋梗塞の発症年に関係なし
・ 6.6年の追跡で1638名が死亡
・ 心房細動は死亡率の増加に関連しており、心筋梗塞の時期や心不全とは無関係 (HR3.77, 95%CI:3.37~4.21)
・ このリスクは心房細動のタイミングに大きく関係した。心筋梗塞発症30日を超えての心房細動は死亡率に大きく関係した:2日以内発症のHRは1.63倍、3~30日以内発症は1.81倍、30日を超えての発症は2.58倍。

結論:今回のコホートでは、心筋梗塞後の心房細動発症は多く、死亡リスクを高め、特に発症30日以降の心房細動はリスクが高かった。

###心房細動の発症時期が予後と関係するとの知見が興味深いです。心筋梗塞直後は急性虚血あるいは再還流に伴うものですが、30日以降の発症には、心筋線維化が関与しており、より心筋ダメージが強い例と考えられると思われます。
最近のメタ解析も参照ください。
# by dobashinaika | 2011-05-05 09:14 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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