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オセルタミビル(タミフル)に関するランダム化比較試験のメタ解析:Lancet誌

Oseltamivir treatment for influenza in adults: a meta-analysis of randomised controlled trials
Joanna Dobson et al
The Lancet Published online: January 29, 2015


疑問:オセルタミビル(タミフル)のインフルエンザにおける効果と安全性は?

方法:
・Roche社が提供するRCT、二重盲検(75mgオセルタミビル1日2回vs. プラセボ)、成人対象
・Medline, PubMed, Embase, the Cochrane Central Register of Controlled Trials, and the ClinicalTrials.gov trials register
・2014年1月までの文献
・ITT infected, ITT, On treatment解析
・一次アウトカム;全症状緩和までの期間
・他のアウトカム:合併症、入院、安全性:リスク比とMantel-Haenszel使用

結果:
1)9試験、4328患者

2)オセルタミビルによる症状緩和までの時間 (ITT infected):プラセボにくらべ21%短縮:time ratio 0·79, 95% CI 0·74–0·85; p<0·0001

3)症状緩和までの時間(中間値):オセルタミビル 97.5時間 vs. プラセボ 122.7時間:差25.2時間 (95% CI -36.2~-16.0)

4)ITT解析対象患者での治療効果:time ratio 0.85:差17.8時間

5)48時間以上抗菌薬を必要とした下気道合併症(ITT infected):オセルタミビル4.9% vs. プラセボ 8.7%:RR 0·56, 95% CI 0·42–0·75; p=0·0001

6)入院:オセルタミビル0.6% vs. プラセボ 1.7%:RR 0.37, 95% CI 0·17–0·81; p=0·013

7)嘔気:オセルタミビル9.9% vs. プラセボ 6.2%:RR 1.60, 95% CI 1·29–1·99; p<0·0001

8)嘔吐;オセルタミビル8.0% vs. プラセボ 3.0%:RR 2.43, 95% CI 1·83–3·23; p<0·0001

解釈;今回の結果では成人のインフルエンザにおいてオセルタミビルは症状緩和までの期間を短縮させ、下気道合併症と入院を減少させた。しかし嘔気、嘔吐は増加した。

### Lancetのタミフルに関するメタ解析です。日々の診療に直結する文献なのでまとめました。

Limitationとして1)下気道感染症が、前もって定義されたアウトカムではないこと(過大評価の原因となる) 2)評価時間が短い 3)対象患者が多様であり全患者への一般化に難点あり 等が挙げられています。
by dobashinaika | 2015-01-30 17:57 | 開業医の勉強 | Comments(0)

甲状腺機能異常との心房細動脳卒中の関係:AJM

History of Thyroid Disorders in Relation to Clinical Outcomes in Atrial Fibrillation
Helene Bruere et al
The American Journal of Medicine
Volume 128, Issue 1, January 2015, Pages 30–37


疑問:甲状腺機能は心原性脳塞栓に関係しないのか?

方法:
・1か所の施設での心房細動患者の診療録解析
・イベント(脳卒中/全身性塞栓症、出血、全死亡)と甲状腺機能異常との関係解析
・time-dependent modelsで交絡因子補正

結果:
1)8962患者・甲状腺機能亢進症の既往141人、甲状腺機能低下症の既往540人、甲状腺機能異常なし8271人

2)平均追跡期間929日

3)脳卒中/全身性塞栓症(715人)と甲状腺機能異常:単変量、多変量解析とも、関連なし

4)出血イベント(791人):甲状腺機能低下の既往が出血リスク増加の独立危険因子:HR 1.35; 95% CI, 1.02-1.79

5)死亡:甲状腺機能に関連なし

結論:甲状腺機能亢進症は脳卒中/全身性塞栓症リスクではない。甲状腺機能低下症は出血リスク増加と関連あり。このデータは、甲状腺機能異常を血栓塞栓症の新たなリスクに加える必要はないことを示唆する。

### 甲状腺ホルモンは凝固系と関連があり、甲状腺機能低下症では凝固能低下がみられたり、von Willebran病様の病態をきたして出血を惹起させるとの報告はあるようです。しかし心房細動における血栓塞栓や出血との関連を記載した文献は、あまりないと思われます。

どんな出血イベントなのか、詳細は不明ですが、気に留めておきたいと思います。

$$$ 早くも梅の花が。。
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by dobashinaika | 2015-01-29 23:41 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

アミオダロンと急性膵炎リスク:JAMAIM

Association of Amiodarone Use With Acute Pancreatitis in Patients With Atrial FibrillationA Nested Case-Control Study
Alvaro Alonso et al
JAMA Intern Med. Published online January 19


疑問;アミオダロンは急性膵炎リスクを増やすのか?

方法:
・TruvenHealthMarketScanCommercial andMarketScanMedicare Supplemental Databasesを用いての症例対照研究
・症例:急性膵炎で入院した(第一診断)非弁膜症性心房細動患者
・対照:年齢、性別をマッチさせた対象症例(5倍人数)
・アミオダロンや他の薬剤の使用、合併症を調査

結果:
1)症例1686人、対照8430人:平均71歳

2)急性膵炎:アミオダロン症例14.5% vs. 対照9.0%

3)使用の蓄積と膵炎リスクは無関係

4)他の抗不整脈薬と膵炎リスクは無関係

5)12ヶ月後のリスク(オッズ比=1.86)の方が12ヶ月以内のリスク(オッズ比=1.21)より高い

結論:この結果はアミオダロンが急性膵炎の負のリスクを持つことを示唆。他の抗不整脈薬はリスク無し。一般住民の急性膵炎リスクは低いが、心房細動にアミオダロンを使用する際は急性膵炎のリスクにも注意すべき。さらなる研究が必要。

### これまでほとんど報告を見たことがなかったのですが、やや注意する必要があります。症例対照研究ですから、少なくとも前向きコホートがでてくる事を期待します。
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by dobashinaika | 2015-01-28 23:02 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

心房細動患者におけるジギタリスと死亡リスクの関係:CircEP

Digoxin and Risk of Death in Adults with Atrial Fibrillation: The ATRIA-CVRN Study
James V. Freeman et al
Circulation :Arrhythmia and Electrophysiology 2014年11月20日


疑問:ジゴキシンは心房細動の予後を悪くするのか?

方法:
・Kaiser Permanente Northern and Southern Californiaのリサーチ部門の心房細動患者14,787例
・ジゴキシン使用の有無(心不全なし)でプロペンシティースコアマッチ
・後ろ向きコホート:ATRIA-CVRN研究
・Cox regressionモデル

結果:
1)ジゴキシンの使用と死亡率は関連あり:8.3 vs.4.9 / 100人年, p<0.001

2)ジゴキシンの使用と入院は関連あり:60.1 vs.37.2 / 100人年, p<0.001

3)ジゴキシンの死亡率オッズ比:1.71 (1.52-1.93)

4)ジゴキシンの入院率オッズ比:1.63 (1.56-1.71)

5)年齢、性別ごとのサブ解析でも、ITTあるいはon-treatment解析でも結果は同じ

結論:心房細動の成人において、ジゴキシン使用は死亡と入院の高リスクに独立に関連していた。他のオプションが有るわけなので、ジゴキシンは心房細動管理においては注意して使用されるべき。

###昨年の論文ですみません。載せようと思って、すっかり忘れておりました。
同様のコホート研究は他にもあります。
http://dobashin.exblog.jp/20128470/

あとは前向き試験を待つだけでしょうか。

$$$散歩してたら突然目が合いました。
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by dobashinaika | 2015-01-27 22:52 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

ダビガトラン、リバーロキサバンの凝固能検査への影響:T/H誌

Influence of dabigatran and rivaroxaban on routine coagulation assays
M. Van Blerk et al
Thrombosis and Haemostasis 2015: 113/1 (Jan) pp. 1–220


疑問:ダビガトランとリバーロキサバンは、日常臨床でよく使うPT, aPTTにどう影響するのか?

方法:
・ベルギーでPT, aPTTを測定しているほとんどすべての研究所(189/192)が参加

結果:
1)ダビガトラン、リバーロキサバンとも血中濃度と試薬に応じてPT,aPTTを著明に延長させた

2)PTの試薬はダビガトランよりリバーロキサバンにより強く影響を受けた

3)aPTTの試薬はリバーロキサバンよりダビガトランにより強く影響を受けた

4)PTの試薬の中ではネオプラスチンRがリバーロキサバンの感度が最も高い。イノビンとトロンボレルSは最も感度が低い

5)従来のPT-INRでは試薬間の格差がより増える

6)aPTTの試薬ではアクチンFSLがダビガトランの感度が最も低く、その他はそれよりわずかに良い

7)ダビガトランがあると、低トロンビン濃度の試薬で測定した場合フィブリノーゲン濃度が不当に低く出る

8)ダビガトランがあると、トロンビンベイストの活性測定によるアンチトロンビンのレベルを過大評価してしまう

9)リバーロキサバンがあると、Xa因子ベースとの測定法によるアンチトロンビンのレベルを過大評価してしまう

10)器材による差はどちらにも認められた

結論:ダビガトランとリバーロキサバンが日常、広く使用されている試薬や器具による凝固能測定に与える影響が明らかとなった。

### 発売当初は、NOACのマーカーチェックが話題となりましたが、最近はあまり聞かなくなりました。どの医療施設でも処方が軌道に乗ったあとはワーファリンのPT-INRのようには測定はしないと思います。わたしはダビガトランに関しては、導入当初2〜3回aPTT、腎機能、Hbを測定しますが、その後は下痢、脱水、出血などのイベントが起きたときのみaPTTを測定するだけになっています。

リバーロキサバンの場合も測定はPTですが同じで、チェックは導入時とシックデイの時だけです。やはりPT-INRよりはPTのほうがいいようですね。

特にダビガトランは、投与前からaPTTが高値の場合もあり、導入当初はチェックを忘れないようにしたいところです。またひどい下痢や脱水が起きた時も迷わず受診するように患者さんに伝えるようにしています(受診できればですが)。

試薬は、この論文のような感度の高いものを用いるのがより良いのですが、診療所の場合、なかなか難しい面もありますね。でも試薬によって値はだいぶ違うということは知っていて良いと思います。

$$$ 冬の朝の楽しみは朝焼けを見ることです
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by dobashinaika | 2015-01-26 22:04 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

共病記(10)〜医者が患者になった時〜:若手医師に教えられたこと

今回の入院では、1ヶ月半近くに渡り診療を休んだことになります。その間は、幸いにも出身大学の教室から若手の先生の代診をお願いすることが出来ました。診療の穴をほとんど開けずにすんだことには、出身教室にどんなに感謝してもしきれません。しかし感謝しなければならないのは診療だけではありませんでした。

今現在、患者さんを診るとき、入院中に若い先生方の書かれたカルテを当然見返すわけですが、非常に多くの発見があります。もちろん当院での診療は初めての医師ばかりですので、戸惑いのあとや慣れない感じは言葉のはしから汲み取れはしますが、お世辞ではなくどの医師もSOAPをベースに大変詳しく的確にカルテを記載しているのです。当院はカルテ記載も全部キーボード入力ですが、若い医師ですのでお手のものとはいえ、私の書く分量より明らかに多くの内容が短時間で記載されています。また、診断推論、検査適応なども私の目から見て、的確だなあと思う記載が多いのです。

何より、患者さんの声やスタッフの反応がとても良好でした。もちろん、先輩医師の医院の応援ですので気を使っていたとは思いますが、それにしても今どきの若手の医師は、もちろん多様ではあろうかと思いますが、臨床能力、接遇態度に私たちベテランが見習うべきものを多く持っているように思います。改めて、自分の出身教室(循環器内科)を誇らしく、また大変頼もしく感じました。

今さら言うべきことでもありませんが医学教育は、私たちの時代と比べてだいぶ系統的になっています。CBTはあるOCSEはあるし、また卒後は、教授や(医療機関に依りはしますが)多くの他の医師からピアレビューを常に受ける環境にあります。

翻って、診療所診療の場合、現在多くのいわゆる「開業医医師」は当院も含めて一人診療=ソロプラクティスです。そこに系統的教育システムがない、ピアレビューのシステムがない、この2点は非常に大きな問題であると今更ながら再認識させてもらった、これが今回若手の先生に診療を応援して頂いて一番感謝したいポイントです。

自分としては、学習することは好きなほうで、毎朝、前日に受診した患者さんのカルテを通覧して疑問に思ったことを医学系サイトや文献で調べEvernoteに貼っつけるという作業をここ数年つづけているのと、夜寝る前にひとつの文献を読んでブログにアップしたりはしています。

しかしいずれも一人で行う孤独な作業なんですね。それを検証したり、批判したりするシステムは持ちあわせません。
現在、特に診療所医師の生涯教育という視点で顧みた場合、多くの開業医は同様の状況下に置かれているものと思われます。医学部を卒業して後期研修を終えるまでの数年は非常に系統的組織的な学習ができていたのが、40代、50代で開業した後の2〜30年に渡る非常に長い期間の生涯学習は、そのように行われているとは言いがたい、というのが現状かと思われます。本来は最も系統的継続的なカリキュラムを考えなければならない年代なのに。。

自己流で学習し、新しい知識は製薬企業等の関わる講演会などから取り入れる・・・もちろん主体的に多人数で学習している医師も多くおられるとは思いますが、こういう状況が多少ならずあるように思います。

PBL (Problem Based Learning=問題解決型学習)という方法論があります。言うまでもなく少人数で患者さんの持つ課題に立脚して自ら学習を進めていく方式です。すでに多くの医学教育に取り入れられていますが、将来的に開業医もPBLをベースにした生涯学習ができないものかと思うのです。例えば、私のクリニックの1日の診療の中でも、シンプルな問題の患者さんもおられますが、ご家族、仕事その他の面も含め非常にコンプレックスな問題を抱えた方も多数来られます。開業医の外来はコンプレックスケースの宝の山と言っても過言ではありません。そうしたケースを一人でしまっておかないで開業医仲間で共有できないものだろうか、と開業当初から考えていました。
そのためにメーリングリストなども作ったり、各種勉強会も行ってきましたが、これまでの講演会形式などで果たして良いのだろうかという危機感が、今回の若手の先生とコラボしたことによって急速に芽生えてきました。

モチベーションを共有できる仲間と、それからチュートリアルが必要ですが、色々画策していきたいと思っています。こういう画策は楽しいですね。

$$$今日の散歩道から
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by dobashinaika | 2015-01-25 22:18 | 医者が患者になった時 | Comments(0)

老人ホーム入居中の超高齢者への抗凝固療法:J Am Geriatr Soc誌

Underuse of Oral Anticoagulation for Individuals with Atrial Fibrillation in a Nursing Home Setting in France: Comparisons of Resident Characteristics and Physician AttitudeAuthors
Oarda Bahri et al
J Am Geriatr Soc 1月17日


目的:老人ホームに入居中の高齢者において抗凝固療法適応にもかかわらず処方されていない人の特徴、処方されない理由につき検討

デザイン:クロスセクショナル

セッティング:老人ホーム

参加者;老人ホーム入居者、心房細動、1085人

測定;多変量解析、医師へのアンケート

結果:
1)心房細動の既往;1085人(入居者の10.1%)、平均87歳、CHA2DS-VAScスコア平均5.1±1,4

2)抗凝固薬非投与率:544例50.1%

3)非投与の理由(オッズ比);繰り返す転倒4.9、出血の既往3.62、発作性心房細動3.5、高齢1.1

4)繰り返す転倒(47%)、認知機能低下(22,6%)、高齢(16.4%)が抗凝固薬を出さない主な要因

結論;老人ホーム入居中の超高齢者コホートでの心房細動有望率は10%。抗凝固薬処方率は高リスクにもかかわらず50%未満。老年症候群、特に転倒、認知機能低下が抗凝固適応外の主な要因。老人ホームの医師は発作性においてはを持続性よりイベントリスクが低いと考える傾向があることが、発作性に対しての低い処方率の理由。

### 極めて興味深い論文です。フランスの104のナーシングホーム入居中の75歳以上の超高齢者心房細動患さんを対象とした抗凝固療法の横断研究です。

心房細動の診断が問題ですが、カルテで確認かつ24ヶ月以内の心電図記録がある人とのことです。

これまでの超高齢者への抗凝固療法実態調査は例えば以下の英国のものでは、80代のワルファリン開始率は30%でした。
http://dobashin.exblog.jp/18287577/

一方80歳以上の人のワルファリンのネットクリニカルベネフィットは良好との結果も出ています。
http://dobashin.exblog.jp/19554092/

転倒リスクをどう考えるかというのは大きな問題で、高齢者の転倒による大出血は少ないとのデータも有ります。
http://dobashin.exblog.jp/15885017/
今日の論文では最近3ヶ月以内に2回以上転倒したひとを「繰り返す転倒」と定義していて、登録患者の20%であったとしていますが、これは実際もっと多いだろうと思います。目撃されていないだけではないでしょうか。他にも転倒リスクよりも塞栓症リスクのほうが高いとする論文はあるのですが、一方目の前で皮下出血を作っている患者さんを診ている医師が抗凝固薬をどう考えるか。エビデンズだけで割り切れない問題と言えます。

論文世界とは、また別の論理が超高齢者の診療には厳然と存在することをこの論文は知らせてくれます。

$$$ 散歩中に見かけたビルの玄関にあった看板。これだけ見るとなんかコワイ。
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by dobashinaika | 2015-01-23 22:20 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

第4回どばし健康カフェ「身近な人が病気になった時」を開催します

長らくおやすみしていましたが、第4回どばし健康カフェを開催します。
今回のテーマは「身近な人が病気になった時」です。

私自身の退院後、初の久々の開催となります。そうした経緯から今回は是非このテーマを語り合いたいと考えておりました。
親しい人が突然病気になった時、亡くなった時、驚き、うろたえ、不安を覚えると思います。その方やご家族のこれから行く末を慮る、また自分の身に引き寄せて考えることもあるでしょう。実体験として、こういったとき何を考え、どう行動したか、あるいは、これからそんなことがあったとき、自分はどう考え何をするのか。

客観的に冷静に捉えることができるのか、何が一番知りたいことなのか、どんな不安を覚えるのか、一般のかたと医療従事者の捉え方はどのように違うの?考えるととても興味深いことだと思います。

当日は一般市民と医療従事者で、気軽に語り合いたいと思っています。
今回も美味しいコーヒーとお茶菓子を用意しますのでご興味のある方は、ぜひご参加ください。お待ちしております。

場所;土橋内科医院待合室

時間:3月7日(土)15:00〜

参加費:300円(コーヒー、お茶、お菓子)

参加:20〜30名(どなたでも参加できます)

参加ご希望の方は、このブログのコメント欄にご連絡いただくか当院までお電話ください
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by dobashinaika | 2015-01-22 22:44 | 土橋内科医院 | Comments(0)

抗凝固薬のリスクスコアは低リスクの場合果たして適切なのか:JACC誌

Benefit of Anticoagulation Unlikely in Patients With Atrial Fibrillation and a CHA2DS2-VASc Score of 1
Leif Friberg
J Am Coll Cardiol. 2015;65(3):225-232


疑問:CHA2DS-VAScスコア1点はリスクなのか?

方法:スウェーデンナショナルヘルスレジストリー登録の心房細動患者140420人。後ろ向き調査。脳卒中の定義は様々

結果:
1)未分類の脳卒中、TIA、肺塞栓を「脳卒中」と同等に扱うと、「虚血性脳卒中」よりも年間44%リスクが高くなる

2)入院時心房細動に関連した脳卒中イベントを含むと、最初の4週間を超えた長期リスクは2倍になる

3)女性では、イベントの定義で年間脳卒中率は0.1〜02%に変動

4)同様に男性では0.5〜0.7%に変動
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結論:心房細動でCHA2DS-VAScスコア1点の患者の虚血性脳卒中リスクは従来報告されているよりも低いかもしれない

### これまで当たり前のように使われてきたCHA2DS2-VAScスコアの根底を覆すような論文です。
CHA2DS2-VAScスコアは1点以上で抗凝固薬推奨とされていますが、1点の場合、もともと低リスクなので非抗凝固薬下での虚血性脳卒中の年間リスクがどの程度あるのが、実は非常に大きな問題なわけです。

ワルファリンの虚血性脳卒中年間対危険減少が0.7くらいで頭蓋内出血増大は0.6〜0.8(NOACでは0.2〜0.5くらい)なので、年間1%というのが、概ね別れめかと思われます。これまでESCのガイドラインの根拠となった論文は0.6〜2.0%超とされており、実はだいぶ幅があるのです。

本論文は、こうした差異が「虚血性脳卒中」の定義に由来することを示しています。

この論文によれば、スウェーデンの昔の登録はTIAや肺塞栓まで"stroke"に加えられており、それらを再解析したようです。またquarantine periodsといって、登録研究では、例えば心房細動を診断された直後のイベントの場合、心房細動以外の理由による可能性やう複数のクリニックでのダブルカウントも考え、イベントとしてカウントしない期間が設けられており、それによってもアウトカムが変わります。

その目で見ると、このコホートではCHA2DS2-VAScスコア1点の虚血性脳卒中リスクは0.9%ですがこれは肺塞栓、TIAなどまで入れたもので、虚血性脳卒中のみの病名コードを取り出すと0.5%になるとのことです。

Editoroal(Singer先生)も面白くて、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアはきちんとした統計学的モデルに基づいておらず、その予測能は可もなく不可もなくだ、とバッサリ切っています。
Adding Rigor to Stroke Risk Prediction in Atrial Fibrillation
Daniel E. Singer


この辺り、Lip先生はどうreplyするのでしょうか

それにしても、最近日本人の塞栓リスクが考えているより低いとか、各項目によってもリスクに違いがあることなどが指摘されるようになり、いよいよ低リスクへの抗凝固薬を考え直す時期なのかなあと感じます。

$$$ 一瞬外国に見えなくもない?
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by dobashinaika | 2015-01-20 21:56 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

心房細動合併透析患者のダビガトラン、リバーロキサバン使用:Circulation誌

Dabigatran and Rivaroxaban Use in Atrial Fibrillation Patients on Hemodialysis
Kevin E. Chan
Circulation 1月16日

疑問:透析患者におけるダビガトラン、リバーロキサバン投与後のアウトカムはどうか

方法:
・心房細動合併透析患者29977人のうち、ダビガトランとリバーロキサバンの月単位処率を解析
・ダビガトラン、リバーロキサバン、ワルファリン処方開始患者の出血、脳卒中、血栓症率を比較

結果:
1)米国で初めて透析患者にダビガトランが使用されたのは、発売45日後

2)その後末期腎不全患者にダビガトランとリバーロキサバン処方は安定して増加し、心房細動ー末期腎不全患者の5.9%に開始された

3)ダビガトラン、リバーロキサバンの入院/出血死(対ワルファリン)
ダビガトラン:RR=1.48; 95% CI 1.21-1.81, p=0.0001
リバーロキサバン:RR=1.38; 95% CI 1.03-1.83, p=0.04)

4)ダビガトラン、リバーロキサバンの出血死(対ワルファリン)
ダビガトラン:RR=1.78; 95% CI 1.18-2.68, p=0.006
リバーロキサバン:RR=1.71; 95% CI 0.94-3.12, p=0.07

5)脳卒中、動脈塞栓症、は両群で差なし

結論:禁忌でベネフットがリスクを上回ることが示されていない時点でさえ、より多くの末期腎不全患者にダビガトラン、リバーロキサバンが開始されていた。

### 透析患者さんのNOAC使用状況(米国データ)を見るのは初めてです。後ろ向きながらワルファリンより出血リスクが多いとのことです。

NOACは添付文書上ダビガトラン;CCr30未満、リバーロキサバン、アピキサバン;15未満禁忌ですね。透析例は大規模試験でも対象になっていませんでのエビデンスはほぼないわけです。

それでも米国では結構使われいるようです。今現在はアピキサバンも増えているのでしょうか。

余談ですが、最近、いろいろなところでアピキサバンが腎機能低下例で安全のような印象が醸成されていますが、RCTのサブ解析データだけでがひとり歩きしている印象があります。やはり腎機能低下例ではどんな抗凝固薬でも気をつけなければいけないと思われます。

$$$ 今日のおとしもの。雪の日の手袋のおとしもの写真だけでも相当たまりました。これだけで特集ができそうです。たいていこのように塀の間とかに置かれています。
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by dobashinaika | 2015-01-19 22:23 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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