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心房細動アブレーションの再発、QOL改善効果とメタボリック症候群の関係

Journal of American College of Cardiologyより

Impact of Metabolic Syndrome on Procedural Outcomes in Patients With Atrial Fibrillation Undergoing Catheter Ablation
J Am Coll Cardiol, 2012; 59:1295-1301


心房細動カテーテルアブレーションの再発とQOL改善に及ぼすメタボリックシンドロームの影響に関する後ろ向き研究

P:St.David's Medical Centerでカテーテルアブレーションを施行された心房細動患者1496名(発作性29%、持続性26%、長期持続性45%)

E:メタボリック症候群485名

C:非メタボ1011名

O:再発率。QOL(SF36による)

結果:
1)再発率(21か月):メタボ189名39% vs. 非メタボ319名32%、p=0.0005

2)メタボ群の非発作性は非メタボ群の非発作性より再発が多い、p=0.0002

3)発作性では差はない

4)メタボ群のベースラインQOLは明らかに低い

5)アブレーション後メタボ群でのメンタル成分とフィジカル成分のスコア改善は明らかだった

6)非メタボ群ではメンタル成分のみ有意に改善した

7)非発作性の患者においてはメタボ、性、CRP0.9以上、白血球が再発の独立危険因子

結論:ベールラインの炎症マーカーとメタボリック症候群の存在により非発作性心房細動のアブレーション再発を高率に予測できる。メタボ群はアブレーションによ
るQOL改善が起きらかに観察される。

###メタボリック症候群の人ほど、アブレーションの再発は多いが、一方成功によるQOLの改善は(もともと低いだけに)より大きいという結論です。以前も肥満の人のほうがQOL改善効果が大きいことをブログで取り上げました。
http://dobashin.exblog.jp/14172799/
肥満は心房細動時により動悸を強く感じるということかと思われます。
若くてメタボリックで心房細動発作時の症状の強い人では、アブレーションがよいのかもしれません。ただ再発予防のため、やはりメタボ改善の努力が必要とでしょう。
生活習慣の改善が先でしょうね。
by dobashinaika | 2012-03-30 18:17 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

第62回米国心臓病学会(ACC12)での抗凝固療法の最新知見

今、シカゴで行われている第62回明国心臓病学会(ACC12)から、抗凝固療法に関する話題をご紹介いたします。

ミクスonlineからの情報で、まだ論文化されいませんので、具体的なコメントは差し控えます。

EINSTEIN PE リバーロキサバン 急性症候性肺塞栓症患者のVTE発症抑制で非劣性示す
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/42331/Default.aspx


CHA2DS2-VAScの活用でCHADS2 1点の患者の脳卒中発症リスク層別化が可能に
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/42341/Default.aspx


ARISTOTLE アピキサバンが脳卒中や出血リスクによらず一貫した脳卒中+全身性塞栓症発症抑制効果示す
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/42340/Default.aspx


###CHADS2スコア1点問題がいよいよ見えてきたという感じもします。先日のカナダのガイドラインを裏付けるようなデータですね。同じ1点でも、1点の重みに違いがあることが見えてきました。やはり65-74歳の重要性が示唆されているようです。
by dobashinaika | 2012-03-29 18:03 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

世界13カ国の臨床医に対するワーファリン管理についての意識調査

Thrombosis Researchオンライン版より

Interpretation and management of INR results: A case history based survey in 13 countries

世界13カ国の臨床医に、2つのシナリオのケースについて質問しPTINRモニタリングの諸相を検討した研究

方法:世界13カ国の臨床医に以下の2つのケースについて質問した

ケースA:INRコントロールが安定した(最終INR2.3)患者における採血頻度、ワーファリンを変更するINRレベル、この患者の年間脳梗塞、出血リスクにつき質問

ケースB:INR4.8の患者の48時間以内の出血リスク、次の測定までの原料の程度と時間につき質問

結果:
1)3016人から回答。回答8−38%。82%がプライマリケア医
2)国別、国内でかなりの差異があった
3)INR測定の平均は4〜6週
4)ワーファリンを増減するINR閾値は1.9と3.1
5)脳梗塞と脳出血のリスクは(実際の)2−3倍過大評価されていた
6)ケースBでははじめの2日間減量する(再採血まで1週間)と答えたのは、出血のリスクにかかわらずプライマリケアの75%、専門医の55%

結論;INRモニタリングのバリエーションというのは臨床的な結果にかなりの部分反映される。ガイドラインは知られていないし実用的でないと考えられているように思われる。ワーファリン管理の標準化に関しさらなる努力が必要。

###INR測定は変更を考えるレベルは納得のものと思われます。日本以外はINR2−3が推奨されていると思われますので。梗塞と出血のリスクを過大評価するというのもある意味当然です。リスク=(確率)x(インパクト)ですので、脳卒中のようにインパクトが大きい疾患では、リスクの過大評価はたとえ医師であっても(医師だからこそ?)起こり得るということです。

私はINR4.8なら、もちろんそれまでのその人のINRの変化を参考にしますが、最低3日間は減量し3日後に受診してもらうと思います。

本論文の教訓;「医師は自分が施した医療行為によって生じたリスクのほうを、自分が施さないことによって生じたリスクより過大に考えるし、その傾向はGPのほうが専門医より大きい」
by dobashinaika | 2012-03-27 22:35 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)

リバーロキサバンの一次予防と二次予防の効果・安全性を比較したROCET-AF試験サブ解析

Lancet Neulorogyより

Rivaroxaban compared with warfarin in patients with atrial fibrillation and previous stroke or transient ischaemic attack: a subgroup analysis of ROCKET AF
The Lancet Neurology, Volume 11, Issue 4, Pages 315 - 322, April 2012


リバーロキサバンの大規模試験ROCKET-AFの脳卒中/TIAの既往例でのサブ解析

P:ROCKET-AF試験参加者14264例。こちら参照

E:脳卒中/TIA既往例7468例(52%、脳卒中4907例、TIA2561例)

C:非既往例9794例

O:脳卒中、全身性脳塞栓、脳卒中/TIA既往、非既往間での交互作用

結果;
1)脳卒中、全身性脳塞栓:交互作用p=0.23
既往例:リバーロキサバンvs.ワルファリン=2·79% vs 2·96%、HR 0·94, 95% CI 0·77—1·16
非既往例:リバーロキサバンvs.ワルファリン=1.44% vs 1.88%、HR 0·77, 95% CI 0·58-1.01

2)大出血、臨床的に意義のある小出血:交互作用p=0.08
既往例:リバーロキサバンvs.ワルファリン=13.31% vs 13.87%、HR 0·96, 95% CI 0·87—1·07
非既往例:リバーロキサバンvs.ワルファリン=16.69% vs 15.19%、HR 1.10, 95% CI 0·99-1.21

結論;リバーロキサバンがワルファリンに比較して、効果と安全性において脳卒中/TIA既往例と非既往例との間で違いあるとする証拠はなかった。このことは初発脳卒中同様、再発予防にも、リバーロキサバンはワルファリンの代替薬となることを支持している。

###「交互作用がない」ということは、「脳卒中/TIAの既往という因子単独ではリバーロキサバンとワルファリンの効果・安全性の違いに影響を与えない」ということを意味します。つまりこの論文に則せば既往、非既往例共に両薬の効果・安全性は同じということです。
一次予防でも二次予防でもワーファリンと効果・安全性で同等であり、どちらのほうでどちらかの薬がより効くということは言えなかったというこです。

リバーロキサバンとワルファリンの二者択一で考えると選択基準はに「リスク」「ベネフィット」よりも「コスト」(単なる経済的負担以外の飲みやすさや医師の簡便さも含めた)が優先順位で上に来るのかもしれません。

しかしこの試験の母集団は半分強が二次予防例だったのですね、改めて高リスク例が多かったことを再認識しました。

なお、ダビガトランの既往例のみを解析した検討はこちらです。
by dobashinaika | 2012-03-26 22:32 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

カナダの心房細動ガイドラインアップデート:脳卒中予防がよりクリアカットに

カナダ心血管協会のガイドラインが脳卒中予防とリズム・レートコントロールに焦点を当ててアップデートされました。
脳卒中予防の部分のみ紹介いたします。

Focused 2012 Update of the Canadian Cardiovascular Society Atrial Fibrillation Guidelines: Recommendations for Stroke Prevention and Rate/Rhythm Control
Canadian Journal of Cardiology
Volume 28, Issue 2 , Pages 125-136, March 2012


Figure1. CHADS2スコアに基づく抗血栓薬推奨
a0119856_0132587.jpg


・すべての心房細動または心房粗動でCHADS2スコア、HAS-BLEDスコアを評価する(推奨度:強、エビデンスの質:高)
・殆どの患者に抗凝固薬またはアスピリン(推奨度:強、エビデンスの質:高)
・抗凝固薬にはワーファリンよりもダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン(推奨度:条件付き、エビデンスの質:高)

・高リスク=CHDAS2スコア2点以上は抗凝固療法(推奨度:強、エビデンスの質:高)
・中等度リスク=CHADS2スコア1点は抗凝固療法(推奨度:強、エビデンスの質:高)
・個々のリスク・ベネフィットに基づくアスピリン使用は抗凝固薬の代替薬として合理的(推奨度:条件付き、エビデンスの質:中等度)
・低リスク=CHADS2スコア0点は、追加リスク(65−74歳、女性、併存血管疾患)を考慮(推奨度:条件付き、エビデンスの質:中等度)
・低リスク=CHADS2スコア0点では、年齢65歳以上または女性かつ併存血管疾患ありで抗凝固薬、女性あるいは併存血管疾患でアスピリン、追加リスクゼロで抗血栓薬なし(推奨度:条件付き、エビデンスの質:低)

Figure2. 冠動脈疾患合併例での抗血栓薬推奨
a0119856_0152691.jpg

・安定狭心症(推奨度:条件付き、エビデンスの質:中等度)
 CHADS2スコア0点:アスピリン
 CHADS2スコア1点以上;抗凝固薬
・急性冠症候群またはPCI (推奨度:条件付き、エビデンスの質:低)
 CHADS2スコア1点以下;アスピリン+クロピドグレル
 CHADS2スコア2点以上:抗凝固薬+アスピリン+クロピドグレル

###まとめると
1)CHADS2スコア1点以上は抗凝固薬(1点はケースによりアスピリン)
2)CHADS2スコア0点は「65歳−74歳」または「女性かつ血管疾患」なら抗凝固薬、「女性」または「血管疾患」ならアスピリン、
3)CHA2DS-VAScスコア0点は抗血栓薬なし
4)抗凝固薬はワーファリンよりダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン


ということで、非常にクリアカットになっています。
この方法はESCガイドラインに似ていますが、CHADS2CAScスコアのVAScの部分のうち65−74歳を他の2つより上位においているのが特徴です。
実質的には65−74歳はCHADS2スコアの1点と同等となっています。
私は「65歳ー74歳」「血管疾患」をCHADS2スコア1点と同等とみなしていましたので、ほぼ賛成の内容と思います。

日本ではアスピリンがガイドラインから消えているため、上記を適応するならCHADS2スコア1点以上はすべて抗凝固薬となります。となると「Stroke/TIA」は2点にしておく価値はあまりなくなり、一方65歳以上を全て1点にして良いことになります。なおかつ「女性かつ血管疾患」を1点としてCHAD-VSc(チャドバスク)スコアにしたほうがすっきりするのではと言う気もします。あるいはFemaleのFをとってCHAD-VFスコアとかのほうが覚えやすいかもしれません。(ScがSex categoryというのは覚えにくいので)

近い将来日本でも改定される(べき)ことは必至でしょう。昨年8月のステートメントではダビガトランしか推奨されていませんので、他の新規抗凝固薬も入れる必要もありますし、65歳以上がクローズアップされてきていますし。
日本ではJAST研究の結果からアスピリン排除されていますが、上記のように細かにカテゴリー分けした場合、全然出番が無いことはないようにも思います。低リスクのサブグループでアスピリンの効果がどうかについては日本でもわかっていないように思います。
by dobashinaika | 2012-03-24 00:22 | 抗凝固療法:ガイドライン | Comments(0)

心房細動患者におけるBNPの心血管イベントに対する予測能:開業医からの報告

論文ではありませんが、先日の日本循環器学会のポスター発表

長岡市の開業医、土田先生のご発表です。
日経メディカルオンラインから転用させて頂きます。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jcs2012/201203/524069.html

BNPがCHADS2スコア1点以下の例でも脳梗塞の予測因子となりうることが示されています。
同様の報告が先日のCirculationに出たばかりですね。
http://dobashin.exblog.jp/14776515/

診療所レベルでもこのように立派な研究ができるという見本ですね。
もう少し発展させて、どのくらいのBNPがROC曲線上最適化までわかるとありがたいですね。

当院も頑張らなければ、とインスパイアされた次第です。
by dobashinaika | 2012-03-21 23:52 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

日本人におけるダビガトラン使用時のAPTTモニタリングを検討した論文

Circulation Journal 3月号のRapid communicationより

Dabigatran in Clinical Practice for Atrial Fibrillation With Special Reference to Activated Partial Thromboplastin Time

日本の施設で、ダビガトランのモニターにAPTTを使用することに関する検討

P:心臓血管研究所(東京)で2011年3月から11月までダビガトランを処方した連続196例

E/C:活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)をピーク(服用後3時間)とトラフ(服用直前)で測定(入院患者)。外来患者は午前と午後:施設正常域は25−35秒

O:患者背景、開始基準、中止基準、副作用、APTTの分布、出血イベント

結果:
1)男71.4%、平均66.8歳、CHADS2スコア2点以上30.1%、40%がワーファリンユーザー、220mg/日が64%(70歳以上が69%、CCr50未満が9.5%、ワソラン併用によるものが21.1%)

2)塞栓血栓イベント無し

3)副作用35例18.8%:心窩部症状14.5%、小出血3.2%、下痢2.7%、小出血6例

4)大出血なし

5)副作用は110mgx2で150mgx2より少ない(P=0.011)

6)ダビガトラン中止28.1%:副作用7.1%、一時的使用のため12.2%、

7)入院患者のAPTT分布:ピーク36.3−52.6秒(平均44.9)、トラフ33.4−46.0秒(平均38秒)

8)入院患者110x2の群での分布:ピーク39.0−63.2秒(平均48.0)、トラフ39.0−53.7秒(平均39.8秒)

9)外来患者のAPTT分布:午前36.0−63.0秒(平均46.6)、トラフ37.0−65.0秒(平均46.8秒)

10)外来患者110x2の群での分布:ピーク20.0−69.0秒(平均48.4)、トラフ28.0−65.0秒(平均44.2秒)

11)両群とも時に高値を示す

結論:ダビガトラン服用時APTTは広い分布を示す。高い値は出血リスクのスクリーンの一助となるかもしれないがさらなる検討が必要

###心臓血管研究所、山下先生のグループからの報告です。
低用量でばらつきが大きく、外来患者で著明高値な人が多かった理由について筆者らは、ダビガトランが生物学的利用率が低いことにより吸収の僅かな差が血中濃度に影響することや、低腎機能の場合それが容易に増幅されることをあげています。

先日の日本循環器学会では、トラフをとるかピークをとるか、またいくつ以上から危険とみなすかで論議がありました。最近数日間のブログをご参照ください。

グラフからは全例80秒以下、施設基準上限値の2倍以下になっており、大出血はゼロとのことでした。一応この範囲でなら安心ということが示唆されます。厳密には出血例、非出血例でのコホート研究が必要ですが、そうした研究がない以上現時点では安全域を広く考えるべきかもしれません。

ただし一般開業医で頻回にAPTTを取ることが保険請求上許されるかどうかが問題です。当院でも最近、学会で述べられていたように前、2週後、4週後、その後は3ヶ月に1回APTTを採血し始めています。全例注釈をレセプトにつけていますが、一般診療所で認められるかどうか心配なところです。

東海大学の後藤先生が、パーソナルアプローチを必要とするような患者のための(PT-INRのような)バイオマーカーの探求が必要であることを述べておられますが、全面同意です。
Monitoring of the Effects of New-Generation Oral Anticoagulants
– What Does It Mean? –

by dobashinaika | 2012-03-20 19:16 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

日本循環器学会3日目:アピキサバンとリバーロキサバンの日本人サブ解析

日本循環器学会3日目、Late Brealking Clinical Trialから

新規Xa阻害薬(ファクターテンエーインヒビターと呼ぶのが欧米流のようです)アピキサバンとリバーロキサバンに関する未発表データが公開されました。

本日得た知見を私の目を通した形で箇条書きいたしました。走り書きメモが元ですので、誤りが含まれている可能性があることをご勘案ください。本記事の文責はすべて小田倉にあることを述べさせていただきます。

Apixaban Versus Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation-Sub-analysis in Japanese Patients in ARISTOTLE Study-

・昨年夏に発表されたアピキサバン対象のARISTOTLE試験の日本人サブ解析
・日本人336例、TTR67% 、追跡2.1年、追跡脱落ゼロ!
・CHADS2スコア1点が40%

・脳卒中;アピキサバン群0.87% vs. ワーファリン群1.67%
・大出血;アピキサバン群1.26% vs. ワーファリン群5.99% (頭蓋内出血;0% vs. 1.97%)

Safety/Efficacy of Rivaroxaban for Prevention of Stroke in Japanese Atrial Fibrillation Patients-Sub-analusis of Renal Impairment in J-ROCKET AF

・リバーロキサバンの日本人対象試験J-ROCKET AFにおいて腎機能別に比較したサブ解析
・CCr30-49(1日10mg)とCCr50以上で安全性と効果を比較

・腎機能により大出血及び脳卒中の発症率に有意差なし。交互作用なし
・CCr30-49群のほうが、リバーロキサバン、ワーファリン投与例共に脳卒中および大出血が多い

###アピキサバンについては、統計的有意を言えるほどの症例数がなく、検定できていないとのことで、この点注意が必要です。
・アピキサバンは日本人でもグローバルと同等の効果と安全性は期待できる
・リバーロキサバン1日1回10mgは、CCr30-49の中等度腎機能低下例で使えそう。
という感じです。

個人的には、アピキサバン5mgx2が標準と考えて良いかとの質問に、演者の後藤先生(東海大学)が、「科学としてはそうだが、目の前の患者さんが1回きりの脳出血であり個別に考えることが大切」と言われたのが印象的でした。「同志」を感じました。

リバーロキサバンは効果の評価法が複雑でありその解釈には注意が必要です。

アピキサバンの過去ブログがこちら
http://dobashin.exblog.jp/13416606/
http://dobashin.exblog.jp/12935360/

リバーロキサバンはこちら
http://dobashin.exblog.jp/13286936/
http://dobashin.exblog.jp/13427434/
http://dobashin.exblog.jp/14102401/
by dobashinaika | 2012-03-18 23:26 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

日本循環器学会2日目:「心房細動管理における抗凝固療法の最新の話題」のまとめ #nichijun

日本循環器学会2日目ランチョンセミナー「心房細動管理における抗凝固療法の最新の話題」のまとめです。
得られた知見を私の目を通した形で箇条書きいたしました。走り書きメモが元ですので、誤りが含まれている可能性があることをご勘案ください。本記事の文責はすべて小田倉にあることを述べさせていただきます。

[CHADS2の解体新書(丸山征郎先生、鹿児島大学)]
・われわれ人類は、外敵からの攻撃で外傷を受けた場合にそなえて止血システムが備わっている
・止血は血管破綻部位のみに、爆発的に起こり、自動的にシャットオフされる
・止血系は中枢指令のない自己組織性を持った反応系である
・凝固系は凝固促進系であり、カスケード反応により反応が増幅する。
・血小板膜上の「増幅真空管型」である
・IX→IXaで50万倍、X→Xaで30万倍の活性増幅があり、全体で1億倍の増幅がある「増幅真空管型」である
・血管内皮細胞は抗血栓的である。トロンビンはトロンボモデュリンの作用で作用ベクトルを180度変換される
・止血系は血管の破綻のその場で作用する「オンデマンド型」である
・生体はけがとアテロームを識別できないため、アテロームに対して誤作動を起こし血栓が形成される

・CHADS2スコアの加齢、心不全、糖尿病、高血圧のそれぞれに各種サイトカインや凝固因子が活性化される背景を持つ
・これまでのPTINRやaPTTは出血傾向の指標であり、血栓形成の指標はこれまでなかった
・T-TASと呼ばれる血栓形成測定装置を開発し、抗血小板薬や新規抗凝固薬への反応や抵抗性を評価できる可能性がある

・多病多死時代を迎え、人類が長い間に培ってきた生体防御システムが過剰になってきた、そのひとつが止血系。これをうまくコントロールする必要がある

[ダビガトラン処方のコツー使用経験からの考察(山下武志先生、心臓血管研究所)]
・ブルーレターでみられたダビガトランによる大出血を全く経験しない。なぜか
・RE-LY試験をよく見ると、75歳未満およびCHADS2スコア0-1点でワーファリンよりダビガトランで出血が少ないのである。一方効果は同等かそれ以上である。
・実臨床では75歳未満、CHADS2スコア1点未満の人に多く投与されているため出血が少ない
・ワーファリンは継続的な「モニタリング」、ダビガトランは投与初期の「チェック」という概念
・ダビガトラン投与前、2週間後、そのまた2週間後にaPTT、腎機能、ヘモグロビンをチェック。最初安定していれば以後は2-3カ月に1回
・CCR40以下は出さない
・おおむね110mgx2。若年者で腎機能良好、合併症なし場合150x2
・65-74歳はCHADS2スコア1点と考えたい

###丸山先生はのレクチャーはまさにわれわれ循環器医の暗きを啓いてくれる内容です。循環器学会にとっても貴重な存在と思います。こういうコラボは大変大切と思われます。

山下先生のお話も、多くの経験に根差した説得力の強い戦略と思います。この戦略は広く広まるのではないでしょうか。apTTの保険適応が気になりますが。

だんだんに新規抗凝固薬の「専門知」が集積されつつあることを感じます。
by dobashinaika | 2012-03-18 08:03 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

日本循環器学会2日目:J-RHYTHM Registryにおける心房細動例での塞栓・出血発症率 #nichijun

春一番の吹いた福岡市。日本循環器学会2日目、今日は以下の3つのセッションを聞きました。

・Featured Research Session10 ”Atrial/Supraventricular Arrryhthmia2"(心房性/上室頻拍)
・日野原重明先生100歳記念講演
・ランチョンセミナー「心房細動管理における抗凝固療法の最新の話題」

日野原先生の講演はツイートしております。とても語りつくせません。60分間よどみなく立ったままでご講演。76回の日本循環器学会すべてに参加してきたと聞いて唖然としました(会場は大拍手)。聴衆のリスペクトを感じる非常に雰囲気の良い空間でした。

本日得た知見のうち前半のセッションンを私の目を通した形で箇条書きいたしました。走り書きメモが元ですので、誤りが含まれている可能性があることをご勘案ください。本記事の文責はすべて小田倉にあることを述べさせていただきます。

J-RHYTHM Registryの塞栓、出血イベントの発生率:Featured Research Session10 ”Atrial/Supraventricular Arrryhthmia2
・4000例登録。追跡率98.8%

・2年間追跡でイベント発生は6.5%:塞栓症1.8%、出血2.0%、全死亡2.7%

・塞栓症;非ワーファリン群3.3% VS. ワーファリン群1.5%, P<0.001

・出血:非ワーファリン群1.4% VS. ワーファリン群2.1%, 有意差なし

・INR1.6-2.6の群は1.6未満、2.6以上の群に比べ有意に塞栓/出血イベントが少ない

###日本ではワーファリンは塞栓症を有意に抑え、出血はふやさないということが初めて示された登録研究だと思います。これはこの登録がCHADS2スコアの低い層が50%超と多いことが関係していると思われます。そしてINRもかなり低めにコントロールされたためと思われます(INR2-3にコントロールすべき70歳未満での達成率は66%、1.6-2.6にすべき70歳以上では35.4%)。

多くの患者が1.6-2.6を目指してワーファリンを投与され、結果としてこの層の塞栓/出血が有意に少なかったという、大変安心な結果でした。

日本人においては、これまでINR2-3を目指すべき年齢層でも1.6-2.6を目指してよいことを示唆しているとも言える結果です。年齢別、CHADS2別の結果も見てからまた考えたい興味深いポイントです。

参考ブログは以下
http://dobashin.exblog.jp/12399577/
http://dobashin.exblog.jp/12720153/
http://dobashin.exblog.jp/12720153/

残りのセッションのまとめは明日に。

日野原先生ご講演
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by dobashinaika | 2012-03-17 23:43 | 抗凝固療法:リアルワールド | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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もう怖くない 心房細動の抗凝固療法


プライマリ・ケア医のための心房細動入門

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治療 2015年 04 月号 [雑誌]

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ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から


中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


健康格差社会への処方箋


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