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心房細動を死因とする人は増えたのか?EP誌

Europace (2014) 16 (6): 797-802.

Atrial fibrillation as a cause of death increased steeply in England between 1995 and 2010Marie E. Duncan et al

【疑問】心房細動を死因とする人は増えたのか?

【方法】
・英国の公的死亡診断書から死亡の背景あるいは寄与因子を解析
・英国全体(1995〜2919年)および長期にカバーできている地方(1979〜2010年)のコホート対象

【結果】
1)心房細動を死因と言及された例(英国の1995〜2010年における45歳以上):192,770人、全死亡の0.254%

2)心房細動は全死亡のうちの21.4%で、背景因子と記載された

3)このような背景因子としての心房細動は1995〜2010年で3倍に増加:202.5人→554.1人/100万人

4)年間6.6%(6.3−7.0)の割合で増加

5)心房細動の死亡率は1990年半ばまでは明らかな上昇なし:オックスフォードにおいては100万人辺り145.4(1979年)→178.1(1995年)→505.1(2010年)

【結論】心房細動は公的な死因としてもよりコモンなものになってきている。この原因は多面的、すなわち人口学的、生活スタイル、治療の進歩及び(心房細動を取り巻く)状況の重要性が診断医に及ぼす認識の変化によっている

### やはりこれだけ心房細動がクローズアップされると、診断する医師も背景因子として当然気にするわけで、その点で統計学的に死因として寄与する割合も増えるというのが一番大きいのではないかと思われます。
私が初期研修医だった30年近く前は、今から思うと心原性脳塞栓だと思われる症例でも心房細動に起因するからなどとあまり意識することなく治療していたように思います。tPAなども当然ない時代でした。ワルファリンもあまり積極的に処方していなかった時代ですね。

その時からするとだいぶ時代は変わりました。。。
by dobashinaika | 2014-05-29 18:38 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

新規抗凝固薬の処方率は全抗凝固薬の62%、コストは98%(米国):AJM誌

Am J Med. 2014 May 20

Patterns of Initiation of Oral Anticoagulants in Patients with Atrial Fibrillation - Quality and Cost Implications.
Desai NR, Krumme et al


【疑問】どんな場合に NOACが処方されるのか?

【方法】
・2010〜2013年に抗凝固薬が処方された非弁膜症性心房細動患者の医療保険データを解析
・NOACの処方率、コスト、処方の条件を分析

【結果】
1)期間中6893例で抗凝固薬の新規処方あり

2)新規処方の62%がNOAC

3)NOACの全コストに占める割合は98%

4)女性、低世帯所得、高CHADS2スコア、高CHA2DS2-VAScスコア、高HAS-BLEDスコアはNOAC処方の低オッズに明らかに関連(p<0.001)

5)NOAC処方開始6ヶ月間の患者ー保険者両者の平均コストは$900

【結論】NOACは臨床現場にいち早く導入されており、特に低CHADS2スコア、HAS-BLEDスコア患者で明らか。そのことは高コストにつながった。この治験は今後の比較試験、費用対効果試験に重要な方向性を与える。

###米国のデータ。アブストラクトだけですみません。どのようなソースがは不明です。2010年からなのでNAOC発売前のデータも含まれていると思われ、より最近はもっと多くにNOACが出されていると思われます。

6ヶ月で900ドルのコストということですが、日本でも高用量NOACだとこの春値上がりして1日薬価545.6円ですので、1ヶ月で16368円、半年で98208円(再診料、処方用など抜きで)なので、米国とあまり変わらないというところかと思われます。

ワーファリンは激安ですから、NOACの処方率は62%でもコストが98%にも登ってしまうという事態が生じるわけですね。

高リスク者にはまだワーファリンが処方される傾向があるのは納得ですし、たとえば超高齢者は未だにワーファリンという医師も多いと思われます。まだまだワーファリンの出番はおおありだと思います。

低世帯所得出だされにくいというのは、先日のブログでも考えた抗凝固薬の「健康格差」ともいうべき由々しき問題で、ここでもそれが明らかとなっています。
http://dobashin.exblog.jp/19813110/

NOACが費用対効果に優れていることのシミュレーション論文は散見されますが、さすがにコストの98%を占める時代となると実臨床での費用対効果のデータが知りたいものです。プラザキサがでて3年ですので、リアルワールドの費用対効果のpaperがそろそろ出てきて欲しいですね。
by dobashinaika | 2014-05-28 23:47 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

心房細動による入院率、コストとも過去11年間で明らかに増加(米国):Circulation誌

Circulation. published online May 19, 2014http://circ.ahajournals.org/content/early/2014/04/23/CIRCULATIONAHA.114.008201

Trends of Hospitalization for Atrial Fibrillation in the United States, 2000 Through 2010: Implications for Healthcare Planning
Nileshkumar J. Patel et al.


【疑問】米国における心房細動のための入院はどのような傾向にあるのか?

【方法】
・米国最大の入院患者データベースであるAgency for Healthcare Research and Quality (AHRQ)作成のThe Nationwide Inpatient Sample (NIS)を使用:45州、1200以上の病院をカバー

・2000年〜2010年に登録された患者のうち、退院時ICD-9CMに基づき心房細動を第一の診断名とされた患者

【結果】
1)2000−2010年で心房細動入院患者は23%増加:特に65歳以上

2)合併症;高血圧60%(最多)、糖尿病21.5%、COPD20.0%

3)入院中死亡率:1% :80歳以上1.6%、心不全合併8.2%

4)入院中死亡率は2000年時1.2%→2010年時0.9%:29.2% 減少, p<0.001

5)平均在院日数は変わらず(中央値3日)

6)入院コストは明らかに増加; $6,410 in 2001 から $8,439 in 2010 (24.0% 増加, p <0.001)

【結論】米国における心房細動の入院率はここ11年で明らかに増加。慢性合併症も明らかに増加。最近の10年で死亡率は明らかに低下したがコストは明らかに増加したことが証明された。

### 注意したいのは、救急外来患者が含まれていないことと、"Primary"の診断が心房細動の例を集計しているので、それより重症の心房細動由来の心不全や脳塞栓症は含まれていないという点です。

おそらく頻脈のため、あるいは除細動目的入院が多いものと思われます。もし上記のような心不全、脳塞栓例も入れると、よりかなり入院率もコストも上昇するものと思われます。

第一の原因は高齢化だと思われますので、日本ももしかするとアメリカ以上に心房細動の医療コストに占める"burden"が上昇しているかもしれません。

NOAC時代となり、心房細動に目が向けれられるようになると、それだけで診断率も向上し、入院率も上昇するかもしれません。そうしたバイアスを上回るベネフィットを抗凝固療法が持つのかは興味深いです。ですので、このデータベースののNOAC以後のアウトカムが今後知りたいところです。
by dobashinaika | 2014-05-26 20:04 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

無症候性心房細動は有症候性よりも持続性に移行しやすい:Circulation J誌

Circ J 2014; 78: 1121–1126
Progression to the Persistent Form in Asymptomatic Paroxysmal Atrial Fibrillation
Keitaro Senoo et al


【疑問】発作性心房細動は有症候性より無症候性の方が慢性化しやすいのか?

P:心臓血管研究所(日本)のShinken Databaseに登録された19,994例中、発作性心房細動と診断された1,176例

E/C:初回受診時無症候性/有症候性

O:持続性心房細動への移行

【結果】
1)115例、年率6%で持続性心房細動へ移行:平均追跡期間1213日

2)無症候性(n=468)jは有症候性よりも低リスクプロファイル

3)無症候性の方が有症候性より持続性への移行多い:ハザード比(非補正)1.611(1.087−2.389.p=0.018)

4)無症候性、男性、心筋症が、持続性移行への独立危険因子

5)無症候性では肺静脈隔離施行が少ない

6)無症候性心房細動x肺静脈隔離術なしは持続化のもう一つの危険因子

7)有症候性、無症候性で、予後は同じ

【結論】
低リスクプロファイルにも関わらず、無症候発作性心房細動患者は、症候性心房細動に比べて持続性に進行しやすかった。この逆説的な結果はリズムコントロールを含積極的管理がなされないことの帰結かもしれない

### 昨年報告されておりますBelgrade AF studyを山下先生のグループの妹尾先生がShinken Databaseで検証された論文です。

無症候性心房細動が、低リスクにもかかわらず持続化リスクが大きい原因として、筆者らはアブレーションなどの治療介入が遅れることなどを原因として推察しています。
たしかに、無症候性心房細動の方は、無症候であるがゆえにたとえたまたま健診などで発作時心電図が見つかったとしても医療機関を受診されず、その後持続化してから改めて治療が開始されるということはしばしば経験します。例えば50代くらいの方などでも、動悸などが全くないのに健診で心房細動がはじめてみつかり、じつはもう持続性だったという方もよく見かけます。

「無症候性」の定義はShinken Databaseに登録された方、つまり何らかの理由で循環器専門の医療施設を受診し、ある外来での心電図で心房細動が記録されたにもかかわらず無症候であった方です。ですので、医療機関に全くかかっていない人とは多少populationが違いますね。まあしかしながら、全くの無症状の人は病院に行かないわけですので、世界の全無症候性心房細動例の何%が持続化するかというのは、知ることの不可能な命題ですので(ある一般住民コホートに一定期間ループレコーダーなどを装着してもらい、無症候性心房細動があった人を長期間前向き追跡するなどすれば別ですが、、、ムリですね)、方法論としては、これしかないように思います。

Belgrade AF studyでは10年追跡で虚血性脳卒中も無症候性心房細動で多かったとのことですが、本論文は予後は同じようです。この違いも興味あるところです。

非常にきれいな結果で、無症候性心房細動患者さんをもっと積極的に見つけなければならないことを痛感させられます。
by dobashinaika | 2014-05-24 00:18 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

年齢により運動量と心房細動発症との関係には違いあり:Heart誌

Heart 5月14日オンライン版

Atrial fibrillation is associated with different levels of physical activity levels at different ages in menNikola Drca et al
Heart doi:10.1136/heartjnl-2013-305304


【疑問】過度の運動と心房細動の関係は?

【方法】
・非心房細動患者1997年時点でのベースラインのアンケート解答者44410例。45〜79歳(平均60歳)
・15,30,50才時点での運動(レジャー)、歩行、自転車時間を報告してもらう
・スウェーデンの入院患者登録より

【結果】
1)12年間で心房細動発症:4568例

2)30才時点で週5時間以上運動する男性は1時間未満のひとより心房細動発リスク比が1.19(1.05〜1.36)

3)この5時間以上運動の人のリスク比は、後で運動をしなくなるひと(最初1時間未満で)に比べると1.49(1.14〜1.95)

4)歩行や自転車は心房細動リスクと反比例:リスク比 0.87(0.77~0.97 for >1 h/day vs almost never)

5)冠動脈疾患や心不全の既往例男性を除外してもこの関係は同じ

【結論】若いころのレジャーの運動は心房細動リスク増加と関係。高齢者の歩行や自転車は心房細動リスク減少と関係

### これまで、過度な運動は心房細動に良くないとするものと関係ないとする論文ありました。
http://dobashin.exblog.jp/18175907/
http://dobashin.exblog.jp/17543854/
http://dobashin.exblog.jp/15379801/
http://dobashin.exblog.jp/14220264/
http://dobashin.exblog.jp/14233681/

この4万人以上を対象とした大規模コホート研究ではに、年齢別解析が可能となり、若いころの過度な運動はダメだが、高齢になってからの軽い運動は良いということでした。

週5時間以上のレジャーとしての運動となると、このくらいやっている人はかなり多いような気がします。
また50代で週1時間以上の軽度の歩行や自転車はいいみたいですね。このくらいなら、やれなくはないですね。

アンケート調査なので、リコールバイアスが一番の問題。

同じ号に運動と冠動脈疾患の予後の間には、J-カーブ現象(やり過ぎ、しなさすぎ両方悪い)が見られることの報告があります。
by dobashinaika | 2014-05-23 00:12 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

日経メディカルオンライン連載最終回「プライマリ・ケア医のための心房細動診療21か条」まとめました

2012年4月から始まりました、日経メディカルオンラインの連載「プライマリ・ケア医のための心房細動入門」、
いよいよ、今回で最終回を迎えることとなりました。

「自分の知識整理ため」と思って、コツコツ論文を本ブログでまとめていたことがきっかけで、連載させていただくことになったのですが、当初、2年も継続できるとは思ってもみませんでした。

こうした連載の経験はもちろんない上に、研修医−指導医の対話形式というのも、書き出してみると思いの外難しく、また新規経口抗凝固薬の情報も刻々と入ってくるというような状況の中、編集部の方々の適切なるナビゲートを受けながら、なんとか、ここまで漕ぎ着けられました。

書籍を世に出すという大仕事もさせていただき、本連載は私の人生をトピックと行っても良いかと思います。

最終回にあたり、「心房細動診療の困難さと醍醐味」そして「心房細動診療21か条」を掲載させていただきました。
現時点での、私自身の心房細動診療の到達点ですので、ご参照いただければ幸いです。

http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/series/odakura/
(無料登録が必要です)
by dobashinaika | 2014-05-21 12:45 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

アピキサバン投与中の大出血の特徴

JACC オンライン版

Major Bleeding in Patients With Atrial Fibrillation Receiving Apixaban or Warfarin in the ARISTOTLE Trial: Predictors, Characteristics, and Clinical OutcomesHylek EH, Held C, Alexander JH, et al.
J Am Coll Cardiol 2014;Mar 19:[Epub ahead of print]


【疑問】アピキサバン投与中に大出血を生じた患者の特徴は何か?

【方法】
・ARISTOTLE試験で大出血を生じた患者の特徴が何の因子と関連あるかをポストホック解析

【結果】
1)大出血789人4.3%:アピ群2.13%vs. ワル群3.09%:ハザード比0.69,p<0.001

2)出血後30日以内死亡例はアピ群でワル群より少ない:ハザード比0.5.p<0.001

3)大出血患者:非大出血患者に比べて高齢、心筋梗塞の既往、出血の既往、腎障害、転倒が多い

4)大出血:1位消化管出血31%、2位頭蓋内22%、3位軟部組織10%

5)アピキサバンはワル群に比べ:頭蓋内出血、外傷関連出血、軟部組織出血が少ない

【結論】アピキサバンはワルファリンに比べて、大出血、致死的出血を明らかに減らした

### 出血後に死亡する例がアピキサバンはワルファリンの半分だったという所見にます目が行きます。おそらく致死的出血のほとんどは頭蓋内出血でしょう。頭蓋内出血はARISTOTLEですでにワルファリン群年間0.8%に対し、アピキサバン群0.33%と半分以下であるという結果が出ていますので。

ワルファリンと比べると、中和薬もモニターもないところで、ワルファリンより致死的出血が少なかったことは知っておいていいかもしれません。

post hoc解析であることには注意。

なお、今回は配信サイトCardiosourceから読みました。
by dobashinaika | 2014-05-20 15:41 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

心房細動治療における「健康格差」を考える:Circulation誌

Circulation.2014; 129: 1568-1576
Variations in Cause and Management of Atrial Fibrillation in a Prospective Registry of 15 400 Emergency Department Patients in 46 CountriesThe RE-LY Atrial Fibrillation RegistryJonas Oldgren et al


【疑問】プライマリ・ケアセッティングでの心房細動患者にはどのようなバリエーションがあるか?

【方法】
・46カ国164施設の救急部門における心房細動患者。2008〜2011年まで登録

【結果】
1)年齢:全体平均65.9±14.8歳、アフリカ57.2±18.8、北米70.1±13.4 (P<0.001)

2)高血圧:最も多い合併症。インド41.6% vs. 東欧80.7% (P<0.001)

3)リウマチ性心疾患:北米2.2% vs. アフリカ21.5% vs. インド31.5% (P<0.001)

4)CHADS2スコア2点以上への抗凝固薬使用:北米65.7% vs. 中国11.2% (P<0.001)
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5)平均TTR:西欧62.4%、北米50.9%、インド、中国、東南アジア、アフリカ:32〜40%の間

【結論】年齢、リスク因子、合併症、治療において大きな地球規模での多様性がある。アウトカム改善にはこの多様性への理解がグローバルに必要だし、異なる環境や異なる社会経済状況と心房細動との関連に焦点を当てたリサーチが要求される

### あのRELY試験ではなくRELY登録研究です。Fundはベーリンガーインゲルハイム社です。

標題はVariationと穏当な表現ですが、実質的には治療あるいはTTRにおけるgapsまたはdifferentials=つまり格差の問題を扱っているように思います。
CHADS2スコア2点以上への処方率はアフリカでも20%弱、インドが25%程度、中国は上記の11.2%!。またTTRは欧米以外は40%未満であり、抗凝固療法をしないほうが安全なレベルです。

結局、降圧薬を始めとし抗凝固療法までも含む予防的薬剤に関しては、いまだに「欧米など一部の国の医療」であり、全然グローバリゼーションされていないということが顕になっていますね。

経済的格差による医療上の不公平は、当院でも感じることができます。言うまでもなくNOAC。年金暮らしの3割負担の方は、やはりワーファリンでないと困るとおっしゃられることが多いのです。介護施設入所の方は、はじめからNOACが採用されずワーファリンです。そうでなくてもちょと高いからという理由で躊躇される方は、少なくありません。

効果の差があるにも関わらず、コストの面で拒否されてしまう、それゆえにより処方したい患者さんに出せないコモンディジーズ薬というのもそう滅多にはないように思います。

このような事例に接するにつけても、NOACのあまりの高さから健康格差が生じていることに少なからず疑問、疑義を感じますね。

NOAC、NOACとうるさいわけですが、単なる欧米と日本のしかも経済的に困っていないひとにしか処方されていない状況で、世界の圧倒的多数はその恩恵に預かれないでいるということを知っておきたいです。

ちょっと論文の本題とはズレましたか・・
by dobashinaika | 2014-05-19 22:46 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

第2回どばし健康カフェ「健康や病気について正しい知識を得るためには?」盛況の内に終了いたしました!

長らくブランクのありました、第2回どばし健康カフェ、本日盛況のうちに終了いたしました。
今回も前回同様16名の参加者があり、「健康や病気について正しい知識を得るためには?」をテーマにコーヒー、冷たいものを飲みながらの文字通り「健康カフェ」でした。

参加者は、町内会長さん、薬剤師さん、保険師さん、栄養士さん、町内会長さん、当院の患者さんから、全くの一般の参加者まで、年齢層も若いかたからベテランの型まで前回よりも多彩な顔ぶれとなりました.

3グループに別れ、オープニングクエスチョンとして
「あなたは、病気や薬について、どんなところから情報を得ていますか?」「あなたはどんな情報を正しいと信じますか?」という2つの問いに、グループごとに討議してもらいました。

「どんなところから情報を得ていますか?」では、やはり、本、テレビ、ネット、新聞のほか、知人友人、メーカーの人や患者さん(薬剤師)、医師や薬剤師などが挙りました。分類するとメデイアかからか人的リソースからと言う感じです。

「どんな情報を正しいと信じますか?」へのコメントは箇条書きします。
・テレビ、新聞は全面的には信用できない
・ネットは同じような情報がたくさんあって判断できない
・値段が安すぎると信用できない
・誰が言っているのか(○○先生が言っているから)で決める
・信用する医師、薬剤師のいいことを信用する
・医師、薬剤師から情報を得て、ネットで確認する
・説明が詳しい医師を信用する
・かかりつけの信頼できる先生の説明を信用する
・自分の経験に基づいて判断する:この薬を飲んだら効いた、など
・科学的根拠があるかに基づく

総じて、メディアの情報は、わかりにくいないし懐疑的、友人や医師や薬剤師の情報は比較的信用する、それに自分の経験を加味して判断する、といった態度が浮かび上がりました。

これらを中間まとめとして共有してから、さらに
「正しい情報と判断できるためには何に気をつければよいか」に言う方向に問いを進化させた形で話が進みました。
メディアからの情報については、
・何人を対象にしてデータなのか
・誰が書いたものなのか
・長期間調査したデータなのか
と言う視点が大事だ、というまとめがなされました。

また
・日本人はブームに弱い
・正しいかどうかは時代による:例)ハンセン氏病
・正しいかどうかは地域にもよる:例)アメリカの州による進化論容認の違い
・治験の薬は信用してよいのか
と言う文化論的あるいはより医療の専門的な論議もありました。

さらに医師、薬剤師からの情報を信用するかどうかと言う点では
・その医師が信用できるかどうかは、その治療法(処方)で効いた、よくなった経験による
・医師、薬剤師からの信用でいる情報とは付き合いを続けていくうちに大切にしてくれると感じられる人からの情報である
・話を聞いてくれる、相談を聴いてくれる、対応がきちんとしている、医師薬剤師からの情報
・メディアからの情報は全体的なもので、個人に当てはめるわけにはいかない。1対1の対応からの情報が信頼できる

と言う、医療コミュニケーションの非常に深いレベルにまで論議が及んでおりました。

正直ここまで論議が深まるとは思いませんでしたので、参加された皆様の問題意識の高さに敬服するばかりです。

以上から私の印象をまとめますと
・医療情報はメディアと人的リソースの2系統がある
・メデイアの情報は全面的に信用できる訳ではない
・医療者からの情報を信用する場合は、その人のスキルとコミュニケーション(話を聞いてくれる)とで判断する


と言ったところでしょうか?医者として身につまされる結論です。

今回のカフェで、健康情報の読み方、使い方について医療従事者と一般の方とが何を考えどう行動しているかが、見えてきました。何かトンネルを抜ける瞬間のような気分です。

次回、今回出たいくつかの反省点ももとに、2−3ヶ月後をめどにまた開催したいと思います。
その節は皆様、よろしくお願い申し上げます。
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by dobashinaika | 2014-05-17 23:28 | 土橋内科医院 | Comments(0)

抗凝固療法下での頭蓋内出血の予測因子:Stroke誌

Stroke 5月号より
Intracranial Hemorrhage Among Patients With Atrial Fibrillation Anticoagulated With Warfarin or RivaroxabanThe Rivaroxaban Once Daily, Oral, Direct Factor Xa Inhibition Compared With Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation Graeme J. Hankey et al
Stroke.2014; 45: 1304-1312


【疑問】ROCKET AF試験での頭蓋内出血のリスク因子はないか?

P:ROCKET AF登録患者14,264人

E/C:各種パラメーター

O:頭蓋内出血

【結果】
1)頭蓋内出血頻度:リバーロ群172人(1.2%)、175イベント
2)人種差:アジア人ハザード比2.02(1.39〜2.94)、黒人3.25(1.43-9.41)
3)年齢:10歳上がるごとにハザード比1.35(1.13〜1.63)上昇
4)血清アルブミン:0.5下がるごとにハザード比1.39(1.12〜1.73)
5)血小板減少:1万下がるごとにハザード比1.08(1.02〜1.13)
6)脳卒中/TIAの既往:ハザード比1.42(1.02〜1.96)
7)拡張期血圧:10上がるごとにハザード比1.17(1.01〜1.36)
8)頭蓋内出血減少の予測因子:リバーロキサバン0.60、心不全の既往0.65
9)このモデルの予測能は良好」c統計量0.69(0.64〜0.73)

【結論】頭蓋内出血はアジア人、黒人、高齢者、脳卒中/TIA既往例、拡張期血圧上昇、血小板、アルブミン減少例で高い。心不全例とリバーロキサバンす用例でリスク低い。外的妥当性には他の集団での検討必要

### アジア人、やっぱり頭蓋内出血リスク高いですか。
他のチュもくすべきデータとして、全体での頭蓋内出血頻度は年間067%で、死亡率はなんと49%とのことです。高血圧、低アルブミン、血小板の低い人、脳卒中既往例などではとり頭蓋内出血の少ない薬剤がオプションとしてはいいのかもしれません。
by dobashinaika | 2014-05-17 00:38 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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