<   2014年 04月 ( 19 )   > この月の画像一覧

活動性の炎症性腸疾患は心房細動リスク増加に関連あり:EP誌

Europace 4月号より

Increased risk of atrial fibrillation and stroke during active stages of inflammatory bowel disease: a nationwide study
Søren Lund Kristensen et al
Europace (2014) 16 (4):477-484.


【疑問】炎症性腸疾患と心房細動及び脳卒中リスクとは関係があるのか?

P:デンマークの全国登録コホート:1996〜2011年

E:新規発症の炎症性腸疾患(IBD)24,499人

C:年齢性別マッチ後の対照236,275人

O:心房細動罹患率、脳卒中

【結果】
1)IBD群;平均43.9歳、女性53.9%、平均6.8年追跡

2)炎症性腸疾患群:685人心房細動新規発症。549人脳卒中

3)心房細動新規発症:IBD 4.16/1000人年 vs.対照 2.70/1000人年

4)脳卒中:IBD 3.33/1000人年 vs.対照 2.44/1000人年

5)全IBDの心房細動リスク(estimate incidence rate ratios): 1.26 (1.16–1.36)

6)病期による心房細動リスク:再燃期2.63、慢性持続期2.06、寛解期0.97(リスク増加なし)

7)病気による脳卒中リスク:再燃期1.57、慢性持続期1.71、寛解期1.04(リスク増加なし)

【結論】活動性の炎症性腸疾患は心房細動発症と脳卒中リスク増加に関係有り。この所見は臨床経験と合致する。

### すごい綺麗なデータで驚きです。さすがデンマークの大規模コホートでしょうか。
「炎症」というのが心房細動、炎症性腸疾患共通のキーワードでしょう。
by dobashinaika | 2014-04-30 23:56 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

心房細動診療の究極の目標とは?:日経メディカルオンライン連載更新いたしました

連載させていただいております、日経メディカルオンライン「プライマリ・ケア医のための心房細動入門」
いよいよ今回で、あと2回の連載を残すのみとなりました。

今回は第19回ー高齢者の心房細動診療(後編)ーで「心房細動診療の究極の目標とは」です。
連載第2回のときに、心房細動診療のゴールは、1) 症 状改善 2)合併症(主に脳梗塞)予防 3)生命予後改善と一応提示したものの、「本当のゴールはもっと別のところにある」としてある意味伏線を張っていた部分の回収の回になっています。

まあ、読んでいただければわかりますが、「究極の目標」と称するには今更の感もあるし、めざすべきものとして意識すべきものでもないものかもしれません。患者さんー医療者の間で自然にそなわっていくもの(場合によってはあるいは永久に立ち現れないもの) かもしれません。

まずはご一読いただければ幸いです。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/odakura/201404/535786.html
by dobashinaika | 2014-04-27 22:10 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

PT-INRの迅速検査はワルファリン管理を改善させる:Circulation J誌

Circulation J 4月8日オンライン版より

Introduction of Point-of-Care Testing in Japanese Outpatient Clinics Is Associated With Improvement in Time in Therapeutic Range in Anticoagulant-Treated Patients
Okuyama Y et al
http://dx.doi.org/10.1253/circj.CJ-13-1256


【背景】ワルファリは心房細動患者の脳卒中リスクを減らすが、中等〜高度のTTR管理が要求される。PT-INRのポイントオブケア(POC)検査はワルファリン服用患者のTTRを改善させるという仮説を立てた。

【方法・結果】
・PT-INRのPOC検査を提供できる8外来クリニックが参加
・POC検査導入前後最低12ヶ月間ワルファリンを内服した連続148例対象
・POC導入前後のTTRを比較

・POC導入後のTTRは、導入前に比べ有意に高い:51.9%±33.0% vs. 69.3%±26.3%;P<0.0001
・TTR改善度は、POC導入前のTTRが低い(70%未満)患者で統計学的にあきらか。
・POC導入後、INR目標値を超えた時間は変わらなかった:3.7%±10.6% vs. 3.3%±6.3%, P=0.7322
・POC導入後、INR目標値を下回った時間は明らかに改善された:44.4%±34.4% vs. 27.4%±27.6%, P<0.0001

【結論】POC検査の導入はTTR改善と相関する。特にINR目標域を下回る時間が減少する。

### 尊敬する大阪大学の奥山先生の論文です。INR管理におけるコアグチェックの有効性を示した非常に臨床に役に立つ論文と思います。

当院でもコアグチェックを使用していますが、採血後約1分でINRが測定できます。

これを使うと、使用前に比べTTRが平均52%から69%に改善し、とくにアンダードーズの期間が短縮した。というのが主所見です。

この理由として奥山先生は、
1)医師がワルファリン用量を調節しやすい。INR測定の間隔が約10日間程度短くなるため
2)その場で結果が出ることによる、ワルファリン服薬への理解の向上と服薬アドヒアランスの改善
を挙げられています。

私もこの推察のとおりと思います。
当院でも開業当初の2〜3年、検査会社に外注する形でINR測定を行っておりました。
採血結果は早くても翌日午後に伝票として届けれられていました。
当院では、当時、もしINRが至適レベルであれば患者さんには連絡しない。
上回ったら、翌日夕方に患者さんに電話をして、ワルファリンを0.5mg程度減らすように指示し、
下回っていたら、予備に渡しておいた0.5mg製剤を追加して飲むように指示していました。

こうすると、上回った場合、例えば3.5mg出していた方が3mgに減らすときは良いのですが、3mgを2.5mgに減らすときは1mgをご自分で割っていただくが、別に前もって0.5mgも処方してそちらに切り替える、あるいは3mgと2mgを隔日で交互に飲んでもらう、というようにしました。

下回った場合は、前もって0.5mgを出しておいて、そちらを追加してもらうようにしていました。

このやり方は、十分理解力のある方でないと服用量を誤る可能性があります。また、上回った場合は電話を必ずしていましたが、下回った場合、たとえば70歳以上で1.4〜1.5くらいだったら、電話をしないでそのままのこともありました。やはり下回った場合、どこかで出血は回避できるとの妙な安心感から、電話をつい怠ってしまうことがあったように思います。

コアグチェックではこの億劫感が解消されますので、下回った時間が顕著に改善されたのだと思います。

TTR69%まで改善できればもう少しでNOACも要らないレベルになりそうですね。

コアグチェックは、指先からも採血でき、当院では患者さんに好評です。しかし最大の問題は検査キットのコストですね。
これが高いゆえに導入していないクリニックも数多いと思います。安くなればもっともっと普及するように思います。
by dobashinaika | 2014-04-25 23:47 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

日本でのリバーロキサバンの有効性、安全性における年齢の影響:Circulation J誌

Circulation J 4月24日オンライン版

Rivaroxaban vs. Warfarin in Japanese Patients With Atrial Fibrillation
– The J-ROCKET AF Study –
Hori M et al
http://dx.doi.org/10.1253/circj.CJ-12-0454



J- ROCKET AF試験の年齢別サブ解析がでています。

【結果】
1)75歳以上;39・0%

2)75歳以上での安全性評価項目:リバーロ群25.05%vs. ワルファリン群16.95%:HR1,49:1.02-2.16

3)75歳以上での有効性評価項目:リバーロ群2.18%vs. ワルファリン群4.25%:HR0.51:0.20-1.27

4)安全性評価項目では年令による交互作用あり:p=0.04

5)有効性評価項目では年令による交互作用なし:p=0.82

6)75歳以上ではリバーロ群で腎機能にかかわらず、安全性評価項目のリスクが増加する傾向あり

7)腎機能が保たれている群では有効性評価項目は、ワルファリン群より良い傾向

【結論】高齢者におけるリバーロキサバンのリスクとベネフィットは注意深く考えることが必要

### 確認ですが、安全性評価項目に定義は「ISTH基準における重大な出血+重大ではないが臨床的に問題となる出血」です。
詳しくは以下のサイトに有ります。
http://att.ebm-library.jp/content/term.html#ROCKET

比較的大きな皮下出血なども含まれます。
これら出血が、75歳以上ではリバーロキサバン群でワルファリン群より多い傾向にあったということです。あくまでサブ解析なので、統計的な有意性は語れません。

それをおさえた上で出血の内訳を見ますと、「出血」のうち、75歳以上でリバーロの出血が多かった項目は、重大ではないが臨床的に問題となる出血(20.34%vs. 13.90%)だったことが図から読み取れます。そのほか「大出血(ISTH基準)」も5.01%vs.3.29% でリバーロ群でやや多い傾向があります。あくまで傾向です。

ただ、これらはサブ解析の中でのことで、さらにエンドポイントの内訳をみており、95% CIも広く、これらのことをもって色々と結論を言うことは難しいと思われます。
また一応考えるべき点として、この試験では75歳以上の人ではCCr50未満がリバーロ群で40.5%を占めており、これらの人には10㎎が処方されていたと思われます。

えー、まあこの試験は年齢とアウトカムの関係の交互作用を検討するに十分なnを想定しての登録件数ではないので、結局この論文からは断定的なことは何もいえない、75歳以上の場合には出血に十分注意ということでしょうか。
by dobashinaika | 2014-04-24 20:05 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

第2回どばし健康カフェ「健康や病気について正しい知識を得るためには?」開催します

昨年11月以来、長い休止期を経て第2回どばし健康カフェを開催いたします。

今回のテーマは「健康や病気について正しい知識を得るためには?」 です

テレビ、新聞、雑誌、そしてインターネット。私たちの周りには体のこと、病気のこと、薬のこと、健康食品や健康器具のことなど、ほんとうに様々な情報に満ち溢れています。

これだけたくさんの情報があると、何を信用して良いのか、わからないこともよくあります。わたしたちは、正しい情報をどのようにして手に入れ、得られた情報をどのように考えればよいのでしょうか?
今回のカフェでは、からだや病気についての情報をどのようにして取り入れているのか、ご自身のを語っていただきながら、正しい知識を得るためにはどうしたら良いのか?、そもそも正しい情報とはどんなものなのか?などについて、肩肘張らない感じで考えて行きたいと思います。


■概要
日時:2014年5月17日(土)(15:00~17:00)
場所:土橋内科医院待合室
参加費:無料
定員:約20〜30名

以下のサイトから申し込み可能です。
またこのブログのコメント欄からでも申し込み・お問い合わせを受け付けいたします。
http://kokucheese.com/event/index/121076/

■ プログラム
1) 自己紹介
2) はじめのレクチャー
3) どばし健康カフェ
4) 全体振り返り
* 途中休憩あります

■ 主催
どばし健康カフェ実行委員会
なお、当カフェはみんくるプロデュースさんが主催する「みんくるカフェ」の系列店として活動しています。
http://www.mincle-produce.net

皆様も参加を心よりお待ち申し上げております。
by dobashinaika | 2014-04-22 23:38 | 土橋内科医院 | Comments(0)

NOAC(非ビタミンK阻害経口抗凝固薬)は現実世界でも有効か?(1):T/H誌

NOACにおける大規模臨床試験と現実世界とのギャップについて、先月の日本循環器学会でお話させていただきましたが、Thrombosis and Haemostasisの2月27日付オンライン版に、全く同様の内容を扱った総説がでておりました。

私、この総説には気づかず、発表しておりました。これ読んでいたら、もっと違った発表になっていたかもしれません(笑)。

Gaps in translation from trials to practice: Non-vitamin K antagonist oral anticoagulants (NOACs) for stroke prevention in atrial fibrillation
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-12-1032
E. M. Hylek et al



悔しいので、かいつまんで訳します。膨大なので1日1〜2章ずつで。きょうは頭蓋内出血と消化管出血から

【疑問】ランダム化試験(RCT)と同様に、NOACは頭蓋内出血を減らせるのだろうか?

・頭蓋内出血は各種因子に修飾される:微小血管障害、微小出血、血圧、抗血小板薬併用、外傷
・微小血管障害、微小出血は高齢者に多いが、RCTの参加者の平均年齢は約71歳→なので超高齢者への効果は不明
・こうした患者は認知症を合併するため、こうした患者層(高齢で認知症あり)をRCT(の患者層)が代表しているかは不明

・各RCTの血圧管理は良好(各中央値):RELY:131/77, ROCKET-AF 130/80, ARISTOTLE 130/82
・デンマークのコホート研究(血圧研究):140/90未満が33.2%しかいなかった
・the Copenhagen City Heart Studyでは26%
・RCTでは管理不良な高血圧患者は除外

・アスピリンは頭蓋内出血をワルファリン単独使用の2.4倍増化させる
・アスピリン併用率:RELY40%、ENGAGE-AF 29%だが心筋梗塞の既往は各17%、12%
・アスピリンの適応が適切だったのか疑問がわく
・75歳以上の心房細動患者の、虚血一次予防または安定狭心症にたいするアスピリンの効果は近年疑問視されている
・頭蓋内出血を減らすにはこうしたサブグループへの二者あるいは三者併用は考慮すべき。

【疑問】NOACは現実世界において、消化管出血をRCTより増やすのか?そのリスクを減らせる介入はあるのか?

・ダビガトラン150、リバーロキサバン、エドキサバンは消化管出血をワルファリンよりも増やした
・アピキサバンはワルファリンと同様
・頭蓋外出血の30日死亡率(5.1%)は頭蓋内出血(48.6%)に比べ低値だが、消化管出血はコストと死亡率に明らかに関与
・ワルファリンによる消化管出血の85%が入院する
・より重要なのは、消化管出血により抗凝固療法が中断され、そのことが死亡率増加につながる

・加齢により消化管の性状は傷害が受けやすいようになる
・確たる理由がない限り、高齢者でのアスピリンやNSAIDsの使用は避けるべき
・無症候性症例でPPIの効果は不確定
・消化性潰瘍既往者はヘリコバクター・ピロリ検査を施行しておくべき(対費用効果は不明)

・消化管出血減少の大きな妨げは、出血部位特定がされないこと
・出血時の休薬期間に関しても不確定
・各薬剤ごとに、出血部位の特異性が明確で無いので、消化管出血減少を目的とした薬剤選択ができるかどうか疑問
・鉄欠乏性貧血を診断し、消化管の精査を行うことが大事

### 年齢、血圧、アスピリン併用、消化管出血など、RCTと現実世界と異なることが丁寧に示されています。
特に高齢者では、不要なアスピリン、NSAIDsの併用を避け、血圧をよく管理し、消化管出血の既往はピロリ菌に注目せよ、という実践的なrecommendationとして捉えたい総説ですね。

私の拙い発表は以下のサイトを参照ください。
http://att.ebm-library.jp/conferences/2014/jcs/02.html
by dobashinaika | 2014-04-22 19:49 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動アブレ−ション前後でワルファリンを継続すべきか?:Circulation誌

Circulation 4月17日オンライン版

Periprocedural Stroke and Bleeding Complications in Patients undergoing Catheter Ablation of Atrial Fibrillation with Different Anticoagulation Management: Results from the "COMPARE" Randomized Trial
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.00642
Luigi Di Biase et al


【疑問】心房細動のカテーテルアブレ−ション前後でワルファリンを継続すべきか

P:CHADS2スコア1点以上の心房細動アブレーション施行者

E:ワルファリン中止+ヘパリンブリッジ

C:ワルファリン継続

O:血栓塞栓イベント:アブレーション後48時間以内

T:オープンラベル、ランダム化比較試験。米国の多施設研究

【結果】
1)1584人登録。中止群790人、継続群794人。背景に差なし

2)血栓塞栓イベント:有意に中止群で多い (p<0.001)
中止群39例:脳卒中29,TIA10:発作性2,持続性4,長期持続性33
継続群2例:前例長期持続性

3)ワルファリン中止は血栓塞栓イベントの強力な予測因子:オッズ比13(3.1−55.6, p<0.001)

【結論】この試験はアブレーション周術期のワルファリン継続が、ワルファリン中止+ヘパリンブリッジに比べ脳卒中や小出血を減らすことを示した初めてのランダム化試験である。

### 確認ですが中止群はアブ前2−3日でワルファリン中止し、当日まで低分子ヘパリンブリッジとエノキサパリン1日2回投与しています。術後は3ジアkンゴからエノキサパリン投与開始、INRが2以上になったら中止としています。継続群では当日1INRが3.5以上の症例は除外されています。

また出血合併症は、中止群7例、継続群4例でどちらも心嚢液貯留でしたが有意差なしでした。(むしろ継続群で少ない傾向)

血栓塞栓イベントはCHADS2スコア高点及び長期持続性で多かったようです。

なかなかインパクトの有る結果です。日本ではINRがもっと低めですから塞栓症イベントで差が開かないかもしれませんが、やはりヘパリンブリッジは症例により危険が伴うのかもしれません。上記の症例では特にワルファリン継続を考えるべきかもしれません。


NOACでどうかが興味深いですが、筆者はNOACに解釈を広げるべきでないと諭していますね。
by dobashinaika | 2014-04-21 17:19 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

日経メディカルオンライン連載「高齢者の心房細動」、更新いたしました。

日経メディカルオンライン連載「プライマリ・ケア医のための心房細動入門」
第18回「高齢者の心房細動<前編> 意外に少ない? 高齢者の出血リスク」
本日更新いたしました。

いよいよこの連載も終盤に差し掛かっております。

今回は実は心房細動の最重要課題、「高齢者の抗凝固療法」に迫りたいと思います。

表題の「意外に少ない?」はもちろんレトリックでして、高齢者の抗凝固療法における出血リスクはやはり「高い」です。

ただし塞栓症リスクも高いので、そこをどうするか。。。
一応書籍には、すでに答えをだしておりますが、今回と次回でその辺について考察しております。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/odakura/201404/535783.html
(無料登録が必要です)
by dobashinaika | 2014-04-18 18:54 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

腎不全合併心房細動患者の脳卒中と出血のバランス:EHJ誌

EHJ 4月9日オンライン版により

Balancing stroke and bleeding risks in patients with atrial fibrillation and renal failure: the Swedish Atrial Fibrillation Cohort study
Eur Heart J (2014)doi:10.1093/eurheartj/ehu139Leif Friberg et al


【疑問】心房細動の脳卒中リスクに腎機能はどう関係するのか?

P:スウェーデンの心房細動患者登録研究で2005年から2010年までに登録された307,351例

E:腎不全:ICD-10でN19-17(=腎不全)のカテゴリー、血液透析、腹膜透析、腎移植

C;腎不全なし

O;脳卒中(虚血性、出血性)、死亡

【結果】
1)腎不全13,435人

2)虚血性脳卒中:心房細動を伴う腎不全患者に多い:腎不全例3.9% vs. 非腎不全例2.9%:HR1.02 (0.95-1.10)

3)腎不全にCHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアを追加しても脳卒中予測能の改善なし

4)腎不全は頭蓋内出血の独立リスク因子:HR1.27 (1.09-1.49)

5)多くの腎不全患者はワルファリンの利益大きい。出血高リスクにもかかわらず

6)虚血性あるいは出血性脳卒中、死亡に関する複合エンドポイントの発症率はワルファリン使用例で、非使用例より低い:HR0.76 (0.72-0.80)

【結論】心房細動と腎不全を併せ持つ患者は、治療閾値の高低にかかわらずそうでない他の心房細動患者に推奨されているのと同様の治療から最も利益を受ける。腎不全に他のスコアリングを加味しても、脳卒中予測能は不変

### 以前の報告同様、腎不全は虚血、出血両方のリスクを高めるが、より出血リスクの方のハザード比が大きいようです。
http://dobashin.exblog.jp/15985901/

またCHADS2スコアなどの脳卒中予測スコアに腎不全を加えても予測能が上がらないとすることも以前の報告に類似があります。
http://dobashin.exblog.jp/17798313/

他の出血リスク、例えば抗血小板薬併用や重症高血圧などでなければなるべく使うようにというメッセージかと思います。

一番のlimitationは腎不全の診断ですね。カルテベースで、eGFRは用いていないとの記載があります。
by dobashinaika | 2014-04-16 23:11 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

ダビガトランの服薬アドヒアランスとアウトカムの関係:AHJ誌

AHJ 4月7日付オンライン版より

Adherence to dabigatran therapy and longitudinal patient outcomes: Insights from the Veterans Health Administration
Shore S et al
doi:10.1016/j.ahj.2014.03.023


【疑問】ダビガトランの服薬アドヒアランスはどうか?アドヒアランスとアウトカムに関係はあるのか?

P:退役軍人病院において2010年10月〜2013年9月までにダビガトラン服用を開始した非弁膜症性心房細動5,376例

E/C:ダビガトランの服用カバー率 (PDC)

O:全死亡、脳卒中、出血、心筋梗塞

【結果】
1)平均年齢71.9歳、男性98.3%、CHADS2スコア平均2.4(CHA2DS-VAScスコア3.2)点

2)PDC中央値:94% (四分位値76〜100%、平均84%)

3)平均追跡期間:244日(四分位値140−351日)

4)PDC80%未満(=アドヒアランス不良例):1494例、27.8%

5)低アドヒアランスは全死亡及び脳卒中リスクに関連:HR1.13, 95%CI1.07-1.19、10%PDC減少ごと

6)アドヒアランスと非致死的出血、心筋梗塞は無関係

【結論】服薬開始1年でのダビガトランのアドヒアランスは大部分の患者で良好。ただし28%は不良。低アドヒアランスは有害事象リスク上昇と関連あり。アドヒアランス適正化の努力が求められる。

### 以前少数例での同様の報告を紹介しましたが、そのときは80%未満の不良例は11%でした。当院で直近3ヶ月のみですが、ダビガトランのアドヒアランスを調査したところ(n=84)では80%未満の方は一人もいませんでした。
http://dobashin.exblog.jp/18148054/

本報告では約28%ということで、けっこう多い気がします。しかも脳卒中や全死亡と有意な相関があるというのは非常に貴重なデータと思います。
不良例の特徴、たとえば夜忘れやすいのか、ワルファリンナイーブが多いのか、年齢はどうなのか、より知りたくなります。
また不良例をワルファリンや他のNOACに変更した場合はどうなのかも知りたいですね。
by dobashinaika | 2014-04-15 13:28 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:リアルワールドデータ
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールド
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(27)
(25)
(24)
(22)
(22)
(20)
(20)
(19)
(18)
(17)
(17)
(16)
(13)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(10)

ブログパーツ

ライフログ

著作

プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか (集英社新書)


幸福はなぜ哲学の問題になるのか (homo viator)


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

「もう怖くない! 心房細動の..
at 2017-08-23 18:52
新規発症例の心房細動に,肥満..
at 2017-08-21 22:15
長時間労働者(週55時間以上..
at 2017-08-17 18:42
「もう怖くない!心房細動の抗..
at 2017-08-09 09:56
NOAC vs ワルファリン..
at 2017-08-04 22:16
ダビガトランの中和薬、イダル..
at 2017-08-02 21:49
心房細動は血栓塞栓症の原因で..
at 2017-08-01 23:29
定期健康診断での低リスク者へ..
at 2017-07-31 16:58
85歳以上の超高齢者でも,抗..
at 2017-07-24 23:27
発作性心房細動は1年で8.6..
at 2017-07-20 21:28

検索

記事ランキング

最新のコメント

簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39
土橋先生論文を分かりやす..
by ekaigo at 17:41
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 21:03
先生のブログ(共病記)を..
by 大西康雄 at 13:07
コメントありがとうござい..
by 小田倉弘典 at 18:40
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 18:35
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 18:34
はじめまして 心房細動..
by 患者目線 at 08:36
脳梗塞を起こしているから..
by 心配性 at 06:36

以前の記事

2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン