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シン・ボウサイドウな日々


調子に乗って作ってみました。
(期間限定かも)
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by dobashinaika | 2016-11-25 22:12 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

ワルファリンは絶滅危惧種?いや永遠に不滅です:ワルファリンの私の使い方


最近はどこに行ってもNOAC,DOACですね。
でもときどきワルファリン一筋の医師に出会うことがあります。
以前循環器専門医で,現在主に循環器疾患を見ている開業医の先生が多いような印象を受けます。

そうした人に共通の特徴は,ワルファリン管理に絶対の自信を持っていることです。
そうした医師は,長年培った経験から,このくらいワルファリンを増減すれば,次はこのひとならPT-INRがこのくらいに行くというのを,からだの中で言語化せずに,暗黙知として熟成して実践できるのだと思います。

私もご多分にもれず,そうした職人芸を弄する者の一人と思っています。以前拙著「プライマリ・ケア医のための心房細動入門」にも書きましたが,
方針はだいたい以下のとおりです。

1)70歳未満でも1.6〜2.6を目指す
2)だいたい70歳未満は2.2〜2.4くらい。70歳以上は2.0を目指す
3)高齢者,腎機能低下者,何回か使ってみてINRの上下の大きい人は0.25mg単位で増減する
4)INRが2.5以上になったら0.25〜0.5mg減らす
5)INRが1.6以下になったら0.25〜0.5mg増やす
6)INRが3以上になったら半分に減らして3日後に来てもらう
7)INRが4以上になったら全量中止して2日後来てもらう


もちろん高齢者,腎機能低下者はより細かく次回訪問日や変更用量を設定することもあります。
こうしてみると,INR調節は決して職人芸ではなく,かなりアルゴリズムに近いんですね。近い将来AIが医療を席巻し,そのときAIはNOACを使うでしょう。でもワルファリンの職人芸にもAIがすぐ立ち入りそうな予感もするのです。

で,これで5ヶ月やってみて,(導入期を除き)2回以上ワルファリン錠数の変更を余儀なくされる場合はNOACを考える。こんな感じです。
このやり方でTTRは75%(70歳未満も1.6〜2.6でよしとして)くらいまで可能です。
TTR75%ならどんなNOACにも太刀打ちできるかと思います。
実際,この5年間,INRが変動する例のみNOACに変え,管理良好例はワルファリンのままにしてやっていますが,頭蓋内出血,心原性脳塞栓症とも極小です。
全くの自前データなのでエビデンスレベルは最低ではありますが。

まあこんなことを書くと専門医の先生からはおしかりを受けそうです。たんなるExperiece based medicineではないかと。
でもですね,だいたいNOACのRCTはみんなINR2.0-3.0を目指す欧米の集団ですから,その意味でも日本人には鵜呑みにできないと思われます。
また,NOACのRCTの脱落率は20〜35%もあるわけです。
さらにのPIONEER-AFなどでは,NOACの超低用量に対しワルファリンは健気にもINR2〜3で戦っています。不公平と言うかほんと不憫なワルファリンです。涙が出ます(笑)。

たしかにNOACの導入,維持の簡便さはかなりメリットであり魅力ではあります。特に忙しいときなど。
またたしかに頭蓋内出血はどのRCTやどのリアルワールドデータを見てもワルファリンは勝てそうにないように思います。

でもね。繰り返すようですが,腎機能超低下例や人工弁,僧帽弁狭窄症症例はもちろん,そしてそれ以外の一般のケースでもまだまだ使いようによってはワルファリンもいけますということを声を大にして言いたいと思います。コスパは超絶大ですしね。

ワルファリンは絶滅危惧種?,いや永遠に不滅です,と言いたい。

$$$ シン・ゴジラはトロンビン製剤による全身血液凝固で凍結されましたが,あのラストを見るとまた復活する可能性は十分あります。そのときはさすがに立ち上がりの遅いワルファリンではなく,NOACの経口投与が良いのかもしれませんね。もっとも一度凝固して全身血栓だらけの血液を復元するのは可能なのかという問題が残りますが(ネタバレすみません)。

このスライドお気に入り。
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by dobashinaika | 2016-11-25 00:26 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

わかっちゃいるけどやめられない(略してわかやめ)はなぜなくならないのか:第8回どばし健康カフェ


去る11月12日,第8回どばし健康カフェを開催しました。
テーマは「不健康大自慢大会」。

今回は「健康に悪い」と思いながらもやめられない,わかっちゃいるけどやめられない(略して「わかやめ」),ことを語っていただくということで,相当話が盛り上がりました。
笑いや歓声はこれまでで一番だったのではないでしょうか。

2部構成で,まず前半は「『わかっちゃいるけどやめられない』ことを存分語ってください」でした。以下箇条書します。

●わかっちゃいるけどやめられないもの(できればその言い訳も)
<食品>
- パン
- 菓子パン:マイブーム
- 麺類
- 「大盛り無料」のもの
- 夕食が遅い:毎日
- 甘いコーヒー(1日3杯)
- 深夜の炭水化物
- とにかく甘いもの 多数
- 間食
- 大豆のお菓子:ヘルシーなイメージあるからいい(チョコでもカカオなら)
- ポテチ:空けると最後まで食べる;もったいないから
- 食べてはいけないものほどど食べたくなる

<運動>
- 歩かない
- 車通勤だから(5人)
- タバコ
- アルコール

<その他>
- 夜更かし 多数
  - ダラダラしてしまう
  - ソファで寝てしまう
- くよくよ考える(マイナスに考える) 複数
- 飲酒後の入浴(時に寝てしまう)
- 年1回の検診の前だけ気をつける
- (いろいろと)我慢するほうがよくない

こうしてみると,やはり食事(過食,間食,甘いもの),運動,タバコ,アルコールが4大「わかやめ」でした。
興味深いのは「くよくよ考えること」が何人から挙がったことです。くよくよ考えるのは体にも悪いとわかっている,でも考えてしまう。なるほどそうだなあと思います。

後半は「なぜやめられないか」について語り合いました。

●なぜやめられないか
- 朝食べられないから夜中食べてしまう
- 夜更かし
  - 夜の一人の時間を大切にしたい
  - 昼寝をしてしまう
- 一定のリズムになってしまっているから
- 「癒やし」がほしい
- (食べないという)ストレスを貯めたほうが良くない,という心理→そう思い聞かせて自分に折り合いをつける
- 他のことで代償しているから良いと思い込む
  - 寝る前に食べたら,その分早起きするからよい
  - 主食をセーブしているから良いと思ってしまう
  - 食後のデザートは食事と同じと思い込む

これを見ると,「わかやめ」には2種類あることに気が付きます。
ひとつは,「否定的わかやめ」。「これは健康に悪い」と心で否定はしているものの,さまざまな制約によってそれが改善できない状態です。
たとえば運動不足が悪いのはわかっているけどけど車通勤だから運動できない。くよくよしてはでいけないのはわかっているけど,性格だから直しようがない。などといったことです。

もうひとつは,「肯定的わかやめ」。悪いこととは思いながらも,その悪いことを心のどこかで「でもそれも必要なことなんだ」と実は肯定的に受け止めることです。甘いものは健康に悪いかもしれない,でもそれもひとつの癒やしだから,ある程度構わない。いやむしろ少しくらいはかえって体にいいんだと,「悪」を認める心とでもいいますか。

実際本当のところ,どんなわかやめにも,この「悪への誘惑」の要素がひそんでいるように思います。夜更かしは悪い。でも夜誰もいない静かな部屋でネットしながらダラダラ過ごすのはとっても心地よい。それが悪いともう一人の自分の戒めがあればあるほど,いやむしろそうした規範があるからこそ,不健康への誘惑に誘われる。。

私たちが不健康なことをついしてしまう心理には,そうした逆説的な不健康への誘惑,不健康に堕することの「快楽」がひそんでいるのかもしれません。

最後に「どうしたらやめられるか」を出し合いました。

●どうしたらやめられるか
- 夫婦で協力する
  - お酒を飲む日は一緒に飲む
  - タバコをやめたお金を奥さんにプレゼント
- 暇な時間の工夫
  - 写メ交換,LINR:友人,お孫さんなどと
- 習い事を始める
- 食事が遅い
  - 週末に作り置きする
- コーヒー:ブラックにしたら痩せた
- 炭水化物ダイエット→やせすぎた
- 朝ごはんだけとにかく食べる
- 食事が遅くなる;週末に作り置きする
- 家族のことを常に考える
- 「ダメ」だと思うとかえってやめないから「ダメ」と思わないことにする
- とりあえず「今は」やめておこう
  - これを毎日少しずつ,または1日おきにしてみる
- どこかで「許される」ことを作る
- 必要おやつはお昼だけは食べよう
- 競争相手を持つ
- 周りに「○○する」と宣言する
- 高い服を買って体型を合わせる
- 意識してできるだけ歩くようにしている
  - 歩き方にも気をつける

結構参考になる”Tips(=コツ)”が聞けました。
夫婦で協力する,周りに宣言する,競争相手を持つ,などの他者巻き込み作戦。とりあえず今日だけはやめよう,朝ごはんだけは食べようなどの1点死守作戦。ここだけは甘くしてもよいという自分ご褒美作戦。習い事,高い服など強制的矯正作戦。などなど。

このなかで面白かったのは,「ダメ」と思わないことにする,つまり不健康なことを不健康と思わないことにするということです。そもそも不健康と考えることこそ不健康のもとである。これ開き直りのようですがもっと深いように思います。タバコにしても夜更かしにしても今健康だからこそ不健康と感じるのかもしれません。「最近寝てなくて」。。そうした不健康自慢の裏には,それだけ不健康をしても今現在健康なのだという,実は今の健康を自慢する心理がひそんでいるともいえます。こうなると健康と不健康の境目がわからなくなってきます。

そもそも健康とは何か。当然のことながらそこまで行き着くことになります。この問題本格的に構えると大変ですので別の機会に構えるとして,わたしの考えをちょっとだけ言うと,人間は常にギャップを抱えながら生きる存在というのがまず前提。ギャップとは「こうありたい自分」と「こうである今の自分」とのギャップで,このギャップは身体,社会,環境の各層ごとに存在します。私たちは「生活する上で体に不自由がない」「社会に役立つことがしたい」「こんな環境に住みたい」など今ここにない将来の自分の表象を思いうかべるとができます。一方でその表象と「今のこの腰が痛い自分」「職場で何もできない自分」「こんな生活しかできない自分」と言った現実も認識できます。そして未来と現実とのギャップも認識できます。

そのギャップが少なく,ある程度充足している状態を「健康」と呼ぶことにします。あるいはギャップが埋まっていると「感じられる」状態が健康だということもできます。ただしこのギャップは単に身体的な面だけでなく,階層がいくつもあり,埋まる埋まらないのall or noneではなく充足の度合いに幅があります。どの階層においてもギャップがないなんていう人はいないと思われます。そして,こうなりたい自分と今ある自分のギャプが大きいことが「苦しみ」を生み,「不健康」につながることになります。

この埋まるべきなのに埋まらないギャップを「不健康」と考えるならば,誰も完全な健康の状態に達することはできないように思われます。ギャップを埋めた途端,次の「こうあるべき」が出てくるからです。そうしてみると,ギャップが多少ある状態,ある程度不健康な状態こそ健康である,というのは間違いではないのかもしれません。

「健康」には上記のギャップの多寡により幅がある。健康不健康の線引はこの幅の何処かで見切り発車した場合の便宜的な区分けかもしれません。

その線引をうまい具合調整するのが医師医療者の役目のようにも思います。

と,当初の出発点からだいぶ離れたところに来てしまいました(笑)。あとで別の形で修正します。
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by dobashinaika | 2016-11-22 01:12 | 土橋内科医院 | Comments(0)

心房細動+冠動脈ステントにNOAC+DAPTは良いのか?:PIONEER-AF試験


Prevention of Bleeding in Patients with Atrial Fibrillation Undergoing PCI
NEJM November 14, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa161159

疑問:NOAC+DAPTの有効性,安全性はどうか?

方法:
・冠動脈ステント治療を施行した非弁膜症性心房細動2124例
・以下の3群に無作為割付
      グループ1:低用量リバーロキサバン(15mg1日1回)+P2Y12阻害薬:12ヶ月間
      グループ2:超低用量リバーロキサバン(2.5mg1日2回)+DAPT1, 6, 12ヶ月間
      グループ3:ワーファリン+DAPT:1,6,12ヶ月間
・主要安全性評価項目:臨床的に明らかな出血(大出血+心筋梗塞時の血栓溶解療法に伴う小出血+医療上注意を必要とする出血)

結果:
1)臨床的に明らかな出血:リバーロキサバン群(2群とも)はワーファリン群より少ない:(16.8% in group 1, 18.0% in group 2, and 26.7% in group 3; hazard ratio for group 1 vs. group 3, 0.59; 95% confidence interval [CI], 0.47 to 0.76; P<0.001; hazard ratio for group 2 vs. group 3, 0.63; 95% CI, 0.50 to 0.80; P<0.001)
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2)心血管死,心筋梗塞,脳卒中は3群で有意差なし:6.5% in group 1, 5.6% in group 2, and 6.0% in group 3;

結論:ステント術施行後のNVAF患者においては低用量リバーロキサバン+P2Y12阻害薬(12ヶ月間)と超低用量リバーロキサバン+DAPT(1,6,12ヶ月間)は標準治療のワルファリン+DAPT(1,6,12ヶ月間)に比べて,臨床的に明らかな出血が有意に少なかった。3群は同様な有効性を示した(信頼区間が広く信頼性には乏しい)。

### 現在ニューオーリンズで開催中のAHA。そのLate Braking Clinical Trialに発表と同時にNEJMにも掲載されたNOAC+DAPTvsワルファリン+DAPTのガチンコ論文=PIONEER-AFです。

グループ2,3のDAPT継続期間は主治医の判断とのことですが,実際のDAPTの期間はグループ2,3とも12ヶ月が49%,6ヶ月が35%,1ヶ月が16%でした。

P2Y12阻害薬は93〜96%がクロピドグレルでプラスグレル,チカグレロルが数%です。平均年齢は70歳でROCKET AFなどよりやや若いです。

ステントはDESが2/3,BMSが1/3です。

出血の中身は,医療上注意を必要する出血が90%,大出血,小出血は極少数です。「医療上注意を必要する出血」とは論文によると何らかの薬物,外科的治療あるいは検査を必要とする出血とのことです。

WOEST試験との違いが気になりますが,WOESTはワルファリン+クロピドグレルVS. ワルファリン+DAPTで全例DAPT12ヶ月でした。WOESTではAFは69%でしたが,こちらは全例AF。
(WOEST試験のブログはこちら

それにしてもリバーロキサバンが出血少ないことはわかりましたが,何mgがよいのかの判断は戸惑います。米国では標準20mgのところ今回15mgとか5mg/日が使われており,日本では同様にスライドでして10mgでいいのか誰にもわかりません。NEJMからのコメントも同様なことが書いてありました。

リバーロキサバンはワルファリンと比べて大出血についてはROCKET AFで同等,J-ROCKET AFサブ解析では高齢者などで多かったと記憶していますが(サブ解析なのでスルーで良いと思われますが),なぜにDAPTと一緒だとこんなに少なくなるのか。おそらく用量設定が大きいように思われます。最近のリバーロキサバンのRWDを見ても従来用量では出血が他のNOACよりやや多めですし,欧米でも15mgでよかったのかも,日本はどうか?と疑問が湧いてきます。

ただステント後の抗凝固薬もNOACが主流になるだろうことは想像に難くないと思われます。

INRの機微を見ながらワーファリンを細かく変更する職人なんてもう絶滅危惧種なのでしょうかねえ。

$$$ 昨日の超スーパームーン+1
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by dobashinaika | 2016-11-16 19:04 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

本日第8回どばし健康カフェ「不健康大自慢大会」本日15:00開催します

本日第8回どばし健康カフェ「不健康大自慢大会~あなたの不健康な習慣を語り合いましょう」」です。
お席に余裕があります。
もしご興味のある方はお電話いただければ幸いです!


「わかっちゃいるけどやめられない・・」

健康には良くないと知っている,でもやっぱりやめられないこと・・・
いつも,「やってしまった」と思いながら,それでもまたやってしまう・・・

そんなことはいくら品行方正と思われている人でさえあると思います。そしてそうしたことは,医者の前では言えないけれどどこかで,どこか人に言いたくなる衝動にかられることもまた事実です。

今回のカフェは,思い切って「不健康大自慢大会」と題して,それぞれ「自分の不健康自慢」を存分に語っていただきます。

語りあい,自慢しあった上で,そこから何が見えてくるのか。それが今から楽しみです。

皆様お気軽にご参加ください。

お問い合わせ,参加の申込みは以下のこくちーずからか,当院まで直接お願い致します。

場所:土橋内科医院待合室
日時:2016年11月12日(土)15:00〜 (約2時間)
参加費:300円(コーヒー、茶菓あります)

こくちーずPro
http://www.kokuchpro.com/event/768b850933ae275f995a7a949ef8e2a8/
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by dobashinaika | 2016-11-12 08:42 | 土橋内科医院 | Comments(0)

小出血はNOACとワルファリンでどちらが多いのか:Heart誌

Non-major bleeding with apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation
Heart doi:10.1136/heartjnl-2016-309901

疑問:ワルファリンとNAOCでは非大出血はどちらが多いか

方法:
・アリストテレス試験サブ解析
・非大出血の定義:大出血に先行する臨床的に意義のある非大出血及び小出血

結果:
1)非大出血の頻度:大出血の3倍(12.1%vs3.8%)

2)アピキサバン群6.4/100人年 vs. ワルファリン群9.4/人(ハザード比0.69, 95% CI 0.63 to 0.75)
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3)出血部位:血尿(16.4%),鼻出血(14.8%),消化管(13.3%),血腫(11.5%),挫傷/斑状出血(10.1%)

4)薬剤または外科的介入は同等:ワルファリン(24.7%) vs. アピキサバン(24.5%)

5)抗凝固薬変更(58.6% vs 50.0%) および試験中止 (5.1% (61) vs 3.6% (30), p=0.10) ワルファリン群で高頻度

6)非大出血は死亡(adjusted HR 1.70, 95% CI 1.32 to 2.18)及び引き続く大出血(adjusted HR 2.18, 95% CI 1.56 to 3.04).と関連あり

結論:アリストテレス試験においては,非大出血はコモンであり,アピキサバン群ではワルファリン群より少ない。非大出血は死亡や大出血に関連あり。この試験はどんな出血でも重症度にかかわらず重要であり,小出血を含む非大出血はマイナーではないかもしれない。

### 後付解析なのと,抗血小板薬が両群とも30%程度入っていることに注意。

それを置いても,重要な知見かと思われます。これまで何かと大出血,頭蓋内出血ばかりが取り上げられがちでしたが,小出血も臨床上決してあなどれないことは,臨床医が知っていることです。鼻出血であっても止まらない鼻血となれば,患者さんはやはりその原因となるような薬は飲みたくなくなるのが普通です。また消化管出血まで来たした場合,高齢者ではこれがきっかけで全身状態が悪化し,肺炎などを併発する,などというケースはしばしば経験します。

特に興味深かったのは非大出血をきたす例では大出血も死亡例も多いということですね。やはり血尿,鼻出血などであっても,それだけでは大したことはないと思わないことが大切かと思います。

個人的な印象としては,PT-INR2.0かそれより低めで管理している限りは,ワルファリンも小出血はかなり少ないように思います。むしろダビガトラン300やイグザレルト15のほうが皮下出血その他が目立つようにも思います。

やはり出血データは日本人のものがほしいといつも思います。
by dobashinaika | 2016-11-11 19:18 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

どうすれば心房細動にならないか:欧州の学会からの提言:Europace誌


欧州不整脈協会 (EHRA)/欧州心血管及びリハビリテーション協会(EACPR)による心房細動予防に関するポジションペーパーです。
米国,アジア太平洋の各不整脈学会からも支持を受けています。

European Heart Rhythm Association (EHRA)/European Association of Cardiovascular Prevention and Rehabilitation (EACPR) position paper on how to prevent atrial fibrillation endorsed by the Heart Rhythm Society (HRS) and Asia Pacific Heart Rhythm Society (APHRS)
Europace doi:10.1093/europace/euw242


サマリーの表を日本語訳します。

<心房細動予防に関するコンセンサスステートメントI:危険因子とライフスタイルの変容(各危険因子/トリガーと臨床上の推奨)>

肥満
体重過多/肥満患者は,心房細動発症のリスクとそれに続く脳卒中及び死亡のリスクがより大きいことを伝える
BMI超過または肥満の場合は,BMIの評価とライフスタイルプログラムを開始する

ダイエット
心房細動予防のために,健康的な食事とライフスタイルを勧める
オリーブオイルリッチな地中海ダイエットは心房細動とその合併症を減らす

血清脂質,魚類摂取
低HDL(40以下)と高中性脂肪(200以上)は,心房細動とその合併症のリスクであることを伝える
脂質異常症患者には,野菜,果物,全粒穀物(低脂肪食,家禽,魚,豆,非熱帯性野菜油,ナッツ)の摂取,スイーツ,果汁飲料,赤肉の制限を勧める

閉塞性睡眠時無呼吸
閉塞性睡眠時無呼吸の患者は心房細動とその合併症リスクが高いことを知らせる
いびき,日中の疲れなどのOSAの可能性のある問診により評価。必要なら専門施設に紹介

高血圧
管理不良な高血圧は心房細動リスクに関連あり
リスクを適切に評価する
心房細動リスクを減らすために血圧をコントロールする

糖尿病
糖尿病の長期罹患と血糖管理不良じは心房細動リスクを増加させる
心房細動リスクを減らすために糖尿病をコントロールする

喫煙
子供,若者,老人に喫煙しないよう強く指導する
喫煙者には禁煙開始をサポートする
根源的予防:喫煙を開始しないためのの努力をサポート
一次予防:喫煙中止の支援
二次予防:心房細動の頻度,持続時間,症状を軽減するための禁煙

大気汚染
慢性暴露による関連はない;心房細動になりやすい患者はシビアな大気汚染は避けるべきである

カフェイン
リスクは増えない。ヘビー摂取者であってもむしろ減らす

アルコール
中等度〜大量接摂取及び大酒家は心房細動リスクが増加
大量飲酒(1機会で4杯(女性)または5杯(男性)以上
1日2杯以上(男性)または1杯以上(女性)飲まないように指導
アルコール消費の詳細な病歴を聴く

薬剤
多くの薬剤が心房細動を増加させる
20%以上:ドブタミン,シスプラチン,
5〜20%;アントラサイクリン,メルファラン,インターロイキン,NSAIDS,ビスフォスフォネート,
5%未満:アデノシン,鉱質ステロイド,アミノフィリン,向精神薬,イバブラジン,オンダンセトロン
心房細動新規発症患者の薬歴を調べ,影響がないか見極める

レクレーショナル ドラッグ
大麻,ecstasy and anabolic–androgenic steroidsは心房細動リスクを増やす
新規発症では,それらの服薬歴を調査する
やめるように説得する

精神的ストレス
明らかなストレス,特にうつ,不安を明らかにし,適切に治療することが,不適切な生活スタイル選択 (喫煙,アルコール多飲,過食,運動不足)やアドヒアランス低下を避けることになる。それらの放置は心房細動周辺の他のリスクや慢性疾患へと進展する

身体活動
毎日の中等度の運動を勧める

<心房細動予防に関するコンセンサスステートメントII:合併疾患の管理>

甲状腺機能亢進症
顕性及び不顕性甲状腺機能亢進症は心房細動リスクを増やす
甲状腺機能をコントロールする
合併心疾患と危険因子を治療する

上室性頻拍 (SVT)
SVTと発作性心房細動合併例ではSVTをアブレーションし,必要なら心房細動に対し薬剤投与またはアブレーションを施行する
孤立性心房細動ではSVTが下地に無いかをチェックする

術後心房細動
β遮断薬とアミオダロンを用いる

アップストリーム治療
なし

<心房細動予防のためのライフスタイルアプローチ>
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適度な運動
健康的な体重
タバコ,レクレーションドラッグの中止
アルコール減量
その他:ライフスタイルの積極的変容,血圧管理,糖尿病管理,肥満治療,閉塞性睡眠時無呼吸の治療

### 心房細動のみならず全ての動脈硬化性疾患に当てはまる内容です。

アルコールは中等量でも良くない。大気汚染は今のところ関連はない,NSAIDs,ビスホスホネートなどにも注意,などが目につきました。

$$$ポーラ美術館展。印象派以降の美術史のおさらいでした。
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by dobashinaika | 2016-11-07 22:30 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

第8回どばし健康カフェ「不健康大自慢大会! ~あなたの不健康な習慣を語り合いましょう」11月12日(土)

11月12日に予定しております,「どばし健康カフェ」。
まだお席に余裕がありますので,ご都合の良い方はぜひご連絡ださい!!


「わかっちゃいるけどやめられない・・」

健康には良くないと知っている,でもやっぱりやめられないこと・・・
いつも,「やってしまった」と思いながら,それでもまたやってしまう・・・

そんなことはいくら品行方正と思われている人でさえあると思います。そしてそうしたことは,医者の前では言えないけれどどこかで,どこか人に言いたくなる衝動にかられることもまた事実です。

今回のカフェは,思い切って「不健康大自慢大会」と題して,それぞれ「自分の不健康自慢」を存分に語っていただきます。

語りあい,自慢しあった上で,そこから何が見えてくるのか。それが今から楽しみです。

皆様お気軽にご参加ください。

お問い合わせ,参加の申込みは以下のこくちーずからか,当院まで直接お願い致します。

場所:土橋内科医院待合室
日時:2016年11月12日(土)15:00〜 (約2時間)
参加費:300円(コーヒー、茶菓あります)

こくちーずPro
http://www.kokuchpro.com/event/768b850933ae275f995a7a949ef8e2a8/
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by dobashinaika | 2016-11-03 17:26 | 土橋内科医院 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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