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リバーロキサバン市販後調査(日本)の論文化:JSCD誌

リバーロキサバンの市販後調査がでています。

Present Profiles of Novel Anticoagulant Use in Japanese Patients with Atrial Fibrillation: Insights from the Rivaroxaban Postmarketing Surveillance RegistryJournal of Stroke & Cerebrovascular Diseases

・10038例
・2012年4月〜2013年6月

・48.9%が75歳以上
・CHADS2スコア平均2点(1〜3点)
・54.5%は他の抗凝固薬、、抗血小板薬からの切り替え
・45.3&%が抗凝固薬ナイーブ
・1039例で6ヶ月追跡完了
・本来高容量(15mg)を投与すべきにもかかわらず、1/4の例で低用量(10mg)が投与された
腎機能に加え、年齢、出血リスクのため

・大出血及び臨床上問題となる出血:36/1035
・16人中5人が抗血小板薬2剤以上併用で出血
・75歳以上あるいは50kg以下の158例のうち8例で出血
・複合エンドポント(脳卒中/全身性塞栓症、心筋梗塞):6/1034

・この登録はリアルワールドの有効性安全性を提供する

### RCTであるJ-ROCKTより平均年齢が2歳高い、腎機能は同じくらいです。最も大きなプロフィールの違いはCHADS2スコアで、こちらは0〜1点が3割程度です。

以前から指摘されているように、全くエビデンスのない「腎機能良好ながら10mgを使っているひと」がだいぶいますね。
J-ROCKETでは22.1%が10mgで140人位のデータしかないわけです。しかも全例CCr50未満です。そもそも腎機能が良好なひとで10mgで脳梗塞がどのくらいあるのか、これまで世の中に全くデータがないわけですね。

まだ有効性のアウトカムを言うだけのデータは出ていませんが、今後脳塞栓症の中にこの不適切投与例がどのくらい出るのか、注意したいところです。

先の心臓病学会で現在進行中の別の大規模登録研究(EXPAND)でも10mg投与が少なくなかったと報告されているようですね。

その他日本を代表する循環器専門施設でもかなり多いと聞いたこともあります。

これ出血リスクの過大評価の典型例ですが、降圧薬とかスタチンみたいに低用量からという発想はきっぱり捨てないといけないです。
by dobashinaika | 2014-09-30 23:05 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

土橋内科医院を受診される皆様へ

いつも土橋内科医院に通院いただき、ありがとうございます。

長らく診療をおやすみしておりましたが、本日から、院長(小田倉)がこれまで通り診療を担当することになりましたので、ご報告申し上げます。

このたびは、長きに渡り診療をお休みし、皆様にはご迷惑ご心配をお掛けし、大変申し訳なく思います。

8月初め、診療後にめまいを感じ、市内の病院に入院いたしました。平衡感覚をつかさどる小脳という脳の場所がありますが、そこに行く椎骨動脈という血管の一部の壁が裂けて循環が悪くなる椎骨動脈解離という病気でした。過度の首の運動がきっかけになるとも言われていますが、この病気の本当の原因はいまだによくわかっていないようです。しかし、幸い安静と薬だけで血管の状態は回復し、全く後遺症が残ることなく、8月下旬に退院いたしました。

9月29日からは、以前同様に診察を行っております。

今回患者さんの立場になってみて、不安、痛み、苦しみ、大変さ、医療スタッフの役割などなど、これまで本当のところを気づかずにいて、初めてわかったことが多々ございました。

今後はそうしたことを、診療に活かしていきたいと思います。そして体調に十分留意し、これまでどおり何でも相談できる診療を心がけたいと思います。

今後とも土橋内科医院をよろしくお願い申し上げます。
by dobashinaika | 2014-09-29 23:00 | 開業医生活 | Comments(0)

日本心臓病学会で考えたこと:薬のアドヒアランス、薬選択の意思決定の徒然

26日から3日間、東北大学循環器内科の下川宏明教授会長のもと、第62回日本心臓病学会学術集会が開催されました。この3日間仙台は、それは気持ちのいい快晴の連続でして、全国の循環器専門の先生は初秋の杜の都を満喫されたのではないかと思います。

さて、私、実は8月初めから体調を崩し、診療したりおやすみしたりの日々が続いておりました。
ようやくここ1〜2週で体調が回復しつつあり、元通りの診療ができるようになったので、昨日の午後と本日、学会に顔を出してみることにしました。

仙台国際センターは、実は当院からもそれほど遠くなく天気も最高なので散歩がてら行けそうだったからもあります。

昨日27日は仙台市民会館でNOACのセッションを隅のほうで聞きました。
印象に残ったのは、女子医大の志賀先生のアドヒアランスの話です。
各NOAC 80〜250例程度の検討ですが、1年で万全のアドヒアランスのひとは80%、2年では60%くらいという数字に驚いた、というか、そうかもな、という感じがしました。当院でもNOAC飲みはじめの3ヶ月間で患者さん自己申告のアンケートを取ったところ、1回でも飲み忘れがある人が15%いらっしゃいました。

志賀先生の施設では、ダビガトラン自己中止2例で脳梗塞を起こしたとのことです。
ではどうすればよいか。

患者さんには、まず飲み始め初期に抗凝固薬のゴールをしっかり認識していただきたいし、医師の方も降圧薬やスタチンのように、少しくらい飲み忘れても重大に考えないのでその意識を改める。そのためには患者さんへのコーチングを厳しくする必要がある。そう考えがちですが、ことはそう簡単ではありません。

患者さんに情報を提供して、医師と一緒に治療法を選択する、いわゆるshared decision making (SDM、意思決定共有)の重要性がよく指摘されますが、抗凝固療法の場合、リスクを数字で表すツールなどを使ってSDMを図り、アドヒアランスやアウトカムを向上しようとしても、うまくいくという報告もあれば、そうでもないというのもあります。

特にNOAC時代になり選択肢が増えたあとの検討は殆どないようです。
こちらも参照。
http://dobashin.exblog.jp/19768186/
http://dobashin.exblog.jp/19768203/
http://dobashin.exblog.jp/19917325/

そうした問題意識を抱えたまま、本日、山下先生のランチョンセミナーを拝聴しました。
そしたら驚いたことに、山下先生も同じことを考えておられました。

山下先生の話は、いつもながらレトリックとデータの両者が豊富で多岐にわたっていましたが、主張自体はシンプルでおおよそ以下の様なことだと解釈しました。メモからなので間違いあったらすみません、訂正します。
・NOACを比較する場合、スタンダードのワルファリン群のプロファイルがまちまちでばらつく
・RCTでのINR管理も(Jロケット以外)日本の基準とは違う
・RCT間の差は軽微
・それより患者の価値と各薬剤の強みを重視したい
・また薬剤動態も重視する。
・血中濃度が測定できればよいが

そうですよねえ。というか、このことは実は私前々から主張していたスタンスです。エヘン(笑)。
といばるわけではありませんが、ブログやツイッター、拙著でも、つぶやいていたことではあります。
たとえば
http://dobashin.exblog.jp/18677495/
http://dobashin.exblog.jp/19600208/
しかし、同じことでも山下先生が発信する力は莫大ですね。非常に心強いです。

クリニカルエビデンスは常に危うい、だからそれ以外の要素、患者の世界、医師の専門性、患者の取り巻く状況まで考える。これはEBMの教科書にある基本ですが、NOACの世界では特に痛感します。
みんなNOAC、NOACと言ってますが、まだRCT4つしかないわけです。現実世界を反映しRCTにフィードバックをかける観察研究が極めて少ないです。

山下先生のご指摘通リNOAC間の比較は、それぞれに違うワルファリン群を介しての間接比較ですので、今は各種統計的補正を施しているとはいえ、やはりそれで確固たることが言えるわけではありません。

またよく見かけますが、評価項目の一部だけ比較する、例えば「虚血性脳卒中」だけ比較するのも、あまりおすすめはできません。
まして、サブ解析同士の比較(例えば腎機能別サブ解析)で、こっちの薬はこういう場合には良いよ、というのは、EBM的にご法度のはずです。

薬剤選択では、今一度EBMの基本に立ち返ってこうしたことをゆっくり考えたいところです。つまりNOACの使い分けなど、いまだ弱いエビデンスに基づいた脆弱なものであるということを。
そして、そうした中でも使えるエビデンスは、必ずあるので捨てずに使うようにしたいということを。

最近良く感じるのは、循環器や神経内科専門医の先生は、やはりかなりNOACを使われている。一方開業医は、循環器に詳しい人ほどワルファリンのままでいることが多い。そのまた一方NOAC一辺倒でものすごく使っている先生がいる。その影でまだまだあまり抗凝固療法自体に消極的な先生が、一杯おられる。

こういう状況かとお思われます。私の周辺だけかもしれませんが。

追記:ツイッターで「コストが大切」とご追加いただきました。これも専門医とPC医で意識に温度差があるかもしれません。当院でも「高いから」ワーファリンで良いというからがかなりおられます。
これもアドヒアランスとともに大問題ながらあまり学会や研究会で取り上げられない。コスパ研究もっとほしいですね。

で、そうした診察室内部のコップの外で、適応がありながら処方されていないひとや、無症候性で全く医療機関を受診していない心房細動患者さんがどのくらいかわからないほどおられる。

こういう構図が、いまの心房細動抗凝固療法を取り巻く状況ではないかと密かに考えるわけです。
あくまで私の感じる雰囲気であり、それこそ何のクリニカルエビデンスがあるわけではありません。
ですので、もしご批判的吟味をしていただければ、大変助かります。

で、これからどうするかですが、上記のSDMをこの日本の医療現場でどうやって行くのか、具体的にはやはり薬の情報をどう捉えてどう患者さんに伝え、お互い納得の行く選択ができるかということなんだろうと思います。

そうはいっても患者さんが自分で選ぶことは難しくて、やはり医者にお任せが多いのではと言われたことがあります。そういう意向の患者さんもおられますが、NOACに関してワルファリンも含め4つの薬の特徴を丁寧に説明したあとで、やっぱりわからないからお任せしますという方はかなり少ない印象があります。ARBなどと違い、4つ(今後5つ)それぞれにかなりの個性の差があるからだと思われます。NOACこそはSDMを行うべき、また行い易い薬だろうと思います。

この納得への道が難しいわけですが、まず述べたようにNOACに関する情報の捉え方としてRCTや間接比較、サブ解析のみを重視しない、観察研究も十分注意する姿勢ですね。

そして情報を患者さんとどう共有するか、もっと具体的にいうと患者さんにどういうふうに説明して、こちらの意見を押し付けずに薬を選びやすいようにお話するか、当然患者さんごとに話し方は違います。これは試行錯誤で唯一の答えは存在しないです。

一人ひとりの状況、リスク、理解度を考え、ひとりひとり違う話をする。まあこれこそが臨床であり,
まさに医者の仕事
そのものだと思うのです。

今日は理路非整然で、徒然勝手に書きました。長文にお付き合いいただきありがとうございます。

篠山紀信展をみて(なかなか感動)、それから素晴らしい広瀬川の秋に浸りながら歩いて帰れました。全てに感謝です。

これから気が向きましたら、ここ2ヶ月の共病生活について書いていきたいと思います。
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by dobashinaika | 2014-09-28 22:51 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

心房細動に対する第4の新規経口抗凝固薬リクシアナ登場。薬価はどうなるのか

本日、リクシアナ(第一三共)に「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」の効能・効果が追加承認されました。これで非ビタミンK阻害経口抗凝固薬 (NOAC)が4種になったわけです。

http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006190.html

用法用量は
「通常、成人には、エドキサバンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
体重60 kg 以下: 30 mg
体重60 kg 超: 60 mg  なお、腎機能、併用薬に応じて1 日1 回30 mgに減量する。 」
とのことです。

減量基準が大変注目なわけですが、本家のENGAGE AF試験では60㎎割付で「CCr30-50、体重60kg、P糖タンパク阻害薬(ベラパミル、キニジン)のうち1つ以上」の要件があれば30㎎へ減量となっています。

メーカーさんの改訂添付文書には体重60kgで分け、60kgを超える例でも「腎機能・併用薬に応じて減量」となっているようです。〈用法・用量に関連する使用上の注意>のところに60kgを超える患者でも(1 )キニジン硫酸塩水和物、ベラパミル塩酸塩、エリスロマ イシン、シクロスポリンの併用 ( 2 )クレアチニンクリアランス30mL/min以上50mL/min以下 の場合は30㎎にするよう記載されています。
https://www.medicallibrary-dsc.info/di/lixiana_tablets_30mg/pdf/pi_lix_1409.pdf

同薬30㎎は、これまでのNOACで最も出血が少ないため、高出血リスク例では期待できますが、上記大規模試験では無作為割付のため、「減量基準に合致して30㎎に減量した例」でのエビデンスがほしいわけです。

これについては一応先にバルセロナで行われた欧州心臓病学会で、ENGAGE AF試験のサブ解析が報告され、用量調整を受けて30㎎に減量した群でも、調整しないではじめから30㎎だった例と同等の有効性、安全性が示されているようで、メーカーのHPで見ることができます(ただし論文はまだ出ていないようです)。
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006183.html


60㎎製剤はまだ出ていないので、当面30㎎x2を出していいのでしょうか?
とすると薬価は
30㎎1日1回で727.3円
30mgx2、1日1回で1454.6円になります。

他のNOACの高用量の方でも1日530.4円ですので、今までで一番高価ということになります。
60㎎製剤の薬価はいくらになるのでしょうか?

以前のエドキサバン論文についてはこちら
http://dobashin.exblog.jp/19001412/
by dobashinaika | 2014-09-26 18:23 | 抗凝固療法:エドキサバン | Comments(0)

JAMA誌の高齢者の脂質異常症診療に関する総説。参考になります。

JAMA 2014;312:1136-1144.
Evaluation and Treatment of Older Patients With Hypercholesterolemia: A Clinical Review


JAMAに高齢者の脂質異常症診療に関する総説が掲載されています。
さいわいJournal scanというサイトで、10の要点にまとめていますので、ご紹介します。

1.西洋では多くのひとが平均80歳を超えるライフスパンを持つ。OECD2010のデータでは米国の80歳男子はあと8.1年、女性は9.7年余命がある。

2.動脈硬化性心血管疾患の予防は遅いと効果が無いか低い

3.現時点で、80歳以上の人にスタチンを処方するか否かを決める際、冠動脈カルシウムスコアや頸動脈MITからの情報に追加するデータはない

4.現在、血漿ホモシステイン値が高齢者の動脈硬化性心疾患予防と関連ありとのデータが有る。70〜82歳の人対象にプラセボとプラバスタチンを無作為化比較したPROSPER試験では、高コレステロールの人で1つの冠動脈イベントに対すNNTは14.8(3,2年)だが、低コレステロールでは64.5

5.現在、80歳以上のひとでスタチンあるいは他の脂質低下薬の使用を支持するRCTはない。75〜80歳のRSTや登録研究からは、二次予防や糖尿病のひとには有効との所見あり

6.75〜80歳の動脈硬化性心血管疾患減少を示すRCTはある。そのためACC/AHAガイドラインでは既にスタチンを服用している75歳上のひとは同薬を継続することを支持している

7.75歳以上の人に、一次予防としてスタチンを初めて処方することは推奨されない

8.高齢者では特にモニタリングは推奨されない。しかしながら、加齢、合併症、薬剤多用、脆弱性増加に伴いイベントリスクは増加する。肝逸脱酵素、CK、血糖の閾値は低くするよう求められる

9.高齢者ではスタチンによる有害事象は増えないので、一次予防としての使用は可能ではある。80歳以上のひとは余命の差に応じて生物学的に多様であり、脆弱性、多剤併用なので、スタチン仕様の決定は個別的であるべき

10. 高齢者にスタチンを考える際は様々な因子を考えるべき。余命、合併症、心血管疾患のリスク、多剤併用を考えるべき

### これは勉強になります。80歳以上の方にスタチンを処方すべきかどうか。これまでずっと出しているひとをどうするか。ある意味アポリア(難問)だったんですが、クリアカットに教えてもらった感じです。

・75〜80歳のひとは、これまで出している場合は継続で良い。一次予防で新たに出す必要はない。

・80歳以上のひとで、二次予防や糖尿病の人ではスタチンを出しても良い

・出す場合のチェックポイントは、「余命、合併症、他のリスク、多剤併用」


このパール群自体守ることで多剤併用を防げそうです。
by dobashinaika | 2014-09-26 11:28 | 虚血性心疾患 | Comments(0)

「Medical Practice」10月号で心房細動についての座談会とフォローアップ法についての記事が掲載されました

内科総合誌「Medical Practice」(文光堂)10月号「日常診療における心房細動治療Up to Date
最新の動向を日常実地診療に生かす」のなかで、座談会「日常実地診療における心房細動治療─そのすすめかたとポイントとコツ─
」で開業医の立場からお話させていただきました。

またセミナー「心房細動治療におけるかかりつけ医の役割─どのようにフォローアップするか─」で、座談会で話した内容をさらに文章でまとめる形で書かせていただきました。

ご参照いただければ幸いです。

この10月号は現在の心房細動診療のA to Zが一望でき、大変読み応えがあると思います。

http://www.bunkodo.co.jp/mp_51/magazine_detail_1.html
by dobashinaika | 2014-09-25 22:02 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

心房細動合併脳梗塞がそれ以前に無症候性脳梗塞を起こしている場合の頻度やアウトカム:TH誌

Thromb Haemostオンライン

Differential impact of unrecognised brain infarction on stroke outcome in non-valvular atrial fibrillation

方法:
・対象:臨床的に脳卒中の既往がない非弁膜症性心房細動患者の虚血性脳卒中急性期に、古い脳梗塞層が発見された631名
・韓国の1病院
・心房細動合併例の虚血性脳卒中急性期(3日以内)にMRIで見つかった陳旧性脳梗塞層(UBI)を検討

結果;
1)UBI;285/631=45.2%に見つかる

2)ラクナ梗塞25%、灌流域高速24.4%、皮質下梗塞15.7%

3)急性期の重症度はUBIの有無と無関係

4)UBIのある方が入院時の改善度、3ヶ月後の転帰が良くない

5)灌流域梗塞のみ、予後に関係あり。特に初期梗塞層が小さい場合

結論:UBIとくに灌流域梗塞を持つ心房細動合併脳梗塞の予後は(比較的)悪い。UBIのタイプで予後に変化あり

### 心房細動合併脳梗塞の45%は、症状がなくてもすでに無症候性脳梗塞がおきている。しかも比較的大きな灌流域の梗塞が結構あると。
やはり、隠れ心房細動はこわいですね。
by dobashinaika | 2014-09-25 17:59 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

心房細動+ステント治療における抗血栓療法についての総説:JACC誌

J Am Coll Cardiol. 2014 Sep 23; 64(12):1270-1280.
Triple Therapy for Atrial Fibrillation and Percutaneous Coronary Intervention: A Contemporary Review.


JACCにヨーロッパのグループから心房細動+PCIの時の3者併用療法についての総説がでています。
結論だけ和訳して、あとは膨大なので、読了したらかいつまんで紹介しますが、冒頭のシェーマが事の本質を捉えていて面白かったのでのせます。
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結論:心房細動かつPCI施行(ステント使用)の患者における3剤併用療法の有効性は決して証明されていない。にもかかわらず出血は明らかに増やす。無作為化比較試験や1,2000人以上を対象とした現実世界での全国規模の登録研究を含む新しいエビデンスは、アスピリンなしでVKAとクロピドグレルが、三者併用より、臨床アウトカムを向上させる上で有用である可能性を示している。ゆえに、VKA+クロピドグレルがステントが必要な長期VKA療法の患者において、三者併用に代わる治療法として適切と考えられる。

### 無作為化比較試験はWOEST試験。12,000人今日の登録試験は以下と思われます。
http://dobashin.exblog.jp/17939624/

もはや、ワルファリン+クロピドでOKでしょうか?
TTをいつまでするか、クロピドを1年後にやめるか、NOACはどうか、というところが次の関心事かもしれません。

ESCの新ステートメントはこちら
http://dobashin.exblog.jp/20140860/
by dobashinaika | 2014-09-24 23:19 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

日本の登録研究では心房細動塞栓血栓症率は発作性と持続性で変わらず:CJ誌

Circulation Journalオンライン
Thromboembolic Events in Paroxysmal vs. Permanent Non-Valvular Atrial Fibrillation
– Subanalysis of the J-RHYTHM Registry –
Inoue H et al


疑問;日本のデータで発作性心房細動と持続性/永続性心房細動とで、塞栓血栓リスクに差があるのか

方法:
・J-Rhythm試験対象患者7406人;2年間追跡
・ワルファリン使用者;発作性78.6、持続性90.0%、永続性91.8%
・後付解析

結果:
1)血栓塞栓症イベント126件

2)永続性心房細動の粗イベント率(2.29%)は、発作性(1.16%)、持続性の2倍(1.20%)

3)ワルファリン仕様とCHA2DS2-VAScスコアで補正すると永続性と発作性の差はなくなる:ハザード比1.007

結論:永続性心房細動の粗塞栓血栓率は発作性のそれより高かったが、ワルファリン使用とCHA2DS2-VAScスコアで補正するとリスクは同じだった。

### 先日読んだRocket AF試験の後付解析とは異なる結果です。Jリズムでは補正後むしろ永続性のほうがリスクが低くなっているように見えます。どこが違うのか。

Jリズムでは発作性、持続性、永続性に分けていて、発作性が7日以内に自然停止するもの、持続性が7日を超えて続き自然に止まらないもの。永続性が停止不可能な心房細動としています。
Rocket AFでは発作性が7日以内持続、持続性が7日を超えて持続とだけの単純な分類です。

またアウトカム設定もJリズムは虚血性イベントに絞っていますが、ROCKET AFのほうは脳卒中/全身性塞栓症全体を扱っています。

統計的処理も、本論文はワルファリン使用とCHA2DS2-VAScスコアで補正していますが、ROCKET AFでは出血のアウトカムの時のみワルファリン使用で補正されているようです。もともとPOCKET AFは持続性80%と多くワルファリン群のワルファリン使用率はRCTなのでほぼフルなわけです。

Discussionにあるように、他のSPORTIF試験やARISTOTLE試験サブ解析も同様に持続性のほうがリスクが高く、CHA2DS2-VAScスコアがJリズより高かったようですが、たしかにJリズムはCHADS2スコアにして永続性でも1.90点とかなり低リスクを扱っています。もともと低リスクだからあまり差がつかなかったのかもしれません。

ROCKET AFのpost hoc解析はこちら
http://dobashin.exblog.jp/20202148/
by dobashinaika | 2014-09-22 11:18 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

ネイチャー論文「ノンカロリー人工甘味料が耐糖能異常を引き起こす」を読む

Nature 電子版
Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota


話題となっているノンカロリー人工甘味料(NSA)の論文を読んでみました。
イスラエルのグループからの報告です

大まかに2段構えの論文で、前半は対象がマウス、後半は人間です。

マウスにアスパルテーム、スクラロース、サッカリンのいずれかを、人間の推奨最大摂取量をマウスの体の大きさに合わせて換算した量を飲み水に混ぜて、約5週間あたえたところ、血糖の1時間値は200ちょっと、2時間値は200弱で耐糖能以上を示していました(サッカリンのグラフ)。

もうひとつの実験では、NASを摂取したマウスとブドウ糖を摂取したマウスの排せつ物を、腸内細菌を持たないマウスの体内に注入しています。グラフを見るとNASは食後血糖をあげていて、15分値で200弱、1時間値150くらい、2時間値120〜130となっていて、耐糖能異常を示してしていました。NASの排せつ物を注入されたマウスの血糖値は急上昇しやすく、腸内細菌がより活発にブドウ糖を摂取しやすくなるようです。

次に人間の場合が興味深いわけですが、これはイスラエルの病院に通う糖尿病を持たない381人(平均年齢43歳)にアンケートを行い、NASを多く摂取しているひととそうでないひとで、健康記録から耐糖能異常やBMIなどの属性を比較した横断研究です。

結果は、NASの消費量と、体重 、ウエストヒップ比、空腹時血糖、HbA1c、GTT、ALTの各指標とに関連があったとのことです。
またよりNASの消費量が高い40例のHbA1cは5.6程度で、NASなしの5.4程度より明らかに高いものでした(P<0.002)。
この上昇度はBMIが大きい人ほど多かったとのことです。

最後の研究として、NASを摂取しないボランティア7人に、FDAが推奨する最大摂取量の甘味(サッカリン1食あたり5mg/kg)を含んだ食事を7日間とってもらったところ、マウスと同様に4人の血糖値は5~7日以内に上昇し、腸内細菌の構成にも変化が見られたとのことです。

### 実は私も、時々夏の昼間などスカッとした飲み物がほしい時に某飲料メーカーの◯ールフリーを、結構飲んでいるため大変興味を持って読んだのです。例えばこの飲料では、甘味料としてアセスルファムKとスクラロースが使用されていて、まさに本研究で対象となったNASなんです。

この論文では、人への投与量の詳細が見当たらなかったのですが、サッカリンでは1日120mg程度が最後の研究で使われていました。サッカリンはアメリカなどではかなり使われているようですが、1960年代のラットの実験で膀胱がんの危険性が指摘され、その後の実験で否定さた経緯があり、日本の厚労省では、資料上限が規制されているようです(用量がこの論文とはスケールが違うようですが)。
http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/0/980837ba5d9b0d28492575d6000785e6?OpenDocument

臨床試験は、横断研究ですし、HbA1cが5.4〜5.6のレベルなので、それほど大きな問題では無いように思えますが、これが長期となるとどうなのか。
この論文はむしろ、動物実験で、NASが今話題の腸内細菌の増殖と機能を阻害して耐糖能異常を引き起こしたことを解明した点でしょう。
ひと観察研究は付け足しのような感じです。

とにかく、何の疑いもなく100%大丈夫と思って飲食してはいけないということが大変勉強になりました。

それにしても相変わらずNatureに載る論文は読みにくいというか、ボリュームが桁違いで、図の量も半端でなく、通常の医学論文のような「メソド」など、後ろの方に小さく載ってる感じで、調子が狂います。某博士もこんなところで悩んだのかも。
by dobashinaika | 2014-09-19 21:35 | 開業医の勉強 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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治療 2015年 04 月号 [雑誌]

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