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ビタミンK依存性凝固因子製剤(4F-PCC)はワーファリンによる出血の中和に有効

Circulation 8月9日付オンライン版より

Efficacy and Safety of a Four-Factor Prothrombin Complex Concentrate (4F-PCC) in Patients on Vitamin K Antagonists Presenting with Major Bleeding: A Randomized, Plasma-Controlled, Phase IIIb Studydoi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.113.002283

【疑問】ビタミンK阻害薬(VKA)関連の大出血時、4因子プロトロンビン複合体製剤(4F-PCC)は血漿に比べてアウトカムはどうか?

P:VKA服用中の大出血患者;第IIIb相試験、オープンラベル、非劣性、非手術時

E:4F-PCC:98人

C:血漿:104人

O:24時間以内の止血効果。静注後30分でのINR1.3以下の割合

【結果】
1)ベースライン平均INR:4fPCC群3.90(1.8〜20.0)。血漿群3.60(1.9〜38.9)

2)効果的止血:4F-PCC群72.4% vs. 血漿群65.4%=非劣性あり: (difference 7.1% [95%CI: -5.8;19.9])

3)迅速なINR低下:4F-PCC群62.2% vs. 血漿群9.6%=優越性あり: (difference 52.6% [95%CI: 9.4;65.9])

4)静注後0.5〜3時間での凝固因子活性は4F-PCCの方が血漿より高い」p<0.02

5)安全性(重大事象、血栓塞栓イベント、死亡)は同等

【結論】
4F-PCCは、VKA治療中の大出血時中和において、出血およびINRの点から見て、血漿に変わる効果を持つ

### FFPは輸注量が多くなるので、ビタミンK依存性凝固因子のみの製剤のほうが少量、迅速、かつ有効である可能性が示唆されてきたわけですが、それを割付試験で初めて示した研究と言えます。

関連ブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/17959836/
by dobashinaika | 2013-08-30 19:36 | 抗凝固療法:中和方法 | Comments(0)

ダビガトランについての文献リンク集

文献リンク集の第2弾。
ダビガトランについての文献です。

RE-LY試験とそのサブ解析をまとめました。

【RELY試験】
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0905561
Wiki Journal Club
抗血栓トライアルデータベース

【CHADSスコア別】
http://annals.org/article.aspx?articleid=1033155

【日本人サブ解析】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/75/4/75_CJ-11-0191/_article

【2次予防】
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S147444221070274X

【患者タイプ別出血(年齢、CCR、性別、体重、薬剤併用)】
http://circ.ahajournals.org/content/123/21/2363.long

【カルディオバージョン】
http://circ.ahajournals.org/content/123/2/131.long

【ワーファリンナイーブ】
http://circ.ahajournals.org/content/122/22/2246.long

【TTR別】
http://www.medicine.wisc.edu/~williams/dabigatran_warfarin_2010.pdf

【頭蓋内出血】
http://stroke.ahajournals.org/content/43/6/1511.long

【周術期】
http://circ.ahajournals.org/content/126/3/343.long

【抗血小板剤併用】
http://circ.ahajournals.org/content/127/5/634.long

【虚血性心疾患】
http://circ.ahajournals.org/content/125/5/669.long

【RELY ABLE】
http://circ.ahajournals.org/content/128/3/237.long

【アジア人】
http://stroke.ahajournals.org/content/44/7/1891.long

順次追加していきます。
by dobashinaika | 2013-08-29 16:10 | 心房細動:重要論文リンク集 | Comments(0)

日経メディカルオンライン連載「レートコントロールの目標は本当に80/分未満でいいのか?」更新しました

担当させていただいております日経メディカルオンライン連載”プライマリケア医のための心房細動入門”を更新致しました。

第13回「レートコントロールの目標は本当に80/分未満でいいのか?」です。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/odakura/201308/531899.html
(無料登録要)

レートコントロールは簡単なようで難しいです。
ただβブロッカーをこまめに切り分けて使うと、結構うまくいったりします。
その辺り、ご参考になれば幸いです。

次回はカテーテルアブレーションについて掲載の予定です。
by dobashinaika | 2013-08-28 08:40 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

心房細動脳塞栓予防におけるXa阻害薬についてのコクランレビュー

Cochrane LibraryでXa阻害薬に関するレビューが8月8日付で掲載されています。
大切な記事ですのでアブストラクトを要約します。

Factor Xa inhibitors versus vitamin K antagonists for preventing cerebral or systemic embolism in patients with atrial fibrillation

【選択基準】
Xa阻害薬とビタミンK阻害薬(VKA)の直接比較RCT。4週以上追跡。脳卒中既往の有無問わず

【結果】
1. 概要
1. 42,084人、10試験。INR2-3目標
2. 用量調節したワルファリンとapixaban, betrixaban, darexaban, edoxaban, idraparinux, rivaroxabanの6薬剤の比較試験あり
3. 二重盲検;4試験。部分的盲検:5試験。オープンラベル:1試験。追跡期間中間値12週〜1.9年

2. 有効性(脳卒中/全身性塞栓)
1. Xa阻害薬の対ワーファリンオッズ比0.81(072〜0.91)
2. 虚血性及び出血性脳卒中:オッズ比0.78(0.69〜0.89)、全身性塞栓:オッズ比0.53(0.32〜0.87)

3. 大出血
1. オッズ比0.89(0.81〜0.98):非均一性高い(I² = 81%) 、ランダム効果モデルでは有意差なし
2. オープンラベル試験を除くオッズ比0.84(0.76〜0.92):中等度の非均一性
3. Indraprinuxを用いたオープンラベル試験では大出血率が増えたこと、ベースラインリスクが違うことが非均一性に影響

4. 頭蓋内出血(8試験)
1. オッズ比0.56(0.45〜0,70):非均一性はあり
2. オープンラベル試験を除くオッズ比0.51(0.41〜0.64):非均一性なし

5. 死亡(6試験)
1. オッズ比0.88(0.81〜0,97)

【結論】Xa阻害薬はワーファリンに比べて、明らかに脳卒中/全身性塞栓を減らす。大出血、頭蓋内出血も減らす(大出血のエビデンスは強固さにやや欠けるが)。現時点は、head-to-headの比較がない以上、心房細動患者の長期抗凝固療法において、どのXa阻害薬がより有効で安全かに関する決定的なエビデンスはない。

これに対するEditorial ではいくつかの注意点が指摘されています。
1)非常に良質に組織された抗凝固クリニックではVKAはNOACと同様の有効性、安全性を示す。
2)抗凝固クリニックへの受診が少なくなることが、コンプライアンスの低下につなが恐れあり
3)中和薬無し
4)費用対効果の面で、incremental cost effectiveness ratios (ICERs)は高い

### betrixaban, darexaban,idraparinuxのデータも加味したシステマティックレビューです。いちいち納得の結果とエディトーリアルコメントです。結論に全てが集約されていますね。
by dobashinaika | 2013-08-27 22:32 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

各新規抗凝固薬の大規模試験リンク集

今日は、ちょっと論文を読む時間がありませんでしたが、最近新規抗凝固薬の比較についての論文を続けて読んだので、改めて原著に当たろうと思い、ブログにアップしおけばいつでもアクセスできると考え、整理してみました。

ブログはこういう時便利です。Dropboxに入れていても瞬時にアクセスしたいとなると、webサイトに直リンクしていたほうが速いですね。

ということで必要のある方はご利用いただければ幸いです。
今日はとりあえず大きな論文だけ

RE-LY試験
Wiki Jourbnal club
抗血栓療法トライアルデータベース

ROCKET AF試験
Wiki Jourbnal club
抗血栓療法トライアルデータベース

J-ROCKET AF試験
抗血栓療法トライアルデータベース

ARISTOTLE試験
Wiki Jourbnal club
抗血栓療法トライアルデータベース

AVERROES試験
抗血栓療法トライアルデータベース

J-RHYTHM Registry
抗血栓療法トライアルデータベース

J-RHYTHM target INR value:J-RYTHM RegistryにおけるINRとアウトカムの関係
抗血栓療法トライアルデータベース

FUSHIMI AF Registry


ゆくゆくサブ解析も載せていきます。
by dobashinaika | 2013-08-26 23:55 | 心房細動:重要論文リンク集 | Comments(0)

アジア太平洋不整脈学会のステートメントにおける各抗凝固薬の推奨度の違い

アジア太平洋不整脈学会(APHRS)のホームページに抗凝固療法に関するステートメントが掲載されています(7月4日掲載)。
http://www.aphrs.asia/news_images/2013_08/APHRS-No.8-final.pdf

日本、韓国、台湾、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、マレーシア、インドネシアの9カ国からなるガイドライン作成委員会によるものです。要約いたします。

1)CHA2DS2-VAScスコアが使われるべき
・患者を3群に分ける
CHA2DS2-VAScスコア2点以上、1点、0点
・2点以上は抗凝固療薬(NOADCまたはワーファリン)
・1点はリバーロキサバンを除くNOAC
・0点は無治療
・リバーロキサバンはROCKET-AF試験でCHADS2スコア2点以上のみ対象としていたので、CHA2DS2-VAScスコア2点の場合は代替治療として考える

2)原則としてCHA2DS2-VAScスコア2点以上または1点の患者においてはどのNAOCも使われるべき
・ワーファリンはCHA2DS2-VAScスコア2点以上で処方されうる
・1点に対してはワーファリンは任意である:CHADS2スコア1点に対しては34%の医師がワーファリンが処方されているという調査に基づく
・ワーファリンは以下の患者に使用されるべき
  A. 機械弁、リウマチ性弁膜症症
  B. 適切なINR管理と出血合併症なし
  C. 75歳以上:低用量ダビガトランに置き代わる可能性あり

3)適切なINR
・日本のガイドラインは70歳以上で1.6〜2.6を推奨。
・これはオーストラリア、ニュージーランドを除くアジア太平洋の実情と大きく変わらない
・70歳以上は1.6〜2.6を推奨する
・TTR60% 以上が基本

4)原則として抗血小板薬は推奨しない
・以下の患者は併用可
   A. 抗凝固薬のコンプライアンス良好にもかかわらず血栓塞栓症発症
   B. 非心原性脳梗塞またはTIAの既往があり抗血小板薬が必要な場合
   C. 虚血性心疾患合併
   D. ステント患者

5)出血リスクのある手術や手技の場合
・手術手技前2日間のダビガトラン休止または5日間ワーファリン中止及び翌日からの再開は、ヘパリンブリッジなしであっても血栓塞栓症リスクは低い(0.5%)

6)ワーファリンからNOACへの切り替え
・TTR65%以上であれば、ワーファリンはダビガトラン150mgx2と同等の脳卒中予防効果あり
・ダビガトランは頭蓋内出血リスクは低いが消化管出血はワーファリンの2倍
・ワーファリン管理良好で出血合併症のないケースではワーファリンからNOACに変えなくて良いかもしれない

7)発作性心房細動
・発作性の脳卒中リスクは持続性と同等
・持続性と同様の抗凝固療法が必要

8)待機的除細動時
・国際的ガイドラインでは除細動前3週間、後4週間のワーファリン
・NOACのエビデンスなし
・RELYのサブ解析では、ダビガトラン内服例では除細動後最初の30日間の血栓塞栓症率は低い

9)費用対効果など
・ワーファリンは1日3mgとして、日本円で30円。ダビガトラン、リバーロキサバンは約500円
・これは患者の大きな経済駅負担となる
・コストベネフィット、ワーファリン治療の問題、脳卒中、出血リスクの軽減を考慮して選択せよ
・NOACの中和薬なし。このことに十分留意してほしい

サマリー
a0119856_0213010.png


### 大きな特徴は2つかと思います。
1)CHA2DS2-VAScスコアを採用している
2)CHA2DS2-VAScスコアごとにNOACの差別化をしている


これまででたアメリカ、カナダ、ヨーロッパのガイドラインはNOACの差別化はしていませんでした(ACCF/AHA/HRSは発表時期の関係からダビガトランのみ)。リバーロキサバンが1点の場合alternativeとなっているところが目を引きます。

ちょっと気になるのは、「リバーロキサバンではCHADS2スコア2点以上のデータしかない」というのがCHA2DS2-VAScスコアで2点以上では推奨だが1点でalternativeとなった根拠になっているところです。実際はCHADS2スコア1点の場合、CHA2DS2-VAScスコアで1〜4点まで取る可能性があり。CHADS2スコア1点でCHA2DS2-VAScスコア2点以上(例:76歳、女性、血管疾患で他のリスク無し:そういう人は珍しいですが)のひとはROCKET-AFでは組み入れられていないはずです。ちょっと細かいことで申し訳ありません。

NOAC3剤の使い分けですが、折にふれて述べていますが、私は医療行為の意思決定はクリニカルエビデンス、患者の好み、医師の専門性の3要素(場合により社会的制約を入れて4要素)をうまく重み付けしながら患者さんと共通基盤を探ることが肝要と思います。

3つのNOACにはそれぞれ大規模試験があり、いずれもそれぞれ共通の敵ワーファリンを対照群としています。共通の敵を挟むという意味で、多くの間接比較の論文が出ていますし、前日ブログでアップしたCJCのレビューで、その使い分けの実際が細かく記載されています。
http://dobashin.exblog.jp/18380281/

ワーファリンを内服する集団自体の背景が各試験で異なりますので、うかつにはこっちよりこっちがいイイとはいえませんが、それでも使い分けを考えたいという場合には、こうしたレビューはある程度ためになります。

世の中に多製品が存在する薬剤分野は降圧薬、糖尿病薬などなどあまたありますが、少なくともたとえばARBやDPP4阻害薬の使い分けがその薬剤特性でしか考えることができない状況とは異なり、むしろトロンビン阻害とXa阻害という薬剤特性をもとにした優劣は不明ながら、一応共通の敵ワーファリンを介してのエビデンス的な間接比較を想定し得るという意味では、”恵まれている”かもしれません。

とはいえ、それでも現時点では、そうした使い分けは強固なエビデンスに基づくものではなく、「医師の好み」あるいは「スタイル」に近いレベルの選好性しか持ち得ないことは確認しておきたいと思います。
今回のステートメントは、エビデンスに力点をおいたAPHRSの「推奨」ですが、一方患者さんの好み、医者の専門性を加味した場合、やはり直接比較試験がない以上、この2要素を覆すまでのエビデンスとまでは成り得ていないように思われます。

たとえばエビデンス的にあるNOACを推したとしても、患者さんがこちらがいいという場合、または医者がモニタリングや処方方法に慣れていてこちらにしたい場合、そのインセンティブを覆してまでやっぱりこっちを飲みましょうといえるほどに強い比較のエビデンスがあるわけではありません。少なくともワーファリンよりNOAC推しとするインセンティブよりは3NOAC間の推し分け理由は弱い。
今のところ、その程度のスタンスで考えておけばよいのではと思います。もう少しいろいろわかってくるまでは。
by dobashinaika | 2013-08-25 00:30 | 抗凝固療法:比較、使い分け | Comments(0)

ワーファリン管理と脳塞栓後の障害度との関係

Stroke 8月20日付オンライン版より

Intensity of Anticoagulation and Clinical Outcomes in Acute Cardioembolic Stroke
The Fukuoka Stroke Registry
doi: 10.1161/ STROKEAHA.113.002523

【疑問】INR管理状況で、脳塞栓のアウトカムは変わるか?

P;ワーファリン服薬下にもかかわらず心原性脳塞栓を起こした602例:Fukuoka Stroke Registry

E/C:入院時INR:<1.50 (n=411)、1.50〜1.99 (n=146)、2.00≦ (n=45)の3群

O:神経学的障害(入院時):National Institutes of Health Stroke Scale (NIHSS)≥1または身体機能低下(退院時):modified Rankin scale (mRS) 4–6

【結果】
1)入院時INRが高いほど、NIHSS, mRSとも良好

2)重症な神経学的障害;INRと反比例:1.50〜1.99(対1.50未満オッズ比0.66)2,0≦(オッズ比0.41)

3)身体機能低下はINR2.0囲繞では少ない:オッズ比0.20

【結論】
INR2以上は、急性心原性脳塞栓後の良好なアウトカムと関係あり

### 九州大学中心の登録研究。アブストラクトだけですみません。INRが低いと血栓の大きさも大きいので、大きな梗塞を作ると解釈してよいのでしょうか。
しかし非常に興味深い論文ではあります。

1割以下の頻度ですがINR2以上でも脳塞栓をきたすことにも注目です。

個人的にはINR低値の方はやはり高齢者が多かったのか、INR2以上の方で心原性脳塞栓を起こす場合は他のどのような因子が絡んでいるのか(血圧など)知りたいところです。全文読んだらアップします。
by dobashinaika | 2013-08-23 18:53 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

日経メディカルの「3分で分かる心房細動アップデート」

日経メディカル8月号の特集は「誰もが診る心房細動」です。
その内容が日経メディカルオンラインで紹介されています。

大変コンパクトにまとまっていて、現段階での心房細動診療を概観するのに役立つと思われます

Vol1. 3分で分かる心房細動アップデート

Vol2. 脈拍と心電図で無症候患者を拾い上げ
外来で心房細動をどう診断する?


Vol3. 65歳以上なら抗凝固薬で脳梗塞予防
抗凝固療法の適応をどう見極める?


Vol4. 主軸は新規抗凝固薬、腎機能に注意
抗凝固薬4剤をどう使い分ける?


私も取材を受け考えを述べさせていただきました。
岩田健太郎先生の「感染症の事件簿」をたまたま読んでいたところ、診療方針には「スタンダード」「(ガイドラインの)推奨」「スタイル」の3つがあるというようなことが書かれていました。
なるほど、例えば現時点ではCHADS2スコア2点以上の抗凝固薬は「スタンダード」1点以上なら「推奨」でしょう。CHADS2スコア1点にNOACは「推奨」、65歳以上に必ず脈をとるは「推奨」される以前の「ベーシック」かもしれません。

私の抗凝固薬の適応「私案」は「スタイル」に近いかもしれません。確固としたエビデンスがあるわけではありませんが、65歳未満で軽症高血圧は急がずともよい、という立場です。NOAC3剤の使い分けも今のところ「スタイル」と「推奨」の中間位かもしれません。

ご参考になれば幸いです。なお無料登録が必要です。
by dobashinaika | 2013-08-22 22:03 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

ワーファリン管理が良好でも抗血小板薬2剤併用では出血リスク高い:茨城の登録研究

Circulation: Cardiovascular Interventions. 8月13日付オンライン版より

Triple Antithrombotic Therapy Is the Independent Predictor for the Occurrence of Major Bleeding Complications
doi: 10.1161/ CIRCINTERVENTIONS.113.000179


【疑問】ワーファリン+抗血小板薬2剤併用時ワーファリン管理が良好であれば出血は少ないのか?

P:Ibaraki Cardiovascular Assessment Study registryに登録され、抗血小板薬2剤併用のPCI施行患者2648例(平均70歳)。25ヶ月フォロー

E:ワーファリンあり:182人7%

C:ワーファリンなし

O:大出血、心、脳血管イベント、全死亡

【結果】
1)大出血:48人2%、心、脳血管イベント:484人18%、全死亡206人8%

2)ワーファリン併用(トリプルテラピー)の大出血ハザード比:7.25(3.05-17.21,P<0.001)

3)TTR(Time in TherapeuticRange)は大出血率に関係なし;大出血例83%vs.非出血例75%

4)大出血発現時のPTINR;平均3.3±2.1

5)トリプルテラピーは全死亡、脳卒中の予測には寄与しない

【結論】
トリプルテラピーはTTRにかかわらず出血を増やす

### 筑波大学を中心とした登録研究です。

TTRの評価では出血予測には限界があるということでしょうか。TTRだけではINRが突出して高くてもその期間が短い場合は過小評価しやすいと思われます。

トリプルでもINRを低めに抑えておけば少しはいいのではと思いがちですが、それもこの論文を読むと怪しい気になってきます。やはりトリプルテラピーをすること自体がリスクであると考えるべきだと思われます。
by dobashinaika | 2013-08-21 18:30 | 抗凝固療法:中和方法 | Comments(0)

ダビガトランのモニターは何が良いのか?:T/H誌より

Thrombosis and Haemostasis 7月25日 エディトリアルフォーカスより

Dabigatran monitoring made simple? 
http://dx.doi.org/10.1160/TH13-07-0576


以前アップしたダビガトランのモニターに関する論文に対する
マクマスター大学のEikelboom先生によるエディトリアルコメントですが、
ダビガトランのモニター法に関する総説となっているのでアップします。
元論文はこちら
http://dobashin.exblog.jp/18242934/

・手術時、急性脳梗塞への血栓溶解療法、腎機能低下例などではダビガトランのモニターが必要

【どのようにして抗凝固活性を測定するか?】
・aPTTは、PTより延長する
・aPTTは血中濃度依存的だが200nb/ml以上ではプラトーに達する
・トロンビンタイムは非常に感度が良ク、低濃度でも明らかな上昇を示す
・トロンビンタイム測定前の血漿の希釈は、感度を鈍らせる
・ヘモクロットアッセイはこの減少を利用したもので、検査前血漿を8倍希釈して検査する
・血中濃度は測定機を使って構成された標準カーブにより算出される
・この方法は迅速で簡単だが、ヘモクロットアッセイは特殊な凝固ラボでしか使えないしアメリカでは許可されていない
・エカリン凝固時間は血中濃度決定にも使われるが、ヘモクロットアッセイほど普及していない

【リアルワールドではどうしたらよいか?】
・Hapgoodらの論文ではヘモクロットアッセイを75サンプルで実施
・4つの試薬で血中濃度とaPTTTが相関
・90〜180ng/mlで良く相関(治療域としてデザインされている)
・トロンビンタイムも相関あり
・トロンビンタイムは60以上では著明に延長

【血中濃度90〜180は本当に治療域としてよいのか?】
・この値はダビガトラン150㎎x2服用者のピークとトラフのそれぞれの中間値を反映
・110mgx2では65〜130に相当
・中間値ということは半分の患者はピーク値、トラフ値より高いか低いということになる
→このことはaPTT値の解釈を複雑化される
・それ故90〜180を治療域と考えることはできない。

【この研究から学ぶことはなにか?】
・著者が述べているように試薬により反応の違いがある
・各施設の試薬の感度を特定すべきである
・試薬のロット番号は変わるときは常に、へパリンに対する臨床的抗Xaレベルが決定されるのと同じようなプロセスで決められるべき
・このためにHapgoodらが示したようなサンプリングが必要かどうかは不明
・ヘモクロットアッセイの普及は、キャリブレーションの能率化の他に、ダビガトラン血中濃度を決定する際の不確定性を除去することにつながる
・コストの問題から多くのラボでは、測定法のレパートリーを広げたくない。

【術源などはどうすべきか?】
・Hapgoodらは手術やインターベンション前は、aPTT,TTが正常化するまでダビガトランを中止するように進めている
・これはいいのか?TTの正常化はaPTTより数日遅れる。すると血栓リスクの時間を長引かせる
・多くの手術は血中濃度50以下なら可能。このレベルではほとんどがPTTも正常レベル
・APTTが正常域であることがダビガトランの活性が残っていないと考えて良い
・高出血リスクの手技に限って、aPTT、TTとも正常化するまで中止することが賢明

【まとめ】
・NOACのモニタリングは発展中の科学
・Hapgoodらの論文は長い道のりのワンステップ
・血中濃度測定はファーストステップにすぎない
・低ダビガトランレベルを血栓リスク、高レベルと出血リスクの関係を規定することが必要。それによりダビがgとランの治療域が真に決まることになる
a0119856_1994841.png


### 最後のまとめが全てでしょう。この表が役に立ちます。乗りかかった船で全文訳してしまいました。そこまで意味があったかちょっと後悔していますが。。。
by dobashinaika | 2013-08-20 19:12 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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