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日本の専門施設でのワーファリン管理状況と脳卒中:J-RHYTHM Registry

Circulation Journal 5月25日付オンライン版より

Target International Normalized Ratio Values for Preventing Thromboembolic and Hemorrhagic Events in Japanese Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation.
–Results of the J-RHYTHM Registry –
–http://dx.doi.org/10.1253/circj.CJ-13-0290


【疑問】日本におけるワーファリンのコントロール状況と脳梗塞や出血などのアウトカムとの関係はどうか?

P:日本の専門施設で登録された非弁膜症性心房細動7527例

E/C:ベースラインのPT-INRにより≤1.59, 1.6-1.99, 2.0-2.59, 2.6-2.99, and ≥3.0、およびワーファリンなしの6群に分類

O:一時エンドポイント=血栓塞栓症イベント(脳梗塞、TIA、全身性塞栓症)+大出血(入院を要する)

【結果】
1)血栓塞栓症イベント(2年間)
   上記各群:2.0, 1.3, 1.5, 0.6, and 1.8%+ワーファリンなし群3.0%。各P=0.0059

2)出血イベント(2年間)
上記各群:1.5, 1.8, 2.4, 3.3, and 4.1%+ワーファリンなし群0.8%。各P=0.0041

3)この傾向は70歳以上でも同じ
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【結論】1INR1.6~2.6は、特に70歳以上の非弁膜症性心房細動の血栓塞栓症イベント予防において安全で効果的。2.6〜2.99も効果的だが、大出血のリスクをやや増加させる。

### これまでいくつかの学会などで発表されてきたJ-RHYTHM Registryの論文化です。

まず注意すべき点は層別化に使われているPT-INRは登録時のワンポイントのデータであるということです。追跡期間を通じでこの数字が維持された保証はなく、またTTRは不明です。それとINRを測定する際の試薬の統一がなされていたかどうかも記載がないので不明です。試薬のISIでデータはだいぶ変わる可能性があります。

それを差し引いて考えても70歳以上では1.6〜2.6で良いというのはある程度検証されているように思います。またこの年齢層では2.0以上になると出血リスクが多くなる印象があります。

70歳未満での1.6〜2.6で良いとの結果も見たかったのですが、この層ではイベント発生率そのものが小さくて比較にならないようです。1.6〜1.99の層が特に塞栓症が多いわけでも無さそうですし、2.6〜2.99で出血が多い傾向も無さそうです。1.6〜2.6にしておいて2.7〜2.8くらいでもOKくらいの印象です。

登録研究ですので、このくらいの大雑把なことが言えればいいのではないかと思います。厳密には前向き研究が必要ですが、NOAC新興期〜浸透期に入りなかなかトライアルも困難かもしれません。

個人的には、CHADS2スコア1点層で日本のきめ細かいワーファリンコントロール下でINR1.6〜2.6をめざす群と、NOACとのガチンコを期待したいです。
by dobashinaika | 2013-05-29 19:56 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

若年者糖尿病には心房細動が原因の無症候性脳梗塞が多いか?

JACC5オンライン版より

Brief episodes of silent atrial fibrillation were associated with an increased risk of silent cerebral infarct and stroke in type 2 diabetic patients
doi:10.1016/j.jacc.2013.02.091


【疑問】60歳未満の糖尿病患者に見られる無症候性脳梗塞には、無症候性(潜在性)の心房細動が関与しているのではないか?

E:60歳未満の2型糖尿病患者464人

C:マッチングした糖尿病なしの患者

O:MRIによる無症候性脳梗塞の検出。脳梗塞イベント

T:観察研究。37ヶ月追跡。年4回48時間ホルター心電図による心房細動(48時間未満)の検出。

【結果】
1)無症候性心房細動:糖尿病群9%vs. 非糖尿病群1.6%, P<0.0001

2)脳梗塞イベント:糖尿病群43人vs. 非糖尿病群0人

3)糖尿病群の無症候性心房細動患者(n=176)は、心房細動のない人に比べ無症候性脳梗塞発症率が高い(61% versus 29%, P<0.01)。脳梗塞イベント率も高い(17.3% versus 5.9%, P<0.01)。

4)無症候性心房細動は無症候性脳梗塞の独立予測因子(OR 4.441, P<0.001 C.I=2.42 to 8.16)。かつ脳梗塞イベントの独立予測因子(HR, 4.6; P<0.01 C.I 2.7-9.1).

【結論】無症候性脳梗塞は2型糖尿病患者では頻繁に起きており、無症候性脳梗塞と脳梗塞イベントのリスク増加に、明らかに関係する

###心房細動が見つかった方の20〜30%に、無症候性心房細動があると言われていますが、これまで見つかっていなかった人でも糖尿病であれば1割の人に無症候性心房細動があるとのことです。しかも60歳未満です。しかも年4回の48時間心電図とはいえ、ホルター心電図での評価です。私は、この数字かなり多いと思います。

しかもこの内61%はMRIでしかわからない脳梗塞になっている。本物の脳梗塞も17.3%ある。

観察研究ですから、盲検でもなく、MRIの診断などでバイアスは入るかもしれませんが、心房細動の診断数値は間違え用がないと思われます。

糖尿病の方を見たら、若い方でもこまめに脈を取り、一応ホルターは年1キア程度考えたほうがいいかもしれません。

これを持って抗凝固薬を介入するかはまた別の問題ですが。
by dobashinaika | 2013-05-28 16:29 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

日経メディカルオンライン連載「〜、リズムコントロールか、レートコントロールか?」更新しました

日経メディカルオンラインの連載・プライマリケア医のための心房細動入門ノ第11回を更新しました。

今回は「発作を繰り返す患者には、リズムコントロールか、レートコントロールか?」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/odakura/201305/530506.html

心房細動には意思決定が難しい3重要問題があります。
1つは抗凝固療法をするかしないか
2つ目はリズムコントロールかレートコントロールか
3つ目はカテーテルアブレーションを受けるか
です。

どれもこれも、ハイリスクハイリターンの課題であり、なかなか意思決定は一筋縄ではいきません。

以前から臨床上の意思決定を行う際は、今回の連載の図1に示す捉え方、すなわちその医療行為の禁忌をおさえた上で、EBMの3要素であるエビデンス、患者の好み、医師の専門性を同時に総合的に考えるというフレームワークを提案しています。
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それぞれがカテゴリーミスマッチです。
「科学的、数値的な証拠」と「患者の好き嫌い、感情世界」は相容れる領域ではありません。「患者世界」と「医師世界」のすり合わせも困難です。原理的に「総合的に」考えるのは不可能なのですが、それをしなければならないのが日常臨床です。それをどうするかを知りたい、と言われても困るのですが。

本当は、この3つは同じ一つの医療の流れの中にある別な面を見ているのにすぎないのかもしれません。この様に二項対立あるいは三権分立させることが本当に良いことかはわかりません。便宜的な考え方の整理としてとりあえずは使えるかと思います。
by dobashinaika | 2013-05-27 20:09 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

第7回日本心臓ペースメーカー友の会宮城県支部勉強会

本日は第7回日本心臓ペースメーカー友の会宮城県支部勉強会に出席して参りました。同会は震災の年に休んだだけで、設立以来約8年間、参加者も着実に増え充実した活動を行なっています。

本日は「心房細動について」との演題でレクチャーさせて頂きました。ペースメーカー患者さんは、心房細動を合併しておられる方が多いせいか、皆さん熱心にメモをとられ、その後の質問も多く、関心の高さを伺わせました。

ペースメーカー患者さんは、徐脈のことに目が向きですが、特に洞不全症候群の方は、手術後に心房細動を合併していくるケースも多いですので、それについての学習も必要に思いました。

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by dobashinaika | 2013-05-26 22:45 | ペースメーカー友の会 | Comments(0)

落語でわかる心房細動と脳梗塞

ネットで心房細動についての落語!を見つけました。
http://www.qlife.jp/square/feature/apoplexy/story34849.html

落語の中に抗凝固薬の飲み方、注意事項をかなり網羅しており、感心しました。
抗凝固薬を飲んでいる方、これから飲もうとしている方には、心房細動について、楽しみながらわかる落語ではないかと思います。

ただし、抗凝固薬のリスクのことはあまり触れられていませんので、医師からの説明も当然必要ですし、「長谷川さん」が新規抗凝固薬の良さを強調されていましたが、言い尽くされていない各薬剤の長所短所があるので、その点もよく医師と吟味して決めることは必要かと思われます。



by dobashinaika | 2013-05-25 19:23 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

抗凝固療法を中止せずにペースメ—カーやICD手術を安全に行えるか?:NEJMより

NEJM 5月9日付けオンライン版より

Pacemaker or Defibrillator Surgery without Interruption of Anticoagulation
DOI: 10.1056/NEJMoa1302946


【疑問】抗凝固療法を中止せずにペースメ—カーやICD手術は可能か?

P:年間5%以上の血栓塞栓リスク(CHADS2スコア2点以上を含む)を有し、ワルファリンを服用し、ペースメーカーまたは植込み型除細動器(ICD)が必要な患者681人:心房細動患者80%以上。カナダの17施設とブラジルの1施設からの登録

E:ワルファリン継続

C:ワルファリン中断後ヘパリンブリッジ

O:植え込み部の血腫(入院期間延長、抗凝固療法中止、追加手術のいずれかが必要なもの)

【結果】
1)データ安全性監視委員会が、2度目の中間評価の後に試験中止を勧告

2)手術当日のINRは、ワルファリン群は2.3(2.0~2.6)ヘパリン群が1.2(四分位範囲は1.1~1.3)(P<0.001)

3)植え込み部血腫:ワルファリン群343人中12人(3.5%)vs.ヘパリン群338人中54人(16.0%)

4)ワルファリン群の相対リスク:0.19(95%CI0.10-0.36、P<0.001)

5)2次評価指標(全死因死亡、各部位の血栓塞栓症、脳卒中、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、表層創感染など):周術期の抗凝固治療に対する患者の満足度を示すスコアはワルファリン群で有意に高かった(P<0.001)

【結論】ペースメーカーやICD植え込み時、ヘパリンブリッジに比べワルファリン継続歯科での手術施行は、植え込みポケットの血腫を明らかに減少させた。

###かなり劇的な違いです。ワルファリン継続だと血腫は3.5%。ヘパリンブリジだと16%。

直感的にはワルファリン止めてヘパリンにして、術当日はヘパリンもやめて、のほうが出血は少ないようにお思われます。

筆者らの説明としてはワルファリン投与下のほうが、術中の止血を十分行うから、というものです。

介入の性格上盲検にはできませんので、止血方法やその入念さにバイアスの入り込む余地があります。また筆者も述べているように「血腫」というアウトカムが主観的である点もlimitationとなります。

ヘパリンブリッジの無根拠性は、これまで多くの指摘があります。
http://dobashin.exblog.jp/16019462/

ローリスクの患者はどうするか。INRをどの程度に保つか、日本人ではどうか、などの疑問が派生しますが、今後現場にインパクトを与えそうな知見ではあります。
by dobashinaika | 2013-05-24 23:25 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

自分にとってのデータベースとしてのブログ

数年前から始めたブログですが、2011年1月から大体月20〜25回ペースで更新してきています。心房細動の各種情報を紹介することも目的ではありますが、ブログをはじめた当初の一番の目的、そして今でも大きなウェイトを占めている目的は、自分にとってのデータベースの構築です。

自分で論文や医学情報を調べて、感想を付けてネット上に保管しておくと、後で患者さんの目の前の問題に遭遇した時、原稿やスライド作成するとき、大変便利です。しかも自分でまとめたものを引用するという行為は大変快感です。実際そのような目的でブログを作成している人も少なくないようです。
(その分、内容の不正確さを問われると心もとない面はあります。何分ご容赦ください)

と、前置きしておいて、とりあえず読みたいけれど、ちょっと時間がないので最近気になっているがアップできていない論文を備忘録として置いておきます。

抗凝固療法中断をしないペースメーカー、ICD手術
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1302946

プライマリケアでの虚血性脳卒中リスク予測としてのQStroke
http://www.bmj.com/content/346/bmj.f2573

心房細動、粗動合併例への異なるタイプのアブレーション
http://www.m3.com/pubmed/abstract?offset=59

Circulation Journalのアブレーションの長期効果に関するレビュー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/77/5/77_CJ-13-0298/_article

Lip先生の高齢者に対する抗凝固療法のレビュー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/77/6/77_CJ-13-0465/_article/-char/ja/

もっとたくさんありますが、とりあえず。
by dobashinaika | 2013-05-24 00:53 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

ペットを飼うことは心血管リスクを減らすのに合理的:Circulation誌より

今日は、ちょっと時間がないので、小ネタを
(CHA2DS2-VAScスコアをしのぐ"QStroke"が気になりますが、大物なので後回しにして、。。)

ペットを飼うことと心血管リスクに関するレビューがCirculationから出ています。

Pet Ownership and Cardiovascular Risk: A Scientific Statement From the American Heart Association
doi:10.1161/CIR.0b013e31829201e1


大雑把に要約

・ これまでペットを飼うことが心血管リスクの低減につながるとの報告が多いが、それついて概観する
・ 収縮期血圧を下げるという研究は、いくつかある
・ 血清脂質に影響することを示す研究は限定的
・ 犬を飼うことが、元も顕著に身体活動性に好影響を与える
・ 身体活動性を高めることにより肥満が解消されることが考えられる 
・ ペットを飼うことが行動変容の契機と維持においてサポートになる
・ 自律神経機能やストレスに対する心血管系の反応への好影響が多く報告されている
・ イヌ、ネコ以外に、ヤギ、魚、チンパンジー、ヘビでもそうした報告あり
・ 心血管リスクのない人における生命予後との関係に関する報告には乏しい
・ 心血管リスクのある人においては生命予後との関係を示す報告はある有名なCASTのサブ解析では、特に犬を飼わない人は飼う人の4.05倍の死亡率(1年間)であった

【推奨】
1.ペットを飼うこと、特にイヌを飼うことは心血管リスクを減らすために合理的である(推奨度IIb,エビデンスレベルB)
2.心血管リスクを減らす第一目的としてペットを決めたり、縁組したり、購入してはならない(推奨度III,エビデンスレベルC)

### なんとあの有名なCAST研究のサブスタディにもあったなんて知りませんでした。
家ではネコを買っていますが、癒し効果はかなりありますね。迷走神経が心地よく刺激されます。

ただヘビはどうなんでしょうか?かえってリスクが増える気が。。。

イヌを飼うことが良いとされていますので、今度購入を検討してみようと思います。あ、それはやってはいけないのね。
by dobashinaika | 2013-05-21 23:00 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

ワルファリン管理の質を予測するSAMe-TT2R2 スコア;Chest誌より

Chest 5月9日付オンライン版より

Factors affecting quality of anticoagulation control amongst atrial fibrillation patients on warfarin:The SAMe-TT2R2 (Sex female, Age less than 60, Medical history, Treatment strategy [rhythm control], Tobacco use [doubled], Race [doubled] score
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-0054


【疑問】ワーファリンコントロールに影響を与える因子はなにか?

【方法】
・AFFIRM研究の参加者をderivation群(誘導群)とinternal validation群(内的確認群)に無作為割付
・各種臨床評価項目(二値変数)とTTR(Time in therapeutic range)の関係を線形回帰分析により評価し、各変数のTTRカットオフ値に対する予測能を測定

【結果】
1)以下の9つの変数がTTRの独立した予測因子として規定された

2)女性 (p<0.0001), 50歳未満( p<0.0001), 50-60歳 (p=0.02), 少数民族 (p<0.0001) ,喫煙 (p=0.03), 2つ以上の合併症 (p<0.0001) , β遮断薬 (p=0.02), ベラパミル (p=0.02) ,アミダロン使用 (p=0.05)

3)SAMe-TT2R2スコアと命名

4)両コホートとも良好なc統計量(誘導群0.72 95%CI 0.64-0.795 、確認群 0.7 95%CI 0.57-0.82)

【結論】よくある臨床的因子がワーファリンコントロールの質に影響する。SAMe-TT2R2スコアでINR管理の質を予測可能。ワーファリンの良い適応(スコア0、1点)か、さらなる介入が必要かは(スコア2点以上)を予測できる。

### うーん、アルコール多飲、食事嗜好は入らないのでしょうか?あと、たとえば腎機能も。あとは几帳面な性格かどうかとか(これは評価しようがないか)。女性、若年者でTTRが良くない理由もわかりません。リズムコントロールだと、発作が少なければワーファリン服用が疎かになる可能性はあると思われます。

日常臨床からはややピンと来ない感じもします。略し方もちょっとしっくり来ない気も。。。全文読んでから再検討してみます。
by dobashinaika | 2013-05-20 22:52 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

「決められない患者たち」を読む

この週末は仙台国際センターで開催された第4回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会に参加しました。参加した方々には、最近の寒気が嘘のような、1年で一番気候の良い杜の都を味わっていただけだのではないかと思います。

学会の一番良い所は、世の中にはすげー人がいっぱいいる、おもしろい仕事もいっぱいある、このままじゃいけない、俺もやらなきゃ、と一瞬だけでも思わせてくれるところですかね。このモチベーションをどう日々引っぱってルーチンワークして行くかが、この歳になってみると大変難しいわけですが。

ただ、仙台で長年開業している先生や、最近開業した若手の先生にも出席の勧誘してたんですが、参加が少なかったように思いました。こういう層にもっと目を向けてもらえるといいですね。

そんなおり、学会の図書売り場で、なかなかに興味深い本を目にしました。
ハーバード大とベスイスラエル病院の2人の医師による「決められない患者たち」です。


私の最も興味あるところである医療行為についての患者と医師の意思決定についての深い洞察を読み取ることができます。

その第3章で心房細動の抗凝固療法のことがしっかり書いてあります。

・ 患者には「信じる者=Blievers」と「疑う者=Douters」の2種がある
・ 信じるものは抗凝固薬に前向きで、疑うものは出血に対するリスクを問題視する
・ 治療選択にはベルヌーイの式、すなわち
(結果の確実性)x(結果の有用性)=期待効用
のもっとも大きいものが、最も合理的な選択と言える
・ この式を心房細動に適用するのはとりわけ難しい。なぜなら「ある結果の起こる確実性」の正確な数値を個々人について得ることは不可能だから
・ 抗凝固薬のリスクと利益のデータは、通常こうした患者(高齢者、糖尿病、腎臓業、平衡異常をあえて除外した研究から得られたものだから

この最後の見解は以下の論文を参照しています。
Individualized Medical Decision Making:Necessary, Achievable, but Not Yet Attainable
Liana Fraenkel, MD, MPH; Terri R. Fried, MD
Arch Intern Med. 2010;170(6):566-569


心房細動のリスク評価はある程度、CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアが妥当であると思っていました。それは概ねそうなのでしょうが、出血に関してのリスクスコアは、正直こころもとないと思っています。まあCHADS2スコアにした所で、入院患者のデータで、5点、6点‥となるとnが少ない中での評価法なわけです。
そこをズバリついてくる記載です。
まだちょっとしか読んでおりませんので、読了したら、また紹介します。

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by dobashinaika | 2013-05-19 23:24 | リスク/意思決定 | Comments(5)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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