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心房細動の慢性化におけるリズムコントロール治療の効果

American Heart Journal 5月号より

Progression of atrial fibrillation in the REgistry on Cardiac rhythm disORDers assessing the control of Atrial Fibrillation cohort: Clinical correlates and the effect of rhythm-control therapyAm Heart J. 2012 May; 163(5):887-93.

最近発症の発作性心房細動の慢性化に対するリズムコントロールの関与についての国際的な登録研究

P:最近発症の心房細動、登録2137例。12ヶ月追跡。患者/医師による選択によって治療法を割り付け

E:リズムコントロール

C:レートコントロール

O:心房細動の進行=持続性/永続性心房細動への変化

結果:
1)1年後の心房細動進行:318例15%

2)心房細動進行例は、高齢、高い拡張期血圧、冠動脈疾患、脳卒中、TIAの既往、高血圧、心不全が多い

3)リズムコントロール群はレートコントロールのみの群より心房細動の進行は少ない(164/1542 [11%] vs 154/595 [26%], P < .001).。

4)心房細動進行の独立予測因子は心不全の既往(オッズ比2.2)、高血圧の既往(オッズ比1.5)、レートコントロール(オッズ比3.2)

5)propensity スコア補正後のレートコントロールに対するリズムコントロールの心房細動進行についてのオッズ比は3.3

結論:心不全や高血圧は心房細動進行に関連したが、リズムコントロールは進行リスク低減に関連した。

###  う〜ん、この試験の意味がよくわからないですね〜。リズムコントロールのプロトコールや使用薬剤(アミオダロン使用の有無)が不明ですが、一生懸命抗不整脈薬を取替え引っ変えやれば1年後の洞調律は、それはリズムコントロール群の方に分があるのは当然のような気がするのですが。

発作性心房細動のみを対象とした日本のJ-RHYTHM試験でも、1年後の心電図で洞調律だったのはリズムコントロール群88.9%、レートコントロール群69.2%でした。

又、両群の割付は現場で決めているので、より発作の頻度の多い人や症状の強い人には強力な抗不整脈薬が使われるといった任意性も考えられます。

発作性、持続性で脳塞栓発症率に変わりはないことはわかっているわけで、むしろQOLの違いをアウトカムにして欲しいところです。

それtも何か深い意味があるのでしょうか?
あ、年間慢性化率約15%ということはこれまでのデータ並み又ややや多いですが、参考になります。
by dobashinaika | 2012-05-31 22:23 | 心房細動:ダウンストリーム治療 | Comments(0)

ダビガトランおよびリバーロキサバンに対する中和薬の効果

Thrombosis and Haemostasis 5月25日早期公開版より

Effect of non-specific reversal agents on anticoagulant activity of dabigatran and rivaroxabanA randomised crossover ex vivo study in healthy volunteershttp://dx.doi.org/10.1160/TH12-03-0179

健常者を対象にしたダビガトランとリバーロキサバンの非特異的中和薬の効果の検討

【方法】
・対象:健常男性10名
・リバーロキサバン20mg、ダビガトラン150mg1回をランダムに投与。2週間ウォッシュアウトしクロスオーバーに2剤目服薬
・服薬前と2時間後に採血
・in vitroで静脈血にプロトロンビン複合体製剤(PCC)、遺伝子組み換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa:日本商品名ノボセブン)、第VIII因子インヒビター迂回活性複合体(FFIBA®)投与

【結果】
1)リバーロキサバンは内因性トロンビン産生能(ETP)、 lag-time およびtime to peakに影響を与えた
2)PCCはETP-AUCを強力に補正したが、rFVIIaは薬物動態パラメーターを修飾したのみだった
3)ダビガトランはトロンビン生成のlag-time およびtime to peakのみ特異的に作用した
4)PCCはETP-AUCを増加させたが、rFVIIaとFEIBAのみlag-timeを補正した
5)両薬において低用量FEIBAは興味深い中和作用を示した

【結論】幾つかの非特異的中和薬がリバーロキサバンとダビガトランの抗凝固活性を中和できることが明らかになった。しかし出血下での臨床的検討が必要で、こうした状況での綿密なリスクベネフィット評価が今後要求される。

### 以前のCirculationで類似論文が掲載されています。
http://dobashin.exblog.jp/13523873/

この時はリバーロキサバンのほうでPCCが効果あるとの結果でした。今回は血友病製剤のノボセブンやファイバなどが候補としてあげられているようです。

ノボセブンについては金沢大学のこのサイトがわかりやすいですね(前も触れましたが金沢大学のサイトは本当にためになります)
http://www.3nai.jp/weblog/entry/36043.html

こうした研究の積み重ねが、いつの日か、これだという中和薬を見出すのでしょうね。期待したいです。
by dobashinaika | 2012-05-30 23:22 | 抗凝固療法:中和方法 | Comments(0)

心電図のQRS幅は成人男性の心臓突然死の予測因子:フィンランドの一般住民コホート研究より

Circulation 5月21日早期公開版より

The Duration of QRS Complex in Resting Electrocardiogram is a Predictor of Sudden Cardiac Death in Men
doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.111.025577


一般住民コホート対象にした心電図のQRS幅が心臓突然死を予測しうるか否かの研究

P:フィンランドのKuopioの住民42〜60歳からランダム抽出し心電図を19年間フォローし得た男性2049人

E/c:心電図のQRS幅

O:心臓突然死

結果:
1)心臓突然死は156例

2)QRS幅の10msecの延長による突然死の相対リスクは1.27 (1.14-1.40)

3)QRS幅110msec以上の人(四分位最高位)は、96msec未満(最低位)の人より2.5倍の突然死率

4)上記データは、年齢、アルコール、心筋梗塞の既往、喫煙、収縮期血圧、コレステロール、CRP、糖尿病、BMI、運動で補正後

5)QRS幅に加え、喫煙、心筋梗塞の既往、糖尿病、運動、BMI、収縮期血圧、CRPは心臓突然死の独立危険因子


結論;QRS幅は心臓突然死の独立危険因子であり、一般住民の心臓突然死リスク評価に有用

### 心不全や心筋梗塞患者でQRSが生存率の予測因子であるとの報告は知られていますが、本論文は一般住民対象で、難しい検査ではなく、心電図のQRS幅のみで物を言っているところが特徴です。

QRS幅の延長は心室内の伝導障害を表してると考えられるので、心室性不整脈や心機能低下のサロゲートとになりうると考えられます。

ただし実際10mecの延長を体表面心電図で同定するのは、厳密な測定が要求されると思われます。 かなり根気のいる研究ですね。

QRS幅がやや広め、かつ上記の危険因子を持っている場合は、注意深く見る必要があります。たくさんいらっしゃるような気はしますが。
by dobashinaika | 2012-05-29 23:20 | 心臓突然死 | Comments(0)

ヨーロッパ医薬品庁(EMA)からのダビガトラン安全性情報更新

ヨーロッパ医薬品庁(EMA)から、ダビガトランに関する安全性情報の更新が発表されています。

European Medicines Agency updates patient and prescriber information for Pradaxa

Questions and answers on the review of bleeding risk with Pradaxa (dabigatran etexilate)


市販後調査での出血などの副作用情報を受けての内容のようです。

患者向け情報として:
・転倒、頭部打撲のときは至急病院を受診すること
・ダビガトラン以外の抗凝固薬併用はダメ(切替時除く)

医師、薬剤師向けとして:
・服薬前、服薬中の腎機能評価と出血リスクへの十分な注意
・抗凝固薬の併用はダメ(切替時除く)

などが追加されています。

プラザキサとワーファリンを意図的なのか、そうでないのか、併用してしまうケースがあるようです。十分注意したいものです。
高齢者の転倒は多いので、転倒、頭部外傷についての患者さんへの注意喚起は大切と思いました、


MTProで詳細を見ることができます(登録必要)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1205/1205072.html
by dobashinaika | 2012-05-28 23:11 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

日本人心房細動患者の心不全イベント発症リスクを予測する新しいスコア

American Journal of Cardiology 5月24日オンライン版より

A New Scoring System for Evaluating the Risk of Heart Failure Events in Japanese Patients With Atrial Fibrillation.
doi:10.1016/j.amjcard.2012.04.049


日本人心房細動患者に於ける心不全イベント発症予測のための新しいスコアに関する報告

P:心臓血管研究所(日本、東京)で2004年から2010年までの間に登録されたすべての患者13,228人のうちの心房細動患者

E/C:心不全発症の独立危険因子

O:心不全イベント(入院または心不全死)

結果:
1)心房細動患者1942人

2)心房細動患者の心不全イベント:147人、7.6%(平均追跡期間776日)

3)心不全発症の以下の危険因子が独立したパラメーターであることを同定しH2ARDDスコアを作成した
  ・心疾患2点
  ・貧血1点(ヘモグロビン11未満)
  ・腎機能低下1点(eGFR60未満)
  ・糖尿病1点
  ・利尿薬使用1点


4)このスコアは低リスク、高リスク層を良好に区別可能:心不全発症率0点では0.2%、6点では40.8%

5)高い予測能:AUC0.84 (0.803~0.876)

結論:H2ARDDスコアは心不全発症のリスクの高い心房細動患者を同定する一助となる。

### 心臓血管研究所、山下先生のグループによるShinken Database 2004–2009からの報告です。心房細動患者さんを外来で見ていても、心不全を呈してくる方とそうでない方がいるので、このスコアは助かります。なるほど、心疾患例えば心筋梗塞が心房細動に合併してくれば心不全になる方は多いですし、貧血、腎機能、糖尿病どれも臨床現場で納得の行く項目と思います。

全文を入手できたら、高血圧、年齢はどうだったのかなども読み込みたいと思います。

H2ARDDスコアはなんと発音すれば良いのでしょうか?ハードスコア?
by dobashinaika | 2012-05-28 22:29 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

日本心臓ペースメーカー友の会宮城県支部総会が2年ぶりに開催されました

今日は、第6回日本心臓ペースメーカー友の会宮城県支部総会に出席しました。

2月に茶話会は開催されましたが、総会は昨年震災で中止となったため約2年ぶりとなります。

本部の日高副会長から、岩手県では震災でお亡くなりになった方のうちお一人の身元が体に装着されていたペースメーカーわかったとの報告がありました。

質疑応答では、今日はプラザキサを服用する際の注意点についての質問が多く、それだけ広く処方されていることを痛感しました。

石巻や南相馬の方とも、再会できましたが、皆さん壮絶な被災て体験をされておられるのに、明るく話されるのがとても印象的でした。

東北大学循環器内科の中野誠先生にも新たに顧問に就任していただけるとのことで、大変心強い限りです。

写真は中野先生の講演です。
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by dobashinaika | 2012-05-27 22:58 | ペースメーカー友の会 | Comments(0)

関節リウマチは心房細動と脳卒中リスクを増加させる:BMJより

BMJ 3月8日電子版より

Risk of atrial fibrillation and stroke in rheumatoid arthritis: Danish nationwide cohort study
BMJ 2012;344:e1257 doi: 10.1136/bmj.e1257

関節リウマチにおける心房細動と脳卒中リスクについてのデンマークの大規模コホート研究

P;デンマークの15歳以上の国民登録のうち1997年以前に関節リウマチ、心房細動、脳卒中のない患者コホート

E/C;関節リウマチのあるなし

O:心房細動発症率、脳卒中発症率:1997〜2009年

結果;
1)4,182,335人の参加者のうち追跡期間中に関節リウマチを発症したのは18,247人。平均発症年齢59.2歳、追跡中間値4.8年

2)心房細動発症は156,484人(関節リウマチ発症774人を含む):リウマチの人の発症8.2人/1000人年vs. 一般の発症6.0人/人年=補正後罹患率比1.41(1.31-1.51)

3)脳卒中発症は165,343人(関節リウマチ718人を含む):リウマチの人の発症7.6人/1000人年vs. 一般の発症5.7人/人年=補正後罹患率比1.32(1.22-1.42)

4)心房細動、脳卒中どちらも相対危険は生と年齢で3段階に分けた場合、すべての層で増加しており、若年層ではより若い患者で相対危険が高いが、絶対危険は高齢者で高かった
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結論:関節リウマチは心房細動と脳卒中の発症率増加と関連があった。関節リウマチにおける心房細動発症リスクの増加という新知見は、この不整脈がこれらの患者の心血管リスク増加への関与していることとも関連している。

### いささか古い論文で恐縮です。結構マニアックに論文ウォチングをしているつもりですが、どうしても漏れが出てしまいます。

関節リウマチは心筋梗塞や心不全のリスク上昇に関係していることは知らていましたが、今回は心房細動です。またまたデンマークの超大規模400万人のコホートで、対1000人年比で1.41倍増加です。

これだけ大きなコホートなので何かしらのデータを解析すれば有意差も出てこようというものですが、きちんと各種因子を補正してますので、信頼はおけるのでしょう。もちろんコホート研究としての様々な選択バイアスは考慮する必要はあります。
by dobashinaika | 2012-05-25 22:59 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

東アジアにおける抗血栓療法についての総説

Thrombosis and Haemostasis 4月26日早期公開版より

Current antithrombotic treatment in East Asia: Some perspectives on anticoagulation and antiplatelet therapy
http://dx.doi.org/10.1160/TH11-04-0214


北京の医科大学の先生による東アジアにおける抗血栓療法の総説です。抗凝固療法のところのみ要約します。

・抗血栓療法は東アジアでも普及してきているが臨床データは限定的で発症率、有病率、薬物の有効用量も欧米とは異なる。

【東アジアにおける心房細動関連血栓塞栓と抗凝固療法】
・アジア人の年齢補正後心房細動有病率は欧米人より低い
・中国、日本、韓国、シンガポールの有病率は0.56〜1.6%
・しかし脳卒中リスクは5〜6倍高い(という報告もある;小田倉注)
・アジアでは欧米ほど非弁膜症性心房細動(NVAF)への抗凝固療法は普及していない。これは出血リスクのため。
・ワーファリン関連頭蓋内出血はアジアでは1.75/100人年で欧米人(034)より高い
・アスピリンがワーファリンの代用となりうるかについては論議の的
・出血リスク評価の点ではEHRAのコンセンサスドキュメントが良い参照

・アスピリンがワーファリンより劣ることは驚くに値しない
・日本のRCTでは871人のNVAFではアスピリン群が無投薬群より有意である可能性が低く、試験が中止となった。一次エンドポイントは同等で出血はアスピリン群がやや多かった(JAST研究:小田倉注)
・アスピリンvsワーファリンの中国でのRCTでは19ヶ月追跡で、アスピリン群はワーファリン群よ死亡、脳梗塞が有意に高かった

・アジアでは欧米より頭蓋内出血が多いので、ワーファリン強度を低くしての試験が施行されている
・日本の二次予防目的のRCTではINR1.5-2.1の群がINR2.2-3.5の群より安全で効果減弱なし
・アジアの専門家の間で論議はあるものの、臨床の場ではINR1.6-2.6が目標値として常に設定されている
・中国の小規模割付研究では、INR2.0-3.0が中等度〜高リスク患者では有効かつ安全であった

・アジアのガイドライン(日本、中国)では、ワーファリンが推奨されているが、処方率にはバラつきあり
・日本の小規模試験では、85歳以上で36%、75〜84歳で61%のワーファリン処方率
・一方中国では2004年データで2.7%。今日でさえ10%を超えていない
・このギャップ解消が中国の重要課題であり現在進行中
・日本のJ〜TRACE研究では心房細動の31%にアスピリンが処方されていた:このことは世界的登録研究での流れと同一
・アジアにおいては冠動脈ステント例での抗血栓療法に関するデーは少ない→北米でのコンセンサスドキュメントが参考になる

・新規抗凝固薬の大規模試験でのアジア人データは世界データに比べても一貫性がある
・しかしながら、まだそのデータは不十分。とくにワーファリンナイーブ患者において
・加えて高価であることが重大な障壁

### 抗凝固療法がアジアで、欧米ほど普及していないことは最近のAmerican Heart Jourrnalの論文でも指摘されています。同論文では心房細動合併心不全患者に対する抗凝固療法施行率はオーストラリアで65.2%にたいし、台湾では25.1%でした。

アジア人は出血が多い、大規模試験がなされていない、が2大理由かと思います。

新規抗凝固薬のアジア人データは限定的ではあれ、確かに他の人種との間で大きな相違はありませんでした。しかしながら高価であることが著者も指摘しているように特に中国などでは問題となると思われます。

RELY試験でもワーファリンに比べダビガトランは大出血が少ないとされましたが、あれはINR2〜3のコントロール下ですので、1.6〜2.6の管理下だとそれほど差がつかないのではなかったかと個人的には思っています。

とにかく特に日本発の大規模試験が困難であることがなんとも歯がゆいです。登録研究も北欧のすごいデータに圧倒され続けていますし。。。中国などもその特性からか、最近大規模データが次々出てきていますし。。。。

そういう意味では日本のJAST研究はすごいと思います。「心房細動患者でアスピリンにダメ出し」というのはいまや(専門家では)超常識なわけで、これだけのインパクトを現場に与えた日本の研究は、他分野まで広く見回してもあまりないのではないかと思います。
by dobashinaika | 2012-05-24 23:06 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

日本発の新規抗凝固薬エドキサバンの薬物動態

Thrombosis and Haemostasis 5月号より

Modelling and simulation of edoxaban exposure and response relationships in patients with atrial fibrillationhttp://dx.doi.org/10.1160/TH11-08-0566

新規Xa阻害薬エドキサバンの薬物動態に関する報告

・ population pharmacokinetics (PPK)(=母集団薬物動態:被験者一人あたり2〜3回の血中薬物濃度を測定し、これに基づいた集団での薬物動態の評価)や、エドキサバン曝露における(臨床効果の)多様性について曝露ー臨床効果モデルを用いて検討

・エドキサバンの第3相試験参加者のうち1281のデータを解析

・出血率はエドキサバンの曝露、最低血中濃度(トラフ値)と強い相関関係あり

・出血率の臨床試験シミュレーションには30mgまたは60mg1日1回のエドキサバンか使用され、腎機能低下者やP-糖タンパク阻害薬指標者は50%の用量減少を行った。

### エドキサバンは日本の第一三共製薬(本社がおエド日本橋)が開発し、既に静脈血栓予防には「リクシアナ」として適応が通っている薬です。
50%が消化管から吸収され、35%が腎排泄、血中濃度ピークは1〜3時間、半減期は9〜11時間とされています。

現在、CHADS2スコア2点以上を対象としたENGAGE AF-TIMI48試験が、試験期間を延期して継続中です。

薬物動態の詳細データが掲載されていますので、参考までに。

1日1回、既に発売済み(リクシアナは15mgと30mg)、日本製などの利点がありますが、4番手だけにどうなりますか。
by dobashinaika | 2012-05-23 22:13 | 抗凝固療法:エドキサバン | Comments(0)

心房細動の新たなリスク因子:Circulation誌の総説より

Circulation 5月22日号(今週号)の電子版、Circulation Topic Reviewより

Novel Risk Factors for Atrial Fibrillation : Useful for Risk Prediction and Clinical Decision Making?
Circulation. 2012;125:e941-e946


最近、研究されてきている心房細動の新しいリスク因子に関する総説

全文を入手できたので、要約して紹介します。

【家族性集積、人種差、遺伝】
<家族性集積>
・最近、一般住民における心房細動が遺伝性のものであるとの報告が増えている
・フラミンガム研究では家族歴がその子孫の心房細動のリスクを2倍にするとの報告あり
・デンマークの双子の登録研究では、双子の片方または両方が心房細動の場合、一致率は一卵性が二卵性の二倍

<人種差>
・黒人は白人より低リスク
・ARIC研究では、ヨーロッパ系統自体が心房細動のリスク(ハザード比1.17)

<一般的遺伝的変異>
・ゲノムワイド関連研究以前には、イオンチャネル、ギャップジャンクション、ANP、炎症メディエイター、RAS系の心房細動関連遺伝子が明らかにされた
・ゲノムワイド関連研究では、3つの遺伝子座が同定された:PITX2, ZFHX3, KCNN3
・小コンダクタンスカルシウム活性化カリウムチャネルが心房の再分極に重要であるとの研究がある

【幼少期の前歴】
・生下時体重の増加は関連あり

【準臨床的危険因子】
<心外膜脂肪>

・数篇の報告あり

<非高血圧レベルでの血圧>
・140/90以上の高血圧は明らかなリスク因子
・それより低いでベルはデータが希薄だが、関係ありとする報告あり

<左室拡張不全>
・拡張不全は心房心室の圧負荷の原因となり、心房リモデリングを引き起こす
・心エコーの各種拡張不全指標は心房細動リスク増加のマーカー

<準臨床的冠動脈疾患>
・MDCTで冠動脈狭窄を認める例では心房細動が多いとの報告あり

【臨床的危険因子】
<身体活動>

・適度な運動は血圧、BMI、冠動脈疾患を減らし、ひいては心房細動を減らす
・しかし過度の運動はリスクを増やす。

<CKD>
・ARIC研究ではアルブミン尿と心房細動の関係が明らかにされた。
・REGARDS研究ではCKDの重症度の関わらず、リスク因子であることが示された

<バイオマーカー>
・BNP,NT-proBNPは心房細動発症の強い予測因子との報告あり
・BNPとCRPのステップワイズ評価が有効との報告
・血清脂質との関係は限定的だが、最近ARIC研究でLDLコレステロールと総コレステロール高値は心房細動の低リスクと関連ありと報告
・n-3不飽和脂肪酸がリスクを減らすとの実験データがあるが、臨床データは論議の余地あり

結論:
・おおよそ半分以上のリスク因子は予防可能
・既存のリスク因子だけで説明できない発症あり
・最近幾つかの新しいリスク因子の研究あり;遺伝子、幼少時の状況、準臨床的危険因子、バイオマーカー、民族、人種差
・これらのリスク因子の研究はさらに拡大されるべきである

### 年齢、高血圧、心不全、弁膜症、心筋梗塞、糖尿病、甲状腺疾患などがこれまで強いエビデンスを持つリスク因子とされてきましたが、それに続くリスク因子を網羅した総説ですね。勉強になりました。

最も興味深いのは、やはり遺伝子です。全く他にリスクのない、あるいは高血圧だけのリスクの方でも心房細動になる人、ならない人がいる。その差はどこから来るのか。まあ上記のような様々なリスク因子の複雑な組み合わせの結果とも言えますが、それに遺伝的要素がどの程度入り込むのか、今後の研究でどこまで遺伝的要素の程度がわかるのか。

早い時期からそれがわかリ、介入治療まで実現されるのか。これは他のあらゆる疾患にも言えることですが、今後ゲノム治療は心房細動においてもどこまで発展を見せるのか、興味深いですが、それを見届けられるまで、生きているかどうかですね。

Europaceの総説も参考までに
http://dobashin.exblog.jp/14233681/
by dobashinaika | 2012-05-22 23:41 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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