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安定狭心症では患者との情報共有が進むほどカテーテル検査を受けない人が増える:JAMAIM誌

Informed Decision Making for Percutaneous Coronary Intervention for Stable Coronary DiseaseMichael B. Rothberg et al
JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2015.1657
Published onlineMay 18, 2015


休みの日なので、心房細動以外で最近目についた論文について。

目的:安定狭心症の冠動脈形成術をするかどうかの意思決定の際、どの程度情報共通下での意思決定が行われているかを検討

方法:
・the Verilogue Point-of-Practice Databaseという米国のデータベースに登録している600人の医師のうち、研究に協力してくれる循環器科医の外来対象
・安定狭心症患者のPCI(経皮的冠動脈形成術)の意思決定の際の患者との会話を記録
・以下の7項目が会話に含まれているかを研究委員会内の2つのチームが評価
1)患者の役割の検討 2)臨床的な問題や(疾患の)自然経過を提示 3)代替案を検討 4)代替案の長所欠点を検討 5)意思決定の不確かさを検討 6)患者の理解度の検討 7)患者の好みの検討

結果:
1)23の医師、59の会話

2)全7項目を満たすケース:2例3%。

4)冠動脈造影及びPCIを施行しない方向に働く項目
・不確かさ:オッズ比20.5
・患者の役割:5.3
・代替案:9.5
・患者の好みの評価:4.8

5)胸痛の存在や重症度は検査およびPCIの施行には無関係

6)項目が多くなるほど冠動脈造影やOCIを施行しない方向に傾く:1つの項目増加ごとにオッズ比3.2増加

結論:安定狭心症における医師と患者の会話において、情報共通下での意思決定はしばしば不十分。より詳しい意思決定を行うほど、血管造影やPCIはしない方向に傾く。

### 各項目の会話例が示されており、例えば「不確かさ」を伝えるというのは、穿刺や造影剤によるリスクを確率で示すような会話です。「役割」では、「まず薬を飲んで症状が落ち着けばそのままだし、落ち着かなければその症状を言っていただいた上でカテーテルになります」といった具合です。

こういうことを言われればまず患者さんは、カテーテルより薬剤でということになるのは、当然かもしれません。上記7項目のうち「(カテーテルをしなかった場合の)自然経過」だけがカテーテルをすることのオッズ比が大きかったとのことです。

ちょっと不思議に思ったのは、「カテーテルをしないリスクとした場合のリスクの比較」という項目がないことですね。これが一番大切なように思われますが。例えば心房細動の抗凝固薬では、この情報が意思決定に最も大きい項目と思われます。安定狭心症患者ではPCIの薬物療法に対するベネフィットは確立されていませんので、このような結果は納得ですが、抗凝固療法ではどうなのかが知りたいところです。

$$$ 久々に休みの朝はゆっくり広瀬川まで散歩しました。街なかからすぐのところにこういう自然があるのは、考えてみれば幸せかもしれないなあと思います。
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by dobashinaika | 2015-05-31 22:48 | 虚血性心疾患 | Comments(0)

ワルファリン内服下で消化管出血を起こした後のワルファリンの再開は?:TH誌

hromboembolic events, recurrent bleeding and mortality after resuming anticoagulant following gastrointestinal bleedingA meta-analysis
C. Chai-Adisaksopha et al
Thrombosis and Haemostasis Ahead of Print:2015-05-28


目的:消化管出血既往者の再開後の血栓塞栓症、再出血、死亡率を検討

方法:
・上記該当患者対象の第III相試験のシステマティックレビュー

結果:
1)3試験該当

2)ワルファリン再開後血栓塞栓症(再開しない時に比べ):(ハザード比0.68,95%CI 0.52 to 0.88, p < 0.004, I²=82 %)

3)再消化管出血率(再開しない時に比べて):(ハザード比 1.20,95%CI0.97 to 1.48, p = 0.10, I² = 0 %)

4)死亡率:(ハザード比0.76,95%CI0.66 to 0.88, p < 0.001, I² = 87 %)

結論:このメタ解析からは、消化管出血後のワルファリンの再開は、明らかな消化管出血を増やすことなく、血栓塞栓症の減少、死亡率の減少に寄与する。

### 該当した3試験のうちのひとつは以前のブログで取り上げています。
http://dobashin.exblog.jp/16227361/

この論文でもそうですが、再開は大体1週間以内に行われているようです。
論文に記載はありませんが、消化管出血と一口に言っても、出血性潰瘍なら止血後PPIを開始(処方していない例の場合0、大腸ポリープなら切除術を行うというふうに、再出血防止策が概ね講じられると思われますので、再出血は少なくなるのだろうと思われます。

となると再開しない場合当然ながら塞栓症にノーガードとなるので、非常に危険ということになります。NOACで起こした場合は、例えば消化管出血が少ないとされる他のNOACまたはワルファリンへの変更後再開ということもあり得るかもしれません。

「ワルファリン内服下で消化管出血を起こし中断した後も、そのままやめてしまってはいけない」というのが原則ということですね。

$$$ 冬の間はまんじりともしない池の鯉もこの時期のびのびしています。
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by dobashinaika | 2015-05-28 23:09 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ケアネット更新しました:75~76歳の一般住民が2週間1日2回心電図を取れば3%で心房細動が見つかる

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

今回は
「75~76歳の一般住民が2週間1日2回心電図を取れば3%で心房細動が見つかる」
スウェーデンのコホート研究で、高齢者だとかなり高い確率で無症候性心房細動が見つかるというものです。

普段のブログをほぼそのまま掲載させていただくため、心房細動の早期発見とは一見無関係な、抗凝固薬の適応について書いたりしています。よろしければご参照ください

http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0029.html?keiro=index
(要無料登録)
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by dobashinaika | 2015-05-27 23:07 | 心房細動:診断 | Comments(0)

ワルファリン管理良好のためNOACに変更しなかった場合でも大出血は多い?:TH誌

Selection, management, and outcome of vitamin K antagonist-treated patients with atrial fibrillation not switched to novel oral anticoagulant
F. Michalsk et al
Thrombosis and Haemostasis Ahead of Print: 2015-05-21


背景:良質にコントロールされたVKA(ワルファリンなど)はNOACに変更する利益は少ないとされるが、そうした患者の選択、管理、アウトカムの知見は乏しい

方法:
P:ドレスデンNOACレジストリー登録患者:2013年1月時点
E:VKA継続患者
C:NOAC処方患者
O;脳卒中/全身性塞栓症率、大出血率

結果:
1)VKA群(427例)はNOAC群(706例)より明らかに低出血リスクのプロフィール

2)VKA群のTTRは期間中(平均値追跡期間15ヶ月)71%から75%に上昇

3)VKA群の脳卒中/全身性塞栓症率:1.3%/人年(ITT解析)、0.94%/人年(as treated)

4)VKA群の大出血;4.15/人年(95%CI;2.60-6.29)

5)大出血例の死亡率(90日以内):16.3%

結論:日常臨床では、VKA継続例はNOAC選択例より健康。高い管理水準と低塞栓率を認めた。しかし患者選択とINR管理は高水準にもかかわらず大出血リスクは受け入れがたいほど良くなかった。

### ドレスデンAFレジストリーは、ドイツ、ドレスデン地区の診療所、病院医師230人が参加し、ダビガトランとリバーロキサバンを処方した症例の登録研究です。この研究に参加した施設で、NOACを投与あるいは変更せず、VKAを依然として継続していた症例を対象としてそのアウトカムを見た研究です。

VKA継続の理由が詳細に記載されてはいませんが、VKA群は塞栓症の既往、出血の既往、腎機能低下率、HAS-BLEDスコアなどがいずれもNOAC例より低いため、VKAを使っていてもイベントが起きた例はNOACに変更し、変更せずVKAのままでいるのはずっと落ち着いていて出血リスクの低い例だからのことが多いと考えてよいかと思います。

脳卒中/全身性塞栓症率は、たとえばRELY試験のワルファリン群は1.69%、ダビガトランは1.11%(150mgx2)〜1.53%(110mgx2)くらいですからダビガトラン150に近い成績と言えます。アリストテレスでのアピキサバンとほぼ同じ率(1.27%)です。

大出血率はRELYのワルファリン群が3.36%、ダビガトラン150mgで3.11%、110mgで2.71%ですので、それらよりも多いことになっています。

大出血の内訳を見ると、15ヶ月中に427例中22例5.2%にみられ、頭蓋内出血7例(1.6%)、消化管出血5例(1.1%)、その他(眼窩内、関節、後腹膜など)10例でした。Nが少ないのでなんとも言えませんが、頭蓋内出血がやはり目立ちます。ちなみにNOAC群の大出血率は約700例中6例、頭蓋内出血は4例でかなり低めです。

出血症例が詳細に記載されていますので、大変参考になります。頭蓋内出血の例は殆どが74歳以上で最高94歳。外傷性が多く、出血時のINRは2.5以上が多いようでした。

これは考えさせられる結果ですね。TTR75%と非常に良好な集団でも、大出血率はNOACに劣るかもしれない。もちろん観察研究でバイアスはありますが、リアル・ワールドの結果ですので、またより出血リスクが低いと思われる例でこの結果ですので、もしかするとTTR良好でも一概にワルファリンで安住すべきではないのかもしれません。

TTRという概念も、実は一口では語れなくて、逸脱している時間と逸脱の度合い(INRの高低)の区別はされていません。またNが少ないですし、日本のデータではありません。

もう少し読み込んでみます。

$$$ 知る人ぞ知る地元ローカル番組のご当地おみやげ1位。かなり美味しいそうです。一口だけ頂きました^^
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by dobashinaika | 2015-05-26 23:35 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

抗凝固薬の使い分けで大切なことは(抗凝固療法雑感)。

心房細動領域で活躍する医師の中でも意見や波長の合う先生はそう多くはいないのですが、大阪大学の奥山裕司先生は以前からその抗凝固療法に対する見識に敬服しており、本日また仙台でご講演をお聴きすることができて、随所に散りばめられたクリニカルパールを堪能させていただきました。
今日の講演の中で「ワルファリンでTTRが悪い場合NOAC、という考え方には注意が必要で、TTRが悪いのには原因がある。それをよく考えよ」という趣旨のお話がありましたが、全く同感です。

ワルファリンの管理に影響する因子として、以前拙著「プライマリ・ケア医のための心房細動入門」で「食品、薬剤、遺伝的因子」の3要素を挙げましたが、これは薬剤としての因子であり、その他に患者側の因子として「アドヒアランス」、医師側の因子として「INR管理能力」が追加されると思われます。実際問題、INRの変動に関与するランキングを考えると、「食品」と「アドヒアランス」「医師の能力」の3つが拮抗しているように思われます。このうちアドヒアランスはワルファリンで悪いなら、NOACでも悪いことが考えられ、NOACではより致命的になると思われます。

TTRが悪い場合、まず「きちんと飲んでいないからINRが暴れる」のかどうかをしっかり把握することが大切であることを再認識させられました。また医者の側からはきちんとINRを範囲内に収めず低めでお茶を濁していないかも自問する必要があると思われます。

で、ここからは推測ですが、多くの開業医はこうしたINR管理の煩わしさ、難しさ、自問すること、に辟易なため、NOACを考えるのだと思われます。そして多くの場合(院内処方の先生は特に)1種類、多くて2種類のみ(それも低用量)を決め打ちして使っているような現状が少なからずあるように思われます。

もちろんいろいろな要素を考慮して細かく使い分けておられるプライマリ・ケア医もたくさんいらっしゃると思われますが、プライマリ・ケア医でも循環器に詳しい先生は、ワルファリンを未だに重用するし、そうでない先生は、あまり場合分けしないで、NOACのうちで簡便で処方しやすい1種類を決めて処方している、という「雰囲気」「空気」もあるように思います。もちろん、確固たるデータはなく、あくまで私の感じる「空気」ですが、そう現実世界と乖離している感じでもないように思われます。

今日のご講演はそうした空気にある意味警鐘を鳴らし、抗凝固薬の使い分けるときにはその根拠、ロジックを明確にすることの大切さを説いてくれました。

そうですね、抗凝固薬を本当に習熟して使うには、本来は作用機序、生物学的利用率、蛋白結合率、代謝排泄、半減期薬物相互作用などの薬理学的特性にエビデンスを加えたフルの知識が要求されるのかもしれません。厳密に行おうとすると大変なのです。

PK/PD理論を知って抗菌薬を使い分けるのと似たイメージですね。

逆に各特徴を理解せずNOACを出すのは、PK/PDを知らずに抗菌薬を処方するのにパラレルのように思います。そういう理論を知らないで使っても臨床的にはオーライのことが多い、でもクリティカルな場面を想定すれば知っていたほうが絶対に良い。そう思います。

まーただ、院外処方だとしても全種類使い分けできるほど在庫を蓄えるには、あまりに高価な薬ではありますが。。。

奥山先生のクリニカルパールはもっともっとありますが、網羅できませんので、また機会があったら触れることにします。

$$$近くの道端。カモガヤ最盛期です。今年は未だに花粉症状の方多いです。
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by dobashinaika | 2015-05-26 00:35 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

75歳以上の心房細動、静脈血栓にNOACとワルファリンはどちらが良いのか:メタ解析:Circ誌

Efficacy and Harms of Direct Oral Anticoagulants in the Elderly for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation and Secondary Prevention of Venous Thromboembolism: Systematic Review and Meta-Analysis
Manuj Sharma et al
Circulation Published online before print May 20, 2015


疑問:一般に合併症、ポリファーマシー、薬物動態変動が多いとされる高齢者におけるNOAC(DOAC)のエビデンス、特に出血に関してリスクはどうか?

方法:
・DOACのRCT(心房細動及び深部静脈血栓症)のうち75歳以上の人の効果と出血アウトカムにつきメタ解析

結果:
1)19試験あり。高齢者データありは11試験

2)血栓症管理効果:DOACはVKA(ワルファリン)と同等もしくは有効

3)大出血:
ダビガトラン150x2は高リスクの傾向(オッズ比1.18、95%CI0/97-1.44)。110x2にはその傾向なし
アピキサバン(0.63, 0.51-0.77)、エドキサバン60 (0.81, 0.67-0.98)、エドキサバン30 (0.46, 0.38-0.57)は有意に低リスク
リバーロキサバンは同等

4)消化管出血:ダビガトランで高リスク:150mg (1.78, 1.35-2.35)、110mg(1.40,1.04−1.90)

5)頭蓋内出血:ダビガトランで低リスク:150mg (0.43, 0.26-0.72)、110mg(0.36,0.22−0.61)

結論:高齢者においてはDOACの血栓管理リスクはVKAと同等。しかしながら出血については明らかに差異有り。特にダビガトランは消化管出血リスクがVKAより大きい。その他のNOACはデータ不十分でさらなる試験必要

### ついにまとまった高齢者のNOAC vs. ワルファリンのメタ解析がでましたね。ただ結果はこれまで発表された結果から、自明となっていたものかと思われます。ダビガトランの75歳で分けた消化管出血の数値はRELY試験でのサブグループ解析とほぼ同じものです。

先日のBMJでのリアル・ワールドデータと合わせると、75歳以上で消化管出血の既往がある例などでのダビガトラン使用は出しにくいと思われます。リバーロキサバンもこのメタ解析からは微妙かもしれません。アピキサバンは有望のような印象ですが、リアル・ワールドデータがほとんど出ていません。

ということで、以前にも書きましたように高齢者については第一選択ワルファリンで、もう出きる限り丁寧にPT-INR管理をしてTTR高値を目指す→それでPT−INRが暴れるようであればNOACということにしています。たとえば1.6〜2.6の上限または下限ギリギリの際はワルファリン0.25mg単位で使う。野菜の摂取量を一定に保つなどの指導などで、こまめに管理します。今更またこれ言って恐縮ですが、細かいワルファリン管理は循環器内科医の醍醐味ではあるんですねー。未だに

$$$ ご近所で新発見!。このネーミングといえば。。。ここはM県S市杜王町か?
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by dobashinaika | 2015-05-24 23:25 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

心房細動における脳卒中予防の総説:JAMA

Stroke Prevention in Atrial Fibrillation A Systematic Review
Gregory Y. H. Lip, MD; Deirdre A. Lane, PhD
AMA. 2015;313(19):1950-19
62

JAMAにLip先生の心房細動における脳卒中予防の総説が掲載されています。
ごくかいつまんで紹介します。

<一覧>
・心房細動脳卒中リスクと死亡率は抗凝固療法(VKA:ワルファリンまたはNOAC)により減少した。
・まず始めに、臨床家は抗凝固が必要ない低リスク心房細動患者を同定すべき。少なくとも1つのリスク因子(「女性のみ」を除く)を持つ患者は抗凝固療法が勧められるべき
・臨床家は個々の患者の抗凝固療法下での出血リスクを評価し、出血リスク因子(血圧管理、抗血小板薬、NSAIDsなどの併用薬中止、INRの適正管理、アルコール過飲防止)を是正すべき。つまるところ、最も大切なのは脳卒中予防。

<抗凝固薬の選択>
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a:脳梗塞、出血両者とも効果あり
b:CCr<15mL/min (USA)
c:出血リスクの増加も含む
d:HAS-BLEDスコア3点以上。消化管出血のような出血を最小限に保つように
e:未承認(米国)

<リスク層別化と抗凝固療法選択のアルゴリズム>(Freeでないので文書で)
・CHA2DS2-VAScスコア1点以上(女性は2点以上)→No:抗凝固なし
・→Yes:SAMeTT2R2スコア3点以上→Yes:NOAC
・→No:TTR>70%→VKA、TTR<65%または過去6ヶ月間にINR>5が2回or>8が1回or<2が2回
・→VKA

### この文章はわかりにくいですね。要するに
・SAMeTT2R2スコア3点以上または2点以下でもTTR<65%またはINR逸脱多い→NOAC
・SAMeTT2R2スコア0〜2点でTTR>70%→VKA

です。

薬剤選択の際SAMeTT2R2スコアを用いるのが新しい点です。
SAMeTT2R2スコアは以前のブログで、あまり気が進まないと書いた覚えがあります。
でもLip先生はTTR管理の予測スコアとして評価しているようです。

SAMeTT2R2スコアは
・女性、年齢(60歳未満)、既往歴(高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、末梢血管疾患、心不全、脳卒中の既往、肺疾患、肝疾患、腎疾患のうち2つ)(以上1点)、薬剤(ワルファリンと相互作用あり)、人種(非白人)(以上2点)
で最高8点です。

一見クリアカットですが、またまたいろいろなスコアが出てきて、返って混乱するような気もします。
私自身は最近は、
・75歳上:第一選択はワルファリン→半年くらい見て変動が多い患者はNOAC
・75歳未満:5つのうちからコスト、服薬回数、腎機能、消化器症状/疾患を考慮して適宜決定

という感じにしています。異論は受け付けます(笑)。

$$$ 杜の都の定番の場所。
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by dobashinaika | 2015-05-21 22:36 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

心房細動における心外膜脂肪組織と体重減少との関係:AHJ

Impact of weight reduction on pericardial adipose tissue and cardiac structure in patients with atrial fibrillationHany
S. Abed et al
American Heat Journal May 2015Volume 169, Issue 5, Pages 655–662.e2

背景:肥満と心外膜脂肪組織は心房細動のリスク因子であり、心臓の負の構造的リモデリングである。心外膜脂肪組織と心臓の構造における体重減少の影響は明らかではない

方法
・心房細動例87例を構造的体重管理群(介入群)と一般的ライフスタイル群(対照群)に分け心臓MRIを施行
・心外膜脂肪組織、心房及び心室容積、心筋重量をベースライン、12ヶ月後で測定

結果:
1)全69例(介入群36例、対照群33例)

2)体重減少:介入群(101.5→86.5kg)> 対照群(102.6→98.7kg):交互作用P<0.001

3)心房容積減少:介入群(105.0→96.4mL)> 対照群(108.8→108.9kg):交互作用P<0.001

4)心外膜脂肪組織減少:介入群(140.9→118.8kg)> 対照群(143.2→147.2kg):交互作用
P<0.001

5)心筋重量減少:介入群(137.6→123.1kg)> 対照群(138.3→140.7kg):交互作用P<0.001

結論:体重減少は構造的リモデリングを好転させ、心外膜脂肪組織の負担を減少させる。

### ちょうどJACCで、減量が心房細動抑制に有効との論文が出たばかりです。その機序としてはいろいろあろうかと思われますが、心外膜にある脂肪組織に一翼絡んでいる可能例が考えられるのかもしれません。

心外膜脂肪組織と心房細動の関係についてのブログは随分前に書いたのでご参照ください。心外膜にある心房が直接心筋に作用するのか、あるいは単なるサロゲートか現時点では不明ですが、両方なのかもしれません。
http://dobashin.exblog.jp/11257605/

同じような論文がAJCにも掲載されているのでご参照ください。
http://www.ajconline.org/article/S0002-9149(15)00115-0/abstract

また軌を一にして、肥満と心房細動の関係に関する総説がありましたので、こちらもご参照ください
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0914508715001185

ついでに、今回とは全く関係ありませんが、心房細動関連の総説が色々とありましたので備忘録としてURLだけ掲載させていただきます。ブログを個人的なメモ代わりに使ってしまい、すみません^^

心房の線維化に関する総説 (JACC)
http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleID=2293642

左心耳結紮デバイスLariat の総説 (JAMAIM)
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2289126

NOACの臨床的重要性に関する総説 (Circulation Journal)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/79/5/79_CJ-15-0319/_article

$$$ この季節、散歩中の草花は咲き乱れていて、あたかもずっと前から存在していたかのように咲き誇っていますが、でもつい2ヶ月前までは別世界だったわけで、知らないうちに季節は移っていくわけです。花が散るときにだけでなく百花繚乱のこの時期にも時の移ろいを感じざるを得ません。
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by dobashinaika | 2015-05-20 21:50 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

アミオダロンは低用量エドキサバンの効果を高める:EHJ誌

Edoxaban vs. warfarin in patients with atrial fibrillation on amiodarone: a subgroup analysis of the ENGAGE AF-TIMI 48 trial
J. Steffel, R.P. et al
Eur Heart J (2015) DOI: http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehv201 First published online: 13 May 2015


背景:ENGAGE AF-TIMI 48では、虚血性脳卒中は高用量エドキサバンとワルファリンは同等だが、低用量エドキサバンではワルファリンより多い。アミオダロンはP-糖タンパクを介してエドキサバンの血中濃度を上げる。エドキサバンの効果と安全性におけるアミオダロンの影響を検討

方法:
・ENGAGE AF-TIMI48でアミオダロン使用例に関してサブ解析

結果:
1)アミオダロン使用:2493例11.8%

2)脳卒中/全身性塞栓症:低用量エドキサバンにおいて、アミオダロン使用時のほうが非使用時より、対ワルファリンでの発症率が低い:HR 0.60, 0.36–0.99 and HR 1.20, 1.03–1.40; P interaction <0.01

3)高用量エドキサバンではこの現象は確認されず

4)大出血:アミオダロンの使用にかかわりなく、低用量、高用量とも、エドキサバンはワルファリンと同等

結論:低用量エドキサバン使用例では、アミオダロン使用時、非使用時に比べて、対ワルファリンの脳卒中/全身性塞栓症発症率が低い。大出血は同等。一方高用量エドキサバンではアミオダロンのこうした影響はない。

### NOACはエドキサバンにかぎらず、細胞膜トランスポーターであるところのP糖蛋白によって消化管に排泄されるため、P糖蛋白を阻害する薬剤(アミオダロンの他、キニジン、ベラパミル、エリスロマイシン、イトラコナゾールなど)と併用すると、血中濃度が上がることが知られています。

一方アミオダロンはワルファリン代謝に必要な肝のCYP2C9を抑制しますので、理論的にはワルファリンの血中濃度も上昇させます。

この論文ではアミオダロンの使用が、低用量エドキサバンでは脳卒中/全身性塞栓症を抑制し出血は変わらなかったのに対し、高用量では脳卒中/全身性塞栓症はワルファリンと同等で、出血(大出血でなく臨床上問題となる出血)はむしろワルファリンより増えました(本文で確認)。

なぜでしょうか?

筆者らは、以前のLancetのエドキサバン血中濃度とアウトカムの関連論文で、エドキサバンは血中濃度が上がると脳卒中/全身性塞栓症抑制効果は緩徐に改善し、出血リスクは急速に増加することを引き合いに出し、低用量エドキサバンでは出血リスクは上げず脳卒中予防効果のみを上げるくらいの、ちょうど良い塩梅にアミオダロンのスパイス(筆者はそんな表現は使っていませんが)が効いていたのに対し、高用量の時は、脳卒中予防効果はもう頭打ちになっていてアミオダロンの効果はイマイチなのに対し、出血リスクは上げてしまったためと推測しています。この時アミオダロンのワルファリンへの影響より、エドキサバン(特に低用量時)への影響のほうが好ましく働いたのだと考えられるかもしれません。


アミオダロンは専門医の間で結構使われていますので、アミオダロン投与下にエドキサバンを使う場合は低用量の方にインセンティブが進むかもしれません。

アミオダロンとワルファリンの関係に関するブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/20294411/

$$$ 仙台青葉まつり。かなりの人出であまり見えませんでした。でも新緑と木漏れ日があれば満足。 
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by dobashinaika | 2015-05-18 22:57 | 抗凝固療法:エドキサバン | Comments(0)

心房細動アブレーション周術期のリバーロキサバンとワルファリンの無作為化比較試験:EHJ誌

Uninterrupted rivaroxaban vs. uninterrupted vitamin K antagonists for catheter ablation in non-valvular atrial fibrillation
Riccardo Cappato et al
EHJ First published online: 14 May 2015


目的:VENTURE-AFは、非弁膜症性心房細動カテーテルアブレーション時に中断なしで、リバーロキサバンとビタミンK阻害薬(VKA)の初の無作為化試験

方法:
P:カテーテルアブレーションが予定された発作性、持続性、長期持続性心房細動患者250名
E:リバーロキサバン20mg/日、術後4週間、中断なし
C:VKA
O:大出血(主要)、血栓塞栓症、他の出血、手技に関連したイベント(副次)

結果:
1)年齢59.5歳、男性71%、発作性74%、CHA2DS-VAScスコア1.6点

2)ACTで決めたヘパリン量:リバーロキサバン>VKA:(13 871 vs. 10 964 units; P < 0.001)

3)ACT値:リバーロキサバン < VKA:(302 vs. 332 s; P < 0.001)

4)大出血:0.4%(1例)

5)血栓塞栓症:0.8%(脳梗塞1例、血管死1例)

6)出血は全例VKA群でアブレーション後

7)その他のイベント、出血は同等

結論:心房細動アブレーション施行例において、中断しないリバーロキサバン使用は実行可能で、イベント率は中断しないVKA療法と同等

(COI:この研究のスポンサー、ファンドはJanssen Scientific Affairs LLC, a Johnson and Johnson Company and by Bayer HealthCare Pharmaceuticals)

###これまで観察研究はありましたが、RCTは初めてです。観察研究だと、このひとはリバーロキサバンが良さそうだ、こっちはワルファリンがいいなどと、医療者の恣意性が入り込みますので、RCTが出たことの意義は大きいと思われます。

症例数が少なく統計的処理を行うまでに至っていません。実際上問題となるのは、アブレーション関連タンポナーデの時の出血量と思われますが、Xa阻害薬のほうが頭蓋内出血のように心膜腔への出血量が少なくなるような血液凝固学的要因は考えつきません。が、一方、タンポナーデの時はドレナージしますので中和薬は必要なさそうです。あとは、アブレーション後数日までに起こる遅発性のタンポナーデですが、症例数が少なくどちらがどうということはまだいえないようです。

こうしたデータの積み重ねは非常に大切と思われます。

主な観察研究はこちら
http://dobashin.exblog.jp/19510118/

$$$ 今日はにゃんこでなくてカメ。ご近所のペットホテル玄関前でひなたぼっこしていました。
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by dobashinaika | 2015-05-15 22:26 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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