全世界でNOAC発売後心房細動への抗凝固薬なしは67%→20%。NOAC優勢だがワルファリンも依然として多い。


方法:
1)GLORIA AFスタディ:44カ国,984センターからのグローバル登録試験。
2)18歳以上,CHA2DS2-VAScスコア1点以上。初回受診から3ヶ月以内に診断されたNVAF
3)NOAC発売後登録15092例(2011年11月〜2014年12月:Phase II)と発売前1063例(Phase I)の疾患特徴,アウトカム,合併症,治療法を比較

結果:
1)女性45.5%,平均71歳。欧州47.1%, 北米22.5%,アジア20.3%,ラテンアメリカ6.0%,中近東/アフリカ4.0%

2)CHA2DS2-VAScスコア2点以上:86.1%,1点13.9%

3)抗凝固薬:
Phase II:79.9%:NOAC47.8%,VKA32.3%,抗血小板薬12.1%,抗血栓薬なし7.8%
Pahase I:VKA32.8%, アスピリン47.1%,なし20.2%

4)ヨーロッパのPhase IIでは,NOAC(52.3%)がVKA(37.8%) よりcommon

5)北米では,NOAC52.1% ,VKA26.2%,抗血小板薬14.0%,なし7.5%

6)NOACはアジアでは少ない27.7%,VKA27.5%,抗血小板薬25.0%,なし19.8%
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結論:GLORIA-AF試験Phase IIは欧州と北米でNOACが臨床に高率に取り入れられていることを示した。しかしアジアと北米では抗凝固療法なしの患者が多数。

### 抗凝固なしの割合がプレNOAC時代は約67%!だったのに対しポストNOAC時代には20%に減っています。ヨーロッパは50%以上がNOACで,抗凝固なしは非常に少数になったが,アジアと北米ではまだ20〜45%くらい抗凝固なしまたがアスピリンでした。
アジアの国の内訳が不明ですが,日本はもっとNOACが多いように思います。2015年以降はなおさらでしょう。

ただこれ新規症例に対してですので,欧州でさえ38%くらいはまだワルファリンを出していることに注意したいです。まだワルファリン良しとしている医師がかなりいるのですね,

同様研究 (GARFIELD)こちら

$$$ 診察室の壁にネコ写真貼って時々息抜きしています。偶にネコ好き患者さんと話し込んで診察忘れます(笑)。
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# by dobashinaika | 2017-03-09 22:18 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

無症候性心房細動の24時間以上持続は脳卒中リスク増加と関連有り


疑問:無症候性心房細動がどのくらい続いたら脳塞栓リスクが増えるのか

方法:
・ASSERT試験登録患者2580人
・ペースメーカー,ICD,65歳以上の高血圧,心房細動なし
・虚血性脳卒中リスクにおける無症候性心房細動の影響をCoxモデルで評価
・6分以内の心房細動は除外
・追跡期間:2.5年

結果:
1)6分以上6時間以下:18.8%,6−24時間:6.9%,24時間以上10.7%

2)24時間以上持続群が引き続く虚血性脳卒中と有意に関聯あり:ハザード比3.24。95%CI1.51-6.95.p=0.003

3)6−24時間の持続と脳卒中リスクは関聯なし
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結論:無症候性心房細動の24時間以上の持続は脳卒中リスク増加と関聯あり

### ASSERT研究はペースメーカー,ICD患者の無症候性心房細動を追跡評価する研究で,主論文は既に発表されています。
無症候性心房細動はこうした方の約10%に起こり,心房細動がある人はない人の2.5倍の脳梗塞発症率とのことです。

ただし心房細動の持続時間と脳梗塞の頻度を比較したのはこれが初めてでした。
やはり短時間の心房細動であればほとんど脳梗塞は来さないとのことです。
以前発症48時間以内に除細動を施行した場合の脳塞栓率(抗凝固なし)も1%程度あるとの報告を読みましたが,こうした場合おそらく24時間以上続く例なのではないかと思われます。

反対に,数分とか数時間の心房細動であれば,抗凝固薬は必要ないともいえますので,ホルター心電図などで数分,数時間のものなら抗凝固はちょっと保留してもいいかもしれません。ただし無症候性はわからないから無症候性なので,無症候性ながら1回でも心房細動が見つかっている症例で抗凝固をどうしようか迷っている場合は,ホルター心電図を頻回に考える必要があるかもしれません。ループレコーダーなども今はありますが。

$$$ 今週の片手袋。ポスト上もよくあるタイプです。
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# by dobashinaika | 2017-03-07 18:17 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

第9回どばし健康カフェ「がんについて考えてみましょう」開催しました!

3ヶ月ぶりに第9回どばし健康カフェを開催しました。
総勢約20人の参加がありかなりの盛況でした。

今回は「がんについて考えてみましょう」です。

「目玉焼きには何をけるか」をアイスブレイクにしたところ,それだけでかなり盛り上がってしまい。本線の時間が足りなくなるいつものご愛嬌がありましたが。

前半は,以下のようなポイントを話し合いました。
・ガンに対して抱くイメージは?がんはこわいですか?
・ご自身,ご家族,友人などのガン体験に関し,差し支えない範囲でお話ください。
・がん検診は受けていますか?

がんに対するイメージ
・友人が数人乳がん:皆比較的前向きにとらえている
・いや、不安、なりたくな、怖い。こわくないけど抗がん剤が怖い
・とにかくいや。ならないように気をつけている
・癌は自己責任病?

ご家族のがん体験
・5年経過し今は言えることも当時は辛かった
・生活が困難になった。職場で受け入れられない→芸能人の闘病との違いを感じる
・治療の見通しのつかないのが辛い
・父が膵がんですぐ他界。濃密な時間が過ごせたと後で思う
・父が大腸癌:前向きだった
・義理の父:脳腫瘍。その後肺に影→リンパ節転移、再発→緩和病棟
・いとこが乳がん
・父がステージ4の肺がん、抗がん剤の副作用で間質性肺炎→在宅。検診受けてもわからなかった
・家族にもケアが必要がと思った
・家族は皆ポジティブだった:ポジティブは病にはプラス
・闘うという感じはなかった
・検診に行くのが怖い=再発するのでは
・家族が末期
  ・抗がん剤をこれ以上できなことへの苛立ち
  ・良い治療法に出会えると前向きに考えている
・同接したら良いか未だにわからない。励ませばよいのか

がん検診
・家人ががんなので毎年している
・怖くてしていない
・気が向いたらする
・二次検査(大腸カメラなど)が嫌
・唾液でわかる検診のモニターになった
・知り合いがなったので必ず受ける

治療についてのイメージ
・抗がん剤は辛い
・抗がん剤以外の治療法:効いているか効いていないかわからないが本人が納得していればいいのだろうか
・よくなるかわからないし副作用は強いし
・自分らしく生きられないのでは?
・効かないと次の薬、次の薬と効かない時は大変そう
・自分がなってみないと使うかどうかわからない
・抗がん剤で100%効果があるわけではないからしたくない
・とにかくすがりたい。悪いものではなければラムネでも


後半は
・がんになったら告知してほしいですか?
・知らせらたらあなたはどうしますか?
・がんで死にたいと主ますか?ご家族の場合は?

告知について
・いくらしっかりしている(ように見える)人でも耐えられない
・家族、患者、医師で希望が食い違うことあり
・本人(ご家族)は、最初がんいう意識がなかった(思いたくなかった)、受け止めない、拒絶、理解できない
・癌と癌以外では告知にかなり違いがある。
・医者本人が癌になった時の話:それまで患者の気持ちがわからなかった、頭を金槌で殴られたようだった、それまで何のためらいもなく告知していた

知らせて欲しい=多数
・死ぬ前に準備したい
・家族が、知りたいのか知りたくいのかわからない
・家族に気を使われれなくない。いままでのように接してほしい
・余命は治療法が尽きてから知りたい
・余命が短いほど知りたい→好きなことがしたい

知らされたくない
・ビビリなので
・知らされたとしても何もしないと思う
・「思い残すこと」が思い浮かばない
・残りの時間、”頑張ってもな”、と思う
・優しくされたい
・迷惑はかけたくない、「ごめん」という感じ

死について
・自分としては突然死んだ方が良いが、家族から見ればゆっくり過ごす時間があるので癌死が良い
・死ぬ時は老衰がいい、癌は嫌だ
・突然死は心の準備がでいない
・癌は悪くない死に方

がん(本人または家族)と知らされたら
・うつとの闘い担った人がいる
今日の延長が明日ではなくなる
電子レンジのボタンを押すのもできなかった
・思い残すことないようにしない
・前向きに捉えるには時間が必要
・家族が癌になったら:どんなことしてでも長生きしてほしい、してあげられることは何でもしたい
・子供ならどんなことでも手を尽くしたい
・自分だったら:仕事を辞めて家族のために何かしたい
・19歳で身近で癌で亡くなった人がいた→がんでなくなるのは嫌だと思った、でも突然死も嫌
・末期ガンの人になんと声をかけたら良いかわからない
普通に接する
共感する
ポジティブなことを必ず言う
・治った人の話が聞きたい
・希望をもちたい
・だれかにすがりたい

その他

癌の原因はなにか?
・タバコと肺ガンは本当か
・家系、遺伝はあるのか
・食生活に注意:父が胃癌で醤油好き→でも漢字し元気;叔母もタバコ好きで胃がん→手術し80歳まで生きている

病院,医師についての不満
・病院にいては体験を聞くことができない
・医者は仕事として淡々と伝えるように見える。ドライである(家族がなった人)
 ・心理学の勉強をした方が良いのでは
 ・訴訟や補償の問題などから感情を入れないようにしているのか
・医者は仕事として淡々と伝えるように見える。ドライである(家族がなった人)

その他
・授与性は男性より強い
・女性は旦那さんが亡くなったあとすぐ立ち直る。男性はしゅんとなる
・女性は前向き、しょうがないと思う
・医療者は身近なものの病気には疎い
・がんによって成果穿ち雨と聞いたことあり:すいガン=高潔、胃がん=神経質など

### ある意味重いテーマであり,ご家族にがん体験のある方がなり多かったのですが,皆様苦労,苦悩しながらも,明るく前向きに捉えているそのBoth sidesが相まみえて,楽しくも考えさせられる時間でした。

がんに限りませんが,特にがんという病気は,発症臓器も,程度も,進行の仕方も,治療も,極めて個人的な,真に「その人ごと」の病気であるように思います。がんになったらおそらくそのひとひとりひとりに,「特有な」世界が目の前に広がり(広がってしまい),またそのひと「特有の」時間の流れが舞い降りるのだと思います。この特有の時空はその人だけの唯一無二であるからこそ,人間というのは究極に孤独であり一人だということを,真に切実に知るのだろうと思います。そして切実に孤独だからこそ,だからこそ周りからのささえが必要なのだと思います。

次回は6月を予定します。お知らせをお待ち下さい!
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# by dobashinaika | 2017-03-07 00:06 | 土橋内科医院 | Comments(0)

テレビ,新聞,週刊誌,ブログの健康情報を読み解く4つのポイント

最近,SNS,ブログ,NHKの「ガッテン」などの健康情報の読み取り方がまた問題になっています。

その根底には,医療への不信,「効く」ものを渇望する不安に対し医療者が真摯に取り組んでこなかった尊師性が問われていると思われます。
もう一つは,われわれ医師の間にも,十分な吟味をせずにビデンスに基づかない過剰な検査や治療を行っている現実があると思われます。これらを正していくことも喫緊の課題ですが,健康情報をどう読み解くかをを皆で考えていくことも大切だと思います。

2年前に「テレビ、新聞、雑誌の健康情報をどう読み取るか?」に関する患者さん向けパンフレットを作りましたが,そこで挙げた「健康情報を読み解く4のポイント」を再度,紹介いたします。

【テレビ,新聞,雑誌,ブログの健康情報を読み解く4つのポイント】
紹介された情報の根拠となる研究や実験が
1)ヒトを対象としたものか
2)(薬であれば)飲んだ人と飲まない人を比べているか
3)医学論文に載ったものか(その出典を明らかにしているか)
4)複数の研究に支持されているかです。

1)紹介された研究が動物実験であれば,一旦判断保留です。

2)薬の情報のときは,その薬を飲んだ人と飲まない人とで結果を比べているかが大きなポイントになります。飲まない時のデータを対象におかない研究では,本当にその薬が効いたのか,いわゆるプラシーボ(偽薬)効果なのかがわかりません。

3)患者さんの体験談や医学博士の推薦文だけでは信頼度はかなり低いです。またたとえ学会で発表されたことを謳っていても,学会発表だけでは信頼できる根拠にはなりません。最低限査読を受けた「論文」に既に発表されている研究であれば信頼度は高くなります。そしてその論文の名前と雑誌名が記されていればより良いと思われます。

4)STAP細胞のケースでわかるように,1つの論文だけでは本当に信頼できる情報かどうかはわかりません。これまで複数の論文や学会のガイドラインに掲載され,専門家の間での推奨度が高い情報であることが必要です。「他の研究からも支持されています」「ガイドラインでも強く推奨されています」と言った記載や言い回しに注意したいところです。

厳密には医師は4)まで満たしてはじめて薬や検査についてある程度自信を持って勧めることができます。スライドにまとめました。
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以前のブログはこちらです。http://dobashin.exblog.jp/20744661/

また上記とは反対の角度から「こんな週刊誌などの健康情報は鵜呑みにしてはいけない8つのポイント」もまとめましたのでご参照ください。

【こんな健康情報は鵜呑みにしてはいけない8つのポイント】
1.くすりや治療の副作用だけを伝え,効果(どのくらい有効か)について伝えていない
2.重大な副作用だけが述べられ,その数字(確率)が示されていない
3.副作用や効果についての根拠(理由)が示されていない
4.論文や診療ガイドラインについて伝えられていない
5.紹介された論文が動物を対象としている
6.紹介された論文がその薬を飲んだ人と飲まない人とをくらべていない
7.医師の意見や患者の体験談だけを根拠にしている
8.「飲んではいけない」「受けてはいけない」などの言葉を使っている

# by dobashinaika | 2017-03-02 00:27 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

急性期処置及び周術期におけるNOACの管理13の指針


AHAから各種急性期ケアおよび周術期におけるNOACに関するステートメントがでました。
少し前にもACCから出ていますが、こちらはNOACに特化しています。
例によってACCのメルマガのまとめから

1)NOACは,AFやVTEでのワルファリンの代替薬あるいは第一選択薬として広く使用されている

2)NOACは,ワルファリンに比べ迅速な効果と短い半減期,より安定した薬物動態をもつ

3)NOACのモニタリングはルーチンには勧められないものの,正常範囲のAPTTはダビガトランの治療域に達していないことを示す。抗Xa活性が同定できないレベルであれば,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンが臨床的に適切なレベルではな

4)医療施設は,抗凝固薬中和に関するプロトコールを多職種に示す形で作成すべきである

5)ダビガトランはイダルシズマブの2.5g2回投与で迅速に中和される。プロトロンビン複合体製剤(PCC)や透析は経口摂取後数時間が特に有効である

6)リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンは薬剤特異的な中和薬が今とのところない。4因子PCCか新鮮凍結血漿が使用できる

7)NOAC使用下で頭蓋内出血が生じた場合,上記のような手順で中和が施行される。加えて血圧140未満が推奨される。出血後のいつ再開すべきかは定かでない

8)NOAC使用下での急性虚血性脳卒中の場合,感度の高い検査データがなければ,あるいはNOAC服用後48時間以上経過していなければ,tPAの使用は避けることが勧められる。一般的に,心原性脳梗塞の患者は発症1−2週間での抗凝固薬再開を控えることは避けられる。(TIAあるいは小梗塞なら短時間)

9)出血低リスク手技(歯科手技,皮膚疾患,眼科手技,生検なしの内視鏡)はNOACは止めない

10)出血中〜高リスク手技ではクレアチニンクリアランスに基づくNOACの停止が勧められている。ヘパリンブリッジはいらない

11)NOAC服用患者で急性冠症候群や緊急心カテが必要な場合,抗血小板薬2剤(DAPT)とヘパリンが開始され,NOACは緊急カテのときは中断される

12)冠動脈ステントが必要な場合,トリプルテラピー(NOAC+DAPT)の期間はリスクベネフィットに応じて決められる。PPIを処方し,NSAIDは避けること

13)カルディオバージョンおよびカテーテルアブレーション時は,NOACは3−4週はやめない,または経食道心エコーで血栓なしを確認する。NOACは継続またはカテの間だけ中止とする

### 網羅されています。何処かに貼っておきます。
ACCのパスウェイはこちら


# by dobashinaika | 2017-02-24 19:01 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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