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心房細動は非ST上昇型心筋梗塞の増加と関連あり:Circ誌

Atrial Fibrillation and Risk of ST-Segment Elevation versus Non-ST Segment Elevation Myocardial Infarction: The Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) Study
Elsayed Z. Soliman
Ciuculation Published online before print April 27, 2015

背景:MIと心房細動の関連が言われているがメカニズムは定かで無い。ST上昇型と非ST上昇型心筋梗塞で心房細動との関連の差を検討し、メカ二ズムを明らかにする。

方法:
1)ベースラインに虚血性心疾患を有するARIC研究登録患者のうち、心房細動を有する14,462例(平均54歳)
2)心房細動は入院時心電図または外来受診時心電図で同定

結果:
1)平均追跡期間21.6年

2)心筋梗塞発生:1374イベント:829STEMI, 296NSTEMI

3)心房細動は心筋梗塞増加と関連あり:ハザード比1.63 (1.32-2.02)

4)心房細動はNSTEMI発症と関連あり:ハザード比1.80 (1.39-2.31)

5)STEMIとは関連なし:ハザード0.49 (0.18-1.34)

6)STEMI,NSTEMI鑑別不能例を入れても結論変わらず

7)上記の関連は女性が男性より強い:交互作用p<0.01

結論:心房細動はMI特に女性で関連があるが、NSTEMIに限定される

### MIとAFの関連を報告した大きな論文はこちら
http://dobashin.exblog.jp/18923105/

なぜAFはSTEMIよりもNSTEMIの原因となりやすいのでしょうか。Autherらは、STEMIは冠動脈の完全閉塞が原因だが、AF由来の血栓は冠動脈を完全につまらせるようなものではないからという点をあげています。

AFとMIが合併する背景はその他にも、共通の動脈硬化因子の存在、頻拍由来の心筋虚血等が考えられますが、NSTEMIが多いということは冠動脈血栓の関与が大きいのかもしれません。

$$$ 広瀬川河畔から見た朝もやに煙る仙台市街。ジョギングする人も多い季節になりました。
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by dobashinaika | 2015-04-30 22:18 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

PCI前の出血リスク評価が出血回避策施行と出血率低下につながる:BMJのある意味画期的な論文

Precision medicine to improve use of bleeding avoidance strategies and reduce bleeding in patients undergoing percutaneous coronary intervention: prospective cohort study before and after implementation of personalized bleeding risks.
John A Spertus et al
BMJ (Clinical research ed.). 2015;350;h1302. doi: 10.1136/bmj.h1302.


目的:経皮的冠動脈形成術(PCI)施行患者において事前の出血リスク評価が、出血回避策実施の改善及び出血減少につながるかどうかを検証

デザイン:リスク層別化前後で、出血回避策施行の有無と出血率を比較する前向きコホート研究

セッティング:米国の9病院

参加者:ST上昇型心筋梗塞(STEMI)でPCI予定の患者

主要評価項目:出血リスク層別化ごとに出血回避策としてbivalirudin投与、撓骨動脈アプローチ、血管閉鎖デバイスの使用。周術期の出血率。対照群はリスク層別化を思考していない1135病院のプールデータ。出血回避策についても病院レベル、医師のレベルの多様性も評価

結果:
1)術前評価非施行例7408例、施行例3529例

2)手術部位出血回避策実施率:評価施行例の日施行例に対するオッズ比:1.81 (1.44-2.27)

3)高リスク患者の実施率増加(オッズ比2.03)は低リスク患者(オッズ比1.41)より有意に大

4)手術部位の出血:評価施行例1.0% vs. 非施行令1,7%:オッズ比0.56(0.40〜0.78)
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5)出血率低下は高リスク例ほど顕著

6)出血回避策は病院間、医師間でばらつきが大きい。

結論:事前の前向きで個別の出血リスク評価は出血回避策施行率上昇及び出血率低下に関連した。病院間、医師間の格差はそれの是正、安全性、ケアの室改善の重要性を示唆している。

### あえてPCI関連の論文を取り上げましたが、この論文、ある意味画期的でおそらく最近では最もインパクトのある論文と言っても過言ではないと個人的に考えましたので、取り上げました(日本循環器学会で香坂先生も"記念碑的"とおっしゃっておられました)。

さらっと読むと、出血リスクの評価をしたほうが、しない場合に比べて、出血への対策をきちんとするので出血率も下がるというもので、当然かと思われます。しかしよく考えますと、実際に、事前のリスク評価を行う群と行わなかった群とを比較して、その評価が医師の行動変容を促し、なおかつアウトカムを良くしたというような検証研究はこれまでそうそうないと思われます。

たとえば心房細動。CHADS2スコアあるいは出血リスクですとHAS-BLEDスコアですが、こうしたスコアは各種ガイドラインでも全面的に推奨されていますが、実際は点数別の塞栓率とか出血率しか明らかではありません。しかも対象は元論文のコホートのみです。実際にCHADS2スコアを使った群と使わずに経験的に行った群とを比較して、抗凝固療法の施行実施率及び塞栓、出血率などのアウトカムを比較した研究は皆無と思われます。

CHADS2スコアを無視して抗凝固をしたら、絶対塞栓症も出血率も増えると思われるかもしれませんが、しかしながら、最近のの日本の大規模コホートでは、必ずしも低リスク例の血栓塞栓率が高くないことが示されています。昔のデータで算出されたCHADS2スコアが、今の日本でどの程度アウトカムに寄与しているのか、実はわかっていないとも思われます。

高血圧ガイドラインにしても、血清脂質のガイドラインにしても同じで、血圧やLDLコレステロール値がこのくらいの集団の予後はどの程度というのは算出されていますし、また降圧薬やスタチンでここまで下げるとアウトカムはこのくらいというのもエビデンスとして出されることはあります。しかしながら、治療前のリスク評価が医師の処方内容に影響し、しかもアウトカムを良くしたという、リスク評価の有効性の検証が行われたことは稀有のように思われます。

それにしてもこのグラフは非常に印象的です。リスクをきちんと評価した場合は、低リスクで抗凝固薬を使用せず高リスクで使用する医師が増えている一方、最初から最後まで全く使わない、あるいはかならず使う医師が一定数いることも示しています。
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実際問題として、この病院間、医師間のばらつきが最大の問題かと思われます。

最近特にCHADS2スコアの特に低リスクでの(日本での)妥当性に問題意識を持っているところなので、こうしたリスク層別化の検証は大切であるなあと再認識しました。

$$$ こちら今日昭和の日のあおば通。いよいよ新緑。杜の都が一番輝く季節がやって来ました。
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by dobashinaika | 2015-04-29 22:12 | 虚血性心疾患 | Comments(0)

75〜76歳の一般住民が2週間1日2回心電図を取れば3%で心房細動が見つかる:Circu誌

Mass Screening for Untreated Atrial Fibrillation: The STROKESTOP Study
Emma Svennberg et al
Circulation Published online before print April 24, 2015


背景:心電図を使った75−76歳の人への系統的なスクリーニングプログラムによる無治療心房細動の有病率を明らかにする。またそれらの人への抗凝固療法の意義を評価する

方法:
・スウェーデンの2つの地域の75〜76歳高齢者の半数対象
・事前に心房細動の診断なし
・2週間以上に渡り間欠的に心電図記録
・心房細動が認められた場合、経口抗凝固薬を勧められる

結果:
1)28ヶ月間で13331人に勧誘

2)7173人53.8%が参加

3)心房細動:218人3.0%(2.7〜3.5)

4)最初の心電図で心房細動あり:37人(全体の0.5%)

5)間欠的な心電図は新規心房細動の発見を4倍増やす

6)事前に心房細動が認められいていた人:666人9.3%

7)全心房細動:12.3%

8)事前に認められていた症例のうち抗凝固薬なし:149人2.4%

9)全参加者の5.1%は無治療心房細動

10)スクリーニングにより抗凝固薬を開始した人;3.7%

11)事前に診断されていない90%以上のひとが、抗凝固療法を承諾

結論:75〜76歳の人のマススクリーニングにおいては、かなりの割合で心房細動が見つかる。予防的脳卒中治療の開始は新たに同定された心房細動において高率に成功する。

### 「スウェーデンの75〜76歳の一般住民を、2週間に渡り時々心電図を取れば、新たに3%の人に心房細動が見つかる」というのが主旨です。
心電図はこのような感じで1日2回、親指をデバイスに当ててwebで送るようになっています。1回30秒記録できます。
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ついに「サイドー健診」が現実味を帯びてきましたね。これはオムロンの携帯心電計より簡単ですね。親指でいいので下着をめくる手間がありません。

それにしても3%とは多いです。75歳以上なので自動的にCHA2DS2-VAScスコア2点で欧州では抗凝固療法の適応になります。
新たに見つかった人の90%が抗凝固療法を選択というのもちょっと驚きです。無症状で、機械にたまたま親指を当てただけで脳卒中のリスクが大きいから血液サラサラ薬をの飲みましょうと言われても、日本で果たして90%以上のひとが抗凝固薬を納得して飲むでしょうか?

こうして飲んだ集団のアウトカムが知りたいところです。

私はどうしても、昨日の総合医セミナーで高名な救急医療の先生がプレゼンされた、「70代女性、軽度の交通事故後の骨盤骨折→その後死亡。NOAC服用中」というケースを思い出します。

プライマリ・ケア医の基本姿勢は安全優先、Do no harmだとすれば、抗凝固療法基本方針は以下で良いのだろうと思います。
1)CHADS2スコア2点以上にしっかり抗凝固療法を行う
2)1点以下は慎重に考える。
3)ワルファリンの扱いに習熟し、TTR70%以上(おおよそ7割以上の採血でINRが標準範囲)を保てる場合はワルファリン
4)ワルファリンに自信のない場合NOACだが、そういう医師は導入時できれば信頼できる専門医に紹介


実際はこの「信頼できる専門医」がミソかもしれません。実は、抗凝固療法への習熟度は専門医の間でも千差万別です。

抗凝固薬の選択は「エビデンス」「患者の好み」「環境、周囲の状況」「医師の専門性」のブレンドと拙著にも書いていますが、実際は「医師の専門性」というか「治療法への習熟度」あるいは「医師の事情」が一番大きなファクターかも知れません。院内処方の診療所ではまずもって一種類くらいしかNOACを揃えられないし、まだまだNOACはプライマリ・ケア医が安易に処方しなくて良い薬ではないかと思います。

$$$ 大阪出張時、仙台空港で見た大友克洋の復興レリーフ。風神雷神というより、光琳の紅白梅図の濁流に金太郎が波乗りしているようなイメージに見えました。
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by dobashinaika | 2015-04-27 22:23 | 心房細動:診断 | Comments(0)

現場で本当に抗凝固療法が必要な人はだれなのか、改めて考えさせられる。

本日は、総合医のための(開業医の先生が多い)のセミナーに参加しました。

非常にレベルとアクティビティーの高い医師の集まるセミナーで、心房細動の話題も出たのですが、
まさに当事者として日々診療にあたっている医師の日頃の悩み、課題がよくわかって、とても有意義でした。

本当に抗凝固が必要な人はどういう人なのか。
ワルファリンはやはり使うのが難しいので、NOACを処方するのはむしろ開業医に多い
専門医ほどワルファリンを使う
NOACもモニタリングが必要なのか
PT-INR採血の間隔は1ヶ月以上でも良いのか

現場の切実な思いですね。

一方で、軽症交通事故にもかかわらず、抗凝固薬内服下で重篤化する症例の紹介もあり、深く考えさせられました。

最近の米国の報告でもありますが、日本においても高リスクに処方されず、反対に低リスクに処方されすぎている現実が、やはりあるように思います。

今回日循でも発表させていただきましたが、最近の報告ほど、低リスク例の塞栓血栓率は低いものがあります。
CHADS2スコアの元論文のデータは1990年代のものです。
その頃と今とでは血圧管理、血糖管理、心不全管理その他もろもろすべてが違います。

今の日本で抗凝固薬が必要な人はどういう人なのか、改めて考え直す時期だろうと思います。

ということで、今回の発表のつかみのスライドはこれ。やや受けでした^^
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明日からまた通常回転に戻る予定です。

$$$ 東京の朝も散歩しました。東京のにゃんこにも会いました。
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by dobashinaika | 2015-04-26 22:46 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動診療の新時代:疾病管理、Structured Follow-up、最適解をめざす時代

昨日から大阪の日本循環器学会に参加しています。
日本最大級のマンモス学会ですが、今回は会場が分散しているせいか、あまり「人が多いなあ」感はありませんでした。

心房細動関連では、2−3年前のNOAC旋風は落ち着きを見せ、PCI後、アブレーション前後の抗凝固薬使用の演題が多かったように思います。

私、今回は、本日7:35からのモーニングレクチャー「実地医家から見た心房細動診療」を担当させていただきました。
土曜早朝にもかかわらず、予測に反して多数の方にお集まりいただき、準備の甲斐がありました。

心房細動の話は、もはやNOACの使い分けの話は耳たこだと思われますので、プライマリ・ケア視線から、そろそろ心房細動診療も転換期であると言うようなお話しになりました。以下簡単な骨子です。

1)診療所で診られる心房細動症例は、複数合併症を抱え、されに認知症、社会的問題を抱える。従来からの臓器別疾患別フレームワークによる診療では太刀打ちできない。ナレッジマネジメント領域で喧伝されているクネビンフレームワークのような「複雑性」を指標とした診療を考える。

2)ガイドラインのようなアルゴリズムがそのまま適応できるケースは実は少ない。そのような患者では「問題解決」志向でよいが、多くの問題が錯綜する患者においては、一つの決まった「解」を求めることは不可能。その都度その都度で患者ー医療者(当事者)両者に最適な「解」を探るしかない。

3)心房細動診療は、PDCAサイクルならぬ、(S)ADCAサイクル=Screening, Assessment, Decision making, Check, Actで考える
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4)Assessmentで今後大事になるのは、心不全対策。抗凝固療法の時代から抗心不全の時代になるかもしれない。

5)Decision Makingでは、逆説的にCHADS2スコアの見直しが今後課題かもしれない。日本の近年の脳塞栓発症率は非常にすくない

6)Check, Actにおいては、複雑な患者では、心不全領域で行われているような多職種が関与する「疾病管理」「StructuredFollow-up」のコンセプトが大切。

おおむね上記のようなないようです。

高齢者診療においては、とにかく「個別に」「患者さんごとに」対処しましょう.とよく言われるわけですが、この文言だけでは何を言っているのかわかりません。
どう「個別に対処するのか」。それは、多職種で、リスクのアセスメント、意思決定、チェック、修正を包括的に行う。と言うことだと思われます。

そのあたりの各論をもう少し煮詰めていきたいと思っています。

と言うわけで、今回があまり不整脈領域のセッションには出なくて、いろいろなところを見て回っております.
個人的には昨日の香坂俊先生(慶応大学)の循環器薬物療法の話は最高でした。安定狭心症にはメディカルでよい。スタチンは目標値を設定しない。いかに薬をやめるかが大事。心臓はフラクタル。。。。

なかなかすごい高みに達してるなと思わせるレクチャーでしたね。

$$$各セッションのオープニングビデオ。この映像に「ツァラストラはかく語りき」が鳴り響いていました^^
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by dobashinaika | 2015-04-25 16:54 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

ものごとを形にする=ひき算→かけ算

24日から始まる日本循環器学会に向けてスライド作りをしています(ようやく何とか終わりました)。

毎度思うことですが、なにか物事を一つのものにまとめ上げる作業は、決して足し算ではないのですね。

混沌世界から問題を抽出し、情報収集し、吟味してひとつ形にする。

これ一見足し算のように見えますが、情報収集の段階で、実は、余計な雑多物まで集めてしまいがちです。
というか、結論が見えるまでは何が雑多で何がダイヤモンドかわからないのです。

あれこれ試行錯誤して、統計学を含む各種作業を経てようやく結論が見えてきた時、ではこれまで塗布してきた情報の山をどのように解きほぐし、いらないものを捨てていくか。
物事をまとめあげるというのは、最後はこの引き算から残った物同士の掛け算ということになります。

この時、引いて残ったもの同士がうまく掛け算できるように、うまく化学反応が起きるように引かなければなりません。

思いがけなく意図せずに掛け算が奏功することもあれば、混沌をさらに深める事もあります。
泣く泣く捨てたものの中にも、後々とても役立つことは多々あるのでそれを信じて、捨てたもものも別の箱に入れていつでも引き出せるようにしておきたいものです。

混沌から秩序を紡ぐ際に必ずこぼれおちるもの、ここに真実があるかもしれません。捨てられずに拾われたもので秩序が形作られると、反対に秩序だけがひとり歩きして、効率性のみが追求されることもままあります。科学は、モデル化抽出化が進むほど、効率化功利化への危険性が高まることに、常に気をつけなければならないかもしれません。

と言葉遊びをしたところで、私の発表は科学とはなんの関係ありませんが、明日からはいつものブログは一休みで、学会の見聞記など書くことにします。

今回の発表で今後の臨床研究のヒントになるようなものが少し見えましたので、今年は頑張って何とか論文にしたいと思います。発表でなくて論文ですね^^

$$$ だいぶ暖かくなってきたので、これまでの厚手のコートから薄手のジャケットとズボンで散歩しています。まだちょっと寒い時もありますね。
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by dobashinaika | 2015-04-23 00:11 | 開業医の勉強 | Comments(0)

ダビガトランの腎機能低下例も含むリアル・ワールドデータ:Circulation誌

Cardiovascular, Bleeding, and Mortality Risks in Elderly Medicare Patients Treated With Dabigatran or Warfarin for Nonvalvular Atrial Fibrillation
David J. Graham et al
Circulation.2015; 131: 157-164


背景:一般診療レベルでのダビガトランとワルファリンの比較は確立されていない

方法:
・メディケア受給者でダビガトランまたはワルファリンを新規処方された非弁膜症性心房細動。プロペンシィティースコアマッチ。2010−2012年

結果:
1)134414人、37587人年。イベント:2715件

2)ダビガトラン、対ワルファリンハザード比
・虚血性脳卒中:0.80 (0.67–0.96)
・頭蓋内出血:0.34 (0.26–0.46)
・大きな消化管出血:1.28 (1.14–1.44)
・心筋梗塞:0.92 (0.78–1.08)
・死亡:0.86 (0.77–0.96)

3)75mg1日2回:頭蓋内出血以外は有意差なし

4)75mg1日2回症例では腎機能低下なし

5)150mg1日2回のほうがアウトカムの差が大きい

結論:一般診療レベルでは、ダビガトランはワルファリンにくらべ虚血性脳卒中、頭蓋内出血、死亡リスクを減らし、消化管出血リスクを増やした。この効果は150mg1日2回で大きかった。75mg1日2回では頭蓋内出血減少以外ではワルファリンと同等の効果だった。

###以前FDAから出たレターの論文化です。1月に出ていたのに気が付きませんでしたので今回ご紹介です。
以前のブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/19798706/

対象は、米国のメディケア受給者で、85歳以上が16%含まれています。高血圧87%、CHADS2スコア0〜1が28%、2点40%、3点21%、4点10%と、ほぼリアル・ワールドを反映しているようなプロファイルと思われます。

注目は前回出ていなかった75mg1日2回のデータでnは10,000人強です。。ワルファリンと同等で頭蓋内出血は少ないとのことです。米国ですので、CCR15~30 で75mgx2、それ以外は150x2で、110x2は認められていません。

腎機能低下例では75mgx2もひとつの選択肢の可能性が示唆されます。ただし日本ではデータ全くなしですね。

$$$今日のにゃんこ。じっとこちらを見つめていました。
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by dobashinaika | 2015-04-21 20:39 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

CHA2DS2-VAScスコア0点の人の25%以上に抗凝固薬が処方されている(米国):JAMAIM誌

Oral Anticoagulant Prescription in Patients With Atrial Fibrillation and a Low Risk of ThromboembolismInsights From the NCDR PINNACLE Registry ONLINE FIRST
Jonathan C. Hsu et al
JAMA Intern Med. Published online April 13, 2015


疑問:低リスク患者にはどの程度抗凝固療法が行われているか?

方法:
・2008年〜2012年に施行された1,711,326人参加のPINNACLEという全国心血管疾患患者登録研究(米国)
・359,315人21.0%が心房細動
・76人の循環器専門医、287施設、33の州
・60歳未満、器質的心疾患なしのひと対象
・CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアとも0点

結果:
1)抗凝固薬処方率:CHADS2スコア0点=23.2%、CHA2DS2-VAScスコア0点=26.6%

2)両スコアで0点で処方されている患者は、より高齢で、メディケア受給または保険なし、高BMI、(アメリカ)北東または西部ではない層が多かった

3)発作性心房細動、喫煙者は少なかった

4)CHADS2スコア0点で処方されている患者には、男性、脂質異常が多かった

5)CHADS2スコア0点の処方予測因子(補正後):高齢、男性、高BMI、メディケア

6)アメリカ南部は北東部より処方率が低い

7)CHA2DS2-VAScスコア0点で処方されている患者の予測因子も同様

考察:
・米国の若年者の大規模登録研究では、ガイドラインに反し低リスク患者の約25%に抗凝固薬が処方されていた
・特異的な患者背景が存在した
・今回の所見は公衆衛生上重要な知見である
・限界として、DVT,肺塞栓なども診断に含まれている、電気的除細動やカテーテルアブレーションのデータが含まれていない

### JAMAIMのResearch Letter.スコア0点でも25%の人に処方されていたというのは、多いなと思います。より高齢、保険なし、肥満などはCHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア、以外のリスクが考慮されているためと思われます。

当院でも、現在60歳位の方で、40代から慢性心房細動でCHADS2スコアがクローズアップされるずっと前からワルファリンが処方されている方がおります。ずっと以前は慢性心房細動なら若い方でも出していたと思います。

スコア1点の場合、より高齢(70代)とか、他に喫煙、腎機能低下など、他の動脈硬化のリスクも加味して適応を決定していますが、さすがに今0点の人は(特にCHA2DS2-VAScスコア)に処方することは相当慎重にすべきと思われます。

$$$ 今日のにゃんこ。近くの神社脇にて撮影、近寄っても悠然としていました。
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by dobashinaika | 2015-04-17 22:34 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

患者向けスライド:「テレビ、新聞、雑誌の健康情報をどう読み取るか?」ダウンロードできます

以前ブログでご紹介し、ケアネットの連載にも掲載された「テレビ、新聞、雑誌の健康情報をどう読み取るか?」の内容が、わかりやすいスライドになって、ダウンロードできるようになりました。
http://www.carenet.com/slide/224
(要無料登録)

患者さんの中でもより初心者向けではありますが、健康番組や新聞雑誌の健康に関する広告等に関する問い合わせを受けた時、または疑問に思った時などにお使いいただければ幸いです。

以前のブログはこちらです。
http://dobashin.exblog.jp/20744661/
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by dobashinaika | 2015-04-17 22:22 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

ケアネットにLancet論文「心房細動においても多職種が介入する疾病管理の概念が重要」についての解説

ケアネットの「ジャーナル四天王」(提供元:J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構))にLancet論文「ケアネットの「ジャーナル四天王」(提供元:J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構))にLancet論文「βブロッカーは心房細動合併心不全の予後を改善しない」の解説を書かせてただきました。
http://www.carenet.com/news/clear/journal/39738
(要無料登録)

昨年11月21日に本ブログでも取り上げておりますが、内容は少し推敲しております。
http://dobashin.exblog.jp/20410023/

元論文はこちら
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61992-9/abstract
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by dobashinaika | 2015-04-17 22:13 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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