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日経メディカルオンライン連載”抗凝固療法中の抗血小板薬の併用のしかた”更新しました

日経メディカルオンライン連載プライマリケア医のための心房細動入門

第16回:抗凝固療法中の抗血小板薬の併用のしかた:ワルファリン+DAPTによる3剤併用療法の是非は?
更新いたしました。

未だに明確なコンセンサスが得られていない問題ですが、一応現時点での限られたエビデンスをご紹介しています。

ご一読いただければ幸いです。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/odakura/201402/534690.html
(無料登録が必要です)
by dobashinaika | 2014-02-28 23:59 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

心房細動についての本を書きました。

2012年4月から日経メディカルオンラインで連載を続けてまいりました「プライマリ・ケア医のための心房細動入門」が、本になりました。
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日経BP社から、3月31日発売です。

連載しております内容に、かなり加筆修正をしました。
心房細動診療を「リスクマネジメント」としてとらえ、その診療モデルを提示したことが最大の特徴と思っています。

日経BP書店またはAmazonで予約できますので、皆様のぞいてみてください。
もし良さそうだったら、ご予約等お願いできれば幸いに存じます。

個人的には、なんとか形にあるものを世に出せる事ができ感謝と安堵の念でいっぱいです。
発売されましたら、もう少し内容についても触れてみたいと思います。
by dobashinaika | 2014-02-28 00:14 | インフォメーション | Comments(0)

米国神経学会の心房細動における脳卒中予防の「エビデンスに基づくガイドライン改訂版」を読む

Neurology 2月25日号より

Summary of evidence-based guideline update: Prevention of stroke in nonvalvular atrial fibrillation: Report of the Guideline Development Subcommittee of the American Academy of NeurologyAntonio Culebras et al
Neurology February 25, 2014 vol. 82 no. 8 716-724


米国神経学会の非弁膜症性心房細動(NVAF)における脳卒中予防に関する「エビデンスに基づくガイドライン改訂」サマリーが公表されました。

データ解析のプロセスは各種データベース上で1998年〜2013年までにpeer reviewされたヒトに関する英語論文をサーチし、
GRADEシステムの修飾版を使用し、Delphi法を用いて推奨度をABCUの4段階に決定するという手法を用いています。

GRADEシステムでは先日のブログでも取り上げましたように、エビデンスの強さ以外にケアの原則、害に比べた利益の総量、経済的負担、介入しやすさ、患者の好みなどの要素に基づいて推奨度の決定がなされています。

各推奨をまとめてみます

【潜在性NVAF患者の同定】
1.潜在性心房細動を見つけるために、NVAFが認められていない潜因性(原因が特定できない)脳卒中患者の不整脈検査を施行すること(レベルC)

2.潜在性心房細動の同定数を増やすために、24時間程度の短いモニターなく、1週間以上の長期モニターを行うこと(レベルC)

【抗凝固療法適応患者の選択】
1.臨床家は、NVAFにより脳卒中リスクが増加し、抗凝固薬によりそのリスクが減少することを患者に伝えるべきである。患者は大出血リスクが増加することを知らされるべきである(レベルB)

2.臨床家は全てのNVAF患者に対し、抗凝固薬使用の決定は脳卒中減少の利益が大出血のリスクを上回った時にのみなされることを説明すべき(レベルB)

3.臨床家はNVAFかつ脳卒中/TIAの既往のある患者には、抗凝固療法の提案をルーチンに勧めねばならない(レベルB)

4,臨床家は他のリスクのないNVAF患者(孤立性心房細動)に抗凝固療法を勧めないほうが良い。臨床家はそうした患者にアスピリンを提案することは合理的。抗凝固療法を提案しない方が良い(レベルC)

5.抗凝固療法からより恩恵を受ける患者へこうした決断を伝えるために、臨床家は高リスクまたは無リスク患者の同定のためのリスク層別化スキームを使うべきである

【特異的な経口抗凝固薬の選択】
1.以下の選択肢のうち一つの選択が推奨される(レベルB)
・ワルファリン:INR2.0〜3.0
・ダビガトラン150mg:CCr30以上
・リバーロキサバン;15mg(CCr30-49)、20mg
・アピキサバン5mg(Cr1.5未満)、2.5mg(減量基準に基づく)
・トリフルサル(抗血小板薬)+アセノクマロール(VKA):INR1.25-2.0(中等度リスク、主に途上国)

2.ワルファリン服用者
・コントロール良好なワルファリン服用者には、NOACへの切り替えよりワルファリン継続を勧めたほうが良い(レベルC)

3.頭蓋内出血リスク
・抗凝固薬が必要で頭蓋内出血リスクの高い例にはNOACを処方したほうが良い(レベルB)

4.消化管出血リスク
・消化管出血リスクのある患者にはアピキサバンを勧めたほうが良い(レベルC)

5.NOACに影響を与える他の因子
・頻回のINRテストを希望しないまたはできない患者に対するNOACの提案はすべき(レベルB)
・ワーファリン治療に適さない、または希望しない患者へのアピキサバン処方は提案すべき(レベルB)
・アピキサバンが使用できない例ではダビガトランかリバーロキサバンを提案すべき(レベルC)
・経口抗凝固薬が使用できない場合、アスピリン+クロピドグレルを提案したほうが良い(レベルC)
・トリフルサルが使用でき、NOAC服用を希望しない場合(ほぼ途上国)、アセノクマロールとトリフルサルを勧めるべき(レベルB)
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【特殊な患者群】
1.誘発された出血や頭蓋内出血のない75歳超の患者への定期的な抗凝固薬服用の提案(レベルB)

2.認知症あるいは転倒が時に見られる患者への抗凝固薬の提案;中等度〜高度認知症あるいは頻回の転倒患者には本人、家族にリスクベネフィットにつきよく説明すべき(レベルB)

3.終末期CKDにおいては抗凝固薬のリスクべネフットは不明なので、推奨できるエビデンスは不十分(レベルU)

### NOACの区別がなされていますが、消化管出血リスク及びワルファリン不適合者にはアピキサバンが、他の2薬よりも推奨されるという点のみとなっています。

全体にGRADEシステムを用いているため、エビデンスだけでなく、患者の嗜好や不適合患者の場合のことなどを考慮し、医師の決断を促すような書き方がしてあります。

またエビデンスの判断材料は利益と害のバランスを考慮したシステマティックレビューからforest plotを作成し、判断されています。

認知症患者や転倒リスクのある患者における選択なども記述してあり、全体に臨床医に親切で使いやすい印象ですね。
by dobashinaika | 2014-02-27 23:58 | 抗凝固療法:ガイドライン | Comments(0)

リバーロキサバンとダビガトランの心房細動アブレーション周術期使用はワルファリンより有効かつ安全:EP誌

Europace2月18日付オンライン版より

Rivaroxaban and dabigatran in patients undergoing catheter ablation of atrial fibrillationRui Providência et al
doi: 10.1093/europace/euu007


【疑問】リバーロキサバンの、カテーテルアブレーション周術期での有効性と安全性はダビガトランに比べてどうか?

P:フランス、トゥールーズの1医療施設で心房細動アブレーションが施行された連続556例(2012年10月〜2013年9月);平均61.0歳。発作性61.2%

E/C:周術期投与薬:ビタミンK阻害薬192例、リバーロキサバン188例、ダビガトラン176例

O:有効性:アブレーション後30日間の死亡率、全身性または肺塞栓症。安全性:出血イベント

T:観察研究

【結果】
1)1年間の登録期間中NOAC使用は10%未満から70%に増加

2)血栓塞栓症:VKA2.1%、リバーロ1.1%、ダビ0.6%;P=0.410

3)大出血:VKA4.2% 、リバーロ1.6%、ダビ1.1%;P=0.112

4)小出血:VKA2.1%、リバーロ1.6&、ダビ0.6%;P=0.464

5)致死性イベント無し

【結論】アブレーション周術期のNOACの使用はここ1年で7倍に増加した。プレリミナリーデータではあるが、リバーロキサバンとダビガトランの心房細動アブレーション周術期使用はVKAに比べて有効かつ安全である。

### 薬剤の投与方法ですが、VKA群は術前5日前からワルファリンを止めてヘパリンブリッジ、術後当日夜からワルファリン再開。リバーロキサバン群は術前ワルファリンまたはリバーロキサバン投与、術後リバーロキサバン投与。ダビガトラン群は術前ワルファリンまたはダビガトラン投与、術後ダビガトラン投与。リバーロ群は術前24〜48時間、ダビ群は術前24〜36時間中断しヘパリンブリッジ。術度4〜6時間で再開、です。

3群での患者比較ではダビ群で若年者、発作性、CHADS2スコア低値、CHA2DS2-VAScスコア低値、HAS-BLEDスコア低値、高血圧が多いとのことでした。

観察研究ですので当然選択バイアスは大きいです。ダビガトランはより軽症例で使われているようです。VKA群で出血が多いのは、穿刺部出血
が多かったためのようです。おそらくワーファリンが切れるまでヘパリンとのオーバーラップ期間があることなども出血に傾きやすい要因かもしれません

ダビガトランのアブレーション時データはこれまで幾つか報告されていましたが、リバー力サバンは初めてだと思います。
http://dobashin.exblog.jp/16413289/
http://dobashin.exblog.jp/16973024/

使いやすく安全であることから今後アブレーション周術期の抗凝固薬は、ますますNOACが主流になるのでしょうか。
by dobashinaika | 2014-02-26 22:54 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

「症状で悩んでいるかどうか」が心房細動アブレーション等の介入の目安か:EP誌

Europace 2月16日付オンライン版より

The European Heart Rhythm Association symptom classification for atrial fibrillation: validation and improvement through a simple modification
doi: 10.1093/europace/eut395


【疑問】EHRA(欧州不整脈学会)の症状スコアの妥当性はどうか?

【方法】
・EHRAスコアを3つのQOL評価
・AFEQTおよびEQ-5Dの2つのコンポーネント(費用対効果算定に使用される健康関連効用値、患者人の健康状態を評価するVAS)
・上記を評価した上で、EHRAスコアのシンプルな改定を提案
・心房細動患者362名のデータを解析

【結果】
1)EHARクラスとAFEQT、VASスコアとは負の相関あり

2)健康関連効用値とEHRAクラスはクラス2と3の間で有意な相違あり:P<0.001

3)クラス2(症状あり、日常生活に影響なし)を2b(症状が気になる)と2b(気になる)に二分する(mEHRA)と
・AFEQTとVASスコアのより低い群を同定できる
・健康関連効用値のより低い群を同定できる

【結論】患者さん自身の健康評価と疾患特異的QOL評価を元にした場合、EHRAスコアは半定量的な分類と考えられる。mEHRAはアブレーションなどの介入の費用対効果のための効用値を明確に線引できる。すなわちクラス2bがその閾値である。

### 一見難しそうなことを言っていますが、よく考えると簡単かもしれません。
すなわち、症状が気になる(troubled:悩んでいると訳した方がいいかもしれません)かどうかが、それがQOLがいいかどうか、症状が強いかどうか、さらにはQALYなどの効用値がいいかどうかのメルクマールであるという、なんかコロンブスの卵みたいな話だと思います。

症状が気になるひとにはそれを改善することがQOLの改善につながり、ひいては費用対効果も認められる、ということです。
ただ、この「悩んでいるかどうか」はあとからアンケート等で聞いたものですので、やや信頼性に欠けるかもしれません。

アブレーションの意思決定のとき「症状に悩んでいるかどうか」で決めましょうということで、じつはこれ、わたし以前に書きました日経メディカルオンライン連載で述べたことそのものでしたー、ということでちょっと嬉しいです。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/odakura/201309/532451.html
by dobashinaika | 2014-02-25 23:13 | 心房細動診療:根本原理 | Comments(0)

GRADEシステムを用いると欧米の心房細動ガイドラインでの抗不整脈薬推奨と利益相反に疑問:JAMAIM誌

JAMA Intern Med 2月17日付オンライン版より

Dronedarone for Atrial FibrillationThe Limited Reliability of Clinical Practice Guidelines
Primiano Iannone, et. al.
JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2013.14485


【疑問】心房細動ガイドラインにおけるドロネダロンの推奨度は妥当か?

【方法】
・抗不整脈薬ドロネダロンに関し、医療系学会からの3つのガイドラインを検証した
・3ガイドラインはAHA(アメリカ)、CCS(カナダ)、ESC(ヨーロッパ)
・GRADEシステムを用いて評価

【結果】
1)レートコントロール薬として:サロゲートマーカー(心拍数)に関してはプラセボよりドロネダロンが優る

2)リズムコントロール薬として:ドロネダロンはプラセボに比べて1000患者あたり13(95%CI;−15〜61)の超過死亡に関連した

3)アミオダロンに比べ、ドロネダロンは効果が低い:1000患者あたり214(130〜294)回多く心房細動が再発

4)アミオダロンに比べ忍容性は同等:薬剤中止となった重度副作用イベント1000患者あたり−28 (−69〜 33)

【結論】
エビデンスの限界にかかわらず、3つのガイドライン全てで心房細動の再発予防にドロネダロンが推奨されていた。今回の知見はこうした臨床ガイドラインの信頼性だけでなく、多くの作成委員とドロネダロンの製薬会社との金銭的関係に疑問を投げかけるものである。

### 限りなく興味深い論文です。イタリア・ボローニャのEmilia Romagna Health and Social Care Agencyというおそらく民間の疫学調査会社のようなところ(?)のEBM部門からの発信と思われます。まったくガイドラインメッタ斬り、という感じです。
全文入手しましたのでかいつまんで紹介します。

ドロネダロンは日本では発売されていませんが、アミオダロンからヨードを排した構造で「副作用の少ないアミオダロン」として注目された薬でした。

AHAガイドラインでは推奨度IIaで「発作性あるいは持続性心房細動の停止後の患者で心血管イベントを減らすために妥当」とされ、「NYHAIV、過去4週以内の非代償性心不全、LVEF35% 以下」は推奨度IIIで禁忌となっています。
ESCでは、再発性心房細動に対して推奨度I、エビデンスレベルAであり、持続性心房細動には推奨度IIIとなっています。(カナダは調べていません、すみません)

今回のガイドラインの評価法にはGRADEシステムが用いられていますが、GRADEはすでに多くのガイドラインに採用されたシステムで、上記のCCSのガイドラインもこの方法を採用していたと思います。詳細は以下のサイトなどを参照ください。
http://www.grade-jpn.com/

ドロネダロンは以下のブログで取り上げましたが、ATTENA試験では入院を減らしましたが、心不全患者対象のANDROMEDA試験では死亡例が増加し試験中止となりました。そして永続性心房細動対象のPALLAS試験でも全てのアウトカムを悪化させたため中止となっています。
http://dobashin.exblog.jp/14029569/

GRADEシステムは推奨の強さをエビデンスレベルだけではなく、価値観や好み、医療資源などを考慮して判定するもので、観察研究のエビデンスに基づく強い推奨や、質の高いエビデンスに基づく弱い推奨もあり得るシステムです。その推奨度はあくまで望ましい効果と望ましくない効果のバランスで決まります。

ですからたとえATTENA試験で入院をへらしても、真のアウトカムである死亡に関してはプラセボとかわらないため臨床上のアウトカムとしては「示されていない」と判定されます。

こうしたアウトカム判定もさることながら、「ガイドラインの質の評価」が興味深いです。Institute of Medicine(米国医学研究所)のチェックリストに基づいて透明性、利益相反の管理、作成グループの構成、ガイドラインとシステマティックレビューの連携などの8基準のチェックリストで3ガイドラインを評価しています。利益相反のパートでは、AHAガイドラインでは12メンバー中4人、CCSは34人中19人、ESCでは25人中10人が製薬会社と何らかの金銭的関係があったと指摘され、それぞれ利益相反管理の評価点は"partial"(一部)となっています。

アウトカム評価については意見の別れるところもあると思われますが、ガイドライン自体の評価を論文に掲載してしまうあたり、JAMAの懐の深さを思います。

この論文を読んでしまったら、当然日本のガイドラインはどうなのか、に興味が移りますね。
by dobashinaika | 2014-02-25 00:11 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

アピキサバンは、年齢にかかわらずワルファリンより有効性安全性とも優れる:EHJ誌

EHJ 2月20日付オンライン版より

Efficacy and safety of apixaban compared with warfarin according to age for stroke prevention in atrial fibrillation: observations from the ARISTOTLE trial
doi: 10.1093/eurheartj/ehu046


【疑問】年齢別に見たアピキサバンの対ワルファリンの有効性と安全性はどうか?

【方法】
・ARISTOTLE試験参加者18201名対象
・3群比較:65歳未満(30%)、65〜74歳(39%)、75歳以上(31%)

【結果】
1)脳卒中、全死亡、大出血は高齢者群で高い(P<0.001,対全体)

2)脳卒中減少効果、予後改善効果:全年齢層でアピキサバンはワルファリンより効果あり

3)大出血、全出血、頭蓋内出血:全年齢層でアピキサバンはワルファリンより少ない

4)2,3)の交互作用:P>0.11、対全体

5)この結果は80歳以上(全体の13%)でも同様
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【結論】アピキサバンの対ワルファリンベネフィットは年齢にかかわらず同様。高齢者層では高リスクのため、アピキサバンの絶対的ベネフィットがより高くなる。

### 確認事項ですが、ARISTOTOLEでは80歳以上、体重60kg以下、血清クレアチニン1.5以上の3要件のうち2つ以上を満たすと低用量の2.5mgを選択するプロトコールとなっていて、2.5mgは831人に投与され、75歳以上の群の13.9%、80歳以上では31%が低用量投与だったとのことです。

高齢者群で出血が少ない理由のひとつとして考えられるかもしれません。

考察で述べられていますが、ダビガトランの場合は大出血に関しては75歳以上と未満とで交互作用あり、つまり高齢者での安全性はワルファリンと有意差なしでした。
http://circ.ahajournals.org/content/123/21/2363.abstract?ijkey=cdc7c234b742ae3d845555ead5adee32294ad7f3&keytype2=tf_ipsecsha

一方リバーロキサバンはアピキサバンと同様交互作用なしで、年齢にかかわらず安全性はワルファリンを上回っていました。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1009638

ダビと、リバーロ、アピとの違いはやはり腎排泄の要素があるのだろうと思われます。

その意味ではアピキサバンは高齢者に使いやすいということがこの論文からある程度読み取れます。ただし80歳以上は全体の13%で少数ですので、この層では、たとえアピキサバンであっても明確な優位性があるかどうかはもっと症例を積み重ねる必要はあると思われます。

蛇足ですが、このようにサブグループの差を複数の研究間で比較することは間接比較をするのと同じであり、高いリスクを伴うことがJAMAユーザーズガイドでも諭されています。

上記の結果をもって、75歳以上のサブグループではダビガトランより他の2剤のほうが安全であるということには注意が必要と思われます。
これを証明するには、75歳以上の人のみを対象としてNOAC3剤の無作為割付試験をしなればなりません(可能かどうかは別として)。

最近NOAC3剤の使い分け、比較に関する関心が高くよく聞かれるのですが、私は、基本的には3剤(4剤?)のエビデンスとしての優劣を論じることは各のhead-to-head比較試験が存在しない以上不可能と考えます。ですので、使い分けはあくまで薬理作用や患者の好みも十分加味して考える。サブ解析の優劣はあくまで参考程度と考えることにしています。
by dobashinaika | 2014-02-22 00:28 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

抗凝固療法を一時的に中断した場合の転帰は新規抗凝固薬とワルファリンとで違いがあるのか?

Circulation 2月10日付オンライン版より

Outcomes of Temporary Interruption of Rivaroxaban Compared with Warfarin in Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation: Results from ROCKET AF
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.005754


【疑問】抗凝固療法を一時的にやめた場合の転帰はワルファリンとNOACとで違いがあるのか?

【方法】
・ROCKET-AF試験において、何らかの理由で一時的に服薬を中止(3〜30日間)した経験のある人対象


【結果】
1)一時的中止経験者:14236人中4692人(33%)

2)中止経験者のプロフィールは参加者全体と同様傾向

3)6%483人はワルファリンとのブリッジテラピー例

4)中止期間中(中止開始から30日間)の脳卒中/全身性塞栓症:有意差なし;リバーロキサバン群0.30% vs. ワルファリン群0.41%5)大出血リスク:有意差なし:リバーロキサバン群0.99% vs. ワルファリン群0.79%

【結論】経口抗凝固薬における一時的中断はよくあることだが、潜在的に脳卒中や出血のリスクに関連しておリ、それらリスクはリバーロキサバンとワルファリンとで同等。さらなる研究必要

### おそらく手術、ポリペクトミー、飲み忘れ等による中断だと思われます。大規模試験でさえ3分の1の方が一時的中止の経験ありというのも、なかなかに多い感じがします。

中止期間が不明ですが、抜歯時1周間休止すると1%の脳塞栓症があるという報告が、よく言われますので、それよりは少ない感じです。またワルファリンは中止した時のリバウンド現象が指摘されていますが、この研究ではNOACのほうが塞栓リスクが少ないというわけではなかったようです。

ワルファリンをずっとやめてしまったらどうなるかという論文はこちらhttp://dobashin.exblog.jp/18763480/
by dobashinaika | 2014-02-20 23:47 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

抗凝固療法の各種イベント予測スコアを組み合わせると、リスクの予測能は向上するか?:T/H誌

Thrombosis and Haemostasis 1月23日付オンライン版より

Composite risk scores and composite endpoints in the risk prediction of outcomes in anticoagulated patients with atrial fibrillation
The Loire Valley Atrial Fibrillation Project
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-12-103
3

【疑問】いくつかのリスクスコアを組み合わせれば、アウトカム予測の精度は向上するのか?

【方法】
・NVAF+経口抗凝固薬服用者3607人対象
・アウトカム1(虚血性脳卒中)、アウトカム2(虚血性脳卒中+頭蓋内出血)、アウトカム3(虚血性脳卒中/血栓塞栓症の共分散+頭蓋内出血)、アウトカム4(脳卒中、心血管死、血栓塞栓症、大出血
・CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアとHAS-BLEDスコアなどを組み合わせ、C統計量、net reclassification improvement (NRI) 、integrated discrimination improvement (IDI) を算出

【結果】
1)エンドポイントにかかわらず。C統計量、NRI,IDIは、各スコアの組合せてもCHADS2スコア(レファランス)に優らず

2)各種複合スコアと各種エンドポイントの組み合わせを検討しても明らかな改善(1%以上)も改善されなかった。


【結論】複合リスクスコアはどのようにエンドポイントが定義されようとも心房細動患者のリスク予測能を改善しない。脳卒中/血栓塞栓症と出血の個人個人の予測は、血栓予防について論議のガイドとなるために異なるリスクリダクションツールを使い、脳卒中/血栓塞栓症や出血のリスクを分けてすること、複合スコアや毎日の”リアル・ワールド”におけるエンドポイントは使わないこと他示唆された。


### CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアにHAS-BLEDスコアなどと足しても、予測能は変わらないとのことです。CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアとHAS-BLEDスコアは重複項目も多いためかもしれません。

この手のスコアリングはシンプルかつ必須アイテムを選ぶ必要があり、良いスコア項目が決まるまでは大変ですね。
やはりCHADS2スコアは偉大ですね。
このブログも参考までに
http://dobashin.exblog.jp/18517929/

なおEuropean Heart Journal誌で心房細動の早期介入に関する総説もありました。
昨日書き落としましたが、全文を入手してみると心房細動の自然経過その他、なかなかにわかりやすくも充実した図表群と説明です。
Early management of atrial fibrillation to prevent cardiovascular complications
by dobashinaika | 2014-02-19 23:49 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

最近の心房細動関連のレビューなど

今日は明日講演会があるのでそのスライド作りのため、論文がしっかり読み込めていません。
なのに、最近心房細動関連の総説的なものでかなり面白そうな記事があるので、目が離せません。

とりあえずメモとしてブログを使わせていただきます。
今後、折を見て紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【Thrombosis and Haemostasis 誌】
NOACの中和薬としてのプロトロンビン複合体製剤について
http://www.schattauer.de/en/magazine/subject-areas/journals-a-z/thrombosis-and-haemostasis/issue/special/manuscript/20400/show.html

心房細動の脳卒中予防;アジア人における概説
http://www.schattauer.de/en/magazine/subject-areas/journals-a-z/thrombosis-and-haemostasis/contents/preprint-online/february-06-2014/issue/special/manuscript/20773/show.html

抗凝固薬の脳卒中/出血リスクに関する患者の価値観と好みについて
http://www.schattauer.de/en/magazine/subject-areas/journals-a-z/thrombosis-and-haemostasis/contents/preprint-online/january-30-2014/issue/special/manuscript/20749/show.html

卵円孔開存に関するメタ解析
http://www.schattauer.de/en/magazine/subject-areas/journals-a-z/thrombosis-and-haemostasis/contents/preprint-online/january-23-2014/issue/special/manuscript/20701/show.html

抗凝固薬のリスク予測における複合リスクスコアと複合エンドポイントについて
http://www.schattauer.de/en/magazine/subject-areas/journals-a-z/thrombosis-and-haemostasis/contents/preprint-online/january-23-2014/issue/special/manuscript/20726/show.html

NOACの一般的特性とサブ解析外観
http://www.schattauer.de/en/magazine/subject-areas/journals-a-z/thrombosis-and-haemostasis/contents/preprint-online/january-23-2014/issue/special/manuscript/20727/show.html

【Circulation誌】
心房細動におけるShared Decision Making
http://circ.ahajournals.org/content/129/6/704.extract

### 個人的にはLip先生らの患者の好みについての言説、そしてCirculationの心房細動の意思決定についてのレビューにかなり食指が動きますねえ。
早急に読みます。。
by dobashinaika | 2014-02-19 00:09 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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