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心房細動関連遺伝子が新たに6つ同定される;Nature Geneticsより

Nature Geneticsの4月29日付LETTERより

Meta-analysis identifies six new susceptibility loci for atrial fibrillation
doi:10.1038/ng.2261


新たな心房細動関連遺伝子の同定に関する研究

・心房細動あり6707例、なし52426例をふくむヨーロッパの家系のゲノム解析を施行

・心房細動あり5381例、なし10030例を含む追加のヨーロッパ家系から6つの新たな心房細動感受性遺伝子座が同定され、複製(発現)された

・日本人の心房細動あり843名となし3350例をさらに解析したところ6つのうち4つの発現が認められた

・今回同定された遺伝子座は、心肺の発生や心臓イオンチャネルの表現、細胞のシグナル分子に関連した転写因子をエンコードする遺伝子と関連がある
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###日本の理化学研究所や医科歯科大学と欧米との合同研究のようです。これまでも心房細動に関連する遺伝子変異はカリウムチャネルのサブユニットをコードする遺伝子異常として3つくらい同定されていました。

たしかにかなりご高齢の方でも心房細動にならない方はならない、ということは厳然としてあるのであり、遺伝子の関与は十分予想がつきます。また線維化が高度であっても心房細動にならない例も報告されており、こうしたことは遺伝子による説明で決着が付く可能性もあります。

線維化や炎症といった構造的リモデリングは高齢化が背景にありますが、、イオンチャネルの電気的リモデリングや元々の心房筋の電気的指標異常には遺伝子変異の関与が大きいのかもしれません。

今回更に6つも発見されたことは、今後心房細動になるかならないかのスクリーニングに役立つことが考えられ大変興味深いです。

心房細動遺伝子の総説はこちらの論文にありますので、参照してください(アブストラクトだけですが)
http://circ.ahajournals.org/content/124/18/1982.extract
by dobashinaika | 2012-04-30 22:43 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

ボストン美術館展と大友克洋GENGA展

今日はかねてより、どうしても行きたかった2つのアート展、ボストン美術館展大友克洋GENGA展のはしこをしに東京に行ってきました。
午前中の東京国立博物館はGWだけあって、かなりの混雑でした。
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快慶の仏像、曾我蕭白ワールドなどどれもこれも日本美術ファンにはたまらない企画ですが、自分としては日本画中最もお気に入りの絵の一つ「平治物語絵巻三条殿夜討巻」がなんといっても鳥肌モノでした。
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絵巻物というのは、俯瞰図なわけですが、ある一つの視点、一人の視線からではなく、複数の視点視線で世界を俯瞰しているわけで、西洋画に見られる個人の視点視線に基づく遠近法とは対照的なものの捉え方だと思います。

中でもこの三条殿夜討巻は、構図や色使い、一人ひとりの人物描写の精緻性など比類の無いものであり、じっと見入っていますと、これは絵画というより一つのシンフォニーを聞いているような感覚にとらわれます。

こうした国宝級の美術作品が明治維新の時廃仏毀釈のため、多く失われたのは、本当に痛恨の極みですね。これら日本美術の価値をいち早く見ぬいたフェノロサやビゲローには感謝しなければならないと思います。

午後は秋葉原に大友克洋GENGA展を見ました。
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大友克洋は「童夢」がちょうど私の大学時代に出て、読んだ夜興奮のあまり眠れなかった位の同時代性を感じる作家で、「童夢」も「AKIRA」も初版を大切に保管してあります。「童夢」も「AKIRA」も一コマ一コマの精緻な描写は言わずもがな、それとストーリー性を両立させた点、映画のようなコマ割など、原画を見ていたら、これ午前中の「夜討巻」の感覚にパラレルだと気づきました。
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日本の絵巻物がもともと漫画的であったところに、大友克洋が漫画を鎌倉時代の絵巻物のレベルに漫画を引き上げたといってもいいかもしれません。

同じく公開になったもう一つの絵巻物「吉備大臣入唐絵巻」では空飛ぶ超能力者として吉備真備が描かれていますが、巨大団地の空中を飛び回る「童夢」の原画を見ているとまさに700年以上の時を超えた現代の絵巻物として大友克洋の世界を捉えることができ、大変面白い「アートのはしご」ができたと思います。
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あすからまた、心房細動周辺の話題に戻ります。
by dobashinaika | 2012-04-30 00:22 | 音楽、美術など | Comments(0)

潜在性甲状腺機能亢進症は心房細動新規発症の危険因子;Arch intern Medのメタ解析

Archives of Internal Medicine 4月23日早期公開版より

Subclinical Hyperthyroidism and the Risk of Coronary Heart Disease and Mortality
doi:10.1001/archinternmed.2012.402


潜在性甲状腺機能亢進症と心血管イベント(心房細動含む)の関係に関するメタ解析

【方法】
・10コホート、52674患者
・冠動脈疾患6コホート、心房細動発症5コホート、8711例
・甲状腺ホルモン正常=TSH0.45~4.49mII/L、潜在性甲状腺機能亢進症=TSH0.45mI/L未満かつ甲状腺ホルモン正常かつ抗甲状腺薬未使用

【結果】
・潜在性甲状腺機能亢進症:2188名4.2%
・死亡;8527例(冠動脈疾患1896例)
・冠動脈イベント:3653/22437、心房細動新規発症:785/8711
・潜在性甲状腺機能亢進症によるハザード比:死亡1.24、冠動脈疾患1.29、心房細動新規発症1.68(1.16−2.43)
・これらは年齢、性別、心血管疾患の既往、他の心血管危険因子によって変化せず
・潜在性甲状腺機能亢進症の寄与危険は冠動脈疾患14.5%、心房細動41.5%
・冠動脈疾患と心房細動のリスクはTSH0.10~0.44 に比べ0.10未満でより高かった

【結論】潜在性甲状腺機能亢進症は全死亡、冠動脈疾患死亡率、心房細動新規発症のリスク増加に関係した。TSH0.10未満で最もリスクが高かった。

### 筆者らのコメントによれば、最近の米国ガイドラインでは潜在性甲状腺機能亢進症のうち、65歳以上でTSH0.10未満では治療を強く勧める、とされているようです。心房細動が一度でも記録された高齢者では、一度は甲状腺機能のチェックを考えるべきかもしれません。またスクリーニングでTSH0.45未満の方は、心房細動の有無につき詳しく検索すべきと思われます。
by dobashinaika | 2012-04-27 23:45 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

カテーテルアブレーションは心房細動において薬物療法に変わる治療法か?:最新コクランデータベースより

Cochrane Database Syst Rev (コクランデータベースのシステマティックレビュー)に 4月18日オンラインアップされた記事より

Catheter ablation would be an alternative to inhibit recurrence of paroxysmal or persistent atrial fibrillation DOI: 10.1002/14651858.CD007101.pub2

【背景】
心房細動は心血管分野では最も多く見られる不整脈。
治療法は薬物治療とカテーテルアブレーション。
薬物療法が不安定でかつ洞調律維持の必要性からアブレーションは近年、重要な代替療法と位置づけられる。
多くの新しい肺静脈隔離に基づくアブレーション法が開発されている。

【目的】
第一目的:発作性、持続性心房細動において、薬物療法と比較してカテーテルアブレーションの利益と害を評価
第二目的;アブレーションの最善の教育プログラムを定義

【検索方法】
CENTRL,MEDLINE,EMBASE,the Chinese Biomedical Literature Database,the CKNI Chinese Paper Database

【選択基準】
あらゆるタイプのカテーテルアブレーションにおける発作性、持続性心房細動患者に対するRCT。2人のレビューアーが個別に選択

【データ収集と解析】
2人のレビューアーによるバイアスの評価、RR,95%CI,メタ解析

【結果】
1)32RCT、3560患者。RCTはサイズとしては小さく質は低い

2)カテーテルアブレーションvs. 薬物療法
2)−1. 心房細動再発の点でアブレーション>薬物療法としたRCTは7つだが、 異質性大。(RR 0.27; 95% CI 0.18, 0.41)
2)−2. アブレーションにより洞調律に復元されるとするエビデンスは限定的:アブレーション中は1つの小さなRCTのみ(RR 0.28, 95% CI 0.20-0.40)。追跡調査では (RR 1.87, 95% CI 1.31-2.67; I2=83%)
2)−3.予後に差はなし(RR, 0.50, 95% CI 0.04 to 5.65)
2)−4. 塞栓症、血栓塞栓による死亡にも有意差なし

3)カテーテルアブレーション間での比較:25RCT
3)−1.肺静脈のCircumferentialアブレーションのほうがsegmentalアブレーションより症状改善、再発予防両者において良い(p<0.01)
3)−2.どの方法が最適化を示すエビデンスには乏しい

【結論】
カテーテルアブレーションが持続性心房細動の管理において、薬物治療に比べてよりよいオプションであるとするエビデンスは乏しい。このレビューはアブレーションを最善の方法であるとすすめることもできない。

###治療が治療だけに大きなRCTは実現困難なため、コクランでこのように評価されるとどうしてもエビデンスは、今のところ限定的となるかとは思います。予後に差なし、塞栓症に差なし、ということは押さえておく必要はあります。
by dobashinaika | 2012-04-26 23:19 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

抗アルドステロン薬エプレレノンの心房細動抑制効果:EMPHASIS-HF試験サブ解析

本日公開JACC 5月1日号より

Eplerenone and Atrial Fibrillation in Mild Systolic Heart Failure: Results From the EMPHASIS-HF (Eplerenone in Mild Patients Hospitalization And SurvIval Study in Heart Failure) Study
J Am Coll Cardiol, 2012; 59:1598-1603, doi:10.1016/j.jacc.2011.11.063


心不全患者への抗アルドステロン薬エプレレノンに関するRCT=EMPHASIS-HF研究において、心房細動の新規発症をアウトカムとしたサブ解析

P:55歳以上、NYHAII、左室駆出分画35%以下(詳しくはこちら)、ACE阻害薬、ARB等投与

E:エプレレノン25mg/日

C:プラセボ

O;心房粗細動の新規発症

T:21ヶ月(中央値)

結果;
1)新規発症;エプレレノン群2.7% vs. 対照群4.5%;ハザード比0.58(0.35−0.96;p=0.034)
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2)ベースラインに心房粗細動がある群、ない群でエプレレノンの効果に差はない

3)ベースラインに心房粗細動がある軍、ない群で心血管死、心不全増悪による入院、心房粗細動発症に差はなし

結論;収縮期心不全かつマイルドな症状の心不全患者において、エプレレノンは新規発症心房粗細動を抑制した。心血管イベントの減少に対するエプレレノンの効果は、ベースラインの心房粗細動があるかないかにかかわらない。

### 心不全患者でのエプレレノン(商品名セララ)のアップストリーム効果を見たものです。心房細動が一次ポイントの試験ではないので、いわゆるpost-hoc解析ですが、ARBと同様こうした解析だとアルドステロン阻害薬は有効であるとのことです。

post-hocなので、前もっての記録戦略にホルター心電図や携帯心電計が入っておらず、このため発作性心房細動が記録されていない点がこの試験の限界の一つです。

筆者らは機序として、RAS抑制によるリモデリング防止のほか、低カリウムリスク減少による電気的安定を挙げているようです。
by dobashinaika | 2012-04-24 23:49 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

ワーファリンの脳梗塞/頭蓋内出血バランス(ネットクリニカルベネフィット):18万人の大規模研究より

Circulation 4月18日早期公開版より

Net Clinical Benefit of Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation: A Report from the Swedish Atrial Fibrillation Cohort Study
doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.111.055079


18万人の大規模コホートワーファリン服用心房細動患者のネットクリニカルベネフット研究

P:スウェーデンの病院退院患者登録における心房細動症例182,678例、1.5年追跡

E/C:CHADS2スコア/CHA2DS2VACScスコア

O:ネットクリニカルベネフィット=(抗凝固療法により回避できた脳梗塞)ー1.5x(頭蓋内出血)

結果:
1)ほぼすべての患者で修正されたネットクリニカルベネフィットは良好(正)だった

2)CHA2DS2VAScスコア0点の人は例外で、出血リスクが上回った(年間1.7%)

3)CHADS2スコアでもほぼ同じ結果だったが、非常に低いリスクの人(*おそらくCHADS2,0点)ではそれが当てはまらず、CHA2DS2-VASスコアを用いることでそれらの層においてベネフィットなしまたは出血が多いこと同定することが可能であった。

結論:ほぼすべての心房細動患者で抗凝固療法無しの脳梗塞リスクは抗凝固療法ありでの出血リスクを上回った。ネットクリニカルベネフィットの解析によれば、より多くの患者が抗凝固療法の恩恵をこうむる可能性があるだろう。

###またも北欧の大規模コホート、しかもまたもネットクリニカルベネフィットですね。似たような研究はデンマークからのものがすでにあります。
http://dobashin.exblog.jp/14079936/

またCHADS2スコア0点ではCHA2DS2- VAScスコアを利用せよという研究もやはりデンマークからすでに出ています。
http://dobashin.exblog.jp/15040596/

今後はCHADS2スコア0−1点の人にはCHAD2DS2-VAScを併用せよ、ということがコンセンサスになるのでしょう。しかしまだまだ「CHAD2DS2-VAScスコア」はプライマリケアの場には浸透していませんね。項目が多すぎるからです。”CHA2DDS2-VASc”というネーミングが長過ぎます。

CHADS2の”A”を65歳以上に引き下げ、"S2"のところをStrokeまたはSex/Vascularの2つのS(Srokeは2点ですが)というふうに意味付けを変えて再出発、とかにはならないでしょうか。
by dobashinaika | 2012-04-23 22:28 | 抗凝固療法:適応、スコア評価 | Comments(0)

診察室の外で医療者と非医療者が語り合える場を作りたい

今日は、2月にもお世話になったempublicさん主催のコミュニティ戦略パートナーサービスの発表会に参加しました。
http://empublic.jp/

以前からブログでも紹介していますように、当院は現在リニューアルを目指しておりますが、新医院には待っている方が遠慮無く健康や医療について語らえる、あるいは地域の方が気軽に医療のことを話し合える場を作るように計画しております。

詳細はまだこれからなのですが、コミュニティづくりの専門家や先達、同じ志を持つ異職種の方々とのワークショップを通じて、その青写真づくりをすべく参加してまいりました。

自分の脳の中だけで考えていることが、各方面からご指摘を受けながら見える化されていくというのはなんとも恥ずかしくもあり、またある意味驚くべき作業だと思いました。

コンセプトは、診察室の外で、医療者と非医療者(患者でもそうでなくても)がお互いなにを考えているか、語り合える場づくりなんてすが、実現に向けての現状分析や現状とのギャップ、それを埋めるべき戦略の外観が見えてきたように思います。

やっぱり事を起こすには、一人で考えていてもダメなんですね。
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根津の町は相変わらずいい味出してました。
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by dobashinaika | 2012-04-22 22:46 | 土橋内科医院 | Comments(0)

消化性潰瘍既往例における心房細動抗凝固薬の安全性

American Journal of Cardiology 4月20日早期公開版

Bleeding Risk and Major Adverse Events in Patients With Previous Ulcer on Oral Anticoagulation Therapy
doi:10.1016/j.amjcard.2012.03.036


消化性潰瘍の既往心房細動患者における経口抗凝固薬の有用性と安全性の検討(韓国から)

P:経口抗凝固薬使用の非弁膜症性心房細動患者

E:消化性潰瘍の既往あり200名

C:既往なし230名

O:複合エンドポイント=心血管イベント+大出血

T:3.3年追跡

結果
1)心血管イベント;既往あり:既往なし=14%:29% (p<0.001)

2)大出血;既往あり:既往なし=23%:11%(p<0.001)

3)複合エンドポイント;有意差なし

4)内視鏡的に潰瘍が治癒したことを確認後に抗凝固薬を服用すると出血イベントは30%から14%に有意に減少(P=0.02)

5)既往あり群でTTR60%以上(INR2-3)の人は、既往なし群より複合エンドポイントまでの累積フリー時間が
有意に延長(P=0.01)

結論:消化性潰瘍の既往例は既往なしに比べ、複合エンドポイントにおいて有意な差はない。既往例ではINRを最適に保つことが複合エンドポイントの低下につながり、潰瘍の治癒の確認が出血の減少につながった。

### 韓国からの論文で今年1月アクセプトですので、おそらくワーファリンに関する検討かと思われます。
なぜ潰瘍既往例のほうが心血管イベントが少ないのか、食生活などが是正されるためなのか、不明です。

肝心の出血が、内視鏡での確認とINRの適正化でかなり減るというのは納得です。抗凝固薬服用で潰瘍既往こそ、消化管症状の正確な吸い上げや定期的な内視鏡でのフォローが大切と思いました。それからINRの厳格コントロールも。

やっぱり既往例のほうがINRが低めになっていたのか、PPIなどの投与状況、ピロリ菌除菌の効果など、けっこう興味あるポイントが多い研究と思います。
by dobashinaika | 2012-04-20 19:59 | 抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術 | Comments(0)

心房細動が発生した時のみ記録される記録機の有効性

Heart 4月号より

Is 7-day event triggered ECG recording equivalent to 7-day Holter ECG recording for atrial fibrillation screening?
Heart 2012;98:645-649


心房細動のスクリーニングにおいてイベント発生時のみ記録される心電図がホルター心電図と同等の検出能力があるのかに関する検討

P:発作性心房細動、またはその疑いの患者100人が同時に下記のデバイス2つを7日間装着

E:イベント発生時のみ記録される装着型心電図モニター(R.test Evolution3)

C:ホルター心電図(Lifecard CF)

O:心房細動記録回数、記録時間

結果:
1)有効モニター時間:イベントモニター137時間:ホルター165時間

2)ホルターでの30秒以上の心房細動記録回数と記録時間:平均10回、1030分

3)不整脈記録回数;イベントモニター37回:ホルター42回(p=0.56)

4)ホルターで記録できた心房細動のイベントモニターでの記録失敗:ノイズ4例、記録なし1例

5)イベントモニターの感度、特異度、陽性的中度、陰性的中度:88%、100%、100%、92%

6)ホルターの量的診断に要する時間は平均20分、イベントモニターの質的診断は4分

7)皮膚そう痒42%、16%はそのために早期中止

結論:ホルターに比べイベントモニターは感度が低い。短時間の記録時間のため、解析は短時間ですむ。皮膚そう痒はよくある副作用で、早期中止の要因

###通常のホルター(Lifecard CF)はこちら
http://www.spacelabshealthcare.com/en/product/lifecard-cf/
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イベントモニター(R.test Evolution3)はこちら
http://www.novacor.com/english/produits/rtest/rtepre.htm
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R.test Evolution3のほうが軽装で使えそうですが、取りこぼしが12%もあるとのことです。ちょっと多い気もしますが、上の写真を見るとホルターよりはケーブルの本数も少なく7日間くらいは付けられるような気がします。

このデバイスの目的は無症候性心房細動を発見することにあります。もう少し記録時間を長く出来れば充分使えそうですね。将来CHADS2点(1点?)以上で心房細動が見つかっていない人全員に装着してもらう時代が来るかもしれません。ただそこで1回、2回心房細動が見つかった時に抗凝固薬を全員服用するのかという大きな問題が、その先にあります。

出血がほとんどない、降圧薬と同じ感覚で出せる抗凝固薬が出現し、それと感度を改良した上記デバイスの2つがあれば心原性脳塞栓症は駆逐されるかもしれません。いつになるかわかりませんが。
by dobashinaika | 2012-04-19 23:34 | 心房細動:診断 | Comments(0)

RE-LY試験における頭蓋内出血の詳細に関するサブ解析

Stroke 4月5日早期公開版より

Intracranial Hemorrhage in Atrial Fibrillation Patients During Anticoagulation With Warfarin or DabigatranThe RE-LY Trial
doi: 10.1161/​STROKEAHA.112.650614


RE-LY試験における頭蓋内出血についてのサブ解析

P:RE-LY試験参加者18,113名(詳細はこちら

E:ダビガトラン150mgBID,110mgBID

C:ワーファリン

O:頭蓋内出血の内訳、薬剤別頻度、2年間追跡

結果:
1)頭蓋内出血153人、154件

2)脳内46%(死亡率49%)、硬膜下45%(死亡率24%)、くも膜下8%(死亡率31% )

3)頭蓋内出血頻度(/年):ワーファリン:ダビ150:ダビ110=0.76%:0.31%:0.23% (P<0.001 for either dabigatran dose versus warfarin)

4)致死的頭蓋内出血:ワーファリン:ダビ150;ダビ110=32例:13例:11例.% (P<0.01 for either dabigatran dose versus warfarin)

5)外傷性頭蓋内出血:ワーファリン:ダビ150:ダビ110=24例:11例:11例% (P<0.05 for either dabigatran dose versus warfarin)

6)頭蓋内出血の独立危険因子はワーファリン使用(相対危険2.6)、アスピリン使用(1.6)、年齢(1.1/年)、脳卒中/TIAの既往(1.8 )

結論:頭蓋内出血の内訳は各抗凝固薬で同等。すべての出血、致死的、外傷的出血の絶対頻度はワーファリンよりダビガトランで低い。アスピリン併用が最大の修飾因子

###RE-LYの頭蓋内出血の詳細が明らかにされました。気づいた点は以下
1)硬膜下出血が多い。同時に外傷性出血が多い 
2)大出血に比べて頭蓋内出血は大変少ない(特にダビ群)=RELYの本論文で大出血は各アームとも300例以上。頭蓋内出血はその1/10程度(ダビ群)
3)やはりワーファリン+アスピリンは出血率多い

これらから感じた教訓として
1)高齢者の転倒による硬膜下出血に注意
2)高齢者、脳卒中既往、アスピリン使用者は頭蓋内出血という点から見るとダビガトランが良い
3)しかし高齢者では腎機能の点でダビは使いにくい
といったところです。75mgx2の選択肢があれば少し違うかなあという感もします。

ところで、きょうからもう一つの新規抗凝固薬イグザレルトの使用が可能となりました。今後ワーファリン、プラザキサ、イグザレルト3者の違いを患者さんに説明せねばなりません(ワーファリンからの切り替えの人の場合)。すでに今日何人かに3者の違いを説明しましたが、3つの違いを言うのは時間がかかります!(笑)。

患者さんとの合意形成は「ベネフィト」「リスク」「コスト(費用以外の飲みやすさなども含めた)」の3要素で決まると思っているのですが、その3要素とも上記3薬で様々であり、また医師と患者のそれぞれの捉え方も様々であることを痛感させられます。RELYやROCKETAFをどう考えるのか、そうした科学的(理想的)事実と「納豆」「飲みやすさ」「お金」「モニタリング(チェック)」「通院間隔」をどう天秤にかけるか。抗凝固薬の選択はまさに医療上の意思決定問題の縮図と言えます。

これ、本格的に書こうと思っていてなかなか書いていませんが、いつか書きたいテーマです。
by dobashinaika | 2012-04-18 23:22 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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by dobashinaika at 18:34
はじめまして 心房細動..
by 患者目線 at 08:36
脳梗塞を起こしているから..
by 心配性 at 06:36

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